善セフィロスを目指したら三兄弟と戦う羽目になった 作:ハイキューw
【ライフストリーム】
それは、星を巡る命の流れ。――星と星に生きる全ての命の源。
星に生きる者たちの命が尽きたその時、再びライフストリームに、星へと戻り 新たな生命としてまた生まれ続ける。
神羅カンパニーは そんなライフストリームを資源として使う方法を見つけ、その技術を応用し 世界は一気に発展の一路を辿った。……それは即ち人々の生活も変わっていった。恩恵を得る事が出来る者たちは等しく皆豊になっていった。
だが、それは星の命を削る事。そう考える人間も大勢いた。その中核を成す組織の名は反神羅組織 アバランチ。
神羅はそのアバランチを、自分達に反対する勢力を、力で押さえつけようとし続けた。
そう――神羅には戦闘に特化した部隊が存在していた。
その名を【ソルジャー】。
ソルジャーとは遥か昔に、宇宙から降ってきてこの星を滅ぼそうとした厄災【ジェノバ】の遺伝子を埋め込まれた者たちである。
その中に【セフィロス】と言う特別なソルジャーがいた―――――。
そして、そのセフィロスには他の誰にも知らないある秘密があった。
その秘密とは セフィロスは、彼であっても、彼ではない。
誰が聞いた所で理解できる者など1人も居ないだろう。そう、本人1人を除いて。
誰も知らず、誰も判らないままでセフィロスは行動を続けていた。
何故なら―――彼には守りたい者たちがいるから。誰一人として悲しい思いをさせず、ライフストリームに戻さない為に、彼は本来辿る筈の世界の結末を変える為に戦う。
全てはその為に。
空が青い。
大地に大の字で倒れたまま、空をじっと見つづけてみると本当にそれがよく判る。
何処までも透き通った空。この空の灯りが消えると、そこには光り輝く満天の空が広がるのだろう、と容易に想像がつく。こんなに空を見上げ続けた事なんて今までにあっただろうか。……ここ、ニブルヘイムの村の空を。
「――――何ぶつぶつ独り言いってんの……?」
そして、倒れているのは1人だけじゃない。直ぐ隣に男がもう1人いた。……そして、離れた場所にも無数の兵士たちが倒れ伏していた。
「……いや、ただ疲れただけだって。連戦に次ぐ連戦……そして最後のコレ。流石に100人斬りは、な。達成賞品でも貰いたい気分だ」
「はは………っ、そりゃそうか。英雄セフィロスでも疲れる事あるんだな。良い事聞いた」
「……張り合ってくるかと思ったが、早々にペースが落ちたよな? ザックス。もっと腕を磨かなきゃじゃないのか?」
「無茶言うなよ。……やっぱ、アンタには敵わないさ」
彼らは所々血が流れ、怪我をしているのが判る。
そう―――彼らは戦ったのだ。
攻め入る神羅カンパニーの兵士たちと複数のソルジャーたちと。
そして たった2人で大軍隊相手に勝つことが出来た。
―――このニブルヘイムと言う村を守り通す事が出来た。
「はぁ……、まさか神羅相手にこんな戦うなんて入ったばっかの時は思いもしなかったなぁ……。 英雄に憧れて神羅に入ったってのに。世の中どうなるか判らないもんだ」
「英雄なんてそんなもん虚構だってよくわかっただろ? 実際にオレがそうだ。オレは、お前らに言った通り。ただ
「………英雄は虚構、って言うより、常にクール、カッコつけながらスマートに戦果を挙げてくセフィロスがこんな熱い男だったって事に驚いてるよ。まっ、オレはそっちの方がイイぜ。断然」
「そうか? …………ふふ」
血と汗をぐいっ、と拭った後に セフィロスは半身を起こした。今 動く影は一切見えない。
でも、自分自身の怪我の程度も簡単なモノじゃない。一般兵なら兎も角 ここに集ってきたのは、兵士は兵士でも かなりの戦闘訓練を積み上げた猛者たちばかりだった。その誰もが3rdクラスのソルジャーになら全く引けを取らない程。こんな連中が居た事なんて知らなかった。お偉いさん方のお抱え兵士、隠してた部隊と言った所だろうか。
でも、自分達の討伐が任務だとするのなら仕方ない。
何故なら――攻め入ったここには、1stソルジャー……最上級クラスのソルジャーが揃っているからだ。此処で大の字でぶっ倒れている2人もそう。そして、離れた場所にいる2人も同じく。現存する最高戦力が一斉蜂起ともなれば 相応の戦線を組まなければならないのだろう。
「……だがまぁ、ザックスがそう思ってしまうのも無理ないか。最初の頃は演じていたからな。セフィロスを。この時まで」
「……は? そりゃどういう―――っ」
ザックスが疑問符を浮かべてた時だ。
突如、大地が大きく大きく震えた。
巨大地震? 否、これは違う。規模が全く違うもの。村の様々な所が崩れ、壊されていく。一極集中型の大地震。こんなのを起こせるのは1つしか知らない。
「召喚マテリア【タイタン】。大地の怒りか!」
セフィロスは即座に跳躍。
ザックスも遅れたが大地が裂けていくその割れ目に飲み込まれる事はなかった。
攻撃を理解し、跳躍したほぼ同時に、避難している住民たちの建物が崩落していくのが目に入った。
この異常事態に気付き、入り口まで駆けつけてきた男と女の姿も同時に目に入る。
「ティファ! クラウド!! そのまま中に入ってろ!! 出てくるな!!!」
「だが! セフィロス!」
「最初に言っただろ! お前は村の人たちを守れと。早く入れ! 魔法が撃てん」
腕に集中し、魔法を放とうとしているのが目に入ったクラウドとティファ。ティファは、クラウドの腕を取って直に建物の中へと連れ戻した。
「クラウド! こっち!!」
「ティファ!?」
「ナイス判断だ。そのまま走れ! クエイガ! クエイガ! クエイガ!!!」
だいちマテリア 最上位魔法 クエイガ。
生成した大地の槍が敵を穿ち殲滅する魔法だ。今回に限っては敵を攻撃するのではなく建物に放った。クエイガの大地の槍は建物を支える柱の代わりを務め、完全崩落を防いだ。緊急的な対応なので安全とは言い難いが、そのまま崩落し、全滅してしまうよりははるかにましだろう。
何とか崩落を食い止め、地震も収まったので この元凶を探し出そうと力を入れ直したその時だ。
「セフィロス! 倒れてた兵士たちが立ってきやがったぞ!」
「はぁっ!? なんだそりゃ!?」
驚いた事に、倒れてた無数の兵士たちが立ち上がったのだ。
命は大丈夫だったかもしれないが、それでも立ち上がれるような生易しい怪我ではない筈。四肢の骨と言う骨が砕けたモノも居る。腕を斬り飛ばした者もいる。
だが、兵士たちはまるでゾンビの様にフラフラと立ち上がってきたのだ。
ザックスが剣を再び構え、臨戦態勢に入ってるのが判る。あの男も連戦に次ぐ連戦で身体はボロボロの筈だ。魔法でいくらかは癒しはしたものの焼け石に水の満身創痍。
原因、そして対応策を練ろうと集中したその時。
「―――簡単な事だよ。兄さん」
1人の陰が宙に浮いた。
セフィロスと同じ視線の高さにまで跳躍してきた。
「僕のこのマテリアを使えば……兵士たちは幾らでも頑張れる。……まぁ、頑張り過ぎて死んじゃうんだけどね」
「……カダージュ。てめぇ、まだ居やがったのか。ちょっと前に星の底の底にまで突き落としたってのに。しつこいぞ」
「そう、酷いよね。僕たちは兄弟なのに。……家族よりもそっちの奴らを取るなんて。まぁ、落とされたおかげでこんな力を持つ事が出来たけどね」
薄ら笑みを浮かべるカダージュ。
その手に握られていたのは 黄金に光る球―――マテリア。
「【あやつる】のマテリア」
「そうだよ。それに母さんの力。星の中でも母さんは頑張ってるんだ。すごいんだ。凄く強くなった。ほら、証拠にあんな奴らでも凄い戦力になる。神羅も役に立つって事だね」
両手を広げて、空を仰ぐカダージュ。それと同時に1人、もう1人と姿を現した。
「ヤズー…… ロッズ……」
「さぁ、兄さん。母さんのトコに行こう。いつまでも遊んでないでさ」
「それとも、オレ達とまた……遊ぶ? いや 遊ぼう。兄さん」
完全に囲まれた形になった。
セフィロスを兄さん、と呼ぶ3人は 数日前突如この村に現れた襲撃者だ。
セフィロスは彼らの事を知っている―――が、ここに居る事は
それでも、現れた事実は変えられない。襲ってくる事態は変わらない。
「はた迷惑な3兄弟が……」
「今対面してるのは4人兄弟だよ。兄さん」
「オレに んな暴れる兄弟はいねぇよ。つか、いらねぇ。何べんも言わすな」
「酷いな、兄さん。―――もっともっと楽しまなきゃ 笑ってくれないのかな? ふはっぁっ!」
満面の笑みで銃をぶっ放してくるヤズー。
それを大太刀 正宗で切り落とすセフィロス。
その隙に高速移動で背後に瞬時に回り、パイルバンカーで攻撃してくるのがロッズ。
身体を捻りながら空中ジャンプで躱し突き出された腕をつかんでヤズーに投げ飛ばした。その頭上から今度はカダージュが双刃を突き立ててくる。
三位一体の攻撃。一撃一撃の破壊力は言うまでも無く強力無比。その上に複数ともなれば厄介を通り越している。あの100人斬りと何ら遜色はない程だ。
「兄さん。帰ってきてよ。母さんも呼んでる。……一緒に星に復讐をしよう」
「遠慮する。それにいい加減 親離れしろ! このマザコンどもが!!」
「母さんを愛して何が悪いの? 親は子を愛し、子は親を愛するものだよ」
続けざまに連撃を放ってくる。セフィロスは応戦し、捌き続ける。先ほどの連戦が無ければ、とも思うが泣き言を言ってられない。……眼下ではザックスが奮闘し続けてくれる。此処で崩れたら、背後に居る者たちにまで及ぶ。
「そうだ。……兄さんの大切にしてる奴らを奪えば、僕たちの母さんのトコに戻ってきてくれるのかな?」
「あ?」
カダージュの挑発の最中、脳裏に過ったのは下で戦ってるザックス。そして 背後にも居る仲間……親友たち。
「ああ。あそこにも僕たちの兄たちがいるよね? えっと……アンジール、それにジェネシスかな。母さんの力が怖くて逃げたって聞いてたけど、兄さんが隠してたんだ? 皆にも来てもらおうか。……劣化が続いてるみたいだけど、母さんならきっと直してくれるよ」
「ちょっと口を塞げ、クソガキが」
大太刀の正宗を思いっきり横に振るう一撃。星を割るとも称された飛来する斬撃を放つセフィロス。カダージュも流石にその一撃は簡単に受けきれる物じゃない、と判断。ヤズーとロッズの助けを借りつつ、回避する事に成功した。
アンジールにジェネシス。
彼らはセフィロスの親友だ。……彼らは神羅のせいで苦しんでいる。身体が劣化……老化し、最後には化け物になってしまう。
それを止める為に、セフィロスは行動をした。そして、漸く実を結んだ。また3人で語り合う為に。そんな日を待ち望んでいた。
だが、目の前の奴等はそれを奪おうとしているのだ。
―――セフィロスの目が強く強く輝く。
「空っぽの人形風情のてめえらが、オレから何かを奪えると思うなよ!」
セフィロスは、背中から片翼の翼がはえた。それは セフィロスの本気。本当の本気で戦う時の形態である。
「……なんでかなぁ。母さんの力をそこまで使ってる癖に。何でこの星の奴等に肩入れするんだい? 兄さん」
「あの気色悪いジェノバの姿見て 母さん母さんって愛せる精神力がオレには備わってないからだろうよ」
「っ!! 母さんをそんな風にいうな!」
「幾ら兄さんでも母さんを悪く言うのは許さねぇぞ!」
「お前らに許されようとも思ってねぇし、お前らを許すとも思ってねぇよ」
セフィロスは、次に思いっきり眼下に剣を振るった。
丁度ザックスが戦っている所。……ザックスと無数の骸兵士たちの境目に深い深い切れ込みを入れたのだ。
「あぶねっ! セフィロス!? 何すんだ!?」
抗議するザックスは無視し、急降下した。
「ザックス。プランSだ。……判ってるな?」
「プランSって……、おいコラ ふざけんな馬鹿!!! オレはまだまだ戦える!! それ最終手段だって言ってただろうが! お前ひとり置いて撤退なんて絶対しないぞ!」
ザックス、再び抗議。
その熱は先ほどの比ではない。本気で怒っていた。……プランSのSはセフィロスのS。
しんがりにセフィロスが立ち、ザックス、動ける者たちで村人達を撤退させるプランだ。
ザックスの抗議の間もセフィロスは正宗を振るい続け、真空の刃で敵をけん制している。
「馬鹿はどっちだ。お前動けなくなるまで戦うつもりだろ。そんな事したらアイツら助けられないだろうが。さっきまでは十分オレ達で対処できるって思ってたが、あのクソガキどもに加えてこのゾンビ兵士を相手にし続けるのは無理だ」
「なら全部をお前1人でなら何とかなる、ってのか!? 自殺する気なら絶対止めるぞ!」
「勝算はある、が 巻き込んじまうかもしれない。だから、とっととプランSしろってんだ。先輩の言う事聞け!」
「聞けねぇ!」
剣を振るっても振るっても歩みを止めない兵士たち。……死しても尚 戦い続ける姿にはザックスも恐怖を覚える。でも、それでもセフィロスだけを置いて自分だけ逃げるなんて選択は取れそうに無かった。
「ザックス。夢を持て。どんな時もソルジャーとしての誇りを忘れるな。これはアンジールの言葉だ。お前も知ってるだろ? あいつらにもお前にも夢がある。 動けないアイツらを、オレの親友を助けてやってくれ。仲間を守る。それがソルジャーの誇りだろ」
「っ」
その一瞬 セフィロスは、止まったザックスの隙をついて胸倉を掴み上げて、思い切り放り投げた。
そこは丁度クラウドたちが居る場所へ。
どわっ!! と悲鳴を上げながら飛び込んでくるザックスに、巻き込まれる形でクラウドも衝突。ティファに連れられて中へと退避していたのだが、やはり我慢できなかった様だ。クラウドも男だと言う事。
「それに、会わなきゃならない相手が居るんだろ? ……皆で会いに行け。手紙の返事を答えてやれ。それに当初の予定通りだ。皆もそこで匿って貰え。……全部終わったら、オレもそこへ行く」
「うぐっ、せ、セフィロ――」
ザックスが身体を起こしたその時だ。
地面から再びあの大地の槍が出てきたのは。
クエイガ。
だいちのマテリアの最上位の魔法。習得するのは勿論、こんな連発して撃てるような魔法でもない。なのに、通常じゃ考えられない程、連続でセフィロスは唱え続けていた。
凄まじい音が響き渡る中、漸く止んだと思えば……、その建物は完全に岩山へと変化していた。
ザックスは駆け寄って、クエイガにより生み出された大地を思い切り叩く。
「っざけんな! ふざけんな!! オレは了解って言った覚えはねぇ!! 知ってんだ!お前が嘘つく時露骨に目ぇ逸らせるの! 会いにいく! それはお前も一緒だって、ずっと言ってきたじゃねぇか!! 一緒にいって、そこで仕事を、ソルジャー以外の仕事をやろうって……、なんでも屋でも始めようかって一緒に言ったじゃねぇか!!」
血が出ても、殴るのをやめない。
あまりにも分厚い大地の壁はビクともしなかった。恐らく、幾ら殴っても音さえ届いてないだろう。
「……ザックス。セフィロスは?」
「ぐぅ……、ぐっ……」
どん、どん、と殴り続けるザックスを見て、セフィロスの安否を聞くのはクラウド。
例え聞かなくても事情を把握するのはそう難しい事では無かった。……様々な状況を想定したプランについてはクラウドも兵士の1人として聞いていたから。
「終わったらオレに、剣を教えてくれるって……約束、したのに」
「っ……っっ……、セフィ……ロスさん……っ」
唖然とするクラウド。
涙を流すティファ。
壁を殴り続けるザックス。
指示された通りのプランならば、この建物にある地下への扉を開けて、そこの地下空洞を通って離脱する手筈になっている。
だが、暫く誰も動く事が出来なかったのだった。
「兄さん。やっぱり凄いよ。マテリアの力の限界を超えてる。だいちのマテリアの力でそんな事出来るなんてあり得ない」
大きな岩山を見て今まで表情が変わらない、薄ら笑みしか浮かべてなかったカダージュ達の顔色も変わっていた。一個人が放てる様な魔法じゃない。新たな大地を1つ生成してしまったと思える程の規模だったから。
「はぁ、はぁ、はぁ……。アイツらを巻き込んでくるって簡単に想像出来たからな。させねぇよ」
「なんで? なんでそこまでするの? この星の奴らが憎くないの? 自分の事を知って尚 なんでそんな風に居られるのか僕には理解できないよ。兄さん。それに、守ろうとしてるのも不思議だ。あっちの兄さんたちは今守ったとしても、もう直に崩壊するって母さんから聞いた。無意味じゃない?」
向けられた剣がおろされていた。純粋な疑問であると言う事は重々承知している。彼らにとっては 母さんが……ジェノバが全てなのだ。遥か昔に宇宙よりやって来た厄災のジェノバの意思が、カダージュ達を恐らく作った。ジェノバに染まらないセフィロスを引き込む為に。
「単純な事だろ。成人した子は親から離れる。……テメェの道はテメェで決める。大切なもんも全部自分で決める。親の思想を押し付けんなって事だ。それにアンジールやジェネシスが崩壊する? 母さんに聞いた? なら言っといてくれよ。そりゃ的外れだ」
「?」
セフィロスは懐から金色のマテリアを取り出した。
「アイツらを苦しめてる細胞は、もう
「………それは、じかんのマテリア? そんなもので母さんの力を? そんなの無理だ」
「それはどうかな。……まぁ、テメェらにアイツらが無事かどうかなんて確認させねぇけどな。……それに決めてんだよ」
セフィロスは大太刀を上段の構えで構えた。そして、剣に全ての意思を集中させる。
「
「!」
カダージュはその瞬間、全てを察した。
【オレ、そして セフィロス】
その言い方の違和感。
自分の事なのにまるで他人の事を言っているかの様に聞こえる。そう、カダージュの耳に聞こえた瞬間にとある仮説が頭を過ったのだ。
目の前にいるセフィロス。それは身体と精神が別々の存在なのではないか? と。
母―――ジェノバの呪縛から逃れられてる事。出生の秘密をしった事。
どれも通常なら耐え難い筈だが、精神と身体が別なのなら話は変わってくる。セフィロスであってセフィロスじゃないのなら、幾ら呼び掛けても無駄だ。
そして、そのカダージュの違和感による硬直は同じくヤズーやロッズにも影響する。……それが彼らにとって致命的な隙となる。
「あんまり好んじゃいない力だが、今なら存分に振るえる。………似た様な力でもう一度 地の底へ落ちろ。オレも付き合ってやる」
長い刀身が漆黒に染まっていく。まるで黒雷を帯びたかの様に、セフィロスの闘気が放たれる。更に空が叫んだかの様に辺り一帯に雷が轟く。
セフィロスから放たれた渾身の一撃。それは絶対破壊の力。
【スーパーノヴァ】
―――某日 とある花咲く家にて。
2階の自室にて 1人の少女が目を覚ました。
少女は目を覚ました後 ぐっ、と背伸びを1つした後に足早に階段を駆け下りていった。
「お母さぁんっ おはよーっ!」
「おはよう。エアリス。ん? 何だか今朝は随分機嫌が良い様だねえ」
「うんっ、とっても良い夢を見たんだ」
「へぇ。どんな夢だったんだい?」
花咲くような満面の笑顔で少女は答えた。
それは とても小さな願い。ただ――会いたいと言う願い。
「ずっと会いたいって思ってた人たちが、会いに来てくれる夢!」
そう母親に告げると足取り軽やかに家の外にまで走っていった。
そして――その先には。
【えぇ~ ほんとにその髪切るの? トレードマークじゃなかったっけ?】
【ここまで長いと手入れとか大変なんだぞ? シャンプーとかの消費凄いし。この際バッサリとな】
【そんな事より、オレに剣を教えてくれって】
夢が叶う。そんな瞬間が少女に訪れていたのだった。