伝説の転生者の物語   作:ゆっぴー

23 / 59
第二十二話 聖都で土佐犬は保守的な正義を

最後の家に襲撃をかけたスコウェルト・イープ。しかし奴隷の皆は既に勝手に出ていってしまったようだ。だったらイープはアトランティス号に戻らなくてはいけない。いくら"冥王"というこの上なく豪華な用心棒がいると言えど沈んでるかもしれない。

 

そんな時、イープは元奴隷の四人の女の子を発見する。しかも海兵に連れていかれそうなである。

 

「居合『一閃』」

 

スッと瞬く間に海兵を斬ってその三人を救出。

 

「んなっ!?海兵が海兵を斬ったじゃと!?おぬしは何者じゃ!?」

 

この口調でそして元奴隷。間違いだろう。 未来の王下七部海"海賊女帝"ボア・ハンコックだ。そして彼女の妹のボア・サンダーソニアとボア・マリーゴールド。イープは多分エンカウントするんじゃないかと予想していたのだが本当にするとは。そんな感動に浸る前に取り敢えず自己紹介をする。というかそんな事はぶっちゃけた話どうでもいい。何故ならば、

 

「スラマッパギー。僕はこのマリージョア襲撃の犯人、"元"海軍本部 少佐"剣帝"スコウェルト・イープだよ。気軽にイープっ て呼んでね。それとやっと会えたね、スチー!」

 

やっと妹と再会したからだ。最愛の妹との再会に比べたら原作キャラとの邂逅だなんてちっぽけなものだ。

 

「ふにゃぁぁぁああん!おにーにゃん!!」

 

と言ってイープに抱きつくスチルドパッド。しかしそんな再会も長続きはしない。

 

「ちぃっ、厄介なのが来たね……。伏せっ!」

 

「妾は犬ではないっ!」

 

何やらハンコックが叫んでいるようだがそれどころではない。"何か"がここマリージョアに凄い速さで墜落し、辺りを破壊する。

 

「『|斬撃撹拌(ミキサー)』ぃ!!……これじゃ足りないねぇ!……だったら狙撃『大槍』ぃ!!」

 

周囲を守るように張った『斬撃撹拌』が破られそうになったので『大槍』も付け加えてついでにその"何か"による攻撃迎え撃つ。

 

「なっ、何が起こったのじゃ!?」

 

「……こんな事が出来る海兵なんてほんの一握りしかいないよ。それで今回は海軍の中でも圧倒的な破壊力を誇った(上層部の中では)別名"歩くバスターコール"大将のキャオ・カイニスだね」

 

上半身裸で下半身には独特なまわしを着けているイープの前世で"横綱"と呼ばれるのような存在の風貌は間違い。ちなみにこの別名はイープがクザンが酔っているときに偶然聞いたものである。

 

『カイニス大将、あなたはそんなんだから"歩くバ スターコール"なんて呼ばれるんですよ』

 

~とある過去の日より抜粋~

 

「俺の鉄塊『|隕石(メテオ)

』の100m以内で無傷か…流石は"二代目歩くバスターコール"だな」

 

イープにそんな二つ名をまた増やしたのは誰だろうか。もはや二つ名と言いながらそれが二つ以上あるのは気にしてはいけないことだろう。

 

「良いのかな?マリージョアをこんなに滅茶苦茶にしてさ」

 

「許可は降りた。『スコウェルト・イープを抹殺しろ』とな」

 

手段は問わん、とも言っていた。

 

と付け加えるカイニス。イープにとっては全く嬉しくない情報である。

 

「ところで聞くが、何故お前はこんなことをしたのだ?」

 

「あー、恥ずかしい話、天竜人の事を(封印されてて)完全に知らなかったんだよねー。それで彼等の存在が僕の"自分勝手な正義』"に反したんだよね。そっから先は言わずもがな…かな?」

 

「そうか」

 

「はぁ…これは流石に何時もみたいにサクッといけそうにないね」

 

とため息をつくイープに、

 

「海軍本部の大将がそう簡単にやられてたまるか」

 

と返すカイニス。

 

「じゃあハン……君、僕のコート預かっててよ。少しは誤魔化せそうだからね。それで向こう側にいるシルバーズ・レイリーや魚人のフィッシャー・タイガーが多分守ってる僕のアトランティス号に乗っててね。僕も直ぐに追い付くから」

 

とコートを渡しながら言う。血染めでもはやオーダーメイドに等しい正義のコートだが大丈夫だろうか。さらにイープは"ハンコック"と言いかけたのに彼女は気付いたのだろうか。一番の問題は見た目海兵なイープを信じたかどうかである。

 

「うむ、わかったぞ」

 

と言って駆け出す三人。しかしここからが本題である。

 

「あとこの子僕の妹のスチーだけど命に換えてでも守りきってね?もし少しでも傷物にしたら君たちの四肢を挽き肉にして明日の朝の食卓にハンバーグが並ぶことになるよ?」

 

「わーい、ハンバーグにゃん♪」

 

そう妹の安全の確保である。ここまで脅しておけば未来の王下七武海のハンコックはスチルドパッドを守りきれるだろう。それにロンズ中将をはじめ実力のある海兵はイープが既に始末してあるというのもある。

 

「う…うむ、分かったぞ!」

 

と言って駆け出す四人。分かったようで何よりだ。ふう、と息をついて一番のは化け物に向き直る。そして仕掛ける。

 

「じゃあ…僕から行くよ!」

 

何時も通り『剃』で近付き、"帝"で首を跳ね ようとするが、

 

キンッ

 

姿が変わったらカイニスの『鉄塊』に呆気なく弾かれる。

 

「"動物系イヌイヌの実モデル土佐犬"…だっけ?」

 

「そうだが…殺し合い中に喋る余裕があるのか?」

 

とがら空きのイープの左肩に迫るカイニスの右の拳。

 

「まだあるよ」

 

とイープはバックステップでかわそうとするも、カイニスの"飛ぶ拳撃" をかわしきるこのは出来ずあえなく弾き飛ばされる。

 

しかしただで飛ばされないのがイープクオリティー。その飛ばされた回転を生かして、

 

「『|大型攪拌(ミキサー)』!……巻き上げなよ!!」

 

新技を開発。他の二次小説の主人公たちならこれで敵を飛ばせるかもしれない。しかしそんなに甘くないのが海軍本部の大将だ。

 

「こっしゃくなぁぁぁああ!!」

 

と手を組んで地面に叩きつけ、それによって自分の 四方に地面を隆起させて擬似的な盾を作ってしのぐ 。流石は動物系の能力者。耐久性能がおかしいことになっている。

 

「だったら次は一点突破だねぇ!狙撃『大槍』ぃ!」

 

「鉄塊『剛』!」

 

とイープの最強の突きもカイニスの最強の『鉄塊』に防がれるが、

 

「この近距離で僕の斬撃が止められるかな?『一刀両断』!」

 

イープは剣士である。そして刀の"帝"の特性は"斬る"ことである。つまりイープは突きよりも斬撃の方が得意なのだ。イープは『大槍』の真後ろに隠れてカイニスに近付き、近距離からの最強の斬撃を当てるも、

 

ガキィィン!

 

これも最強の『鉄塊』に弾かれる。

 

「はあああああ!」

 

と今度はイープの鳩尾に拳が飛んで来る。それをイープは『剃』のバックステップで距離を取りながらながら威力の軽減を計り、拳の着弾点に

 

「鉄塊『剛』!……がぁっ!」

 

『鉄塊』をかけて受け流そうとするも、喰らってしまう。

 

スピードではイープが圧倒的に勝っているかもしれない。しかし今度は決定力不足である。どうしてもカイニスの『鉄塊』が破れない。まさにカイニスは『スピードは戦いにおいて重要な要素だが、それだけではどうにもならない奴』を体現したような男だ。

 

勝負はイープの技をきっちり捌いて、なおかつカウンターを決めてるカイニスが有利だろう。パワータイプの敵にはイープの能力を使った"あれ"を使いたいところだが、流石に"あれ"を出すぼどカイニスが待ってくれるはずがない。レイリーの時の二の舞になるのが関の山だろう。だから今回は"こっち"で我慢するしかない。

 

「じゃあ、もう一回行くよ!『鎌鼬』!」

 

と数百もの斬撃がカイニスを襲うも全て、

 

「『鉄塊』」

 

普通の『鉄塊』に防がれる。いくら数百に威力が分散されていると言えどこうもきっちりと捌かれてはイープも流石に傷付く。しかし落胆する暇なんて存在しない。今度はそこから『剃』を使って駆け回り、

 

「『杓子』」

 

完全に制御した超高速移動でカイニスの頭、首、胸 、肩甲骨、背中、肩、肘、指、鳩尾、脇腹、太股、 膝、脛、アキレス腱、足の甲、足の指、これら全て を数分間ずっとランダムにそして正確に斬っている筈なのに、

 

「鉄塊『剛』」

 

ずっとその間『鉄塊』をかけ続けてしのぐカイニス。流石は六式に最も向いている動物系の能力者。彼は『鉄塊』のキレと継続時かんが異常だ。そしてイープが疲れでスピードを緩めた時に、

 

「もらった!」

 

ゴッ!カイニスの拳がクリーンヒットする。イープはそのまま飛んでいって建物に衝突。 その建物の瓦礫がそれをかわそうともしないイープに降り注ぐ。しかしさっきの鉄塊『隕石』で辺りの建物は全滅した筈なのだが。『隕石』の範囲外まで飛んでいくなんてどう考えても飛びすぎではないだろうか。いやそれが可能だからこその海軍大将、"歩くバスターコール"なのだ。

 

「悪いな。今の世界は確かに間違ってるのかもしれ ない。それでも"最悪"ではない今日を守るために俺 は拳を振るい続けると決めたんだ。この『保守的な正義』にかけて」

 

と見聞色の覇気で強化されたイープの耳に入ってくるカ イニスの言葉というか独白。その隙にイープは『泥侵食 』と呟く。すると周りの建物とその残骸を全て泥にゆっくりと姿を変え始める。"ゆっくり"だからイープはこの能力を使いたくなかったのだ。つまり時間かかりすぎるのだ。"ドロドロの実"は自分から仕掛ける戦闘に全然向いていないのだ。そしてそれがイープとラヴィサメが能力を保険程度と軽視する理由だった。しかしもうそんなことは言ってられない。今自分がここで倒れればどうなるか。もうイープの命は自分一人の物じゃなくなっていた。

 

だから今回"わざと"カイニスの拳で吹っ飛ばされて距離をとったのだ。時間は出来るものではなく作るものだから。ただしその代償として骨が何本も逝ったが。

 

そして周りを全て泥に変えてからカイニスの言葉に返答する。

 

「じゃあ僕も言わせてもらうよ。僕は"少しでも悪い"今日を"少しでも良い"明日に変えるために"帝 "を振るっているだよね。僕の"自分勝手な正義"にかけて」

 

と。

 

「『巨兵の右腕』。さあ第二ラウンドの始まりだよ」

 

と泥を纏って禍々しく巨大化した、巨人族のよりも 巨大な、それを掲げながらイープは高らかに宣言した。

 

イープの能力は『泥侵食』を使わないと本当に発動が遅い。しかもその『泥侵食』すらも発動時間が遅い。故にこの能力は使い物にならないのだ。今まで能力が使えなくてどれだけ辛かったことか。いや、実際はイープは全くと言っていいほど気にしてなかったが。それに加え、この『巨兵の右腕』を使うとイープ自身のスピードは格段に落ちるという致命的な欠点がある 。ただし完全パワータイプのカイニス相手にスピードは要らない。これでイープとカイニスのパワーは互角…いやイープが圧倒的に上となる。 これからは"勝負"なんて言わせない。これからはイープの"カイニスの討伐"の始まりだ。

 

 

 

所変わってアトランティス号付近。ここではレイリーがガープと交渉をしていた。

 

勿論始めから文明人的な対話をしていた訳ではない。始めはガープの巨大鉄球を撃たせないように遠距離からの斬撃でレイリーは応戦し、撃たれてもアトランティス号への被害をなるべく減らすように受け流している。こんな巨大鉄球を受け止めるなんて自殺行為はしない。折角話し合いで解決出来そうな海兵が来たのだ。交渉で乗り切れそうなのにこんなところで消耗する意味がなかった。

 

「それでこれからのことについてなのだが」

 

とレイリーが切り出す。

 

「うむ。海軍としては天竜人にさえ手を出さなければこちらは見逃すというのが上層部の意向じゃな。納得いかんが」

 

「ほう、それは意外だな」

 

と驚いた表情をするレイリー。それが演技かどうかは誰も分からない。

 

「海軍も貴様の実力には一目置いとるということじゃろ」

 

「まぁ、こちらも海軍の全力とは正面からは殺り合いたくないからな。ちょうど良かった」

 

とほっとしたように呟くレイリー。

 

「じゃが、今暴れておるスコウェルド・イープの身柄は渡してほしい」

 

「それは私じゃなくて彼が決めることだ」

 

彼が諦めたり実力が無い者であれば切り捨てるが、強者でなおかつ諦めなかったらレイリーは全力でイープをサポートするつもりなのだ。そしてレイリーの呟きにガープは、

 

「そうか」

 

と小さく呟いた。

 

 

 

イープとカイニスが対峙している所に視点を戻す。海軍には援軍が来てる。つまりイープからから仕掛けなくてはならない。

 

「『正義の鉄拳G3』!」

 

とイープの凶腕から繰り出される鉄拳は、

 

「なっ、うおおぉぉぉぉおおお!!」

 

一瞬だけカイニスの拳と拮抗し、

 

「がぁぁっ!」

 

いとも簡単にカイニスを吹き飛ばす。

 

「これでトドメだよ!『握食 』!」

 

と飛ばされて空中にいるカイニスをイープは握り潰そうとするも、

 

「鉄塊『剛』!!」

 

と今までイープを苦しめた最強の『鉄塊』で最後の抵抗をしてくる。これが所謂火事場の馬鹿力というものだろうか。力だけならイープは今までとは比べ物にならないほど大きくなっているはずなのに、イープはカイニスを全然握り潰せないでいる。これはまずい。なんと言っても海軍の援軍がもう少しで来るというのだ 。確かにイープの感知する海軍の援軍は一人かもしれない。しかしその援軍は一人と言ってもただの援軍とかではない。これは多分、

 

「大将が来る前に決めないとねぇ!」

 

下手するとイープでさえタイマンすら厳しいという海軍大将クラス。もし援軍が間に合ってしまって二対一になってしまったら本当に死ねる、イープが。しかしそれにしても硬いのだ、この土佐犬。援軍はもうちょっとで来るだろう。

 

このままカイニスを投げて一瞬の隙を作った方が得策かな? なんてことをイープが考えた時にカイニスの『鉄塊』がほんの少しだけ緩まる。当然イープはこんな千載一遇のチャンスわ逃す訳がない。

 

「これで……握り潰されなよおおぉぉぉおおお!!」

 

イープも必死だ。ここでいける、と思った瞬間に何処からか力が溢れてくる。次の瞬間にはグチャリと明らかに不自然にくぐもった音がイープの手の中で響く。

 

「やったね…」

 

と言ってイープは『巨兵の右腕』を解いて脱力する。あえて技を解いたのはこの『巨兵の右腕』はスピードががくっと下がるが故にパワータイプ位にしか勝てないという弱点がある欠陥技なのだ。

 

そして『巨兵の右腕』を解いた時に当然カイニス大将だったものが現れる。全身を潰されて四肢はあり得ない方向に折れ曲がり、突きだしていて、所々に肉や内蔵が飛び出ている全身血塗れの死体。これを見て何も思わないことにイープは自分にドン引きした 。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。