異世界転生したと思ったらリアルと通じてるオンラインゲームだった件   作:北町スイテイ

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ゲーム

尻尾事件の後。

尻尾を全て渡したことで、とりあえずは許してもらえたらしいと思った私は、煉獄の質問に正直に答えることにした。

 

「わかりません。私はただエアウルフの尻尾を切って渡しただけですし...」

 

ありのままを話した私だったが、彼らは納得できていない様子だったので、それにと続ける。

 

「私にも原因はわからないけど、みんなとは見えてるものが違うみたいです...はい...」

 

言ってる最中にまたみぃさんに睨まれたので、ついつい萎縮してしまう。なんでだろう、みぃさんにものすっごく嫌われてる。

私に見られていることに気がついたのかみぃさんが口を開いた。

 

「あんたさ、話を聞いてほしんだったらまず先にやることがあるんじゃない?」

「え?」

「名前、表示しなよ。」

 

名前? 表示? また難しいことを言い出した。

どういうことだろう? 新手のなぞなぞか?

 

 

そこまで考えて、前々から気になっていたことを思い出した。

私はおもむろにステータス画面を開くと、名前の下の表示名のところに名前を入れようとする。

一瞬本名を入れようかと思ったけど、せっかくだからと好きな名前にすることにした。

名前を入れるとその右に【確定】ボタンが出るのでそれを押す。

 

「これで大丈夫ですか?」

「君、トールって言うんだ。」

 

くましまが私の名前を読み上げる。

 

「本名じゃないですけど。」

「そんなの当たり前じゃない、ばっかね。」

 

また怒られた。

彼らと出会ってまだそんなに経っていないのに、随分と嫌われたものである。

みぃはそれっきり黙ってしまった。

 

「トールくんか、よろしく。僕は煉獄、【アルバルリーム】の団長をしている。職業はガンナーだ。そしてあっちの大剣使いがくましま、こっちが忍者のシライ。んで魔法使いのみぃだ。」

「よろしくっす!」

「よろしく」

「...」

 

名前はそもそも表示されていたので知っていたのだが、自己紹介するのが常識だよね...

 

この4年でそんな常識すら失っていた事実に軽いショックを受けながらも、無事自己紹介を終えた私は、またさっきの尻尾の件に話を戻す。

 

「それにしても君すごいっすね、さっきのエアウルフを同時に倒すやつ、どうやるんすか?」

「いや、あれは投擲スキルで…。」

「え、あのごみスキルにポイント振ってるんすか!? レベルは?」

「50…」

「うわ!?」

 

このくましまという男、結構ぐいぐい来る。

こちとら年単位で人と話をしていないヒキニートだぞ、繊細なんだ。しかも前世も含めて彼氏なんていたこともない乙女である。

 

「投擲にそんなにスキルポイント振ってるやつ見たことないっすよ。」

 

しかもさっきから話していて気が付いたのだが…

 

「もしかして、皆さんもスキル使えたりします?」

「君面白いこと言うっすね! 当たり前じゃないっすか。」

 

くましまが爆笑しながら言い放ったが、私はそんなこと気にならないくらいのショックを受けていた。

この世界に来て、スキルやらステータスやら振ることができると知って以来、この能力こそが私の転生特典だと思っていたが、どうやらこの力は、この世界ではだれでも使えるものだったらしい。

 

「しかしもったいないっすね、貴重なスキルポイントをそんなスキルに振っちゃうなんて。初期ポイントまるまる全部じゃないっすか。」

「え? どういうこと?」

「どうって、確か最初のログインボーナスがスキルポイント50だから、それを使ったんすよね?」

 

いや待て待て待て、本当に言っている意味が分からない。最初のスキルポイントって、それの100倍くらいあったんですけど!?

 

ところどころ意味の分からないことを言っていたが、私はまだ完全に主人公属性を失ったわけではないらしい。少なくともスキルポイントはみんな持っているけど、私は最初に破格の数をゲットしたらしいし、みんなより強いと思う、強いはず!

そう思うとちょっと自信がついてきた。

 

「団長、そろそろ時間がやばいので帰りませんか?」

 

私が一人で納得していると、シライがおそらく自分のステータス画面の時刻表示を見ながら言った。

煉獄も同じように時間を確認すると

 

「もうこんな時間か、付き合わせて悪かったな。」

「いえ、かまいませんよ。」

「えー、シライさん帰っちゃうんすか? もうちょい遊びましょうよー。」

「今日も8時から仕事なんだ。また今度な。」

「ちぇ。」

 

どうやらシライはこれから仕事があるらしい。

しかも朝の8時から仕事って、結構記憶が薄れつつあるけど元の世界と変わらないのではないだろうか?

なんだかんだ日本は仕事大国だし、その日本と同じくらいって相当ブラックだ。

 

「シライさんってどんな仕事してるんですか?」

 

だからそれを聞いたのもただの興味本位だった。

 

この世界にはどんな仕事があるのか、ちょっと気になったから、聞いてみよう。ギルドとかだったら面白そうだなぁ___

 

それくらいの軽い気持ちで聞いたつもりだった。

だから次のシライの言葉に、私は思考を停止した。

 

「トール君、ゲームでリアルのことを詳しく聞くのはマナー違反だよ。」

「…え?」

 

一瞬、なにを言われたかわからなかった。

 

「ゲー…ム?」

「どうしたんだトール」

 

呆然とする私に心配したのか煉獄が話しかけてくる。

 

「ゲームって、何ですか?」

 

動揺したせいか、ずいぶん深刻そうな声が出てしまった。

 

「急に真顔になってどうしたんすか? もしかしてトール君、オンラインゲームはゲームじゃねえ、人生だって言うタイプの人っすか?」

 

くましまが少しばかにしたように私に言ってきた。

 

オンラインゲーム…

次々と出てくる単語が、私の中の仮説を形作っていく。

 

そんな…まさか…そんなことがありえるのだろうか? こんな…非現実的なこと…

まあ、異世界にいること自体非現実的なんだけど…

 

「あの、おききしたいことがあるんですけど。まじめに答えてもらってもいいですか?」

「なによ、急にあらたまって」

「もしかしてここってーーー」

 

バカバカしいけどそうとしか思えない。この仮説が正しければ、今まで不思議だったことの多くに辻褄があう。

だからきっとそう言うことだ。

この世界は、今私が居るここはーーー

 

「ーーーゲームの中だったりします?」

 

 

 

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