伝説の転生者の物語   作:ゆっぴー

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閑話とか後書きとか入れようと思ったけど受験生は忙しいのでそんな事は出来なかった。

ただし感想疑問には返答します。



第三十一話 無人島で戦闘者は世紀末な結末を

「これで僕の勝ちだ…よっ!」

 

とイープが勝鬨を挙げようとしたときにイープを襲ったのは軍艦一隻よりも確実に大きい巨大な鉄球。そんなのを操れるのは、

 

「まだ生きてたんだ、ガープ中将?」

 

"英雄"モンキー・D・ガープ、彼しかいない。イープはあんな滅茶苦茶な攻撃を何発も打たせる訳がなく、直ぐに"帝" を拾ってガープが放り投げた鉄球を引き上げる前にガープを蹴り落とす。

 

ここでガープ中将は気を失ったのか上がって来る気配は全くない。

 

イープは邪魔が入らないということでラヴィサメ戦で決着をつけたイープの必殺技を使うことにする。

 

片足の『月歩』でとりあえず高くまで昇る。そして今回は時間がかかっても良いからゆっくり、ゆっくりと『巨兵の右腕』を行い、その後巨腕に相応しい巨大な剣を作る。

 

イープが剣技で最も磨いた技は二つある。一つは斬らずに押し潰す斬撃の『斬衝』。 もう一つは一振りで数百を超える斬撃を放つ『鎌鼬』。この二つを組み合わせそして振るう腕力が巨人族すら軽く凌駕するものであれば、

 

「島一つを軽く沈められるね、『島殺し』」

 

島を一つ消すことだって可能である。バキバキバキバキ…と今度はその空間がイープの斬撃に耐えられずひび割れていく。そしてそのひび割れが島に届いた瞬間島が爆発した。勿論火薬を使った爆発出はなくイープの『島殺し』によって島が根こそぎ四方八方にぶっ飛んだからである。だがイープの中の『島殺し』の完成は島を押し潰すように消すことだから、まだ完成からはほど遠い。

 

そして残っている小島の中で一番大きいしまに着地して、

 

「やり過ぎたかな?まぁ、ここで少し休んで早く妹たちに合流しなくちゃね」

 

とだけ呟いて僕は泥のように、または死んだように眠ろうとした。そう眠ろうとしたのである。

 

「じゃんなありゃそ?」

 

イープが眠ろうと上向きになったときに目に映ったのが巨大な鉄球だったからだ。幸い直撃でないにしろ『島殺し』は食らったようでガープの動きは遅い。これならば片足のないイープの『月歩』でも十分間に合う。イープは迷いなくガープまで直進しガープの腹に"帝"を突き刺す。しかしガープの反応は、

 

「きかん!」

 

イープの予想外のものだった。叫んだガープはイープを叩き落とし、自分の腹に刺さっている"帝"をイープの肩に投げて動けないように固定する。

 

「大人しく捕まれええぇぇええ!!」

 

彼が逮捕の意味を正しく理解しているかどうかは疑問だが、ガープの必殺の一撃がイープに迫る。そのとき『目の前の敵を殺したい』そんなイープの強烈な願いがスコウェルド・イープを次のレベルに引き上げる。何時もより鮮明に自分自身即ち『泥侵食』した土地を把握する。

 

「(今なら早い能力発動が出来る!?)」

 

いけると思ったイープは賭けに出る。当然だイープは1%でも相手を殺せる可能性があるのなら自分の命くらいノータイムで悪魔に売り出すような人間なのだから。

 

「『剣山見参』!」

 

イープが叫んだ瞬間に地面から無数の針が生える。その針は地面にいる全て、イープ自身すらも蜂の巣にして成長する。覇気を込める力なんてもうイープに残っていないことが今回はイープに幸いした。下手に覇気を込めると加減を誤った自分の『剣山見参』に蜂の巣死体にされるところだっただろう。

 

「『鉄塊』!」

 

ガープは避けきれない無数の針を受け止めるため『鉄塊』をかけるが、完全な『鉄塊』をかけるほどの筋力が残っておらず四肢は串刺しとなる。ただし鉄球を投げた後で。ガープはイープの予想外の反撃に手元を狂わし自分の鉄球がイープの下半身だけをぺちゃんこにしたことを確認して瞼を下ろした。

 

イープの方も下半身をひき肉にされて潰し千切られたショックで一瞬意識が落ちる。そして主の居なくなった針はその形を失いただの土に戻っていった。

 

イープは直ぐに意識を覚醒させ固定された右腕を肩から引きちぎって体を自由にする。そして激遅の再生能力よりも義手義足の作成をする。さっきの能力制御は何処へ行ったのか義手義足の作成に少し時間をかけ、イープが立ち上がった瞬間、イープを衝撃波が襲う。

 

「ガハァッ…ワァオここに来てセンゴク大将か…これが最後の晩餐になりそうだね」

 

襲ったのは金色に輝くセンゴク大将。センゴク大将が"剣帝"スコウェルト・イープの為に確保しているおつる中将に続いて最後の人材である。イープにはもうこの戦いで生き残れる自信は全くない。だがイープには目の前の最後の敵であるセンゴク大将を殺せないビジョンが全く思い浮かばない。イープは右腕が潰されれば左腕で、左腕が潰されれば右足で、右足が潰されれば左足で、四肢全てが潰されればその口でセンゴクを仕留めるつもりだ。イープは決して心臓の音が止まるまで諦めない。いや、イープなら自分の心臓が止まっても相手の心臓を止めるまで止まらないだろう。そんな決意を胸にしたイープにセンゴクが事務的に語りかける。

 

「海軍本部少尉"剣帝"スコウェルド・イープ、取引だ。少尉が逃がした奴隷たちの航海ルートを教えろ。そうすればお前は死刑を免れ、少しの間インペルダウンではなく普通の牢屋で過ごすだけの刑で済ませられる。牢屋での態度によっては海兵復帰だって可能だ」

 

とセンゴクは暗に断ればインペルダウン行きをほのめかす。

 

「嫌だね。僕の掲げる正義は"自分勝手な正義"。自分の正しいと思った時に正しいと思った事を正しいと思ったようにする"自分勝手な正義"。確かに僕の正義には芯なんてものはないよ。来年他の人間がマリージョアを襲撃してたら僕はセンゴク大将の位置にいたかもしれないね。だけど!だけどそれが俺があいつらを見逃していい理由にはなんねーだろうが!」

 

ゴッと強烈な風を錯覚させるような何かがイープから巻き起こる。それは"覇気"。イープの思いに呼応して偶然出た物に過ぎない。だがそれはセンゴクを一瞬怯ませるのに十分すぎる要因で、一瞬はイープがセンゴクを斬るのに十分すぎる時間だ。馴れない足で『剃』を使い、馴れない両腕で"帝"を振るいセンゴクの古傷、この前の対戦でイープが木刀でセンゴクを斬ったところと全く同じ所を斬る。だが連戦、負傷その他諸々の要因でイープの斬撃はセンゴクを仕留めるのにはすこし浅かった。イープはセンゴクを斬った瞬間に肘打ちを位倒れ、その直後イープに覆い被さるようにセンゴクが倒れた。

 

 

 

ここは創造主の部屋。だが皆が思っているような神々しい所でも真っ白な空間でもない。そこにいるのは白衣の研究者とラヴィサメの二人だ。

 

「ギャハハハハ!流石はスコウェルド・イープ!アタシが見込んだだけはある」

 

そこでラヴィサメはイープと感覚を共有してこの戦いの当事者をやっていたのだ。ラヴィサメはイープの体と心をリンクさせイープ本人になったことにより全力で戦い、そして始めて勝てなかった。これがラヴィサメがイープを転生させた理由の一つである。創造主の中でもラヴィサメは"成功例"と呼ばれ他の創造主の人種とは一線を画す存在であったため、全力を出して負けることなど、いや苦戦することすらあり得なかったのだ。

 

「どうしたんですか、先輩?」

 

ここで現れるワンピースの世界の持ち主である研究者。

 

「ああ、アタシがイープとして戦争してきた」

 

その言葉を聞いて確実に厄介事であると確信した研究者はダッシュで買ってきた胃薬を取りに行く。

 

「……で結果はどうだったんですか?」

 

聞きたくはないが聞かなくてはいけない。主に後の世界の調整の為に。前回は現実逃避していたら三億人が死んでいた、なんて悪夢が発生していたのだ。今回はそれを避けたい。

 

「海兵を大体一万六千人殺した」

 

「ああ」

 

主要キャラ死んでたらどうすんだコンチキショウ、調整大変なんだぞとまた胃薬を飲む研究者。用法用量は守るべきである。

 

「見るか?」

 

「先輩はストレスで僕の胃を爆破したいのですか?」

 

「ちげーよ。面白いもんが見れるはずだ」

 

「はぁ、面白いもんとは僕の胃袋爆散死体ですか…」

 

愚痴を言いながらもビーカーの中にあるワンピースの世界を特殊な機器、といっても彼らの間では普通の機器で覗く。

 

「すごい…"帝"の呪いを食って自分を"帝"色に染め上げている…これなら"帝"に飲み込まれずに"帝"の特性を発揮できる…つまり妖力を因果応報の定理に当てはめて………」

 

見た光景が想像も絶するような光景であったため研究者魂に火が付いた研究者。

 

「やりましたよ、ラヴィサメ先輩!これで僕たちはもう一段階上の次元に行けます!」

 

「へえ、アタシがもっと強くなれんのか」

 

イープに感化され再び力を求めるようになったラヴィサメが身を乗り出して聞く。

 

「いや、これは先輩の改造に使った方程式の安定化を図るものなので先輩の強化ではなく"成功例"の量産が可能になるかもしれないということです」

 

「ちぇ。まっ、いっか。アタシはアタシの力でもっと強くなってやる」

 

「あっ、過去の映像にも興味深い物が…なるほど妖力をこう応用すると………ふむふむ、久々に研究漬けの日々を送りますか!」

 

イープの転生者生活は創造主のラヴィサメと白衣の研究者の男ジーンに大層気に入られたようだ。

 

 

 

イープが目を覚ました時広がったのは闇。前も後ろも右も左も上も下も分からない程真っ暗な闇の中にイープがいた。立ち上がろうとするが先日の戦いのダメージともう一つそれ以外の何かのせいで力が上手く入らない。立つことを諦めたイープは現状の把握をする。

 

四肢はちゃんと動く。左手は感覚がないがそれでも動く。ただし両手足それぞれに手錠がしてある。これに海楼石が仕込んであることは容易に予想できる。そしてこの建物に何千もの人が収容されている事を感じ、収容されている人が少なくともまともな人間でないと感じる。これらの情報から、

 

「地獄かと思ったらインペルダウンレベル六"無限地獄"だね…ってここも一応地獄か」

 

自分の位置を特定する。ならばやるべきことは決まっている。

 

「(体力回復の後に脱獄だね)」

 

しかしただ体力回復をしている間待つだけでは能がない。動かなくても修行は出来る。例えばイメージトレーニングや見聞色の覇気の特訓、それに加え『生命帰還』の修得だ。

 

イメージトレーニングは楽だ。ただ強者との戦いで自分がもしこうしていたらのIFをイメージすればいいだけなのだから。見聞色の覇気だってこんな暗闇なら視覚に頼れないからなおやり易い。最後の『生命帰還』はどうすればいいか初めはにっちもさっちもいかなかったが、よくよく考えてみるとイープは自分の肌にも『鉄塊』をかけられる。本来筋肉の無い肌『鉄塊』がかけられるというのは『生命帰還』に他ならないのだ。だからその感覚を掴みつつ他の部位にも応用する。

 

 

 

それだけで一年と数ヵ月が経った。もう十分傷も癒えた。"金獅子"はここの脱獄の際、傷の"完治"に二年待ったのだ。だったらイープは多少内臓がシェイクが内蔵されていてもあらかた動ければ十分だ。そして一年と少しの修行の成果を出す。

 

『生命帰還』で手足を極限まで細くして手錠から抜ける。元々大人用の手錠だったのだ。子供のイープが少し頑張れば簡単に抜けられる。そして一年かけて『泥侵食』で作り上げたトンネルから先ずは武器庫に移動する。

 

「『泥の抜け穴』」

 

皮肉なことに技の参考はここの署長の一人マゼランの技『毒の道』である。

 

イープは自分の愛刀"帝"が何処にあるのかが手に取るように分かるのだ。流石は異世界最高の妖刀である。インペルダウンの武器庫に他の剣と変わりなく無造作に、しかし異様な威圧感を放つ一振りは容易に見つかった。

 

そして再び『泥の抜け穴』を使い屋上に出て、

 

「『月歩』」

 

空を翔る。インペルダウンの職員がイープの脱獄に気が付いたのはイープがシャボンディ諸島に着いた後だった。

 

イープが目指したのはシャボンディ諸島にあるシャッキーズぼったくりバー。そこで取り合えず情報収集するつもりだ。イープはバリン!と窓を破りハリウッドスター顔負けのスタントアクションでバーに突入する。

 

「スラマッパギー、シャッキー…とレイリー?」

 

「そうだ私はちゃんとシルバーズ・レイリーだ」

 

そこで会ったのはイープと一時だけ仲間だった老人だった。

 

 

 

「へえー、じゃあアトランティス号はやっぱり沈んだけど皆は逃げられたってことだね」

 

とレイリーに自分が敗北し捕まった事を伝え、レイリーから皆の情報を教えてもらった。

 

なんでも軍艦の艦隊に囲まれそうになったアトランティス号にハンコックは火を放ち艦隊に近付けて火薬に引火させ爆破、その好きに非常用軍艦で皆はバラバラに逃走したらしい。 他は分からないがハンコックらとカネルとスチルドパッドはアマゾンリリーに行ったらしい。

 

アトランティス号の沈没といい、完全にイープの予想通りである。情報を手に入れたイープはもうここに用はない。

 

「じゃあ僕はそろそろ行くよ」

 

「アマゾンリリーにか?」

 

レイリーは聞くが違う。

 

「モー島」

 

「…正気かい?」

 

それにはレイリーも驚く。"モー島"、それは世界最高の海賊団のロジャー海賊団ですら手が出なかった島なのだ。今まで数多の冒険家、開拓者、海軍がその島へ向かったがその島から生きて出てきた者は一人しかいないと言われている。

 

「うん、正気だよ。僕はあのとき戦略的には勝ったかもしれないよ。一般的には戦術的にも引き分けだったかもしれないね。だけどそれじゃ足りないよ。弱すぎる。世界最強にはほど遠すぎるからね。たった一人で世界を動かせる武力が要るんだよ、僕にはね。何、死んだら死んだ、その程度ってことだよ」

 

と言ってイープは今度は玄関から出ようとする。

 

「君はなんのために強さを求めるんだ?」

 

とレイリーの問いにイープ、

 

「強者との楽しい死合い」

 

とだけ答えて出ていった。

 

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