バイオハザード 生物兵器の彼女は何を思うのか 作:コーちゃん元帥
研究施設に突入してから小一時間、アンブレラの特殊部隊『U.S.S』のアルファチームはあるトラブルが発生していた。
研究施設の中層フロアに到達したときに警備システムが誤作動、更にどこからかガス漏れしていたのか電線のスパークで引火、それによって部隊が分断されてしまったのだ。
「そちらの状況は分かった。別ルートで最深部を目指せ…………こちらの心配はするな、お互い任務を果たせ、over」ハンクは通信を切り自身達の状況を再確認する。
隊員が2名、いずれも負傷なし
「ハンクよりピクシーへ、応答せよ」先程の話ではピクシーは現在単独であった。
『こちらピクシー…………状況確認』
「よし状況を説明せよ」ハンクとしては内心、タイラント型でなくて良かったと思った。
そして常人離れした身体能力を持ちながら意志疎通しての作戦行動が出来るのは現場としてはメリットが大きかった。
『現在、最深部に移動中………でも問題発生………謎の武装集団を確認、装備及び部隊章から米国の恐らく特殊部隊と推測…………指示を乞う』特殊部隊は想定外だ。
だがその疑問も直ぐに無くなる。
「ならば排除しろ、一人も逃がすな」
『了解、これより戦闘に入ります。over』
「よし、わたし達も行くぞ」ゾンビを倒しながら任務達成の為に動くのであった。
「装備確認…………大丈夫……………排除行動開始」と3階相当の高さはある所から飛び降りそしてBOW用ハンドガン…………だがそれはライフル弾を打ち出す大型拳銃である。
むろん常人ではまともに扱えない
動体視力などが格段に向上してるピクシーにとっては歩く軍人などあくびが出るほど退屈な的でしかなかった。
装填数6発の弾丸は全て軍人の頭部に命中し見るも無惨な状態になった。
「てっ……敵だ!」と残りの軍人が着地したピクシーを撃とうとするがBOW用マシンガンを即座に掃射され戦闘開始僅か3分足らずで特殊部隊が壊滅した。
「弱い………」素直な感想だ。
これならハンターやタイラントと遊んだ方が楽しかった。
生存してるか確認してから使えそうな手榴弾など拝借しハンクに報告しようとした時だった。
「そこのお前!動くな!」増援か?ともかく動きを止める。
「銃を置いて手を後ろに!」と言う通りにする………とでも思うか?
相手を騙す演技やいたずらなどなぜか積極的に教えてくれる人がいたので思い付いたのは………
手榴弾を銃弾で起爆することだ。
死体に括り付いてる手榴弾を即座に撃ち抜く、むろん撃たれるがこの特殊コートなら防げるのでそこから反撃する。
BOW用マシンガンを掃射しながらタイラント由来の跳躍で三階の連絡通路に戻りそして敵の通路を手榴弾やハンドガンで壊す。
電子盤を破壊し更に開けるのが困難なように手榴弾で扉等をひしゃげさせて脱出不能にする。
そして敵は6人………だがダクトから聞き慣れた音が響く鉄をひっかく音に四足歩行特有の音、それがダクトの出入口から大量に現れた。
全身の筋肉が剥き出しになっており頭蓋骨を突き破った大きな脳みそそして長い舌に鉄すら安易に切り裂くであろう巨大な爪、感染者が十分な栄養を摂取出来た場合のみ変異する『リッカー』だ。
耐久力も高く聴覚が発達してる。
これはチャンスだと判断した。
少なくとも十数体はいるのだ。
側にある適当なガラクタを下にいる生き残りに投げる。
そうすると音が盛大に響きリッカーは音の方にそして迎撃するために撃つ軍人に群がるのである。
自身は何もしない
ただ静かに去るのであった。
蹂躙されてるであろう軍人の叫び声が響き渡るエリアから………………
「こちらピクシー、敵勢力の全滅を確認………指示を乞う」
『こちらハンク、司令部の指示に従え』とチャンネルを変えると司令部に繋がる。
『ピクシー、聞こえるかね?』
「聞こえます」
『いま君がいるのは中層エリアそれの西側になる。中央エレベーターを目指しそれから最下層に降りろ、そうすればいずれは合流も出来る筈だ』どうやら上層から下層までの3層に東と西で別れた計6エリアあるそうだ。
「了解…………直ちに向かいます」とゾンビを蹴散らしながら小休憩も挟み栄養補給もしながら進む、ロックのかかった扉も基本的には力ずくでこじ開け進む
そして着いたは良いが問題がまた発生した。
中央エレベーターが動いていない。が、もう片方の壊れた非常用エレベーターに目がいく
ケーブルが途中で途切れているがハシゴやいやピクシーなら跳躍を駆使すれば難なく降りれる。
『仕方ない、やってみたまえ』と指示を受け、中の骨組みを利用しながらピクシーは軽快に降りていく
そして落ちていたエレベーターの天井をぶち破り到着する。
『流石だな、そのままデータベースを保管する保管所に向かえ』
いく先々ゾンビやリッカーなどいるがピクシーにとってはただの栄養源なので問題はなかった。
そして行く途中だがある部屋を見つけた。
BOWを保管してる実験室だが目的はその先なので入る。
「保管所………データベース………確認………」電子機器の扱いも教わり慣れた手際で打ち込みそして持ってきた記録デバイスに全データを記録させた。
「司令部、データの回収完了、脱出路のナビゲーションをお願いします」
『よろしい、ならばセキュリティールームに向かえそこにアルファチームが待機してる』と早速ナビゲーションに従い、行動する為の不安要素を排除に移る。
先のBOWを保管してる実験室だ。
デバイスを操作して培養液に浸かってるカプセルのロックを厳重に書き直す。
これでちょっとしたことで誤作動もないだろう
そしてまた苦もなく進んで行く
一定の技能に加えて戦闘能力や判断力、十分なバックアップがある。
順調に進むが途中でゾンビとは違うと判断出来る存在を目撃した。
「生存者?」確定ではないので何となく呟いた。
そうしたら物陰から勢いよく白衣の男が現れた。
「う、撃たないでくれ!生存者だ!!」と白衣は血まみれだが怪我とかはしてない
『どうした?何か問題でも?』
「生存者を確認、負傷なし、指示を乞う」
『空気感染の恐れがある。処分しろ』下された命令は非情であった。
だがなんの気まぐれか?ピクシーは命令にない質問をした。
「白衣の人、主任?それとも部下?」
「え?………いや確かに私はこの研究所の主任だが……」
「ならこのデータ以外に重要なデータの有無を聞きたい」と入手したデータを主任とやらに見せる。
「さすがアンブレラと言った所か………だが待ってくれ、怪我もしてないし抗ウイルス剤もきちんと射ってる。………私が持っているそのデータには無いこの端末から独立してるデータ、これと引き換えに保護してほしい頼む!」となんで聞いたのかピクシー自身でも不思議に思ったが主任は入手したデータ以外のデータを持っていた。
だがそこまでだった。
ピクシーが認識した命令は主任を処分それだけ、無慈悲に引き金は引かれ主任は声を出すこともなく死んだ。
そしてデータを回収する。
『ほう、いったい何をと思ったが見事だ。引き続き任務を果たせ』
ピクシーは人の形をしていても兵器である。
関係ないのだ。
そしてセキュリティールームにたどり着くとハンクがいたがすぐに違和感に気付く
出撃前と現在の人数が違う、減ってる。
「人数が違う……なんで?」ハンクと他数名しかいない
「任務遂行中に死んだ。それだけだ」どうやら簡単な理由だった。
「これ、データ、任務、目標」とハンクに手渡す。
彼に持たせた方が確率が高いと判断したからだ。
「よし、脱出経路を確認する。この先に搬入するための列車に乗り脱出する」無事の有無も先行した部下が確認済みらしくあとは合流するだけだった。
そして難なく合流した時、最後のイレギュラーが起きた。
搬入場に着いた。
「自爆システムを作動させろ」遠隔操作なのか隊員がデバイスで起動させる。
《自爆装置の作動を確認、爆発まであと10分………繰り返します………至急研究員は待避してください》そのアナウンスが鳴った時である。
天井を突き破り1体の怪物が降りてきたのである。
ピクシーにとっては兄妹にもなる生物兵器………
「タイラントを確認しました」と誰よりも早くピクシーはBOW用マシンガンを撃ち込む
仮にもtypeネメシス用の武器なのでそれなりに有効であった。
それを見たハンクは冷静に指示を出し列車を発車させるがタイラントも一筋縄ではいかない
マシンガンで怯んでいるとはいえ強引に進んでくる。
明らかに動き始めたばかりの列車では追い付かれる。
全員が撃ち込む中、ピクシーは周囲を確認する。
列車はこれだけ自身の足の速さでは脱出の時間に間に合わない
そうこうしてる間に追い付かれるが変に考える必要はなかった。
幸い2両目には自分しか居ないのだ。
即座に連結部を壊し先頭車両に乗り込みありったけの手榴弾など爆発物を車両の片方だけに投げ込んだ。
そうするとスピードが乗ってきた頃に片方の車輪等が盛大に壊れ横転しだした。
それでもタイラントは跳躍で飛び越えようとするが更に手榴弾がタイラントの目前に投げ込まれており
「これでおしまい」とピクシーの弾丸が手榴弾を正確に撃ち抜き爆発して盛大に転んだ。
もういかにタイラントでもこの車両に追い付けない
そして何もなく外に出たあとは合流地点まで歩き迎えの輸送ヘリが来た。
『よくやったピクシー、これで任務完了だ』呆気なく終わったように見えた。
けどBOWとしてこれからも地獄へと降り立つのであろう
「どうやらまずまずの成果のようだな」
「ふむ最初はあんな少女など役に立つのか疑問ではあったがこれならフェアリー量産計画も承認していいだろう」
「違いない費用対効果は絶大だ。タイラントと並ぶこのアンブレラの傑作品になるだろう」
「なにせあの容姿だ。別の意味でも需要は高そうだがな………クククッ」
「では異議はないな…………では承認する」