シャンクスと邂逅した後シャンクスは直ぐにまた出航してしまったが、サクラはこのフーシャ村が気に入った為度々ここに足を運んでいる。その時にサクラはルフィに会ったが、ルフィの方はシャンクスの仲間からサクラが初めはシャンクスに手を上げていたことと、賞金稼ぎであることを聞いていたため仲良くはなれなかった。寧ろ突っ掛かって来たのでボコして転がしておいた。当然唯の子供に能力を使うはずもない。
そして今回はサクラはエースとサボをここ、フーシャ村に連れてきた。目的はマキノの旨い飯を食わせるためだ。
「本当に旨いのかよ、サクラー?」
「しししっ、いいじゃねえか。サクラの奢りだって言うし」
サクラの奢りでだ。リスクがあるからあまりホイホイと人里に、しかもカモが殆んど居ない田舎に、降りたくない二人をここに連れてくる為にはサクラが自腹を切るしかなかったのだ。これで暫くサクラの財布が寒くなることは確定である。そう思いサクラは目から汗を流す。
「ああ、一応俺の奢りだが思わずお前たちが金を払いたくなるような飯を食わせてやるじゃん!」
とそれに、半分ヤケクソ気味にだが、叫んで言い返すサクラ。
「うわっ、めっちゃうめえ!」
口を開ければその口にチャーハンを掻き込むかチャーハンを絶賛するだけのサボに、ただなにも言わずにチャーハンを食べることに専念しているエース。どうやら二人ともマキノの料理が気に入ったようだ。しかしエースは直ぐに眠ってしまったが。食事中に眠るとは一体どんな神経をしているのだろうか。
「ふっふっーん。二人とも気に入ったようでなによりじゃん」
とその料理を初めて見つけた自分は大手柄だと言わんばかりにサクラはドヤ顔をきめる。
「流石はサクラ!最年長なだけはある!」
と今回ばかりはサボもサクラをべた褒めする。ただし、相変わらずエースは寝たまんまだ。
「「「ご馳走さまでした!」」」
三人で綺麗にハモって合掌をし、精算をする。
「言ったじゃん?スッゲー旨いって」
「「だけど会計はサクラ、よろしく」」
今回は二人だが綺麗にハモる。
「……分かってるじゃん」
苦虫を奥歯で磨り潰したかのようなしかめっ面をしながらサクラは嫌々、本当に嫌々食事代を支払うことにする。マキノに渡すお金を手放さないように握りしめているのがその証拠だ。
サクラは三人の中で唯一銃を使う。当然ぶっつけ本番などではなく練習もする。そうなるとどうしても弾代がかかってしまうのだ。そして運が悪いことに今丁度弾切れなのだ。
つまりどうしても出費が一番多いサクラは質素倹約をなるべく徹底した生活を送りたいのだ。しかしそんなことが小さく感じられてしまうほど美味しかったのがマキノの料理だったのだが。
しかしここでお金を払わなくては食い逃げだ。確かにサクラたち三人はここら一帯どころか|東の海(イーストブルー)に名を轟かす悪ガキの"三悪童"であり昔は食い逃げなんて毎日のようにしていたのだが、それをしてしまってはもう二度とこの店には入れないだろう。当然だ。どこの世に食い逃げ犯を招き入れる飲食店があると言うのだ。それはもったいない。こんなたった一回食事代をけちって二度とマキノの料理を食べられなくなるのは非常にもったいない。だが、お金も惜しい。そんな葛藤にさい悩まされながら、サクラはマキノにお金を差し出しながらもそのお金を手放そうとはしない。
「「ププッ…クククッ………」」
それを見てエースとサボは笑を堪えている。取り合えずこの二人は後でシめるとサクラは胸に誓い血涙を出しながらも貴重な、本当に貴重なお金を手放す決心をする。
しかしそこに天使が舞い降りた。
「えーっとサクラくん、そんなにお金がいるならツケでもいいわよ?」
「……ツケ?」
「うん。今はお金を払わないでおいて今度来たときに今回とその時の食事代を払うってこと」
「……マジかじゃん?」
「うん、だってサクラくんには随分と贔屓にしてもらってるから」
と血涙を袖で拭いながら聞くサクラに、それに天使のような笑顔で答えるマキノ。
二人の会話の意味が分からずキョトンと首を傾げるエースと、会話の意味が分かってサクラが自腹を切らなくてもいいという大変面白くない展開になり舌打ちをするサボ。それをみてサクラはサボはさらに十割増でシめると心に刻み込む。それはもうサクラの手札を一枚切ってでもシめると決心したほどだ。
久々にサクラはエースたちとの模擬戦で能力を全力全開で自身を全壊させ、二人を完膚なきまでに叩きのめした。特にサボには攻撃の"こ"どころか行動の"こ"すら与えずにぶちのめした。今回はサクラが二人に実力の差を明確に分からせる良い機会となっただろう。
その数ヵ月後、またシャンクスたちがフーシャ村にやって来た。今回もシャンクスたちはマキノの店を貸し切って宴会をしている。そしてこの日は、ルフィもサクラも一緒に来ていた。
「あー!お前はこの前の賞金稼ぎ!」
「よおじゃん。この前の雑魚ガキじゃん」
サクラを見るなり威嚇を始めるルフィに年上だからかそれとも、実力が上だからか余裕の表情のサクラ。
「シャンクスを倒しにきたのか!?」
「ちげーじゃん」
ルフィは友達の心配をするがそれはお門違いだろう。サクラにはサクラの友人でもあるシャンクスに手を出すつもりは全くなければシャンクスをどうにかできる実力も全くない。
「うるせえ!俺は騙されねえぞ!」
とあくまでサクラを信じないルフィ。寧ろルフィはサクラを殴りたいだけなのかもしれない。
「俺のパンチはピストルみたいに強いんだ!」
と拳を構えるルフィ。だだしリーチが足りなかった。
「はいはいじゃん」
ルフィよりも腕が長いサクラの方が攻撃は先に決まる。サクラがルフィの拳を振る前に素早くルフィの額に拳を突きだしそのうちの中指だけを弾く。所謂デコピン。その一点にサクラの込められうる全てのエネルギーを収束させ、ターゲットには最小面積で最大威力というとてつもない圧力で解き放つという凶悪な技である。
というと言い過ぎではあるが、ちゃんとルフィはカウンター席から反対側にある入り口まで吹き飛んだ。そのことから分かるようにサクラのデコピンには凶悪な威力が宿っているといえる。
「いってえー!」
「ふふんじゃん」
なんとも大人気ないサクラである。
バン!と一発の銃声が鳴り、少し離れたリンゴが砕ける。後でスタッフが美味しくいただきました。
「おおー、スッゲー!」
「離れた蟻の眉間だってぶち抜けるぜ」
とルフィが見事に狙撃を成功させたヤソップに目を輝かせる。
「あんな距離なら俺だって出来るじゃん」
と不貞腐れたように言うのはサクラ。サクラはあの程度で目を輝かせて誉められるのが面白くないのだ。
「へえ~じゃあやってみ『バン!』」
ヤソップが言い切る前にサクラはその隣にあったリンゴを撃ち抜く。しかもリンゴには目を向けず、加えて地面の石に跳弾させてだ。
「……やるな…」
と素直に感嘆の声を漏らすヤソップ。彼ほどの狙撃の実力者ともなれば今のサクラの芸当が決してまぐれでないことが分かる。確かにこれ程度の距離なら百回に一回は当たる"かもしれない"。あくまで"かもしれない"なのだが一応起こりうる事象だ。だが石に当ててから跳弾で撃ち抜くとなると話は別だ。もしそれがまぐれならばサクラは向こう来世十回分の幸福を使い果たしている。それほどの奇跡だということだ。
結局その後ヤソップとサクラは狙撃対決をすることになるが、距離を五倍にしたところでサクラが外し、勝負はヤソップの勝ちとなった。
「この銃声が安モンだから外したんじゃん!」
しかしここは子供だからか素直に負けを認めたがらないサクラ。実際サクラの得物の銃は偶然ゴミ山で拾った中古の粗悪品だ。ただしもしサクラが良い銃を持ったとしてもヤソップはこの距離の十倍でも百発百中出来るからサクラには勝ち目がないことをサクラは知らない。
「おいおい、一流は道具のせいにはしないんだぜ?」
とおちょくるように返すヤソップ。赤髪海賊団の連中はお調子者で人をいじるのが好きな人が多いようだ。実際シャンクスが気に入る人間はそんな人間なのだから当然だろう。
「じゃあヤソップはこれでやってみるといいじゃん」
とサクラは自分の銃を差し出すが、
「はぁ!?こんな安モンで出来る訳ねーだろ!」
「出来ねーのかじゃん!」
一蹴され、サクラがそれに突っ込む。二人は中々仲が良いのかもしれない。
「それに俺が得意なのは狙撃じゃなくて連射じゃん」
とサクラが見栄を張る。
「へえ、じゃあやってみろ」
とヤソップが言うが、
「でもこの安モンには連射機能付いてねーから無理じゃん!」
「付いてねーのかよ!」
今度はサクラが一蹴し、それにヤソップが突っ込む。
本当に二人は仲が良い。
結局これを機会にサクラはルフィとも仲良くなった。以前は憧れの海賊の首を付け狙う、いけすかない年上だったのだが、今では割りと何でもできて強くて優しくて頼りになるお兄さんといったところだ。以前の印象と比べると大きくクランクアップしている。それに比例してルフィはサクラに付きまとうようになり、サクラの方も"向こう"に居たときの弟と雰囲気が被るからか優しく接している。今ではとっても良い"お兄さん"というのがフーシャ村一同と赤髪海賊団一同の印象だ。
時に遊んだり、時に稽古をつけてもらったりと騒がしくとも平和に数ヵ月が過ぎていった。今のこんな平和な状態では誰も海賊がこの村に定期的に停泊しているだなんて信じられないだろう。
しかし当然時が過ぎれば原作開始の時に必然的になる。しかしサクラはここを原作通りに進める気は全くない。サクラは黙って友人が隻腕になるのを見守るほど薄情ではない。そんな薄情であれば無茶をして格上の化け物"武人"ローブには挑まない。懸賞金八百万"山賊"のヒグマがどうした。サクラはそれとは比べ物にならない程の実力者"武人"ローブを倒しているのだ。今のサクラなら朝飯前に鼻くそをほじりながらでもヒグマを倒せる。
そしてサクラは百通りのヒグマを倒す手段の内どれを取ろうかと考えながらシャンクスと酒を飲みながら思案する。