笑わない彼にもどうか幸運を。 スマイルプリキュア!   作:新生ブラックジョン

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年内に完結するか?(;・ω・)三章です。


三章

三章

 

街全体の状況が慌ただしく平穏から混乱へと様変わりしていた。住宅街から再び通りに出ると人々が血相を変えて逃げ惑う光景が広がる。更にその後を不気味な黒い塊が飛んで来て次々に触れた物を消し去った。フュージョンの欠片が様々な場所に散らばって潜んでいたものの遂に自ら動き始めたのだ。目の前の建物や車、フュージョンの欠片は触れたもの全てを容赦なく消滅させる。パニックに陥る群衆、俺自身もそんな騒ぎの中を走り続けた。けれど我先にと一斉に逃げ惑う多くの人混みの中を逆らって進むのは容易ではなく、早くもあっという間に流れに押し戻されてしまった。・・・こんな状況で何故だ。今一度自らに問いかけても答えが出せないまま、俺は当てもなく漠然とさ迷う。街が危険と知りながら何かに突き動かされる様にして俺は何処かに向かっていた。

『リセット!!』

スライムの様な黒い塊が道から溢れ出た。フュージョン、そいつを避けようと咄嗟に曲がり角に身を寄せる。

「!!」

しかし振り向き様にフュージョンは方向転換した。直ぐに逃げ出したものの、やがて息も絶え絶えにこちらの走るスピードは見る間に下がっていく。このままでは追いつかれてしまう、逃れる為には何処かでやり過ごす他ない。俺は建物の陰に隠れる事で怪物が見失って諦めてくれる事を願った。慎重に辺りの様子を窺いながら耳を澄ませ、周りの静寂の中に自分の息遣いのみを感じる。一先ず胸を撫で下ろすと共に全身から力が抜けてその場にへたり込む。俺には星空さん達の様に戦う術など無い。それに逃げることには慣れている。そう、これでも逃げ足には多少の自信がある。但し、まだあの日は何処に逃げるか冷静に考える程の余裕があったとは言えなかったが。俺は学校の昼休みに難癖つけてきた奴らに追い立てられるまま中庭に辿り着いた。上手く逃れたつもりでその時は連中にあっさりと見つけられてしまい、後はあっという間に取り囲まれた。

 

「いじめないで!」

 

だが運良くその場は事なきを得る。礼を伝えた時、彼女は眩しいくらいの笑顔を向けた。忘れもしない、あれが見られなくなったのは逃げることに慣れてしまっていたからだ。それしか出来なかった俺自身の弱さがあの娘を追い詰めたからに他ならない。それからというもの今も変わらず俺は逃げて隠れてただそれだけなのである。

「あの、大丈夫ですか?」

「えっ」

「具合が悪いんですか?それとも怪我しているんでしょうか?あ、手を貸しましょうか」

暫し体育座りしていると見知らぬ誰かが覗き込んでいた。少女が心配そうに尋ねてくるので慌てて地べたから腰を上げる。

「何でもないです、大丈夫です。平気です」

「そうですか。良かった」

ハッキリそう答えると彼女は納得してくれたのか去っていく。この騒ぎの最中にわざわざ心配して声を掛けてくれたというのか。何処と無く少女の背中にある人の姿が重なった気がした。遠ざかっていく彼女の、いや、離れていったのは俺の方だったな。

『守れなかった』

「?!」

『守れなかった・・・弱かった・・・だから―――!!』

急に目の前が真っ暗になった。何が起きたのかわからないまま、ただ視界の全てが覆われてしまう。フュージョンの声が鳴り響き、俺は体の自由を失った様に指一つ動かせなくなる。

 

 

 

「フフ、あなた見たことない生き物ね。名前は何て言うのかな?」

 

 

 

微笑み掛ける少女。ふー、ふー、その小さな体が彼女の肩の上で静かに息づいた。後に“フーちゃん”と名付けられた生物と少女―――坂上あゆみとの出会い。彼女は葉っぱの下で蠢いていた不可思議な生物を拾って横浜の街へと向かう。それがフュージョンという怪物の一部であるとは知らず、あゆみは父親の都合で引っ越してきた事を打ち明けると自宅まで連れ帰った。そう、これは記憶だ。フーちゃんはあゆみに吠えかかった近所の犬を睨む。守る様に間に立ち塞がる姿に感激して少女は声を掛ける。

「でも、あんな大きな犬に近付いたら危ないよ」

あゆみも又、自分を庇おうとした様子のフーちゃんを心配していた。

 

 

「フーちゃん、小さいんだから」

 

 

この言葉が切っ掛けになって一つの意識が芽生える。・・・欠片となって散らばっていたフュージョンが密かに動き始め、集まっていく光景。町中の陰に身を隠していたが確固たる意思の下に少しずつそれは現れる。

 

 

『小さいから危ない・・・大きくなれば・・・大きくなりたい・・・』

 

 

願望は目的になり、全てはその為に。移動したフュージョンの欠片が人の目に触れるところとなった。一部がプリキュアに発見されて倒される。するとフーちゃんは少女の預かり知らぬ間に次の行動を起こした。大きくなる為―――犬を襲った。一夜にしてフーちゃんは直接として言葉を交わすようになり、自らの思いを伝える。

 

 

「あゆみ、フーちゃん、助けてくれた。だから、友達」

 

 

それを聞いた彼女は笑顔で頷いた。瞬時に触れたものを消したり、見た物に姿形を変える奇妙な“友達”とあゆみ。フーちゃんことフュージョンが1人の孤独だった少女と築いた思い出、これは記憶なんだ。俺は多分、何らかの形でフュージョンの記憶を見ているんだ。

「そうか、だからか。友達を守る為だったのか」

妙に納得してこれまでのフュージョンの言葉一つ一つを思い出した。坂上あゆみと友達になってフーちゃんは彼女を守ろうとしていた。小さい欠片のままでは弱い、だから再び集まって大きくなろうとした。あゆみを守る為に、例えばあの犬から。彼女の怯えた様子を見て咄嗟に庇った。フーちゃんはその犬を取り込んで少し大きくなる。だが、もっと大それた事を考えた。

『あゆみの為だ。リセット、全部リセット』

「友達の為に」

『お前も守りたいと思ってた』

「俺が?守りたかった?」

一体何を―――ああ、そうか。青い空に飛行機雲、暫くして放心状態だった俺は制服の汚れを払い落としてから散らばった教科書やらノートやらを拾い上げる。視線の隅には先ほどやって来た同級生の姿があった。あくる日、学校の中庭で俺達はぶちまけられた鞄の中身を片付けていた。

「大丈夫?」

折れ曲がった数学のノートの表紙を直す彼女の表情は何処か気まずそうである。そして俺は何も言わずにそれを受け取り、踏みつけにされた鞄に教科書やノートをまとめて突っ込む。

「酷いね。先生に言いに行きなよ」

「いや、いいよ」

そこまでじゃないと言い聞かせた。告げ口は状況を悪化させるだけかも知れないし、相手にしなければそのうち止めてくれるだろうと思っていた。しかし実際はこうして手を出してきた、だからこれ以上やられない為に相手から逃げるしか無いと考えていた。努めて平然を装いながら俺は教科書の最後の一冊を手に取る。

「あのさ、助けてくれてありがとう。ホントもう平気だから」

「・・・そう、なら良いけど」

いや、本当のところ言うと決して良くない。寧ろこんな時は最悪という他ならない。これ以上ないくらい最低な一日、彼女とは同じクラスでも口を利いたことはそれまでは無かった。こうして俺達は初めてまともに言葉を交わし、気がつけば何時しか親しくなっていた。

 

「“まっすー”さ、もしかして笑い上戸じゃん?」

 

そいつの言動一つ一つがいちいちツボだったからだ。兎に角、笑いを堪えるのに必死でよく腹を抱えたものである。でもってそう言う彼女もまたつられてよく笑っていた。―――そうだ、この上なく最悪なのはあの顔を見れなくなったこと。原因はこの俺であること、詰まりは彼女の笑顔を守れなかったことだ。

「そうだ。守りたかったよ、俺も」

『一緒に守ろう。全部、リセットして。守ろう・・・・・・』

そんな言葉がやがて頭の中で繰り返される。小さいから弱い、だから大きくなって強くなりたい。彼女を守れるようになりたい。だから嫌なもの全てをリセットしよう、邪魔なものを全部無くしてしまえばいい。彼女を困らせるもの、悲しませるもの、みんなみんなみんな。邪魔なものは全て消し去ってしまえ、フュージョンは更に意思を強めていく。

 

『リセット!!』

 

抗えない、この力には。フュージョンの何処までも深い闇の中に呑み込まれていくと自覚した。もう駄目だ、俺もリセットされて完全に消えてしまう。このまま何もかも―――・・・おしまい。

 

 

 

「諦めないで下さい!!」

 

 

 

何処かから別の声がして微かに光が瞬く。僅かでもはっきり、小さいながらも強い輝きがそこにある。俺はこの手を力一杯に伸ばし、意識が鮮明になるにつれて閉じていた瞼を開いた。そこはさっきまでの街中、既に暗闇は何処にも無い。しかも見馴れない4人の少女が地面に倒れる俺を側で取り囲んでいる。起き上がって暫く、こっちの困惑した様子を察したのだろう。内1人の暗いマゼンタの髪を左右二つに束ねた少女が口を開く。

「無事みたいですね。ここは今、とても危険ですから逃げて下さい」

差し出された手を取った俺を立ち上がらせて彼女は背を向ける。歩き出す少女、同じ方向にある塔の天辺が怪しい霧を纏っているのに気づく。この先どうすればいいのか・・・ただ、分からないからこそ―――

「行くしかない」

少女達の背中を見送って俺は走り出した。ただ答えを求め、そして確証も何もなくあの横浜マリンタワーを目指して。

「星空さん!」

「真澄君!」

その姿は正確にはキュアハッピーだった。仲間も既に変身しており、他にもキュアメロディ達“スイート組”も居た。

「こんなところで何してるの?」

「はよ逃げないと」

「分かってる」

ピースやマーチ、ビューティが沈黙を前に怪訝そうにこちらへ視線を送る。それ以上の言葉が見つからない。

「ただ―――俺は知りたい」

ハッピーとサニーが首を傾げた。そう、知りたい。自分でも何となく心の整理がついた気がした。

「フュージョンは全部をリセットしようとしてるんだろ」

「そう、私のせいなんです。街も学校も、みんな無くなっちゃえばいいって言ったから・・・・・・だから」

プリキュア達に混じって俯いていた坂上あゆみは言った。フュージョンとは知らずに“フーちゃん”と名付けて友達になったものの、今や街そのものを消し去ろうとしていた。横浜マリンタワーの天辺、そこに居ると思われるフーちゃんの元に向かうべく彼女はプリキュアと共に行動していたのだ。

「行こう」

「嘘やろ、本気なん自分!着いてくる気!?」

「ここで引き返す訳にいかない。―――行くよ、リズム!」

「OK!」

女神橋に差し掛かったタイミングでフュージョンの欠片と思われる、黒い人型の怪物が立ち塞がる。合図して飛び出し、メロディは気迫を込めて拳を叩き込んでいく。リズムがバク転しつつ接近して追撃し、ビートとミューズはその間に挟み撃ち。スイート組が相手をして隙を作り、坂上さんをフーちゃんの元に辿り着かせようとフォローする。が、フュージョンは次々にやって来て襲い掛かり、スマイル組も遂に応戦を始めた。

「もう私のこと忘れちゃったのかな・・・?」

「そんな事ないよ!」

「まだ離れているから、あなたの姿が見えていないだけだと思います。近くまで行けばきっとあなただって分かる筈です!」

自信を失いかける坂上さんにも彼女達は諦める素振りはない。ピースは寄り添うように声を掛ける。

「不安になる気持ち、凄く分かるな。私も怖くてよく泣いちゃうし」

「え、プリキュアなのに?」

「プリキュアだからって何も特別なことあらへんで。みんな普通の女の子や」

確かに変身して戦う姿はそれはそれは凄いものだ。坂上さんにとって意外だったのだろう、何故なら普段の星空さん達を全く知らないから。変身しても中身まですっかり変わるわけではなく、例えばピース本人が言うように普段から彼女は他人より泣き虫かも知れない。因みに今、目の前でフュージョンに捕まって弄ばれている。あーあ、言ってる側からこりゃ泣いちゃいそう。おっ、待てよメロディが助けに入った。

「ぷぷっ、サニーが普通の女の子って・・・」

「失礼やな!マーチなんてオカンやないかい!」

「誰がオカンよ!」

笑いを堪えるマーチに言い返すサニー、こっちはこっちで盛り上がっていたり。うん、何て言うかどっちもどっちだと思うぞ。

「いいお母さんですね」

「ちょっとビューティまでー!」

実に緊張感の欠片もない様なこのやり取り、すると坂上さんは堪らず吹き出した。

「あ、あゆみちゃんが笑った!良かった~!」

「そりゃバカバカしくて笑うしかないだろって」

「皆がついてるから大丈夫!頑張ろ!」

「―――はい!」

一方、彼女の笑顔を見てプリキュアはフュージョンという敵に再び立ち向かう。そんな姿を横目に坂上さんと俺は目的の場所へと急ぐ。

「みゆきちゃん達・・・プリキュアとは友達なの?」

「いや、別に」

「あなたはどうして一緒に来るの?」

その問いに対して足を止め、同じく坂上さんはこちらを見詰める。

「どうしても知りたいんだ。多分、彼処に行けば答えが見つかるかも知れない。俺はそう思ったから」

「えっ、それってあの・・・フーちゃんのところに?」

黒く怪しい霧のようなものを纏う、横浜マリンタワー。

「兎に角、行こう。先を急がないと」

それだけを考えて今は進まなきゃいけないんだ。言い聞かせて再び走り出そうとする。

 

 

「グルルルルル・・・!」

 

 

気配を感じて振り向くと犬の様な姿をしたフュージョンが牙を剥いて佇んでいた。案の定、唸り声をさせると迷いなくそいつは襲ってくる。

「あゆみちゃん、真澄君!!」

ハッピーの叫びが耳に届く頃、フュージョンは猛然と走ってきて俺達に大きく飛び掛かった。

「・・・・・・ん?」

「ふぅ~、間に合ったでしゅ~」

フュージョンの餌食とは成らず。どういう訳か悲鳴でなく、聞こえてきたのは幼い声。何とそれは小さな妖精と思われる存在。どうもこいつがたった今バリア的な力で俺達を守ってくれたらしいのだ。

「よかった、よかった~!」

「んもぅ、えりかが道を間違えるからだよ」

今度は別の声がしてそっちへ視線を向ける。近くの茂みの陰から徐々に人らしきシルエットが覗き、4人組の少女が並んで現れた。驚くべきは彼女達をさっき見掛けたからだ。

「つぼみちゃん!」

「えりか!」

メロディとリズムが反応する。と、向かって一番左端の背の高い少女が仲間に呼び掛け、一斉にアイテムらしき物を手に取った。

 

「「「プリキュアの種、行くですぅ~!!」」」

 

『プリキュア・オープンマイハート!!』

 

強い光に包まれ、衣を纏う4人。妖精という存在から与えられる力で変身する。つまりはそう、コスチューム姿にポーズを決める彼女達は正しく伝説の戦士。

 

「大地に咲く一輪の花!キュアブロッサム!」

 

「海風に揺れる一輪の花!キュアマリン!」

 

「陽の光浴びる一輪の花!キュアサンシャイン!」

 

「月光に冴える一輪の花!キュアムーンライト!」

 

ピンク、水色、黄、紫を基調とした各々の姿。堂々と名乗り、声を揃える。

 

 

 

『ハートキャッチプリキュア!』

 

 

 

あの時の少女がプリキュア、俺は思い出した。フュージョンに捕まって深い闇の中に呑み込まれようとしていたのを助けてくれたのが彼女だった。光の中、キュアブロッサムが手を差し伸べてくれた。そうか、またプリキュアに救われてたんだな。

「ワイらのプリキュアもおるでぇ!」

「行くよ!」

その関西弁は明らかにサニーのものではない。そこには更に別の少女の姿がある。

 

 

『チェインジ・プリキュア!ビートアップ!』

 

 

もしかしなくても、これは変身。全く信じがたい話だが別のプリキュアが現れたらしい。光の中を飛び、胸に幸せの象徴とも言うべき四つ葉のクローバーを掲げる4人。えぇっと、あなた達は何て言うの?

 

「ピンクのハートは愛あるしるし! もぎたてフレッシュ キュアピーチ!」

 

「ブルーのハートは希望のしるし! つみたてフレッシュ キュアベリー!」

 

「イエローハートは祈りのしるし! とれたてフレッシュ キュアパイン!」

 

「真っ赤なハートは幸せの証! 熟れたてフレッシュ キュアパッション!」

 

フルーツの名を冠した、その名をフレッシュプリキュア。そんな彼女達の掛け声は―――

 

 

『レッツ・プリキュア!』

 

 

成る程、そこは何か変則的なのかな。ピーチにベリー、パインとパッション、フレッシュプリキュアか。しっかし、よくもまぁこんだけプリキュアが集まったものだ。

「良かったぁ、間に合ったぁ~!」

「ピーチが道間違えるから」

バッチリ決めたかと思えば安堵から脱力するキュアピーチさん、ベリーさんに指摘されてますけども何かさっきも同じこと言ってなかったっけ?

「デジャヴか、これ」

「間違えるよね、道って」

「やっぱりそうか」

「「ねぇー?」」

「もぅ、話は後!」

意気投合した2人をパッションが注意し、ブロッサムは仲間と共にフュージョンを一手に引き受ける。どうやらプリキュアの攻撃を全て受け止めて技を吸収してしまうらしい。それでも慌てるスマイル組に対して先輩達は頼もしかった。

 

「“プリキュア・ピンクフォルテウェイブ!!”」

 

「”プリキュア・ブルーフォルテウェイブ!!”」

 

ブロッサム、マリンが召喚した武器を振るって大きなエネルギー弾を飛ばす。

 

「“プリキュア・ゴールドフォルテバースト!!”」

 

続けてサンシャインは無数の向日葵の様なエネルギー弾を発射し、そこにムーンライトの同じく必殺技が続いた。

 

「“プリキュア・シルバーフォルテウェイブ!!”」

 

専用のフラワータクト、シャイニータンバリンなる武器を操って放たれるハートキャッチ組の個人攻撃技が次々に着弾する。標的のフュージョンは吹き飛ばされて海中に沈み、だが又直ぐに復活した。

「力を飲み込むならより強い力の方に集まる!」

「フュージョンを私達の方へ引き付けるわ!」

全て承知の上で囮になろうというのだ。力を求めるフュージョンの注意を自分達に向けさせた4人は俺達から敵を遠ざけた。

「私達だって!」

「「「えぇ!」」」

それを見てフレッシュ組も動く。武器を手にしてやはり彼女達も一斉に攻撃を仕掛けた。

 

「吹き荒れよ!幸せの嵐!」

 

「「「悪いの悪いの飛んでいけ!!」」」

 

パッションの周囲に羽毛が舞い上がり、ピーチ達3人は“キュアスティック“を掲げる。

 

「“プリキュア・ヒーリングプレアー”」

「“プリキュア・エスポワールシャワー”」

「“プリキュア・ラブサンシャイン”」

 

ダイヤ、スペード、ハートマークを先端で描き、それらをエネルギー弾に変えて放つ。

 

「「「フレーッシュ!!」」」

 

「“プリキュア・ハピネスハリケーン!!”」

 

続けざまにパッションハープによる必殺技が加わり、フレッシュ組の攻撃を受けた別のフュージョンはエネルギーとして吸収する。力を増して彼女達を追いかけ始めた。

「今の内に!」

「大丈夫よ!」

「絶対に辿り着けるわ!」

「頑張って!」

励ましの言葉に追い詰められていたハッピー達の表情が変わった。ここまで来たら後には退けない、誰もがそんな思いに違いない。奮戦する仲間、俺と坂上さんは守られながらマリンタワーへ走り出した。ところが、行く手を遮る障害はまだ存在していた。海上に姿を現したフュージョンが巨大な柱を築く。そして一隻の船を捕えて高々と持ち上げたのである。総トン数11622トン、山下公園に停泊した横浜のシンボルの一つ、氷川丸が空中に浮かび上がった。

 

 

 

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