伝説の転生者の物語   作:ゆっぴー

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先週末投稿したら平均評価下がってた…。

感想が欲しいと思った第十九話。



第十九話 シャボンディー諸島で伝説は誤解の防衛を

前回元億超えの海賊二十人をきっちり殲滅した"帝"の無い"剣帝"スコウェルト・イープ。その後沈めた十二番グローブの隣の十一番グローブに降り立ち一人白髪混じりのの老人に話しかける。

 

「スラマッパギー。ストーカーなんて趣味が悪いね。で、早速聞くけど三毛猫の女の子を知らないかな、人拐いさん?」

 

実力を隠していているが相当な手練れであることまでは伝わってきている。勿論一般人では有り得ない程の。つまり彼の職業は戦いに身を置く職業、海軍、賞金稼ぎか又は海賊である。しかしもし老人が海軍であるならば、先程の戦いで傍観する道理は無い。よってこの老人は海賊か又はそれに準じるような真っ黒な職業と言えるのだ。

 

「いや、知らないな。ストーカーをしてたのは謝るが私はそういった者では無いから「嘘おっしゃい」つっ!」

 

老人の言っていることをろくに聞かずイープが攻撃を仕掛ける。しかしそれは軽くかわされてしまう。

 

「一応言っておくけど今素直に吐いたら許してあげるけど?」

 

勿論嘔吐の意味でなく白状の意味での吐くだ。そして許すというのも苦しまずに一撃で死ぬことを許すという意味だ。

 

「ほう、では嫌だと言ったら?」

 

と老人が茶目っ気たっぷりに返してくる。それにイープは溜め息をついて答える。

 

「死人が出る」

 

「成る程」

 

この短い間会話を経て今度は老人から仕掛ける。ブンッと振られた斬撃はミホークのそれと比べても遜色が無いほどだ。イープはそれをバク転でかわし、

 

「『嵐脚』」

 

カウンターに攻撃を放つ。しかしそれは老人の剣によって簡単に弾かれてしまう。ただその老人が剣で『嵐脚』を弾くのに使った一瞬はイープが次の攻撃を仕掛けるのに十分な時間だ。

 

「指銃『紅蓮』」

 

『剃』で一気に間合いを縮めて連続で指銃を放つ。しかも両手でだ。だだし輻射波動は関係無い。ただイープの周りが被害者の血で真紅に染まるだけだ。これなら片手に剣を持っている老人には反応仕切れない。だからイープはこれで仕留められないにしても、老人にこれで重傷を負わせこの戦いの主導権は握ったと確信した。しかし老人はそれを分かっていたのか、何の迷いもなく剣を放棄。上に放り投げてしまう。これによって空いた老人の両腕がイープの両腕を捕らえる。

 

しかし手がないのなら足がある。

 

「らんきゃ…くっ!」

 

自由な足を使って右足で『嵐脚』を放とうにも放つ瞬間に足を踏まれて『嵐脚』を放てない。

 

「でも左足…がっ!?」

 

そして今度は左足で『嵐脚』を放とうとするが腹に蹴りが決まりイープは吹き飛ばされる。

 

その威力は凄まじく、ドン!とぶつかった家を瓦礫にしてやっと止まる。そしてその瓦礫から出てきたイープが呟く。

 

「駄目だね…"僕"じゃあ勝てないよ。どろし…がぁ!?」

 

とイープが何かをしようとするがそれを見過ごすほど相手は優しくない。当然妨害る。イープが行動を起こす前に老人はイープをまた蹴り飛ばす。そして再び家を破壊して止まる。そしてまた同じように瓦礫から出てくるが、今回は雰囲気が違う。さっきには諦めの表情も浮かんでいたが今回はそうではない。寧ろ期待に満ち溢れた表情をしている。

 

「はぁ、駄目だね。駄目だよ。うん、全く駄目駄目だね。勝てないからって能力に逃げるだなんてね」

 

自嘲しながらイープは呟く。ただし今回は前回と違って何かするつもりもなく、隙もない。

 

「思い出そうか、僕にとって"六式"ってなんだったかな?」

 

歌うように、語りかけるようにイープは呟く。

 

「"六式"は僕にとっては"デザート"を楽しむための"スプーン"だよ」

 

イープにとっての体術とは雑魚をより惨く殺すためのお遊び程度でしかない。

 

「じゃあ僕にとって"能力"ってなんだった?」

 

イープは嘲るように、吐き捨てるようにイープは呟く。

 

「僕にとって"能力"はソースが垂れないようにするためのナプキン。その程度だよ」

 

イープにとっての能力とは万が一のための保険。雑魚相手に不覚を取らないための盾。その用途には強者と戦う矛なんてものは無い。

 

「じゃあ思い出そうか、僕にとって"メインディッシュ"を楽しむための"ナイフ"と"フォーク"はなんだったかな?」

 

まるで自分を優しくあやすかのように呟く。

 

「僕、"剣帝"スコウェルド・イープにとっての"ナイフ"と"フォーク"は僕の愛刀の"帝"。ただそれだけだよ」

 

イープは様々な武器を用いれるが本命は"帝"ただ一つ。スコウェルド・イープが本気で戦える為の得物は"帝"だけであり、"帝"を最大限に活かせるのもこの世界にスコウェルド・イープただ一人だ。何処で拾ったのか、置いてきたはずの"帝"を構えてイープは呟く。

 

そして今度は老人に言う。

 

「最後に言っとくよ?スチルドパッドはどうしたのかな?言えばまだ見られる死体にするけど?」

 

「ハハハ、出来ないことは言うもんじゃないな」

 

「そうだね。僕もそう思うよ」

 

とイープは斬撃を放つ。同じ斬るでもやはり本命、『嵐脚』とはレベルが違う、格が違う、次元が違う。そんな一撃を老人が剣で受け止め、しかし老人の剣は弾かれる。こんな隙を逃してやるほどイープは優しくない。

 

当然『剃』で近付き、

 

「嵐脚『裂』」

 

左手で老人の肩を引き裂こうとする。しかし悲しくもイープは子供。間合いが短すぎる。このままでは老人の蹴りがイープの攻撃が届く前に決まってしまう。しかし"帝"を持っている今、"六式"はイープにとってのブラフ、囮でしかない。右手に持つ"帝"を逆手に持ち変え老人の足の甲に"帝"を突き刺す。

 

しかし老人もそこまで読んでいた。自分の足に刺さった"帝"を足の筋肉で堅め、抜けないようにする。それで足を引けば当然、

 

「うわっ!?」

 

イープはバランスを崩す。そしてちょうど良い位置にあったイープの頭を刺されてない方の足で蹴る。上を向いて飛んでいるところを蹴った足でイープの右手を踏みつけ、その腹に、落ちてきた剣の柄を叩き込む。ここまで見事に急所への連撃を食らったのだ。イープの意識は闇に落ちた。

 

「知らない天井だ」

 

イープが目を覚ますと知らない天井が映った。先ず起きた瞬間に状況の確認をする。それで今イープがいるのは誰かの寝室だと分かる。

 

「どうしたのかな?手錠もなく放置してると折角の商品が逃げちゃうのにね」

 

とイープは扉の向こうにいるイープを捕らえた老人に言う。

 

「ははっ、バレていたか。しかし私は本当に人拐いではないのだかね」

 

幾分か冷静になって見聞色の覇気がまともに機能している今のイープにはそれが真実と分かる。本当に思い込みとは恐ろしいものだ。

 

「あー、それはー、うん。悪いことをしちゃったね」

 

「何、私も少しやり過ぎた。だから君の探しているスチルドパッドという娘の事だが多分一番グローブの"人間屋"の所にいるだろう。運が良ければまだ無事かも知れないな。急ぐと良い」

 

老人の言った"人間屋"という単語でイープはまたシャボンディー諸島編の一部を思い出す。原作ではここで主人公らが友達を助けようとオークションに参加したのだ。ただしイープはそんなまどろっこしい事はしない。取り合えず職業安定所(笑)に出向き、関係者を全員抹殺してスチルドパッドを救出する。非常に簡単でスマートなやり方である。

 

「うん、本当にごめんね。で、オジサン名前は?」

 

「おじさんか…。まぁいい、私の名前はシルバーズ・レイリー。レイリーと呼んでくれればいい。これもなにかの縁だ、何かあったらここに来るといい」

 

おじさんという単語にレイリーは傷付いた様だが白髪混じりの男をおじさんと呼ぶのは全く悪くない。寧ろ正当な評価だ。

 

「成る程、"冥王"が相手だったんだね…そりゃあ勝てないわけだよ。じゃあありがとうね、レイリー」

 

と窓から一番グローブまで『月歩』で飛び出していったイープ。あの島でイープに戦いのいろはを教えたラヴィサメはこの世界でも最強クラスと言えるだろうが、それでも最後には程遠い。彼女曰く『自分の世界ではない』からやはり"金獅子"や"白ひげ"そして"海賊王"には勝てないのだ。

 

「『どんなことをするにしても派手にしろ。派手な方が楽しいし、効果的だ』だったかな?」

 

とラヴィサメが以前教えた言葉を思いだし、

 

「じゃあ先ずは屋根、斬っちゃおうかな」

 

実行するイープ。ブンッとイープは無造作に"帝"を斜めに振る。そのあまりに見事な切り口は斬った角度が小さいにも関わらず、人間屋の屋根をずり落ちさせるのに抵抗を全く見せなかった。

 

「はぁ!?何があった!?」

 

と男が飛び出してくる。当然だろう。自分の店をオープンカーならぬオープンショップにされたのだから黙っていられるはずがない。ただイープはそれを待っていた。

 

「みーつけた」

 

一瞬で男を組伏せる。

 

「で、ここに三毛猫の女の子が来たと思うけど知らないかな?」

 

と優しそうな笑みを浮かべてイープが訊ねる。

 

「はぁ?三毛猫だぁ?知らねー「ブチン」がぁ!?」

 

「で、三毛猫の女の子を知らないかな?」

 

イープが求めているのは嘘じゃない。スチルドパッドの行方だ。イープにはそれ以外の言葉を目の前の男に喋られるのが腹立たしくて仕方がない。故に黙らせるために指を千切った。

 

「その三毛猫の女の子っていうのはお前何なん「ブチン」ぎゃぁ!?」

 

「で、三毛猫の女の子を知らないかな?」

 

答えはイエス以外を求めない。イープは交渉が得意だと自覚している。ただし会話術なんてものは全く身に付けていない。イープが交渉に用いるのは所謂肉体言語である。それを用いた交渉を人は拷問と呼ぶが、本人が交渉と思っているのなら交渉なのだ。

 

「ああ、ああ!知っている!言うから、言うからもうやめてくれ!」

 

「で、三毛猫の女の子を知らないかな?」

 

「がぁぁ!」

 

また指を千切りながらイープは壊れた蓄音機みたいに同じ台詞を繰り返す。交渉には別にこだわったしゃべり方などする必要は無いのだから。

 

「ある人が買ったんだよ五百万ベリーで!もうこれで良いだろ!客の情報は教えられない!」

 

「で、三毛猫の女の子を知らないかな?」

 

「ああぁ!」

 

まだである。まだ完全に情報を手に入れていない。誰がスチルドパッドを買ったのかが分かっていない。そこが肝心なのである。しかしあと少しで情報が手に入るであろうときに邪魔が入る。

 

「おい、どうした?」

 

とぞろぞろと出てくる屈強な男たち。

 

「ははっ、俺の勝ちだ!おい、俺を今すぐ放せば命は助けてやる」

 

「で、三毛猫の女の子を知らないかな?」

 

「ぎがっ!?やっ、やれ!」

 

しかしそんなのに動じないイープ。当然皆殺しは確定しているのだが今は皆殺しよりも情報の方が大切なのだ。しかし、情報を手に入るのを邪魔するのであれば仕方がない。

 

「ざまーみろ!これでお前もお仕舞い…だぁ?」

 

組伏せられた男が首を動かすとそこには首の無い男の死体が十体。死体しか残っていなかった。

 

「で、三毛猫の女の子を知らないかな?」

 

「言う!言うぞ!全部言う!"商品"を買ったのは"天竜人"の聖アロガンス様だ!もうマリージョアに戻っていらっしゃるはずだ!これしか知らない!もう全部話した!だから助けて」

 

グチャ、という肉を押し潰したような聞くだけで吐き気を催すような音で男の命乞いは中断される。

 

「スチーはマリージョア…オッケー」

 

(にしても"天竜人"まで忘れるなんてね。これはもうラヴィサメの言ってた記憶の改窮かな?いや、彼女による記憶の封印の方が有り得そうだね……本人は肉体の再生に失敗したって言ってたけど)

 

ニヤリと笑って歩き出す。これからに備えて。

 

その後、スモーカーたちと合流したイープ。しかしドーがいない。

 

「ドーはまた迷子なのかな?全く…あの娘は……馬鹿みたいだね」

 

「いや…」

 

と何時もと違い歯切れの悪いスモーカー。

 

「え?どうしたのかな?」

 

「それがな…」

 

「私から言うわ。ドーは天竜人の側室になったわ。そして私たちは何も出来なかった、ヒナ回想」

 

「…ああ…」

 

スモーカーを遮ったヒナの告白に、フラりとよろけながらイープの口から言葉が漏れる。

 

「"また"天竜人は僕から奪うんだね」

 

「またって言うことはお前…!?」

 

とスモーカーが驚愕の表情を浮かべる。

 

「うん、僕の最愛の妹シロン・スチルドパッドも天竜人に買われて連れていかれたよ」

 

苦虫を噛み潰したような、それで笑いを堪えるような表情をしてイープが言った。

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