伝説の転生者の物語   作:ゆっぴー

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第四十四話 ゴア王国で子供は大きな未来を

ここはゴア王国の端町。そこにいるのは数人のチンピラと一人の高身長のローブを羽織った男。

 

「オイ!!お前、ゴミ山から来たろ」

 

「その荷物何だ!?見せてみろ!!」

 

どうやらこのチンピラ達は男の荷物を奪おうとしているようだ。対する男のほうはブルッと身体を震わすと、

 

「うるせェチンピラ!!」

 

男の中から四人の子供が出てきた。

 

「金目の物を寄越すじゃん!!」

 

これではどっちが追い剥ぎか分からない。

 

 

 

そして端町を進むと小綺麗な中心街がある。中心街はちゃんと法治組織も機能していてさらに美しい町であり海外の人で賑わっている。

 

「ぷはーっうまかった」

 

「言ったろ、だから!!」

 

「でもマキノのには劣るじゃん」

 

「そうか?おれにはどっちもウマいけどなー」

 

エースの紹介で来たラーメン屋、中々の当たりだったようでサボもご満悦だ。

 

「あつ、これが"代金"じゃん」

 

そう言ってサクラはついさっき狩ってきたチンピラの金を出した。賞金稼ぎ業で稼ぎに稼いだサクラたちは節約のための万引きはせずに普通に代金を支払っている。贔屓にしている店の中にはサクラたちをVIP扱いする店もあるほどだ。

 

「また来たいなー」

 

「じゃあ明日また来るかじゃん?」

 

サボのぼやきにサクラが笑って答えると、

 

「サボ!!?サボじゃないか!!待ちなさい!!!お前生きてたのか!!!」

 

「い…!!おいお前ら逃げるぞ!!」

 

「家へ帰るんだ!!!」

 

シルクハットの男がサボに尋常じゃない様子で話しかけてきた。それを見たサボはサクラ達と逃げようとする。

 

「……!?おいサボ!!お前の事呼んでるぞ!!」

 

「誰だ!?あれ……!!」

 

「……!!人違いだろ、行くぞ!!!」

 

エースの呼び掛けにもルフィの問いにも答えずサボはただ逃げる。

 

「逃げるんなら俺に任せるじゃん」

 

ここで困ったときのサクラお兄さんの登場。

 

まず自分の足を遥か遠方に蹴り飛ばして、

 

「お前ら掴まるじゃん!『桜前線』!」

 

自分達もその足に向かって飛んでいった。

 

 

 

「何だよ、何も隠してねェよ!!」

 

「あ…そうなのか?」

 

「そんなわけねェだろ!!!話せサボ!!」

 

「ルフィは馬鹿かじゃん…ゴア王国にサボに似たサボって名前のサボゃない奴なんて居るわけねえじゃん」

 

隠れ家にサクラ達が戻って早々尋問を開始する。被告人サボは容疑を否定するが、サボは黒だ。証拠がそれを示している。

 

「おれ達の間に秘密があっていいのか?」

 

「「話せ」」「話すじゃん」

 

自分は実は異世界人という秘密を抱えるサクラが言えた事ではないが、そしてサボの事情も知ってはいるがこの話し合いに参加しておく。

 

「……」

 

しかしそれでも黙秘を続けるサボ。

 

「話せよてめェ!!!ブッ飛ばすぞ!!!」

 

「うわぁ」

 

それにぶちギレたエースとルフィがサボに襲いかかる。サクラはただただドン引きである。なんか聞かれたら直ぐに答えようと決心したサクラだった。

 

「……ぐ!!……ァ!!は!!話す、話すよ!!」

 

 

 

サボの事情はサクラの知る原作通り自分は貴族であり、サボを今日呼び止めたのはサボの父親であったということ。そして自分が家族がいながらに一人だったとサボは語った。

 

「……そうだったのか……」

 

事情を知ったエースも怒りを鎮めた。そしてサクラは、

 

「俺は絶対にお前を裏切らない、一人にはしないじゃん」

 

「うわっ」

 

涙を流してサボに抱きついた。

 

トリップという形で一度家族を失ったサクラ。その寂しさからサクラはこの世界で出会った新しい家族、エース、ルフィ、そしてサボにある意味で依存していた。故に事情を知っていたはずなのに思わず涙し、そさて感情が昂って思わずサボに抱きついてしまった。

 

「……サクラ、涙と鼻水でおれの服が…」

 

「……悪がっだじゃん…」

 

サボに指摘されてサクラは漸く離れた。

 

そしてサボは高らかに宣言する。

 

「サクラ、エース、ルフィ…!!!おれ達は必ず海へ出よう!!今度は東の海だけじゃなくて偉大なる航路に出よう!!この国を飛び出して…自由になろう!!!」

 

サボの話しは続く。

 

「広い世界を見ておれはそれを伝える本を書きたい!!航海の勉強なら何の苦でもないんだ!!……もっと強くなって海賊になろう!!!」

 

「ひひ」

 

サボの夢にエースは笑って答えた。

 

「そんなもんお前に言われなくてもなるさ!!おれは海賊になって勝って勝って勝ちまくって最高の"名声"を手に入れる!!それだけがおれの生きた証になる!!!世界中の奴らがおれの存在を認めなくても、どれ程嫌われても!!!"大海賊"になって見返してやんのさ!!!おれは誰からも逃げねェ!!!誰にも負けねェ!!!恐怖でも何でもいい!!俺の名を世界に知らしめてやるんだ!!!」

 

「ししし…!!そうか、よーし」

 

今度はルフィが誓う。

 

「おれはなァ!!!……海賊王におれはなる!!!」

 

「「は??」」

 

「アハハハハハハ!!ルフィ!お前最高に面白いじゃん!」

 

それに、そのルフィの信念の強さにサクラは思わず動かされた。

 

「じゃあ俺は…俺はルフィを海賊王にしてやるじゃん!!」

 

「なっはっはっはっはっはっ」

 

「……お前は…何を言い出すかと思えば…」

 

「あははは、面白ェな、ルフィとサクラは!!おれ、お前らの未来が楽しみだ!!」

 

ルフィとサクラの宣言に呆れるエースと笑うサボ。だが目下の問題はそこじゃない。

 

「……でも三人が船長になりてェってのはマズくねェか?」

 

それに頭のいいサボが気づく。

 

「思わぬ落とし穴だ。サボ、お前はてっきりウチの航海士かと」

 

「お前らおれの船に乗れよー」

 

「まつ、将来の事は将来に決めようじゃん」

 

「もしかしたら三人はバラバラの船出になるかもな!!」

 

サボがサクラの発言に付け加える。

 

「ああ、だが今はそれよりも」

 

「あ!ダダンの酒、盗んできたな!?」

 

エースが切り株の上に四杯のの盃と一本の酒瓶を置く。そして、

 

「そんな安酒より飲むならこっちじゃん」

 

それをサクラが投げ飛ばして自分の酒を置いた。

 

「……まあいいか。盃を交わすと"兄弟"になれるんだ」

 

「兄弟~!?ホントかよー!!」

 

「ルフィ、黙っとくじゃん」

 

「海賊になる時、同じ船の仲間にはなれねェかも知れねェけどおれ達四人の絆は"兄弟"としてつなぐ!!どこで何をやろうとこの絆は切れねェ……!!これでおれ達は今日から兄弟だ!!」

 

「「おう!!!」」

 

「乾杯じゃん!!」

 

 

 

それからの数日間はサクラにとって平和な数日間だった。"奴"が来るまでは。

 

 

 

平和な数日間のとある日、サクラたちは海岸に来ていた。何故ならば珍しくこのゴア王国に海賊が来ていたからだ。しかし海賊といっても大して強くない、懸賞金が百万弱の弱小海賊だ。

 

「久々の海賊だな」

 

エースが隣のサクラに話しかけるが、

 

「ああ、久々の海賊"だった"じゃん」

 

サクラはお得意の『トリックショット』で海賊を片付けてたようだ。

 

「……ああ、久々の海賊"だった"な」

 

 

 

 

「やっぱ賞金稼ぎ業は中々金になるじゃん」

 

ちょちょいと近くの海軍の駐屯所に海賊を引き渡し、賞金を貰って来たサクラは少しいい酒をグビグビと飲みながら船を降りてフーシャ村に着いた。

 

「今日の晩飯はどうする?」

 

買うか捕るか、とエースがサボに聞く。サクラは基本どっちでもいいと答えるからこういったことは聞かれない。

 

「そうだなァ…今日は虎にすっか!!」

 

「おっ、いいねェ」

 

「うめェんだよなー虎メシ」

 

「お前は何でも旨いって言うだろうじゃん」

 

「そうか?にししし」

 

「あっ、今日はおれ達だからな!サクラは木の上ででも見ててくれよな!」

 

「分かってるじゃん、サボ。俺は木の上でこいつを飲んでるじゃん。……あと、虎ならそこにいるじゃん」

 

談笑しながら森の深くに来ていたサクラ達は不意にサクラが指差した後ろを見て驚く。その虎は体長10m近くあった。

 

「「「出たあああああ!?」」」

 

一斉に駆け出す三人と、

 

「じゃん」

 

一瞬で狩られるサクラ。しかしボロボロの実の能力者であるサクラにはダメージはなく、粉々になって散るだけだった。

 

 

 

「全くお前ら…勝って兜の緒を締めよって言葉を覚えておけじゃん」

 

「「「すみませんでした」」」

 

あの後何とか三人がかりで虎を倒したが、まさか後ろにもう一頭いるだなんて三人は全く予想していなかった。虎に襲われたルフィは動けなかったが、そこはサクラが『手鞠桜』でカバー。大事には至らなかったが、緩んで居たことは事実なので甘んじて説教を受ける三人だった。

 

「……でも勝って兜の緒を締めよってどういう意味だ?」

 

ここで言葉の意味が分からなかったルフィがサクラに聞く。

 

「ああ、勝ったからって喜ばず、逆に勝ったからこそ気を付けろ、って意味じゃん」

 

「なるほど!じゃあ、おれは今から気を付け…ああああぁぁぁぁぁ」

 

「「ルフィ!?」」

 

「これ持ってるじゃん!」

 

気を付けろと言った側から吊り橋の板を踏み抜いて落下するルフィ。そんなルフィを見てサクラは自分の左腕を千切り、エースに託して自分もルフィの後を追う。

 

「ルフィィィィィィ!!」

 

「うわーん!サクラー!!」

 

ルフィに追い付いたサクラはルフィを抱き締めて、

 

「『桜前線』」

 

安定の能力を使った移動。サクラの能力はとても汎用性が高い。

 

 

 

「ふいー、極楽極楽じゃん……ブクブグフク…」

 

大虎を二頭も持ってきたサクラ達四人であったが、食事という名の戦争ではダダン一家には肉片一つ渡さず四人で食いつくし、現在は四人で風呂に入っている。

 

「おいー!?サクラ!!沈んでんぞ!?」

 

「うぃー……ブクブグフク…」

 

「ルフィー!!」

 

余りの気持ちよさと能力者の欠点でどうしても風呂に沈んでしまうサクラとルフィはエースとサボの介護無しではもう風呂に入ることはできなかった。

 

 

 

「おいっ、ルフィ!早く水を吐き出せ!!」

 

「ピューピュー」

 

エースの懸命の心臓マッサージで漫画のように水を吐き出すルフィ。…いや、これは漫画の世界なのだから不思議はないのだが…。

 

「はっ、何やら対岸に綺麗な花畑が見える川で溺れてた気が……!」

 

「……ハァ、とりあえずその川はダメだぞ、サクラ」

 

サボの優しさと突っ込みが痛かった。

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