伝説の転生者の物語   作:ゆっぴー

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第二十八話 無人島で化け物は泥の巨兵を

一度死んだコプラプスをもう一度倒したイープだがまだ敵艦が十五隻も残っている。寧ろこっからが本番と言っても過言じゃない。しかしイープと敵艦の距離がこれだけあるのであればイープの能力を用いた文字通り必ず殺す必殺技の『あれ』が使える。

 

「『あれ』さえ使えれば僕はどんな敵が何人来たと ころで負けることはあり得ないね」

 

だからまずは『あれ』の準備のために一旦島に戻る。既に島の土地はこんなこともあろうかと能力使用の時短の為の『泥浸食』を既に済ませている。そしてイープは島の中心に降り立って、

 

「『泥の巨兵』」

 

自分身体を『泥浸食』し、島全体の土と同化させる。そしてその莫大な量の泥を使ってイープは自身の身体をより大きく、より硬く、より強く作り変える。敢えてイープの能力の限界を無視して、暴走させて、イープの身体をより大きく、より硬く、より強く作り変える。今まで"自然系"という莫大なエネルギーを誇る能力の制御という枷外したのだ。これで心置き無く全力全壊容赦無くイープは暴れらる事が出来る。

 

これはどこぞの蝋燭野郎のように体に能力で作った鎧を着る程度のようなちゃちな技ではない。イープの体そのものを自然作り変えているのだ。そして死ななければ勝ちの状態であるイープにはもう敗北なんて有り得ない。これからイープは冷静に、油断無く、時間をかけて、焦らずに、一兵残らず叩き潰す。

 

「ガアアァァァァァァ!!テメエら全員まとめて"俺様"がぶっ潰してやらアアァァァァァァアアアアア!!」

 

そして"化け物"は吼えた。

 

 

 

とある軍艦の上でガープは驚いていた。その感情は恐怖に近いものであるがガープは怯まない。恐怖を全く感じない人間なんて一握り、その恐怖にどう立ち向かうかが大切なのだ。

 

ガープたちは"スコウェルト・イープ及びマリージョア襲撃の"真実"を知る者の抹殺"の任務を受けてこの名も無き無人島にコルプラプスと他の中将を含めたバスターコール以上の戦力を投入した。そこまでの過剰戦力で敗北なんて本来はあり得ない。しかし今回は下手すると、いや下手をしなくとも全滅なんてこともあるかもしれない。今のイープはそこまで異常なのだ。

 

「あれ…センゴク元帥よりデカイんじゃないですか 、ガープ中将?」

 

と聞いてくるクザン中将。戦死や責任などで空く大将の席に彼が就くことは確実だろう。ただしこの戦いで死ななかったらの話ではあるが。

 

そして巨兵が右手に何かを作る。それは巨大な刀。

 

「刀っていうことはもしかしなくても"剣帝"なんだろうねぇ~」

 

と相変わらず呑気なボルサリーノ中将。彼も次の大将になるだろう。そして原作では赤犬だったサカズキ中将厳しいかもしれない。なぜならイープに負けてから彼の部下からの人望がかなり薄くなってしまったからだ。その証拠に今回、サカズキのところの部下がかなり逃げた。原因はサカズキの人望の無さではなくイープに対するトラウマからだが。

 

そして巨兵がその巨大な刀を振るモーションを見せたとき、

 

「クザン!『鎌鼬』が来る!船壊されても良いように海凍らせんかい!」

 

といち早く叫ぶサカズキ。

 

これはイープと闘ったことがあるサカズキだから出来るアドバイスだ。特に『鎌鼬』はサカズキのトラウマでもあるからより明確にサカズキの記憶に残っていたのだろう。

 

そうガープが考えるのと同時に残っている軍艦十二隻が全滅した。

 

 

 

時は少し遡ってイープが『泥の巨兵』を完成させた直後。

 

準備は整ったのに相手を待っている必要はない。先手必勝である。化け物は右手にその巨体に相応しい刀を作り出す。なるべく早く、そして確実に敵を殲滅するために。

 

「『鎌鼬』ィィィィイイイ!!」

 

乱雑に振るわれたこの刀は耐えられずに少しヒビが入り壊れるが能力が暴走してる化け物には全く関係ない。その程度なら一瞬で直る。

 

そして振るわれたその数千もの斬撃は当然軍艦をバラバラにする。しかし肝心の海兵は海にできた氷の床のおかげで助かったようだ。やはり『泥の巨兵』状態となるとどうしてもパワーやスピードと引き替えに技の精度は甘くなってしまうようだ。これも化け物がこの技を使いこなせてない証拠、化け物がまだ完全な化け物になっていない証拠である。ただしそれを差し引いたとしてもこの状態の化け物の強化された力、覇気、六式のことを考えるとお釣りがくる 。大量のお釣りで億万長者になれそうだ。

 

確かに船が全滅したのでもう海軍に妹たちを追う手段は無いが、化け物はここで止まるつもりなんて更々無い。化け物はこの島まで届いている氷の床に近づいて左の拳でそれを叩き割る。

 

「(ちっ、上からなんか来やがる!)」

 

化け物は見聞色の覇気でほうそう感じる、いや正確には聞くや否や上に跳ぶ。その瞬間に化け物の頭があったところを通過する光速の蹴り。正しくは能力をまだ使いこなせてないから亜光速の蹴り。しかしどっちにしろ速いことには変わりは無い。だが、

 

「テメエの蹴りのなんて先読み出来りゃあ余裕でかわせるんだよ!」

 

と大振りの蹴りを外して無防備のボルサリーノを殴り付ける。いくら速くても蹴る前に蹴るタイミングと位置が解ってたらかわすことは造作もない。そして海面に打ち付けられて、数回跳ねてやっと沈むボルサリーノ。化け物が二度と浮かんでこられないように追い討ちで『大槍』をぶちこんでやろうとしたところで、海中から迫る無数の大砲の砲弾。

 

こんな攻撃は攻撃はガープの『拳骨流星群』しか有り得ない。砲弾を投げ飛ばすのは彼の専売特許だ。そしてその砲弾は一発一発がボルサリーノの蹴りより威力がある。流石は無能力者にも関わらず海軍大将になることを何度も打診された男だ。

 

化け物は内心舌打ちをして後退する。時間をかけて叩き潰せばいいんだ、焦って無駄な手傷を負う必要なんか無い 。

 

しかしやられっぱなしっていうのも化け物はなんか面白くない。だから化け物は剣でガープごと海を切り出す。イメージとしては金獅子の技みたいなものだろうか。人は水中だと陸上よりも動きが鈍る。例外は魚人や人魚位だ。そして当然"英雄"と謳われたモンキー・D・ガープだってこの常識には当てはまる。

 

つまり今、ガープは化け物の格好の的という訳だ。

 

「『大槍』イィィ!」

 

と化け物はその海の塊ごとガープを霧散させる。しかし肝心のガープはすんでのところで脱出される。やはり無能力者であるにも関わらず"英雄"と呼ばれるだけはある。泳ぎは大の得意だ。確かにガープの左腕には『大槍』の傷があるが、しかしそれでも仕留め損ねている。そして『月歩』でガープに距離を取られる。

 

化け物はここでガープを追っても良いの、やはり敢えて化け物の土俵であるこの島から出る必要もない。ガープ一人のために島から出る位だったら、氷の板にへばりついてる下っ端海兵どもを消した方が幾分か効率は良い。

 

しかし化け物がそんなことを思ってるうちに戦局は変わる。

 

空から突然雨が降ってきた。ただし、それは唯の雨ではなくマグマの雨である。

 

「『流星火山』!」

 

と叫ぶのは氷だと溶けるからだろうからか木片の上に両手を 掲げ今もなお空に向かってマグマの拳を発射し続けるサカズキである。

 

一発の『大噴火』程度なら『泥の巨兵』でなくとも受けられる。だが普通の状態のイープであれば最早四桁に達しようとしている1000℃以上の塊を直接食らうのはいささかきつい。しかしそれはあくまで"『泥の巨兵』でなかったら"の話だが。今の化け物にとっては1000℃の雨程度は、

 

「ぬりィ、ぬるすぎんぞ!そんなんで俺様を本当に焼こうと思ってんのかぁぁ!?」

 

普通の雨となんらかわりはない。

 

サカズキは化け物の『ぬりィ、ぬるすぎんぞ!そんなんで俺様を本当に 焼こうと思ってんのかぁぁ!?』という台詞を聞いて悪夢でも見ているような気分になった。確かに前回サカズキがイープとやり合ったときに放った『流星火山』はイープにバカにされながら捌かれてしまった。しかし今回のは仲間がタメの時間を十分に作ってくれたお陰で、温度は倍、数は十倍にも達していたのだ。しかし化け物はそれを、

 

「ぬるい…じゃと………?」

 

と自分がバカにされていることを怒っているように言ったのだ。強者と自覚している自分の必殺技が相手にとってバカにされている勘違いされたのだ。もはやサカズキにとっては悪夢以外の何物でもないだろう。そして同時にサカズキは考えた、この化け物はどうやったら止まるのだろうがと。

 

 

 

サカズキが絶望していたとき化け物も絶望していた。化け物は今は全力ではなく時間稼ぎのつもりで戦っていたので敢えて海軍にレベル合わせていたのだ。しかし化け物は気付いた、自分が思っているより海軍が強くないことに。この調子だと殲滅することが余裕であることに気がついた化け物はサクサク仕留めて妹たちに合流することを決意する。

 

「うざってぇんだよ!『斬撃撹拌』!!」

 

理不尽な災害が化け物に降りかかる火の粉も、これから降りかかる筈だったまだ上空にある火の粉も軽く打ち払う。

 

しかしそれら火の粉を打ち払った後にイープは気づく。1000人近い海兵がもう既にこの島に上陸していることに。

 

「ああ、成る程な」

 

ボルサリーノの蹴りに始まってサカズキの『流星火山』まで続いた次期海軍大将たちの必殺とも言える大技の連続はそれらを囮にして他の海兵たちを上陸させるための作戦だったという訳である。確かにこれくらいの威力でないと化け物相手には囮にすらなれないが。

 

やはり海軍は世界最大の組織である。化け物相手には戦力は置いておいたとしても、組織力はあるみたいだ。そうであるならば、この戦いにおいての海軍の切り札であるガープ、サカズキ 、クザン、ボルサリーノを先程殺せなかったのは痛かったか、と化け物は思案する。しかし化け物はその考えを直ぐに杞憂だと考え直す。たかが"英雄"一人に自然系三人程度、居ようが居まいが化け物には関係無い。どのみち化け物に敗北は有り得ないのだから。

 

化け物にとってはどれだけ時間をかけようが、そして最後に自分自身が死んでいようが関係無い。今の化け物の目的は海兵たちを皆殺しにすることなのだ。それさえ出来れば他の全ては捨てる覚悟くらいはある。尤も、化け物はそんなピンチにすらなる気はしていないが。

 

現在海兵15000→1000人

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