「ちっ、ったくよぉ~。簡単にやられてんじゃねえ よ、カイニスぅ~?」
そこに現れた全身黄色のスーツでかためたスタミン・コルプラプス。見た目二十台のくせに実年齢は五十台後だというから驚きである。どんなアンチエイジングしているのか世界中の女性が気になっているだろう。
そしてコルプラプスの呟きが聞こえた瞬間に大気が歪み、次の瞬間にはイープの目の前に出現する。そして独特な形をした、剣の真ん中がホー スみたいに巻かれている剣、で鋭い突きを放って来る。
「速っ!?」
とイープは咄嗟に後ろに下がってかわすが、真ん中の巻かれた部分がちっちゃくなり、その分剣のリーチが伸びてイープを襲うが、
「『紙絵』」
それを今度はヒラリと紙一重にかわす。
「かわしきれたと思ってんじゃね~よぉ~?」
と今度は剣が横にかわしたイープに対して巻きつくように動く。
「蛇みたいだね。気持ち悪いよ」
とジャンプしてからの『月歩』で距離をとる。
「てめ~が"嗜虐博覧会"スコウェルト・イープでいいんだよなぁ~?」
「わぉ、あれだけのことしておいて今更確認かな?まぁいいや。そうだよ、僕が"剣帝"スコウェルト・イープだよ。そう言う君はもしかして海軍本部大将スタミン・コルプラプスでいいよね?」
このような非常に残念な二つ名考えついた人は誰なのだろうか。
「ああ、そうだ」
ここで大将二連戦である。流石に化け物として定評のあるイープでもかなりきつい。だが全くイープに勝機が無いわけではない。イープはコルプラプスの能力を少し理解しはじめているのだ。
「今のは空間を"歪めて"距離を縮めて剣のリーチや 形を"歪めて"変則的な攻撃をしていたっていうので合ってるのかな?」
多分これで合ってるはずだとイープは自慢気に話す。
「ああ、正解だぁ~。俺様が食ったのは超人系の"グニャグニャの実"。それを食った俺様は万物 を歪められる"歪曲人間"だぁ~」
これはかなり 厄介な能力である。ちょこっと曲げるのが得意なだけだとか思っているとかなり痛い目を見るだろう。戦いにおいて慢心なんて絶対にしてはいけないのだ。それにイープが海軍本部に居たときに、見聞色の覇気によって『こいつはヤバイ』と察知したからである。
「『一刀両断』、狙撃『大槍』!」
そして案の定コルプラプスはイープが誇る連続の大規模破壊技はいとも簡単に捌いた。攻撃の軌道を"歪める"といった形でだ。当然攻撃が無くなった訳ではないから、逸れた攻撃は瓦礫の山へと成り下がっていたマリージョアをより破壊する。
「へぇ~、斬撃とか物体じゃないものも歪められるんだね。しかも触らずに」
「だから俺様は海軍大将やってんだよぉ~」
攻撃のベクトル弄れるとかそれ何て一方通行だろうか。そして海軍最強っていうのは海軍最強の"破壊力"ではなくて海軍最強の"防御力"ということがわかる。彼の絶対の盾は"白ひげ"の全力すらいとも簡単に捌けるだろう。ただし周りにその皺寄せが来るが。
「でもその能力、生き物は駄目みたいだね」
とイープかまをかけるように半ば直感的に言う。
「ああ、そうだが何でわかったぁ~?」
そしてイープの直感は本当だった。やっぱりかまはかけてみるものである。
「だって出来たら僕は今頃ロロ雑巾…いやボロ雑巾になってるからね」
「ああ、でもお前は俺様に触れられないがどうするぅ~?」
と余裕綽々なコルプラプス。当然だ、どこぞの第一位も最弱に殴られるまでは相手に先手を譲ってあげるほど余裕の態度をとっていたのだ。しかも彼はそれで今まで不敗だったのだ。似たような能力のコルプラプスだって驕っても不思議ではない。
「こうする。『指銃』」
とイープは『指銃』を繰り出すも、指ではなく『指銃』の軌道を"歪められて"外される。軌道を歪められた今イープの腕は折れたかのように有り得ない方向に曲がっている。
「いったぁぁああ……くない?」
「安心しろぉ~。『指銃』の軌道の"空間"を"歪めた"だけだぁ~」
空間を歪めただけでイープの身体が歪められた訳じゃないのだ。
またもや剣を振ってくるコルプラプス。それをイープは真上に跳んでかわすも、その先には何故か逆 立ちしているコルプラプス。正しくはイープが地面を下にしている状態である。
「今のは"逃走先の座標"を"歪めた"ぁ~」
攻撃は効かない、避ける事すらもままならない。もはやチートである。
「これでも喰らってよ!!」
と苦し紛れの蹴りを放つも当然"歪められて"外される。
「『剃刀』!」
ほんの一瞬だけでも長く生きながらえれるような時間稼ぎのような技を放つ。イープは戦いを愛している。自分が死にかけるようなものとなると尚更だ。ただしそれは戦いと呼べるものでなくてはいけない。戦いと呼べるならば自分が一方的に潰されるものでもイープは構わない。そこにイープが1%でも一撃を与えられる可能性があるのならば。しかし全く手も足も出ず挙げ句の果てに逃げることすらままならない虐殺はされたくない。そんなのは戦いじゃない。故に死ぬことへの恐怖は無いがこのような最期を迎えそうなことにイープは不満なのだ。
しかしイープの思いとは裏腹に案外距離を取ることに成功。コルプラプスはわざと苦痛を長引かせようとイープの『剃刀』で距離をあえてとらせたのだろうか?
「ちぃ~、ちょこまかと逃げ回りやがってぇ~」
いや、コルプラプスにそんな様子は無い。そしてイープは"海軍本部大将"コルプラプスの弱点に気が付く。
つまり彼の弱点は"速さ"だ。イープの極められた『剃刀』クラスの速さの攻撃なら当てられるし移動も妨害されないのだ。もしもあの能力が某一方通行な第一位のように自動展開じゃなければの話だが。
「居合い『一閃』」
とほぼ『剃』の速さ近づきながらの居合いを放とうと接近するもあえなく"『剃』の軌道"をずらされてコルプラプスの左側に移動してしまう。やはり『一閃』では"帝"を振るう分のロスがありどうしても速さが落ちるのだ。だからイープは取り敢えず"帝"をしまい未完成ながらも自身の最速の技を使う。
「でもここからが本番だよ!居合い『新月』」
そしていきなりコルプラプスの左目から大量の出血 。この場の誰にも目視出来ない速さでの斬撃がコルプ ラプスの左目を抉る。
「いやー、運がよかったよ。この『新月』速さを追及し過ぎて僕も見えないしついていけなくて何処を斬るかは運次第なんだよね。本当に相手の左目を抉れてよかったよ」
と言って『剃刀』で距離をとる。
相手の視野が半減したから反応速度も少しは遅くなっただろう。
「てめえ、ムカついたわ。『歪んだ空間』」
コルプラプスがそう唱えた瞬間、地面と瓦礫が数百本のネジのよう に"歪められながら"伸ばされて凶悪な槍となってイープに襲いかかる。
「『紙…うわっ!?」
イープはそれらを『紙絵』で綺麗にかわそうとするが地面がトランポリンのようにグニャグニャに"歪められて"足元がおぼつかない。これでは『紙絵』な出来ない。
「だったら…『斬撃攪拌』!」
これで周囲の攻撃全てを破壊しようとするも、
「はっ」
コルプラプスの嘲笑と同時に"気流を歪める"事で作られた竜巻に相殺される。だが一瞬の隙は出来た。
そこから『剃刀』で建物ネジをかわしていくが、突然左の脇腹に激痛が走る。
「痛っ~」
とそこを見てみると、ネジで抉られた様な傷跡のある左脇腹があった。しかし何故イープがそのような不覚を取ったのだろうか。注意散漫だったのだろうか。いや、イープに限ってそのような事はあり得ない。つまり、
「空気を"歪めて"ネジみたく飛ばしたのかな?」
ということだ。絶対的な防御力に、あり得ない程の応用性、極めつけに不可視の攻撃。流石は海軍大将、能力が鬼畜仕様である。
今イープの目の前にいるコルプラプス大将の弱点は"速さ"のようだがイープは自身の『剃』より速い攻撃技なんて何処を斬るかは運次第なんていう未完成技の『新月』しか無い。イープの速さNo.2の技はイープの『剃』よりは少し遅い位なのだ。つまりコルプラプスに攻撃を与えようと思ったときは、相手が能力の発動する暇もない程速い一撃ではなく相手に能力の発動するタイミングのない不意をつく一撃を狙わなくてはならない。しかし海軍大将の不意を突こうなどとは馬鹿らしい賭けではあるが犬死によりはましだ。
「さあ、これでフィナーレだよ!僕の数百もの斬撃全てを歪めきれるかな?『鎌鼬』!!」
と数百もの斬撃が砂嵐を巻き起こしながら全てコルプラプスを切り刻もうと迫る。
「これら全てを"歪められる"から俺様は海軍大将や ってんだぁ~」
しかしそんな数百の斬撃も海軍大将には通用しない。全ての斬撃の軌道を"歪める"コルプラプス。
だがその斬撃は全部囮だ 。イープが相手の不意を一番突きやすい背後に回る為の布石である。そして相手に「『鎌鼬』が本命だ」って思わせる為にあえて『鎌鼬』に覇気を纏わせ、そのせいで自分の『鎌鼬』に右脇腹と左目も切られたが仕方がない。イープは全然能力に頼らないがこれでも一応自然系の能力者だ。傷は直ぐに回復するし、この戦いで無傷の勝利なんてあり得ない。首がどこかのCMのかのようにぽぽぽぽ~んしなかっただけましと思うべきだ。
「狙撃『弓』」
そしてコルプラプスの背後に回ったイープは速さに特化した突きを放つ。コルプラプスは『鎌鼬』による無数の斬撃と格闘していて、一瞬不意を撃たれたっていう表情を見せる。だが直ぐに『弓』の" 軌道を歪めよう"とする。
「でも遅いよ!」
しかしそこはNo.2と言えどかなりの速さを誇る技だ。コルプラプスによる妨害に遭う前に彼の心臓をイープの突きが貫く。多分能力者になって初めて攻撃を喰らったのだろう。どこかの第一位も一撃もらったときにはたじろいでいた。しかしこれはチンピラの拳ではなく刀による突き。威力が違う。だからコルプラプスはこの致命傷を食らったという現実が理解出来ないと言ったような呆けた顔になる。
「一発もらった位で呆けるなぁぁぁああ!!『斬衝』 ぉぉおお!!」
とイープが習得に最も時間をかけた"斬れない斬撃"を放つ。呼吸を把握してあえて"斬らない"のではなく、飛ぶ斬撃の刃の部分の面積をあえて分散させ広げることであえて対象を"斬れない"その斬撃は相手を押し潰す凶悪な鈍器としてコルプラプスを襲う。
「くぅ~」
とコルプラプスは『斬衝』を四方に"歪めて"飛び散らそうとするがさっきの一撃に気を取られたのか軌道を歪めきれず、イープの斬撃はコルプラプスの四肢を潰し千切る。それでもまだコルプラプスは攻撃しようとする姿勢を崩さない。
心臓を貫かれてもまだイープの『斬衝』を歪める力があったこと、そしてまだ闘志が無くなっていない事についてはは流石は海軍大将と賞賛すべきだろう。だがコルプラプスも人の子。限界はあるのだ。そして相手が弱ってる今こそイープにとって多分最初で最後の攻撃のチャンスとなる。
「撒き散らしなよ!狙撃『大槍』ぃ!!」
相手を確実に飲み込んでミンチにする筈の巨大な突きは今度は"収束するように歪められて"腹部に大きな穴を開けるだけに留まる。というかどれだけ不死身キャラなのだろうか、コルプラプス大将は。もはや人外とかそういったレベルを超越している。
「これで終わりだよ!『獣厳』!」
と上向きに倒れているコルプラプスに『剃』でマウントポディションをとってだめ押しに顔面を殴り潰すグーパンを入れる。流石に今度はもう能力が使えず首を曲げてそれをかわそうとする。しかし結局かわしきれずに顔面の左半分をミンチになる。これだけすれば海軍最強のスタミン・コルプラプスだって流石に死ぬだろう。
その時イープの所に来た海軍側の援軍其の二がやって来た。