伝説の転生者の物語   作:ゆっぴー

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第三十九話 フーシャ村で能力者は得意気な自慢を

「おれは遊び半分なんかじゃないっ!!もうあったまきた!!証拠を見せてやるっ!!!」

 

シャンクスがフーシャ村に訪ねてきたある日、ルフィが港に停泊しているレッド・フォース号の船首で高らかに宣言している。

 

そう、原作の始まりだ。

 

「だっはっは、おう!やってみろ。何するか知らねェがな!」

 

「またルフィが面白ェことやってるよ」

 

とシャンクスが囃し立てそれに赤髪海賊団の一人が呼応する。

 

何をするか分かっているがサクラもこの場にるが、ルフィを止めるなんてことはしない。どうせ止めても何時かまたやるだろうし、後遺症が残るわけでもない。無鉄砲なルフィには丁度良いぐらいに思っているだろう。

 

「ふん!!」

 

そしてルフィが左手に持つナイフを左目に突き立ててブズりと刺した。

 

「「「「な…」」」」

 

赤髪海賊団一同は驚愕し、

 

「ぶあっはっは!」

 

サクラは爆笑した。

 

「いっっってェ~~~~っ!!!」

 

「バ…バカ野郎、何やってんだァ!!?」

 

「いてーーーーよーーーーっ!!」

 

「ぶあっはっはっはっは!!」

 

泣き叫ぶルフィに、パニックに陥る赤髪海賊団、そしてその光景に笑いを堪えるつもりもないサクラ。中々のカオスだ。

 

 

 

「野郎共乾杯だ!!ルフィの根性とおれ達の大いなる旅に!!」

 

マキノが経営する酒場、PARTYS BARでシャンクスの音頭で赤髪海賊団は宴会を始める。酒を飲む者、肉を食べる者もいれば、肉を取り合う者もいる。彼らに共通して言えることは、

 

「「「「ぎゃはははははは」」」」

 

皆が笑っていることだ。いかに海賊が自由で楽しいかを物語っているかのようである。

 

そんな中、カウンター席に座っているのは三人。ルフィとシャンクスとサクラだ。この前シャンクスに飲まされてすっかり酒の味を気に入ったサクラは子供ながらに安物のエールビールを煽るように飲んでいる。サクラは高い酒だろうが安い酒だろうがアルコールさえ入っていればそれでいいという、ある意味では酒の良さが分かっていないような飲酒愛好家だ。

 

「あー、いたくなかった」

 

メニ涙を浮かべながらルフィが言う。当然やせ我慢である。

 

「……お前マゾかじゃん?」

 

とルフィのやせ我慢に答えたのはサクラだ。

 

「マゾ?マゾってなんだ?」

 

しかしルフィには早すぎる単語だったのかもしれない。

 

「ああ、マゾっていうのは自分が傷ついたり痛め付けられるのが気持ちいいっていう変態のことじゃん」

 

と軽くマゾについて解説する。

 

「おれはマゾじゃねえ!だってさっきの痛かったのも全然気持ちよくなかったし!」

 

と断言するルフィだったが、それはサクラのルフィに墓穴を掘らせる罠だった。

 

「ほら痛かったんじゃん」

 

「痛くねえ!」

 

決してサクラが指でつついたわけではないが、痛いところを突かれたルフィは直ぐに虚勢を張る。

 

「はいはいじゃん」

 

と少しそれに呆れ気味に答えてまた新しい酒瓶を傾けるサクラ。

 

「あっ、マキノさんこれおかわりじゃん」

 

とルフィとシャンクスに興味を失ったサクラは今度は料理に関心を向ける。

 

「はいはい」

 

と相変わらずにっこりと笑みを浮かべて直ぐにおかわりを出すマキノ。仕事が速い。

 

「ルフィ、あなたも何か食べてく?」

 

「ああ、じゃあ"宝払い"で食う」

 

とシャンクスから貰ったジュースだけじゃ可哀想だろうとマキノは聞き、ルフィがそれに答える。

 

「でたな、"宝払い"!お前、そりゃサギだぜ」

 

「違う!!ちゃんとおれは海賊になって宝を見つけたらカネを払いに来るんだ!!」

 

「ふふふ!期待して待ってるわ」

 

シャンクスは茶化すが、マキノは口では子供の夢を否定しない。ただし期待半分残りは期待していないといったところだ。この酒場はシャンクスたちが落としていく金で今相当儲かっているて子供一人の食事を奢ることくらいわけないのだ。

 

 

 

「邪魔するぜェ」

 

バキ!と乱暴にドアを蹴り壊して大柄の男たちが店の中に入ってきたのは自称第一級のお尋ね者の八百万ベリーの賞金首、"山賊"ヒグマだ。

 

「ほほう…これが海賊って輩かい…初めて見たぜ。間抜けな顔してやがる」

 

ノソリと大物ぶって歩きながら独り言を呟くヒグマ。たしかに|東の海(イーストブルー)では第一級のお尋ね者かもしれないが、実力も懸賞金もシャンクスの足元にも及ばないことを知っているサクラからするとなんだか滑稽にすら感じられる。サクラだってかなり頑張って負けようと努力してもヒグマに負けることは非常に難しい。

 

「おれ達は山賊だ。―が…別に店を荒らしに来た訳じゃねェ。酒を売ってくれ、墫十個ほど」

 

と自慢の顎髭を撫でながらヒグマはマキノに言う。サクラはどのタイミングで襲い掛かろうとヒグマを一発で沈めることが出来る。だが肝心なのはタイミングだ。どのタイミングでヒグマに襲い掛かれば一番面白いか、それがサクラの問題だった。

 

「ごめんなさい。お酒は今ちょうと切らしてるんです」

 

とマキノは謝る。

 

「んん?おかしな話だな海賊共が何か飲んでる様だがありゃ水か?」

 

「ですから、いま出ているお酒で全部なので」

 

と機嫌が悪そうに聞くヒグマにそれに少し怯えながらも答えるマキノ。陽気な海賊とは違い荒れていて血の臭いがする山賊を怒らせないようにとマキノも必死だ。

 

そこにシャンクスが油ならぬアルコールを注ぐ。

 

「これは悪いことをしたなァ。おれ達が店の酒、飲み尽くしちまったみたいですまん。これでよかったらやるよ、まだ栓もあけてない」

 

といって瓶を一つシャンクスは差し出すが、それがヒグマの気に障ったようだ。

 

バリィンとヒグマは瓶を叩き割る。

 

「おい貴様、このおれを誰だと思っている。ナメたマネするんじゃねェ…」

 

そしてヒグマがグダグタ言っている間サクラはただ震えていた。勿論怯えたからではない。怒りに震えているのだ。

 

「『ナメたマネするんじゃねェ』…?それはこっちのセリフじゃん」

 

「ああ?」

 

シャンクスはサクラの友人だ。そしてサクラは友人がやられて黙っているほどできた人間ではない。

 

「おーおー、ゆったりまったり機を窺おうと思ってた俺が馬鹿みたいじゃん。随分とナメたマネしてくれんじゃねえか、"シャンクス"!!」

 

「「「「えーーーー!?」」」」

 

ドゴァとサクラはそう言うや否やシャンクスを蹴り飛ばす。その光景にサクラ意外の全員が驚く。驚いたシャンクスも想わず蹴り飛ばされる。そして吹き飛んだシャンクスが仰向けになった瞬間に、サクラはシャンクスに飛び乗りマウントポジションを取る。

 

「おい、俺が一番大切にしてるのは"兄弟"と"酒"って何時もいってんじゃん、ゴルァ!!」

 

そしてゴスッ、ゴスッと何度も何度もシャンクスの額に頭突きしながらサクラはその胸の内を叫ぶ。

 

「おい、そんなこと初めて聞いたぞ!」

 

とシャンクスは反論するが、

 

「ああ!?友達だろうがじゃん!それくらい察しろじゃん」

 

「おいおいそれは無茶だろ!」

 

狂戦士サクラには通用しない。

 

子供にいいようにやられているシャンクスを見て山賊たちは、

 

「酒がねェんじゃ話にならねェ。別の町に行くぜ。じゃあな、腰ヌケ共」

 

と店を去っていった。

 

 

 

「なにしてんだよ、サクラ!」

 

と山賊が去った後もひたすら頭突きを続けたサクラは結局またベックマンにライフルでぶん殴られて止められ、その後シャンクスが山賊に馬鹿にされた原因であるサクラにルフィが文句を言い続けることになった。それに関してのサクラの言い訳は、

 

「酒って怖いじゃん」

 

と非常にシンプルなものだった。念のために言っておくが、サクラは酒に呑まれて酔った勢いであんなことをしたのではなく、逆に酒を飲めなくてあのようなことをしたのだ。

 

酒は飲むものであって呑まれてはいけない、と言うが飲めなくてもあのような凶行に走ってしまうものなのだ。皆も注意すべきである。特に未成年はアルコールの影響を受けやすいから絶対に飲んではいけない。

 

「裏切り者なんてもう知らん!」

 

俺は怒っている、と全身でアピールしながらルフィも店から去ろうとするが、

 

「おい、まてよルフィ……」

 

その腕をシャンクスが掴んで、

 

「しるかっ!!もう知らん、裏切り者がうつる!!」

 

「「「「!!??」」」」

 

止められなかった。

 

ビヨーンとシャンクスに掴まれたルフィの左腕が伸びてルフィを引き留めるには至らなかったのだ。

 

「手がのびた…!!こりゃあ…!!」

 

「まさかお前……」

 

「何だこれああ~~っ!!!」

 

と赤髪海賊団一同とそして腕が伸びたルフィ本人もこれには驚く。

 

「ぶわっはっはっは!!」

 

そして何があったのかを知っていて、そして目撃していたサクラはまたもや爆笑する。

 

「ないっ!!敵船から奪ったゴムゴムの実が!!!!」

 

「何ィ!?」

 

「ルフィ、お前まさかこんな実食ったんじゃ……!!」

 

「!……うん、デザートに……!!まずかったけど…」

 

ラッキー・ルウが紙に毒々しい木の実の絵を描いてルフィに聞くが案の定ルフィの答えはイエス。ルフィは原作通りに悪魔の実シリーズの|超人系(パラミシア)"ゴムゴムの実"を食したのだった。

 

サクラからしてみれば原作で見た光景を実際で見て感動してはいるが、頭の片隅では『もうちょっと明らかに攻撃的な実にならなかったのかじゃん…』と原作通りになったのがつまらないなと思ったりしていた。

 

「ゴムゴムの実はな、悪魔の実とも呼ばれる海の秘宝なんだ!!!食えば全身ゴム人間!!!そして一生泳げない体になっちまうんだ!!!!」

 

「えーーーーっ!!!うそーーーー!!!」

 

「バカ野郎ォーーーーっ!!!」

 

シャンクスがことの重大さを伝え、ルフィもことの重大さを思い知ったのか思いっきり口を開けて泣き叫ぶ。

 

「まーまールフィ、でも能力者も悪くないじゃん」

 

とこの中でルフィを除いて唯一の能力者のサクラがルフィを慰めにかかる。

 

「まず能力者になると他の奴には出来ないことが出来るじゃん。つまり他の奴よりも強いってことじゃん」

 

たしかに悪魔の実の能力者が絶対的強者でないことはたしかだ。非能力者で後の四皇シャンクスや泳いで海王類を仕留める海賊王の右腕"冥王"シルバーズ・レイリーが言い例だろう。だが悪魔の実を食べて弱くなることはあり得ない。必ず強くなれる。と自身も悪魔の実の能力者であるサクラはそう信じている。

 

「なんでそんなこと言えんだ…」

 

とさっきのことがショックだったのかしょげたルフィが下を向きながら聞く。

 

「顔をあげるじゃん、ルフィ」

 

「ん…!?」

 

論より証拠、とルフィが顔を上げた瞬間にその顔面をサクラは思いっきり殴り飛ばす。

 

「なにすんだ、サクラ!」

 

とそれに対してルフィは当然怒るが、

 

「なあルフィ、今の痛かったかじゃん?」

 

「……あれ?全然痛くねえ」

 

覇気を込めなかったサクラの拳はゴム人間となったルフィには通用しない。

 

「じゃあルフィ、今度は俺を殴るじゃん」

 

「おりゃあぁぁ………あれ?」

 

そして覇気の込められていないルフィの拳は崩壊人間のサクラには通用しない。

 

ボフンと音をたててサクラが壊れてルフィの打撃を軽く受け流す。

 

「まぁ、こんな感じで悪魔の実は結構便利じゃん」

 

「おう!これでおれのピストルぐらい強いパンチをもっと強くしてやる!」

 

そして悪魔の実の能力の良さを肌で実感したルフィは早速機嫌を直し直ぐに自分の能力開発に取り掛かるのであった。

 

子供なんて単純だ。

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