異世界転生したと思ったらリアルと通じてるオンラインゲームだった件   作:北町スイテイ

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ギルド

「それでは、これに必要事項をご記入ください。」

 

そう言ってお姉さんが私に差し出してきたのは、役所で書かされる住民票の紙のようなものを差し出した。

内容は簡単なもので、住所と名前、それから最寄りギルドくらいである。

不思議なことに日本語だったが、その辺はご都合なのかなと思ったが、上の方に冒険者用(日本語)とあるから、多分このゲームで遊んでいるプレイヤーには日本語の紙を渡してるって感じだろうか?。

 

「こちらの紙に必要事項を書いていただきますが、住所に関しては未記入でも大丈夫です。所属ギルドは、こちらのマルバラ地区と記入してください。」

 

そういうとペンを手渡してくる。

私はそれを受け取ると、書類にスイスイと情報を書いて行く。

その時、多少魔道具を取り扱える私だから気づいたのだが、このペン、魔力を材料に文字を書いている。

 

「そのペンで書いた文字は本人の魔力を浴びせなければ見えなくなります。同じようにこちらのギルドカードには同じペンで名前だけを記入してもらって、買い物などをする際は魔力を流し専用の機械に通すことで口座から料金が引き落とされます。

またこちらの受付で現金に換えることもできます。」

「なるほど。」

 

見た目ちょっと古臭い町だが、意外とハイテクである。要はリアルタイムで引き落とされるクレジットカード、これがあればいちいちお金を数える必要もないし、小銭で荷物がかさばることもない。

 

説明を受けながら、私は名前と生前の住所を記入して彼女に渡した。

 

「ありがとうございます。それではカードとこの書類を対にする術式を施しますので少々お待ちください。」

 

そう言って彼女が奥に消えてから10分ほどで戻ってきた。さすがお役所仕事、なかなか退屈だった。

 

「最後にこのカードにサインをお願いします。」

 

私は自分の本名を記入するともう一度カードをお姉さんに返そうとして、

 

「もうそのカードは持って行って大丈夫ですよ。このまま素材換金所に行きましょう。」

 

そう言って今度は素材換金所にやってきた。受付は今のところ空いていて、割りとすぐに順番が回ってきた。

 

「すいません。この素材の鑑定をお願いします。」

 

そう言って遺跡で彼らが残して言った狼の毛皮を並べる。おまけに綺麗に剥いだ爪もつけてあげた。

受付には小柄な女の子が座っている。

 

「これはエアウルフの毛皮と爪だね。」

「はい」

 

さすがプロ、一目で当てるとはなかなかやる。

しかしこの少女、小さい割りになんだか年配臭い空気を感じる。

 

「でも尻尾がないね、これでは価値が半分になるけど?」

「大丈夫です。」

 

まあそれは仕方ない。そもそも私が勝手な行動をしたせいだから、これくらいの罰は甘んじて受けよう。

 

それで大体どれくらいになるのだろうか。

多めにくれとは言わないが、最低300パルは欲しいところである。女の子と約束してしまったし、この後宿を取らなくてはいけない。

島に帰ればまだまだ素材はあるのだが、今日はもう2回使用しているから、また明日だ。どうか300を超えてくれ!

 

「ふむ」

 

難しい顔をしていた受付が息を吐き、その後に熱心に紙になにかを書き示して、ようやく私に合計金額を教えてくれた。

 

「このエアウルフ27体分の素材合わせて17280パルになるよ。」

「え!?」

 

思った以上にの金額が出てちょっとびっくりしてしまった。これだけあればしばらく宿には困らない。島においてきた素材を小出しにしながら暮らせば一生ダラダラできるかもしれない。

まあせっかくだし冒険したいからそんなことはしないが。

 

そのあと女の子に言われるがまま、カードに魔力を通して変な機械に入れたら右下に17280と記入された。記号はないがパルのことだと思っていいだろう。

 

「これで終わりだよ。」

「ありがとうございました。」

 

私はお礼を言ってギルドを後にする。

 

そしてすぐに宿屋の娘のところに向かった。

近くまで来ると女の子はまだ同じ場所で客引きをしていた。随分遅い時間なのに働き熱心ないい子である。

 

「あ! さっきのお姉さんだ!」

 

向こうも私の存在に気がついたらしい。タタタタタっと私の方に走って来る。

 

「本当に戻ってきてくれたんだ。」

「当たり前だよ。約束したからね!」

 

そういうと女の子は嬉しそうに笑う。

そのまま「こっちこっち」と手を引かれるまま女の子について行く。やがて宿屋アリアという看板が下がっている宿屋についた。

 

「ここが君のお家?」

「うん! アリアはね、私の名前なんだよ!」

 

ふむふむ、自分の店に娘の名前をつけるとは、なかなか親バカそうな気配を感じる。きっと彼女は、両親にとても愛されて育ったのだろう。

 

「お母さん、お客さん連れてきた。」

「はいはい今行くよ。」

 

宿屋に入ると食堂のような場所だった、厨房の方からむきむき細マッチョのお兄さんがフライパンを持ったまま顔を出す。

 

「あれ? お母さんは?」

「あいつは今はゴミ出しだ。」

「じゃあ私が受付やる!」

「ちゃんとできるか?」

「大丈夫だって。」

 

そう言ってアリアはカウンターから何やら持ち出して、そこに文字を書いて行く、最後に私に紙を差し出すと名前を書くように促した。

 

「はい、お名前をご記入ください。」

 

私はそこに『島崎 みちる』と書く。

 

「はい! それじゃあ料金は前払いですのでギルドカードか現金をお願いします。」

「それじゃあギルドカードで」

 

言われるまま機械にカードをかざす。

するとギルドカードに記入されている数字が300減った。

 

「これで受付は完了です。」

 

そういうと彼女はお父さんにほらできたでしょとドヤ顔で言った。

 

「食事の説明がまだだろ?」

「あ! 忘れてた!」

 

その後に食事は決まった時間に食堂に出されること、おかわりや時間外での食事は別料金だという説明を受けて、ようやく自分の部屋に案内された。

 

「それではごゆっくりどうぞ。」

 

そう言ってアリアは部屋のドアを閉める。

部屋は元の世界のホテルくらいの大きさで、一人用のベットと机、椅子が並んでいる。

お金の相場がわからないからわからないが、私としては十分いい部屋だと思ったのでこれからもここを拠点にする方針で行きたいところである。明日店主さんに長期契約が出来ないか聞いてみようと思う。

そこまで考えて私は服を着たままベッドに飛び込んだ。

 

「ありゃ?」

 

するとあることに気づいた。

昨日マーキングしておいた4人のうちの一人がどうやらログインしたらしい。

急に気配を感じられるようになった。

 

「どうしようかなあ...」

 

正直昨日の第一印象はあまり良くなかった自覚はある。しかしこのままというのも後味が悪いので顔だけでも出しておこう。

そう決意すると私は自分の部屋を後にした。

 

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