伝説の転生者の物語   作:ゆっぴー

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ネタ回です


第五十五話 コノミ諸島で喜劇俳優は超次元なサッカーを

スリラーバークを出てからは特に大した事もなく偉大なる航路を抜け、東の海にたどり着き、そして目的地コノミ諸島にたどり着いたらイープとヤマト。

 

描写が少ない、手抜きだこれが世に言う"キングクリムゾン"略して"キンクリ"かと思うかもしれないがこれがイープの中での普通、これが常識。本来予測不能な偉大なる航路の台風を予知して、さらに蹴り飛ばすような輩に足止めなど基本的に存在しない。寧ろモリアたのように描写するに足る障害の方が稀有な存在だ。

 

強いて言うなら途中通り掛かったウォーターセブンで思い出したかの様にバトルフランキーを粉砕しただけである。

 

イープの思惑通り、ちゃんとトムが無罪となったのは別の話。

 

しかし偉大なる航路から船の数倍の速度でここまで来た一人と一匹もアーロンよりも来るのが遅く、もう彼らはベルメールの家までたどり着いていた。

 

まず彼らとイープではスタートした時すら違ったのだ、寧ろここまで差を縮められた事を称賛すべきである。しかし真っ直ぐここに来ていれば、イープは彼らを追い抜くことができていた。では何故今ギリギリここに到着しているのか。

 

「うわー、ヤバイよー、ギリギリだよー」

 

「…………自業自得(それは主が血糊袋なんて物を面白半分で買うからでしょう。キリキリ走れば良かったものを……)」

 

一重にそれはイープの子供心をくすぐる面白いです一品を見つけたからだ。緊張感が足りなすぎる。

 

「じゃー、僕はー行ってくるからー、ヤマトはーステイー」

 

犬じゃねえんだぞ。

 

「…………御意」

 

「よしー、じゃー、任せたー」

 

しかしそれも本人が良しとするのならば問題は無い。

 

ヤマトを着地した港に留まっているように言うと、イープは丘の上の煙突から煙の上がっている家へと初速にして最速で最短を『剃』と『月歩』駆ける、翔る。

 

 

 

「ナミ!ノジコ…大好き」

 

大怪我を負った女が娘達に最期の言葉を贈る感動的な場面。しかしそれを感動的な場面で終わらせてはいけない。そんなことをすればイープが本当に何をしに来たのか分からなくなってしまう。そしてこの島の人達に顔向けできない。

 

そして何よりコミカル&スプラッタを信条とするイープはシリアス展開が大っ嫌いだ。しかしそんな信条で良いのか、海兵。

 

バンバンバン、アーロンのそれを嘲笑うかのような弾丸を、

 

「飛ぶ指銃『撥』」

 

ビシビシビシとイープは弾く。しかし弾くだけではつまらない。せっかくギリギリな思いまでして買った血糊袋、使わなくてはネタ好きの名が廃る。

 

「打ち水『っぽい』」

 

名前が適当なことこの上無い。なんだ『っぽい』って、『矢武鮫』とかもっとかっこいい名前があっただろうに。確かに打ち水と見せかけてただ水の入った袋を投げるそれはまさしく"打ち水っぽい"が、確かにその適当なネーミングはイープらしいかもしれないが。

 

そさて見事『っぽい』は漢らしい母親、ベルメールに全て命中。手加減はしたものの、あまりの威力にベルメールは気絶。まさにイープの計画通り。

 

「「おかあさぁん!!」」

 

母の死に泣きじゃくる義娘二人。しかしまだだ、まだイープは出ない。最悪の悲劇を最高の喜劇に、終わり良ければ全て良し。まだインパクトが足りない。

 

 

 

「放して、放してー!!」

 

蛸がナミの海図を発見し、それに才能を見いだしたアーロンがナミを連れていくと言う。弱者に拒否権など無い。蛸に捕まえられた女の子に抵抗する力などあるはずも無く、声をあげて無くしかない。しかし当然それで腕を放すわけもない。放すわけもない、だから、

 

「手を放さないなら手を離そー……分かりづらいなー」

 

手を蛸から千切り離した。聞いてる側からすると大差ない"放す"と"離す"。しかし現実は全く違う。

 

「ニッ、ニュ~~~~!?」

 

「どうした、ハチ…ってどうした!?」

 

部下の叫び声に振り向いたアーロン。てっきりナミに噛まれた位かと思いきや、知らない男に腕を千切られているではないか、本当にどうした。

 

「手を放さないから手を離してみたー的なー?」

 

「何言ってるかわかんねェよ!!」

 

余裕のイープと余裕の無いアーロン、そこにユーモアの差が出ていた。

 

そして余裕の無いアーロンに更なる追い打ちがかかる。

 

「うーん、胸が…痛い…?」

 

「…………!?」

 

自身が撃ち殺したはずのベルメールの復活。これにはアーロンの開いた口が塞がらない。だって確かに自身の弾はベルメールに当たったはずなのだ、ちゃんと血も出てた。その箇所は確実に致命傷となるはずの所だ。これならば例え悪魔の実の能力者といえど死ぬはずだった。

 

しかし死んでいない。当然だ、アーロンは知らないものの、銃弾なんて一発も当たっていないのだから。それでもベルメールは何故痛がるのかというと、純粋にイープの『っぽい』の威力が強すぎて、肋骨を数本折ってしまったからだ。これにはイープも頭が上がらない。

 

「アッハッハッハー。間ー抜ーけー」

 

「「おかあさぁん!!?」」

 

母子の感動の再会のはずなのに、それを邪魔するイープの高笑い。アーロンを指差して大笑いしているそれは完全に相手を馬鹿にしている。

 

「良いだろう…ぶっ殺してやる、下等生物が!」

 

遂に堪忍袋の緒が切れたアーロン。目が鮫の目となり、それが本当にアーロンがぶちギレたことを表す。

 

イープを軽々と持ち上げるとベルメールの側に叩きつけて、何度も何度も踏みつける。

 

しかしそんなものイープには効かない。たかが人間の十倍強い肉体を持ったからといって驕り高ぶる奴の蹴りなんてたかがしれている。

 

「やー」

 

「……あっ、はい」

 

しかしそれはイープの中での話であって、一般的には魚人の蹴りなんて、一発で致命的だ。

 

そんなものを喰らいながらも平然とベルメールに話し掛けるイープに呆然としながらも返事ができたベルメールは凄い。

 

「今からー、これら皆殺しにするからー、その娘らを家に戻した方が良いよー。そしてー、彼女らの耳を塞ぎながらー、子守唄を歌ってやるのがベストー」

 

親指でクイックイッと家の方を指差して軽い調子で言うイープは現在アーロンの蹴られている人のそれじゃない。

 

しかし何とか脳内でイープの言葉を処理することができたベルメールはナミとノジコを家へと連れていった。

 

さて、やっと邪魔者が消えた。まぁ、邪魔者と言ってもこれからやることはあまりに凄惨であるが為に若い娘二人に見せるには忍びないという、イープのなけなしの良心が働いたからであるのだが。

 

しかしここまでイープを蹴ったアーロンには相応のお返しをせねばなるまい。

 

「サッカーしようぜ!」

 

目には目を、歯には歯を、蹴りにはサッカーを。ただし、超次元で。

 

一気にとびあがったイープはヒールリフトの要領でアーロンを上げ、自身も『月歩』でかけ上がる。

 

イープの前世は御劔、御劔の劔は剣の旧漢字。よって今回走るネタは剣城で統一だ。

 

「『デスドロップ』」

 

地面に頭を向けた状態でオーバーヘッドのような蹴りをアーロンの腹部に放つ。

 

「ガァッ!」

 

「『デスソード』」

 

イープはアーロンがぶっ飛ばされた先に回り込んで、その飛ばされた勢いを殺さぬよう、カウンターが決まったかのように今度は背中にヤクザキック、『デスソード』をぶちこむ。

 

「『ロストエンジェル』」

 

そして更にぶっ飛ばされた先に回り込んで、帝で一閃、『ロストエンジェル』。今度は吹き飛ばさずに真っ二つだ。

 

流れるようなシュート三連発でアーロンも完全にゴールしてしまっている。

 

「さあー、僕はー今とても機嫌がいいからー、選ばせてあげよー」

 

イープはどちらも好きだから、どのみち殲滅は確定なのだから、

 

「魚のたたきとー、魚の刺身ー、どちらが好きかー?」

 

死に方くらいは選ばせてやろう。

 

「魚人空手『百枚瓦正拳』!」

 

しかし勿論魚人達も海賊、ただ一方的にやられる訳がない。

 

トップは殺られ、剣士も腕をもがれて戦闘不能。 蛸だから生えてはくるものの、ナメック星人のようにニョキッと生えてくる訳がない。

 

ならばアーロン一味の幹部の自分が先陣を切るしかない、と魚人空手四十段のクロオビがイープに挑む。

 

「注文入りましたー!エイのたたき一丁ー!!」

 

しかし効かない。並みの海兵程度ならば十人纏めてノックアウトな自分の必殺技がこけにされる。

 

「パンチっつーのはー…こーゆーのを言うんだぜー!」

 

その場にいる誰も見えなかった。イープが拳を振りかぶる所までは見た。クロオビはここでイープのテレフォンパンチを止めにかからず距離を取ることにした。

 

その判断は半分だけ合っていた。超タンクファイターヤマトを意識したイープの拳を止めることは不可能。その判断は間違ってはいない。ただ距離を取るというのが間違いだ。イープのはただ距離を取ればどうにかなるレベルのパンチじゃない。

 

だったらどうすれば良いのか、と言われるとどうしようもないと答えるしかない。強いて言うなら、彼らがここを襲った事がそもそもの間違いであった。

 

イープの柄にあわないテレフォンパンチは、それでも理不尽な威力を誇り、クロオビは勿論のことその延長線上いた魚人すらも木っ端微塵に消し飛ばす。そこには血液一滴すら残っておらず、"弾き飛ばす"くまの掌が可愛く見える悪夢がそこにあった。

 

「一撃で駄目なら分散して!」

 

ここで出張る最後の幹部、キスの魚人のチュウ。イープの後ろを取り、クロオビの一撃がだめならばと、十数発の水弾でイープに襲いかかる。

 

当然イープにそれが一つでも刺さる事はない。

 

「刺身一丁入りましたー!狙撃『大槍』!」

 

その瞬間、チュウら魚人十人が消滅した。たたきと刺身、過程は違えど結果は全く同じ、終わりは消滅であった。

 

「「「ひっ、ひぃーーー」」」

 

アーロンや幹部が通じない世界、それに彼らは一つだけ心当たりがあった。最近王下七武海に加入し、自分等をシャバに解放した張本人"海侠"ジンベエその人だ。正直言って、あれには自分等何人がかりでも勝てないと思った。それクラスが今目の前にいる、しかも自分等をころすつもり満々で。

 

逃げるしかない、なるべく散り散りになって、少しでも誰かが生き残る確率を上げるために。

 

幸いあの化け物、イープは追って来ない。諦めたのか、他にやることがあるのかは知らないが、彼等にとっては行幸。海に入ればこっちのものだ、逃げ切れる。

 

と、思ってた時期が彼等にもあった。

 




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