伝説の転生者の物語   作:ゆっぴー

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第四十一話 フーシャ村で蛙は冷静な自己解析を

「連れてきたじゃん、シャンクス」

 

それから約三分でサクラはルフィとヒグマをシャンクスの前に連れてきた。

 

「んじゃん、改めて俺の新必殺技を見せてやるじゃん」

 

とそう言い腰を抜かしているヒグマをまずは自分の足で"壊し"飛ばし蹴る。

 

「『蹴鞠桜』」

 

そして直ぐに肉薄する。

 

「『桜前線』」

 

ここまではサクラの鉄板コースだがここからが違う。

 

そのままサクラはヒグマに体当たりをして自分の全身を"壊す"。

 

「ひいっ、あの技か!」

 

とさっきの自分の部下十人近くを一撃で葬った『桜吹雪』が来るとヒグマは思ったが、それは勘違いだ。今からやろうとしているサクラの必殺技はもっとタイマン向きでもっとエグい。

 

「望ムハ幾千モノ桜並木『御花見宴』!」

 

何処からか聞こえてきたその言葉を合図に突然現れたサクラの右腕がヒグマを殴り飛ばす。そして殴り飛ばした先に突然左足が現れ、ヒグマを蹴り飛ばす。そして蹴り飛ばした先にはサクラの頭があり………とそれをひたすら繰り返す。サクラはヒグマを結構派手に飛ばしているがヒグマの衣服にサクラの一欠片がくっついている時点でヒグマはもうサクラからは逃げられない。そしてヒグマは抵抗など全く出来ず、暴力の嵐に耐えることしか出来ない。

 

そんな中赤髪海賊団の一人があることに気が付く。

 

「なあ、あの山賊少しずつ上がってないか?」

 

そう上に少しずつ、本当に少しずつなのだが徐々に上に上がっているのだ。

 

そさてそのままひたすら殴打されながらヒグマは徐々に高度を上げ大体二十メートルくらいまで上がったところで、

 

「『垂れ桜』」

 

一気に落とす。この年で上げて落とすなんてことを覚えているなんてサクラ、なんて恐ろしい子。上げて落とすの意味は違うが、恐ろしい子には変わりない。それほどこの『御花見宴』はエグい技だ。何せ回避不能、反撃不能、抵抗不能な攻撃がサクラが諦めるまで続くのだ。下手をすれば|偉大なる航路(グランドライン)の海賊だって倒せるかもしれない。一人の敵を打ち取るだけならばサクラはもう世界で通用すると言っても過言ではないほどだ。

 

そんなシャンクスたちの驚きをよそにサクラは、

 

「やったじゃん。これで暫く弾代には困らないじゃん」

 

能力ではなく銃のことを考えていた。

 

今時の子供の考えていることはよくわからないとはよく言ったものだ。

 

 

 

「この船出でもうこの町へは帰ってこないって本当!?」

 

「もうお別れなのかじゃん」

 

「ああ、随分長い拠点だった。ついにお別れだな悲しいだろ」

 

ヒグマを海軍支部に引き渡して数日後、フーシャ村の港でサクラとルフィがシャンクスと別れの挨拶をしていた。

 

「うん、まあ悲しいけどね。もう連れてけなんて言わねえよ!自分でなる事にしたんだ、海賊には」

 

「どうせ連れてってやんねーよー」

 

シャンクスはベーと舌を出して最後までルフィを茶化す。

 

「ははっ、一生の別れじゃあるまいしそんなに悲しくないじゃん」

 

「それはそれで悲しいんだが…」

 

しかし酒瓶を傾けるサクラは案外ドライだった。

 

「しかしお前らなんかが海賊になれるか!!!」

 

「なる!!!」

 

「なってやろうじゃん!!」

 

とルフィとサクラはここで決意する。

 

「おれはいつかこの一味にも負けない仲間をサクラと集めて!!世界一の財宝みつけて!!!海賊王になってやる!!!」

 

「俺はこの腕っぷしでいつかは世界最強を名乗る力を身に付けて世界を変えてやるじゃん!!」

 

一人は海賊王にもう一人は世界を変えることを誓う。

 

ルフィの中ではサクラはもうすでに船員らしいのだが、サクラはまだどうするか決めていない。寧ろ今はソロの賞金稼ぎを目指している、のだがそれを敢えて口には出さない。ここは空気を読むべきだ。否定は後でも出来る。

 

「ほう…!!おれ達を越えるのか………じゃあ…」

 

とどこか嬉しそうにシャンクスは自分の麦わら帽子をルフィの頭の上に被せる。

 

「この帽子をお前に預ける」

 

「!」

 

「おれの大切な帽子だ」

 

「…………!!」

 

「いつかきっと返しに来い、立派な海賊になってな」

 

とシャンクスは去り際に言う。非常に感動的な光景ではあるのだが、ルフィだけずるいと少しジェラシーを感じているところがサクラはまだ子供なのだろう。そんな感情が顔に出てたのかベックマンが微笑みながら近づいてきて、

 

「お前らは大きくなるぜ」

 

と二人に言い、サクラに自分の物とお揃いの銃身の長い銃を渡す。

 

「なに、これは恩の先行投資だ。お前の力ならこの銃を使いこなせるだろ。出世払いだ。お前が世界の高みに来たときにこの借りは返せよ」

 

とそれだけ言ってベックマンも船に乗った。

 

 

 

赤髪海賊団の船、レッド・フォース号が出港しもう見えなくなって港にサクラとルフィを除いて誰もいなくなったときにサクラが口を開く。

 

「じゃんルフィ」

 

「ん?どうしたんだよサクラ?」

 

とルフィはサクラの方を向いて聞き返す。

 

「なんかお前の中では俺はお前の船員らしいけど、俺はお前の船には乗らないじゃん」

 

「サクラおれの船に乗れよー」

 

「俺はソロの賞金稼ぎになるつもりじゃん。だからお前の船員になるのを断るじゃん」

 

「じゃあおれは断るのを断る!」

 

と将来も持ち合わせるであろうルフィの"決めた奴は絶対に船に乗せるスキル"を発動する。

 

「まあ、どうしても俺を船に乗せたいんなら俺を惚れさせろじゃん」

 

とだけサクラは言って、フーシャ村を去ってごみ山の隠れ家に走っていった。念のために言っておくがこの小説に薔薇要素は無い。作者はBLには全くと言っていいほど興味がない。寧ろ苦手だ。サクラの惚れさせろ宣言はあくまで『ルフィと海賊やったら楽しそうじゃん。よしルフィの船に乗ろうじゃん』みたいなものであって、決して『ルフィ愛してるじゃん。性別なんて関係ないじゃん。結婚してくれじゃん!』みたいな意味ではない。元はサクラは女かもしれないが、もう本人の努力で身も心も男である。

 

 

 

「おっ、サクラじゃねェか」

 

とサクラが隠れ家に帰ってきたときに丁度いたサボが迎える。

 

「あれっ、エースはどうしたじゃん?」

 

「エースならもう帰ったぞ」

 

「少し早くないかじゃん?」

 

「今日は結構儲かったからな、サクラのいない間に」

 

「……悪かったじゃん」

 

と自分の都合で自分一人だけ別行動していたことは事実だからサクラは素直に謝っておく。

 

「ところでサクラ、おまえが背負っているのはなんだ?」

 

とやっとサボがサクラが帰ってきてからずっと気になっていたことを聞く。

 

「ああ、これかじゃん。これはこの前言ってた赤髪海賊団の副船長から貰ったじゃん」

 

「本物の海賊の副船長からか!?いいな~」

 

とサボは憧れの海賊からプレゼントを貰ったサクラに羨望の眼差しを向ける。

 

「貸し一って言われたじゃん」

 

サクラは子供に貸しを作るような意外と大人気ない奴だと言いたかったのだが、

 

「しかもその海賊に期待されてるサクラってすげー!」

 

サボはそのようには取らなかった。

 

「……まあ、いいかじゃん」

 

サボの海賊に対する憧れに少し引くが、それは本人の問題だから口を出す必要は無いだろうとサクラはフッ、と少し溜め息を洩らして会話を切り上げた。

 

 

 

「よっエース、おはようじゃん」

 

翌朝何時もと同じ時間帯にエースが三人の隠れ家に走ってくる。エース曰く、これは山道修業らしい。サクラも暇なときによくやっているそれは中々足腰が鍛えられて良い修業だとサクラは思っているが、六式の内の『剃』を修得したいサクラにとってはやはり物足りない。

 

『剃』は一瞬で十回以上足踏みすれば出来るらしいが、そもそも十回足踏みすることからサクラは躓いている。他の五つの『月歩』『嵐脚』『紙絵』『鉄塊』『指銃』に関してはどうすれば修得出来るのかさえも分からない。分かることは少なくとも気合いでどうにか出来る技ではないということだ。コツというか、六式の技術みたいな事が分からないと永遠に修得出来ないだろう。

 

「おお、エース」

 

「ああ、おはよう。サクラとサボ」

 

「よしっ、三人揃ったところで今日も海賊貯金始めますかじゃん!」

 

 

 

「今日も結構儲けたな」

 

「でも、海にいた頃に比べるとやっぱり全然じゃん」

 

「はぁ、でもあれ以上やってると悪目立ちするだろ。ローブ倒したときだってかなりヤバかったと思うぞ。エースはあんまり目立っちゃいけねェ立場なんだからな」

 

とエースに文句を垂れるサクラをサボが諌める。

 

「分かってるじゃん。失言だったじゃん」

 

とエースが肩身を狭い思いをさせないためにサクラは笑いながら軽い雰囲気で言う。

 

「すまねェ…」

 

だがやはり身内に迷惑をかけていると自覚するエースは謝らずにはいられない。

 

「何、気にすんなじゃん。それに何時も言ってるじゃん。なんかあっても俺が助けてやるじゃん」

 

とエースの肩を抱きながらサクラが慰める。

 

「安心しろじゃん。"崩壊人間"の俺に勝つことが出来る奴なんていないじゃん」

 

サクラは偉大なる航路の後半"新世界"では自分はまだまだ通用しないということは分かっている。だけどそんなこと分からないエースの心の拠り所として"絶対に負けないくて必ず守ってくれる最強の兄"であろうとして何が悪い。嘘も方便、人を救う嘘もあるのだ。

 

「……でも最近おれの攻撃が当たるようになったよな」

 

そう最近エースはやはり海賊王の血筋ゆえか"武装色の覇気"をサクラほどではないが修得してきているのだ。

 

「でもその一撃もあたらなけりゃ意味ないじゃん」

 

しかし"見聞色の覇気"も使えるサクラには攻撃がまず当たらない。時々、気を抜いたときに当たるときも希にあるが"武装色の覇気"も使えるサクラは覇気の纏った攻撃も多少は受け流せるため、エースには殴った感触はあるかもしれないが、サクラに実質ダメージは無い。

 

「安心しろじゃん。俺なら世界政府が来てもお前を守りきってやるじゃん」

 

「ありがとう……!!」

 

とエースは自分を海賊王の息子、"鬼の子"と知りながらも、それでもなお世界を敵に回してでも自分の味方でいるというサクラの決意に感謝する。

 

「気にすんなじゃん」

 

 

それから一ヶ月がたった頃。

 

「よおエース、随分と今日は遅かったじゃん」

 

と最近遅刻が目立つエースを軽くたしなめながらサクラはエースに挨拶をする。

 

「ああ、今日はルフィって奴がやけにしつこかったからな」

 

「おいおい、そんなことで大丈夫なのか!?山道修業をやっぱ止めた方が良いんじゃねェのか!?」

 

と日に日に来る時間帯が遅くなっていくエースにサボはここに住むように言う。

 

「問題ねェよ。人が通れる様な道は通ってねェ」

 

とそれに大丈夫と答えるエース。

 

「まっ、くれぐれも無茶はすんなじゃん」

 

とエースの肩をポンと叩きながらサクラは言う。ルフィのことをサクラはかなり知っているのだが二人には言っていない。サクラの友人と言えば二人はルフィを受け入れるだろう。サクラはもう二人にとって大黒柱のようなものになっている。だが問題はそうじゃない。サクラが受け入れたルフィを二人が受け入れるのではなく、エースとサボが自分達でルフィという人間を知り、受け入れる事が大切なのだ。

 

ルフィがサクラたちの隠れ家に行き着くのはこの会話の二ヶ月後である。

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