「……貴様ぁ!!海兵の癖に何故このような事を!!!?」
と1人の短剣を2本持った老人が叫ぶ。偉そうな老人だ。態度もだか今回は服装の話である。さらにイープは知らないが実際に偉い人でこの老人は昔は海軍大将としてぶいぶい言わせた現世界政府全軍総帥のハレルヤである。
「逆に聞くけどさあ、海軍の癖に何故奴隷とか認めてるのかなあ!?」
と言って老人に斬りかかるも2本の短剣に防がれる 。老人の癖に腕に覚えがあるようだ。中将クラスはある。駄菓子菓子らそれじではイープには勝てない。
ガキィン!と力でそのまま押しきり老人を数m後退させる。
「今の時代は天竜人"様"は何をやっても許される時代なん……くっ!」
「清々しい位堂々とした言い訳をありがとうね!で も、今の時代がそんな時代だっていうなら僕はそん な時代を変えてみせるよ!」
と老人に近付き突きを繰り出そうとするも、
「甘い、『月歩』ぉ!」
と『月歩』で後ろとられかけるが、
「そう来るって分かってたよ!」
と踏み込んで急に方向転換。 逆に相手の後ろをとって、
「もう少し若かったら僕の相手が出来たと思うよ? 」
背中を斬る。 そして、
「敵も少しずつ強くなってきてるね。僕は大丈夫だ けど他の人たちはそうもいかないからね。急がない と」
と足早に次の火の手が上がってない家に向かった。次で最後の家って所でラスボスの登場だろうか。
「海軍本部中将ロンズかぁ」
その圧倒的大きさは明らかに巨人族。 そしてその身長に見合った巨大な斧が彼をロンズ中将と物語っている。
「良かったら退いてくれないかな?僕は奴隷解放で忙しいんだけどね」
「そうか俺は奴隷解放を止めるのに忙しいから捕まってくれないか?」
当たり前だが交渉決裂である。
「それは残念」
と逆袈裟でロンズ中将を斬るつもりで"帝"を振るうがその巨大な斧に止められる。
「ちゃんと『月歩』で踏み込んで、油断も奢りも怠慢もない一撃なのになぁ…。止められちゃったよ。自信無くしちゃうよ~」
流石は巨人族である。単純なパワーだったらガープ中将とタイマン張れるのではないだろうか。ただしパワー"だけ"だったらの話だが。戦いの勝敗を決める要因は力だけではない。
「子供に『月歩』で踏み込んだ程度で俺の一撃が止 められたんだ。俺の方が自信無くす」
「そっか、じゃあこれは止められるかな?」
と『月歩』で瞬時にロンズーも届かないような上空 に移動。イープは機動力においてロンズよりも圧倒的に有利なのだ。そして体を半身にし、右手で帝を頭上で構える。 そしてその剣先を左手でつかみ、思いっきり引く。 いつも通りの『一刀両断』の動作。いつもと違うところがあるとすれば、
「タメが要らなくなった事かな!『一刀両断』!」
そうこの数ヵ月でイープは成長しているのだ。ただ"斬る"事だけに特化された一撃はロンズ中将の斧をまるで豆腐であるかのように斬り、さらに左腕すら切り落とす。
さらに落下するときロンズ中将の首とすれ違う時に その首も切り落とす。
「「「「ちゅ、中将おおぉぉぉおおお!!」」」」
着地した瞬間に、
「『地平切り』」
中将の部下全員を腰から切り落とす。
「これでラストだよ、僕!気を引き締めないとね!」
と自分に言い聞かせて、残った最後の天竜人の家に 向かって駆け出した。
「全く…何が保険だ。私の力に頼りまくりではないか。」
巨大戦艦アトランティス号の近くにいるのは最高の海賊ロジャー海賊団の副船長、シルバーズ・レイリーである。
「まぁ、比較的気を使っているようだかな」
と愛刀を振り回しご機嫌に海兵を吹き飛ばすレイリー。彼の言っている事は正しい。彼の回りにはイープが解放してきた腕に覚えがある海賊や賞金稼ぎが何人も戦闘を繰り広げ、向かってくる海兵も弱くはないが恐ろしく強いわけでもない。そこら辺はイープが大暴れし引き受けているようだ。しかしそんな事もこれまで今から悪魔的に強い海兵が三人ほどやって来る。
「大噴火!」
「アイス塊両棘矛」
「天戸岩」
未来の三大将サカズキ、クザン、ボルサリーノだ。この三者の一撃は近くにいる海賊ら数十人を吹き飛ばす。
「ああっ、このままじゃ全滅だ!」
と圧倒な実力差に絶望する海賊たち。
「彼らの相手は君たちには少し荷が重いな。私に任せなさい」
と言って前に出るレイリー。
(いくらイープが暴れると言っても限界があるとは思ってたが大将有望株の三人が来るとは…。全くこれで貸し五だぞイープ)
イープにとってはこの協力は貸し五では収まらないだろう。今ではレイリーの言うことなら何でもするのではないだろうか。
「久し振りだな君たち。所で撤退をお勧めするが?」
とレイリー。これが強者の余裕なのだろう。それに加え彼ら三人とはレイリーも戦った事がある。多少再会の余韻に浸っても問題ないだろう。
「そうしたいのは山々なんだけど上からの命令だからな。逆らえないんだわ」
「そうか、それは残念だ」
交渉決裂。問答無用で斬撃を飛ばす。周りの海兵を斬らずに飛ぶように斬撃を放ったのはレイリーの優しさだろう。油断はしていなかったがその一撃をモロに食らったクザンはそのまま飛んでいきバラバラに砕ける。砕けたということはまだ能力が使える証だが、既にクザンは先頭不能。残りは二人である。そさて戦闘の主導権を握るためこの中で最速のボルサリーノが仕掛ける。
「ふむ、確かに速いがそれだけだな。呼び動作が長すぎる。そんなのでは"四皇"と渡り合えないぞ」
とボルサリーノの蹴りを左手で掴み取るレイリー。いくら速いと言えど見聞色の覇気で先読みしてしまえばいくらでも対応出来るのだ。もし出来なかったら今頃ボルサリーノは"四皇"全員を軽く討ち取って海賊を殲滅しているだろう。
「犬神紅蓮!」
と人質何それ食えんの?という勢いでボルサリーノごと攻撃するのはサカズキ中将。非常に彼らしい戦い方だ。そしてレイリーの選択肢は二つ。ボルサリーノごと焼かれるか、ボルサリーノとかわすか。当然レイリーは後者を取る。しかしサカズキの狙いはそれだ。彼のかわした先には、
「流星火山!」
溶岩の雨が降り注ぐのだから。しかしレイリーは灼熱の溶岩が降り注ぐなか涼しい顔をして立っている。
「ふむ、遠目から見たときは脅威に感じたが実際に相対してみるとそうでもないな。能力の火力に任せて覇気の制御を疎かにしていたな?」
と余裕の笑いを浮かべながら淡々と言うレイリー。そして出来の悪い弟子を諭すように言う。
「自分が最強だと勘違いしている自然系の寿命は短い」
一撃。たった一撃空に向かって剣を振るっただけで数百の溶岩の雨をレイリーは消し飛ばす。焦るサカズキ。当然である。この芸当は最近自分が完敗したイープと同じく絶対的な実力の差を痛感させるものだったからだ。
「なっ、何故貴様のような引退したはずの海賊が今更こんなことをするんじゃあ!?」
虚勢を張るように叫ぶサカズキ。もはや彼はこうしなくては自分を保てないのだ。
「…ははっ、少し将来有望な子を見つけてね。なに、その子が頼んできたことと自分がどのくらい鈍ったのか気になっただけのことだ」
言えない。半分酔った勢いで協力するなんて言っただなんて決して言えない。天下に名を轟かせたあの"冥王"が酔った勢いで子供に連れられてマリージョアを襲撃しただなんて絶対に言えない。
ちゃんと自分の体裁がある程度保たれる動機を言ってサカズキを袈裟懸けに斬る。レイリーには能力に頼りきりと言われたが流石は海軍本部中将である。死にはしなかったようだ。もっとも、レイリーが手心を加えたというのが一番大きいが。流石に海軍本部の上級将校を殺してしまうのはまずい。今後の晩年的に。無茶をするのは若いイープだけで十分なのだ。しかしここに裏切り者がいた。
「彼らでは私の敵には力不足だな。彼らを連れて帰って、ガープでも連れて来るといい」
そうレイリーの口である。若き日を思い出したのか彼の口が脳の許可を得る前に訳の分からない事を抜かしているようだ。今回はそんなに頑張るつもりのないレイリーにとっては迷惑千万である。
「安心してくれていいよぉ~。あっしらからちゃんと連絡しとくからねぇ~。ガープ中将を寄越すようにって。しかも下手人が"冥王"だなんて知ったら、ガープ中将は張り切っちゃって巨大鉄球携えてやって来るんじゃないかねぇ~」
唯一意識の残っているボルサリーノの言葉に絶句し冷や汗を流すレイリー。ガープと何度も殺しあってきたレイリーには彼の強さはよく分かっている。確かにただのタイマン勝負だったら、レイリーは激戦の末に辛勝出来るだろう。だが巨大鉄球があるのなら話は変わってくる。あのリーチ、質量、そして変則的な軌道は脅威だ。ガープは二つ名を"拳骨"から"鉄球"に変えるべきだろう。あんな必殺の武器を使うくせに二つ名が"拳骨"だなんて名前詐欺だ。
「じゃあ邪魔になるだろうからあっしらはおいとまさせてもらおうかねぇ~」
「少し待ちたま…行ってしまったか……」
流石は光速。いくらレイリーにその行動が読まれていたとしても流石に追い付くことは出来ないようだ。レイリーはそこまで人間を捨ててない。もっとも読めたからといって光速の蹴りを防げるレイリーは十分に人間を止めていると思うが。
「さて…どうしようか」
とどのように話術で乗り切るかを思案するレイリー。簡単に言うとガープをイープに押し付けるつもりなのだ。罪悪感など全く感じない。イープが主に自分がやると豪語していたのだからいくら押し付けても問題ないだろう。
「元帥!コング元帥!」
海軍本部マリンフォードの元帥の部屋に報告に来る准将。コングは襲撃者の足を潰すために差し向けた三人の中将が命令を遂行したと報告しに来たのだと思っている。しかし彼の期待は予想外の報告と共に裏切られる。
「先ほど襲撃者の船の元へ向かったサカズキ、クザン、ボルサリーノ中将が撤退してきました!」
「なっ、撤退だと!?」
そう撤退だ。つまり海軍大将有望株の三人が行って敗北してきたということだ。
「本当に撤退してきたのか!?あの三人がか!?」
バン!と机を叩いて准将に凄むコング。コングの殺気で准将の意識は今にも遥か彼方へぶっ飛びそうである。
「はっ、はぃっ!ボルサリーノ中将の報告では船には"冥王"シルバーズ・レイリーが用心棒をして「"冥王"だと!?」…」
今度こそ限界が越えてしまったのだろう。バタリと自分の精神を殺気から守るために意識を手放した准将。だが決して准将は悪くない。いくら海軍本部の将校と言えどやはり准将では中将や大将とは実力差が大きすぎるのだ。
「だそうだ。聞いていたか?」
と元帥の部屋にいる第三の人間にコングが問う。
「ああ、まさかあいつが出てくるとはのう。"海賊王"を処刑してから全く音沙汰が無かったというのに何で今更なんじゃろうか…」
「なんだっていい。問題は海賊王のクルーが活動をしているということだ」
「そんな事わかっとるわ。海賊王は儂の獲物じぁあ。そのクルーもな」
「ああ、何としても捕まえろ…と言いたいところだが」
と溜め息をつくコング。
「ああ、それもわかっとる。天竜人が最優先、じゃろ?」
「話が早くて助かる。状況が状況だからな。ガープには悪いが…」
「適度に戦闘して痛み分けをし天竜人の保護に参加しろ、じゃろ?」
「"冥王"を捕まえるチャンスなんだが…すまん」
「何、気にするな。儂らは海兵じゃからの。それくらい覚悟しておったわい」
海軍では上層部であるこの二人も世界政府から見るとやはり一般兵の一人。強いて言うなら"英雄"ですら名前の売れた使える下っ端なのである。