伝説の転生者の物語改第四話
「本気でやっても…本気で殺っても良いんだよね?」
そう言った少年。名前はスコウェルト・イープ。先日王下七武海の"鷹の目" ジュラキュール・ミホークを倒して密かに世界最強の剣士と呼ばれている海軍本部雑用"剣帝"イープだ。彼が今これからの戦いに期待して目を輝かせている。まさしく戦いを楽しむ者の目だ。
イープがどのような正義を掲げるかは今はまだ分からない。しかしイープは将来間違いなく海軍を引っ張っていく存在になる。それだけの実力がある。
しかし新入りに簡単に負けていいほど海軍大将の看板は軽くはない。それがいくら将来が有望な海兵だからといってもだ。
「無論だ。それくらいで来なくては俺たちの相手にすらならんだろう。」
と言って上着を脱いで拳を構えるセンゴク。
それに対して少年は、
「よかったよ。じゃあ…行くよ!」
と言っておびただしい密度と量の殺気を全身から出した。その殺気の濃さに二人が怯んだほんの一瞬にも満たない。だが文字通り刹那にも劣る隙をイープは見逃さない。イープはまずガープに接近する。そして木刀で首をはねようとする。イープクラスになると木刀で首はねなど容易い。それをガープ中将は初めは首を軽くのけぞらせてかわす。その時何かに気付いて、
「お前ら、伏せんかぁ!!」
と叫ぶ。
当然海兵の皆は一瞬混乱する。しかし流石は世界三大勢力の一つだ。皆上司の言うことを聞いてちゃんと伏せる。この判断は正しい判断だ。なんと言ってもスコウェルト・イープは最高クラスの剣士だ。それもあの"鷹の目"にも勝てる程の。そんな化け物の斬撃は木刀でも当然"飛ぶ" 。
ガープ中将がかわした事で斬撃はそのまま飛んで行く。そして施設を切る。だがそれでは止まらない。その直線上にある海に着弾する。
ドッゴォォォン!!
そして文字通り海を"叩き割った"。そそんなことがあってもこの戦いが止まらない。止まるだなんて有り得ない。しゃが んだまま呆けているガープ中将。当然だ。四才児が木刀で出したとは思えない威力の斬撃を出したのだ。そしてその呆けた顔面にイープは膝蹴りを叩き込む。が、
「鉄塊『空木 』!」
とガープ中将は自分の筋肉を硬化して防御する。寧ろ攻撃してきたイープにダメージを与えようとさえする。しかしイープも『鉄塊』を使える。故にダメージはない。鉄と鉄がぶつかり合った耳を塞ぎたくなるような轟音が施設に鳴り響く。半壊した施設は今にも崩れそうだ。原因はイープが海兵をお遊びで飛ばしたからだ。先程のガープの『空木』でダメージを負わなかった。だからイープの攻撃は終わらない。いや負っていたとしても止まるわけがない。そのまま足を振り抜いてガープ中将を吹っ飛ばす。いや実際は吹っ飛ばすことは出来なかった。十数m後退させる程度に止まっている。
この戦いは二対一。相手は"英雄"ガープだけではない。イープはガープに攻撃をしている集中していた。その隙に左側からセン ゴクの豪腕が迫る。ガープを蹴った為にイープは今空中にいる。このタイミングであれば間違いなく直撃する。そしてイープはぶっ飛んでいくだろう。それはしもしもイープが六式使いでは無かったらの話であるが。
「『月歩』」
これでイープはセンゴク大将の攻撃をかわす。そして追撃しようとする二人を牽制するために木刀を突くように構えて、
「狙撃『大槍』」
回転を加えながら木刀を突き出す。
そのとき発生した先の尖った竜巻が『月歩』を二人に襲いかかる。それを二人は仕方なくそれを回避する。そして二人は直ぐに追撃を止めてかわしたことが正しい選択だったと気付く。それは『大槍』の威力を目の当たりにしたからだ。二人は『大槍』をかわした。それによって竜巻は床に当たった。そして『大槍』はそのまま底が見えない程の大穴を空けたのだ。それも愛刀の"帝"ではなくそこら辺の木刀で。そしてイープはその隙に体勢を立て直す。
「なかなかやるのう!」
「そう言う君もまだ無傷だよね」
相手は世界トップクラスの戦士。化け物のイープも本気で蹴ったのに無傷だ。やはり"英雄"ガープもまた化け物である。このような人外クラスの化け物たちには打撃は通じない。木刀も"帝"に比べて切れがいまいちだ。期待できない。しかしセンゴクとガープも手詰まりだ。何しろ相手の戦力は未知数。その上覇気と『六式』を幾つかの使用が確認されている。下手に仕掛けると間違いなく手痛い反撃を食らう。そういって戦いが膠着状態になる。だが双方気を抜く事はない。こういった場合、隙を見せたり先に仕掛けた方が負けるのだ。それはイープもよく分かっている。自分の体に刻み込んである傷が忘れさせない。
しかし何時までもこうして構えてるだけではいけない。ガープがイープに向かって接近して仕掛けてくる。しかし 途中で躓いて転けてしまう。一瞬イープは罠かと思う。あの"英雄"が戦いの最中にこのような凡ミスを犯す訳がないと。イープ動きが止まるもそれは一瞬。直ぐに意識を集中させる。そして当然隙だらけのガープに斬りかかる。罠かどうかなんて関係無い。これが勝つための最善手なのだ。
その瞬間にニヤリ、としてやったりと笑うガープ。そう、イープはも謀られたのだ。しかしここで仕掛けるべきであろうセンゴク大将は何の動きを見せない。
(もしかすると連携ミスかな?)
どちらにせよイープは隙だらけのガープに退場してもらうことにする。イープは木刀でガープに斬りかかる。あと少しでガープを切り伏せられたところでガープが動く。ガープが思いっきり地面を叩いて空気中に砂埃を舞わせる。その瞬間にイープの第六感が警鐘をかき鳴らす。
(左側から何か来る!)
この場で手を出すことが出来るのはセンゴクのみだ。多分大仏化しているセンゴクがいるであろう所に勘でイープ斬りかかる。
自然系や、動物系などは能力で体の一部分を変化させる。そしてその能力は多かれ少なかれタイムラグが生じる。つまり体を変化させる瞬間は完全に無防備なのだ。ガープの目眩ましはその為の時間稼ぎだったのだ。だからこの瞬間にセンゴクを落とせばイープが有利になる。逆にこれを外せば今度はイープが無防備になる。そしてセンゴクの変身を許すことになる。そうなれば二人によって袋叩きに遭う。全員にとってこれは一か八かの賭けなのだ。そしてイープはその賭けに勝った。
イープの手に感じるのは斬撃が届いた感触。そして周りの砂埃を真っ赤に染める鮮血。そう、センゴクを右肩から左脇腹にかけてをイープが木刀で切り裂いたのだ。
しかしその斬撃が決まっただけで勝負が決まるわけではない。その瞬間にイープの右脇腹に重い衝撃が走る。そしてそのまま吹っ飛ばされる。ガープに殴られたのだ。一方が攻撃されればもう一方が敵を攻撃する。それが二対一の戦い方である。この"英雄"の一撃は重かった。これでイープのあばらが何本か逝ってしまった。
「大丈夫かぁ、センゴク!?」
と負傷したセンゴクにガープが気を取られてほんの一瞬油断する。
「ゴフッ…僕と戦ってるのによそ見するなんていい 度胸だね。」
そしてその一瞬をイープが見逃すはずがない。背後を取りイープは血を吐きながらも木刀を構える。
「そげ…クッ!」
しかしガープに止めを刺そうとした瞬間に邪魔が入る。イープはセンゴク(大仏ver.)の衝撃波を防ぐ為に攻撃を中止する。そして木刀を前に出してで守りの体勢に入る。
ゴォォォォオオン!!
と数m飛ばさせながらもセンゴク大将の攻撃を防ぎきったイープ。そしてセンゴク大将は今度こそ力尽きて倒れた (死んではない)。しかし、
「あーあ、木刀が粉々になっちゃったよ……」
片や得物を無くしてあばらが何本か逝った状態であるイープ。片や無傷でなおかつ化け物クラスの防御力ほ誇る "英雄"ガープ。これはイープのゴマピーンチ状態だ。
(下手したら"あれ"しか通じないかもしれないけど" あれ"は下準備にかなり時間がかかるし却下だね)
今イープが使える最高威力の技というのは『指銃』だ。因みにイープは『六王銃』を使えない。どうしても『紙絵』を攻撃に応用出来なかったからだ。
閑題休話。
とにかく今イープは六式を駆使してガープを倒さなくてはいけない。 イープにとっては得物の使えないここからが本番である。
そしてそろそろメインディッシュを始めようかと、お互いに拳を構えたとき、
「海賊船だぁ!!」
「あれは、総合懸賞金額三億二千万ベリーの"銃撃" 海賊団だ!!」
と海兵が叫ぶ。
ここは海軍本部があるマリンフォード。海賊船が来るなんて本来有り得ない。それに海賊は総合懸賞金額三億越程度。その程度で海軍大将の耳に入れるのは間違っている。本来は大将が戦闘することなど有り得ない。大将には事後報告だけで敵は最大で中将が処理すべきなのだ。しかし今は状況が違った。イープと海軍本部のトップの戦いを見ようと人が集まっていた。海軍本部にいる少将以上は全て。つまり報告すべき上官も海賊の相手をする者も全てこの場に居るのだ。事情が事情なため海軍大将の耳を煩わせても仕方がない。
しかしこの"銃撃"海賊団は愚かだ。海軍本部にケンカ吹っ掛けて勝てる訳がないのに。そしてイープが一番感じているのは、
「総合懸賞金3額億程度のせいでこんな楽しい時間を止められたっていうのかな?」
"怒り"以外の何物でもない。相手は自分たちが最強と思っている残念海賊。確かに懸賞金は上限の三億だ。だがそれは船員の懸賞金の合計。みんな集まってやっとその程度なのだ。その程度の実力でイープとセンゴクたちの戦いを止める事は許されない。
「はぁ、これじゃあ模擬戦は中止だね…。最悪だね…じゃあ、ちょっと潰して来るよ」
とイープは言って楽しい模擬戦を中止する。そして帝"を片手に外に出た。
ここはマリンフォード海岸。イープの目の前には(といっても200mぐらい先にだが)ボロ舟が一隻。大体海軍の軍艦の10分の1もない。しかも相手は雑魚が五十人弱。准将一人、又は大佐一人と中佐一人の二人が向かえば余裕で制圧が可能なレベルだ。勿論この程度で本気でマリンフォードを制圧出来ると考えていない。そこまでこの海賊団は愉快な思考回路をしてない。一言でいうなら運が悪かったのだ。航海の最中に偶然出会った格上の海賊。彼らに船長をはじめとした主戦力を全員倒されてしまう。そしてそのまま遭難していた。すると偶然マリンフォードに到着してしまったのだ。何とも間抜けで救われない海賊だ。だがここは偉大なる航路。そのような理不尽が日常的に起こる。だが被害に遭ったのは極悪な海賊。故にこのような仕打ちは理不尽でも何でもない。
ここまで呆気ない程の弱小海賊。たしかに彼らは総合懸賞金額三億越えではある。だがイープのテンションは下がるのは仕方がない。イープは密かに期待していた。相手はマリンフォードに殴り込む海賊。だから実力は王下七武海クラスは在ることを。だがそんな淡い期待を打ち破られた。それ故今イープは凄い脱力感に襲われている。しかしそんな脱力感も数秒だけだ。それからは怒りが沸き起こる。当然期待に応えてくれなかった海賊に対してだ。
「君たちのせいで折角の時間が台無しじゃないかぁ ぁぁ!!狙撃『大槍』ぃ!!」
海賊船にその怒りをぶつける。八つ当たりではない。妥当な攻撃だ。イープの心からのシャウトと共に爆音が響き渡る。そして一撃でボロ舟をバラバラに解体する。今残っているのは鉋で削られたような木の皮と成り果てた船だった物。そしてバラバラな肉片すら残ってない人だった物だけだ。そしてその後ら巻き上げられた人肉と舟の残骸が海に落下する。それを見ていた隣の海兵が、
「回収がめんどくさいな…。」
なんて言っている。それを気にする必要は無いだろう。そもそも回収するものが残ってないのだから。