善セフィロスを目指したら三兄弟と戦う羽目になった 作:ハイキューw
壱番魔晄炉爆破大作戦、当日。
「と言うワケでだ。オレ達なんでも屋は、アイツらが魔晄炉にまで行く間、敵の目を惹きつけておくド派手な陽動担当。……って事は、事前に伝えたよな?」
「おうよ! 勿論だ! 久しぶりの大仕事だな!」
「よしよし判ってるみたいだし、気合も十分。……だけなら良いんだが……」
セロスは、ザックスに粗方の作戦を前日に伝えてたので、その再チェックを行っていた。
陽動が成功するか否かで、バレットたちがいる言わば本体の作戦が成功するかどうかが掛かっているのだ。
敵地のど真ん中で派手に暴れるのだから、当然こちらも本隊と負けずとも劣らない程重要な位置にある。―――と言うのにも関わらず、だ。
「なんでエアリスまで此処にいる?」
「うん? 私??」
今回の陽動作戦チームは、少数精鋭で攻める予定だった。
この程度の規模なら、セロスとザックスの2人なら十分お釣りがくる。
流石にイカれた3兄弟がカムバックしてきたり、沢山のソルジャーのファーストクラスがやってきたり、以前みたいに100人斬り! でもするかの様に敵兵士やモンスターで埋め尽くされるともなれば、大変なので 相応に考えなければいけないだろう。
だが、今回は事前情報で暴れる場所での敵の情報等を持っているので大丈夫だ。
陽動とはいえ 暴れれば暴れる程、厄介な敵が集中してくると考えられる、それはそれで潮時を見極めれば問題ないし、脱出方法も考えてるから問題視は特にしてない。
今、問題なのは、前日には作戦メンバーに上がってなかったエアリス参戦の話である。
頭を少々悩ませてるセロスとは対照的に、エアリスは物凄く良い笑顔だ。
キラキラと輝いてた。
「えへへ。私も来ちゃった?」
「んな笑顔で言われてもなぁ。つーか、ザックスよ。自分の彼女をこれから行く場所……、戦場って言える場所に連れてくるって、お前、ソレどーなんよ? どんな趣味? なんか危ない趣味にでも目覚めた?」
「違わい!!」
ジト目でザックスを見てるセロスに対し、ザックスは抗議の声を荒げた。
因みにエアリスは何だか楽しそうにロッドを構えてる。
物凄くやる気満々である。
「今回の事、それなりに話したら、連れてけ付いてくって聞かなくてよぉー……それで……」
「ほほう。そのまま エアリスに押し切られた、と?」
エアリスに話したらどうなるのか、まだまだ付き合いが浅いとはいえ、セロスもよく判っている。なので、そのシーンが目に浮かぶ様だ。ザックスは何度か説得しようとしているが、最終的にはどうにもならなくなって……。
「……そのとーりです」
「うわっ、よっわっ」
「だーーー! うっせーーー!!」
図星を突かれた、と言う事もあり、自分が気にしてる所を的確についてくるセロスに憤慨するザックス。でも、彼にも言いたい事はあるのだ。
「セロスだって解ってるだろうが! こーなったエアリスは言う事ひとっつも聞いちゃくれねーってよ!! 動かざること山の如しなんだってよ!」
「ふんすっ! ふんすっ!」
「いや、擬音を口にしてどーすんの」
エアリスは胸を張ってそのとーりです! と言った顔をして鼻息荒くさせてた。
確かに、それもその通りだ。
「いやまあ、最初から判っていた事ではあるが」
「判ってたんなら言うなよ聞くなよっ!!」
「それは まぁ、ネタだって思って諦めてくれ。なんでも屋兼花屋の旦那さん」
エアリスは幼少期より、過酷な運命を辿ってきてる少女だ。なので、今更何が危ないとか言った所で聞く筈もない。何なら先陣切って飛び込んでいく胆力も持ち合わせている程。
でも、一応 ザックスとエアリスは、彼氏彼女の関係になっちゃってるのを知ってるので、セロスはそれとなくネタっぽく心配をしてあげたに過ぎない。―――そもそも、自分たちが傍に居る以上、心配は無用だ。
「向こうも、クラウドとティファっつーカップルが作戦に加わってるし。寧ろ本隊に参加な状況だしなぁ。……だから ま、こっちも似た様なもんだって思ってたよ。エアリスが言い出したら聞かないのは最初から分かってた事でもある」
「なら尚更言うなよ! ネタだったとしても、でもしんどいわ!」
「えへへ~ そりゃそーだよね! と言うか、【アバランチ】の【セブンスヘブン隊】に所属する女の子はもれなく み~んな同じだけどねー。みんなみんな強い女の子! 戦う女の子ですっ!」
「そんな名前 初めて聞いたと思うケド。……まぁ、確かにその通りだな」
女の子、と言ってもティファを筆頭に、エアリス、ジェシーの3人しかいない。
10年以上したら、マリンも入る! とか言いそうだが、その辺までには平和な世の中になっていてもらいたい、って柄にもなく思ったりもしてる。そもそもバレットが反対するだろうが。
「さてさて、お遊びはこの辺にして……こっからが本番だ。一応考えてた事話すから」
セロスは、ひょいっ、と手に持ったマテリアを掲げながら話を始めた。
「うん? 何だこりゃ? 映像??」
「おう。【じかん】のマテリアの派生版【きおく】のマテリアだな。扱いが結構難しいし、精神力も結構持ってかれるから、使うのは正直おすすめはしないが」
「へー、あ、て事は これはセロスの記憶の中の映像? 此処って壱番街の駅?」
「すごーい……、テレビみたい!」
映像に映された場面を興味津々で眺めてるエアリス。
それに肯定する様に頷きながら話を進めた。
映像が進むにつれて、その場面場面で一時停止をかけて説明。
「んで、このタイミングでスキャンが3度来る。今はジェシー曰く、【もっとハイテクになってて、1回パスした偽造IDとかでも、余裕で見抜かれる】らしい。んで、見抜かれたらここと、こっちから、わんさか機械兵とか監視機械やらが沸いて出てくるから、そっから列車の外に脱出だな。【バレた!? やべぇ脱出だぁ!!】 っていうのを演出しつつ」
「お! つまり、そこが大暴れポイントか!?」
ザックスは、ばちんっ! と拳と拳を合わせてセロスに確認。
セロスは、ボケたりはせず頷いた。
「おう。ここの監視は神羅の作戦室全部に届いてる。ハイデッカーのデブに思いっきりやって見せてやりゃ、良い宣伝になるだろうな。ジェシーが言うには、
「ぅおう! そりゃ燃える!! 暴れがいがあるってもんだ!」
「おーー! 私も私も! 私にもお任せあれっ! 思いっきりやっちゃうよーー!」
陽動が良い具合にハマれば、向こう側も動きやすくなる筈。そして、セロスが言うハイデッカーは神羅の中でも重鎮。その男に目をつけられた、ともなれば他が手薄になる可能性が非常に高い。単純な馬鹿だから、少し煽ってやれば簡単だとセロスは考えてる。
「とまぁ、簡単な作戦の概要はこの辺で、ここ、結構重要だからな」
セロスは、もう1つマテリアを取り出した。
いや、2つのマテリアを取り出した。
「オレ達が面割れれば、色々と今後困る事が多いだろ? 拠点にしてるこのスラムも狙われる。……特にエアリス。作戦に参加するっつーなら、このマテリアは使いこなせる様になってもらわないと、連れて行かないからな」
「えー。ナニそれ?」
「あ、わかった。【へんしん】マテリアだな?」
ザックスの答えにセロスは頷いた。
「どうしたんだザックス。今日は結構冴えてるな? ああ、作戦前とかはいっつもこんな感じだったか。テンション上がりまくってる癖に、似合わず頭も働いてたっけ」
「おうよ! 似合わずは余計だが、小難しい事考えるのは苦手ってのは間違ってない! んでも、作戦の肝を考えりゃ自ずと解るってなもんなんだよ。前にそのマテリアについてはセロスに説明受けてるしな。ちっと面倒だが 直ぐに慣れた!」
【へんしん】マテリアを受け取るザックス。
へんしんのマテリアは、一般的には状態異常の魔法【ミニマム】や【トード】の魔法を発動させる為の媒体となるマテリアだ。
でも、セロス特性マテリアは少し違う。
【へんしん】じゃなく【へんそう】出来るのだ。
「本人のイメージ力に依存するから、難しい顔の造形は難しいし、キープすんのが大変だけど、ちょっとしたのなら余裕で出来る。髪型とか色とかは勿論な。顔バレたらヤバいのってオレらまんまな問題だし?」
「そうそう。エアリスに関してもそうだ。タークス連中が嗅ぎまわってくる可能性だって十分ある。ほれ、ツォンとか来たら面倒だろ?」
「う~……確かに面倒だよね。バレたら色々と画策してきそうな気もするしー。……レノとかも要注意だよ」
「そっ。だからこそ、そんな時の為の保険を掛けとこうってワケ。行きたいのなら、しっかり変装出来るようになんなさい。じゃなきゃ マリンと一緒にお留守番です」
「ふぇぇ!! が、頑張る! マリンと遊ぶのも好きだけど、私だって皆と戦いたいから!」
その後――作戦開始時間まで、マテリア使用の練習に励むエアリス。
元々、マテリア使用に欠かせない
向き不向きと言うのがあるが、主に魔法で戦うエアリスにとって、マテリアの使用は得意な分類に入る。彼女が
セロスも、【マテリア使えなきゃ連れてかない】とは言ってるものの、十中八九直ぐに覚えて使えるんだろうなぁ、と思うのだった。
「えっへへ~ どう? どう??」
――そして、案の定だ。さらっと使える様になったエアリス。 ブラウンだった髪は金きら金な金髪となって、ショート気味、更にパイナップルみたいに上で縛ってて……。
「リュ〇ク?」
セロスは、某機械弄り大好き、水中戦大好き、テキトーに調合したら凄くなっちゃった別の世界の少女を頭に思い浮かべるのだった。
某日某場所。
そこは何処か薄暗い場所。
電源のスイッチを1つ、いれると――― 一気に機械たちが起動し、周囲が明るくなった。
「今日こそ、特殊マテリアをしっかり回収すんのよ! あんなの見た事無いんだから!! 見逃したらお仕置きだからそのつもりで気ぃ引き締めてやんなさい!」
そして、その中で一際デカい声で騒ぐ女の声が響いた。
せわしなく動き回る男たちも居る。
お仕置き、と言うワードを聞いた途端、動きが機敏になったのは恐らく気のせいではないだろう。
「がはははは。このオレが指揮を執るんだ。余裕で出来るに決まってるだろうが」
「信用なんて0よ。アンタ、一体どんだけのシステム止められてると思ってんの?」
「それはオレの部下が無能過ぎたからだ。だから、こうやってオレ自ら此処に足を運んだんだろうが! なんならお前も要らん。大人しく良い報告待っとけ」
「信用度0どころかマイナス振り切ってるわ」
醜い言い合いを続ける2人を他所に、無能呼ばわりしてる部下たちは、本当に必死に働いていた。レーダーのチェック、監視モニター増設による確認項目増大したが、それらも秒単位でチェックして回り……、完全にオーバーワーク状態だったが、それでも手は止めない。
それ程までに、切羽詰まっていたのだから。……あまりにも、上からの圧力が強すぎて。
そんな部下の苦労、上司知らず。
2人のやり取りは続いていて――漸く、少し静かになった。
「……どうせ、今回一発でイケるなんて思ってないケド、少なくともターゲットは絞っときたいのよ」
女が監視モニターのひとつに焦点を合わせた。
一般客が乗っている列車の内部の場面だ。丁度、駅に到着したのだろう、乗り降りする為に人が流れていた。
「見た事も無い力を持つマテリア。……あれは誰が? 新たなマテリアが発掘された? ……いや、マテリアの潜在能力の全てを引き出した? ……絶対に暴いてやるわ。最大限まで引き出せるんなら、もっともっと面白い事が出来そうだからねぇ」
ニタっ、と薄気味の悪い笑みを浮かべる女。―――赤く派手なドレスを身に纏う非常にケバイ女 スカーレット。
兵器開発部門のトップでもある。
「ふん、貴様は好きな様にすれば良い。……ただ気に入らん連中を潰すだけだ」
そしてもう1人の大柄な男。
プレジデント神羅の側近であり、その性格は冷酷非道。いつも部下を無碍に扱い会社内では評判最悪の男 ハイデッカー。
この2人は、いつも何故か判らないが、絶対的な自信に満ちていた。
だが、昨今では 手に余る状況が起きつつあった。いつもなら補足していた筈の、反神羅 アバランチの動向が見えなくなった。アバランチが来てくれないと、彼らにとっては困るのだ。
そして、単純極まりないアバランチに
その知恵を捕える、若しくは潰す為に躍起になっているのだが……彼らは知る由もない。
―――自分達の事を知り尽くしている者たちが、今回の相手だという事を。