全長数十メートルのパペットというロボを動かすパペッターのお姉さんとショタの日常とかそんなの。

1 / 1
Twitterで流れてた妄想の産物の具現化。
続きはない。無いったらない。

なにかあれば感想欄か規約引っかかるならTwitterへ。


神が留守の世界で

「隊長。俺らはいつまでここを警戒しなくちゃいけないんですかね?」

『口を慎め。この拠点を取られでもしたらお終いだぞ』

 

 通信越しに聞こえる隊長の男の声に部下である男は鼻で笑ってみせた。

 敵として予想されている国の兵隊など何処を探してもいない。このご時世に歩兵を使おうとするのならば、とも思うがソレも定期的な巡回でケアされている。

 加えて言えば、自身達と同じ様に”パペット”を乗ってきたというのならば……それでも話は変わらないだろう。定期的な巡回はパペットを基準として行われているものだ。

 パペット、十数Mにもなる機械の人形がどこから現れようが警戒網に引っかかり、そして対応する事が出来るだろう。

 重要拠点と言えど最前線という訳ではない。隊長の口にしたお終い、という言葉も攻めという部分が大きく、守りという点においてはこの拠点が敵に奪われた所で痛手はない。攻めこそが最大の守り、といえばそれまでであるが。

 

 しかしながら、来る日も来る日も警戒、警戒、警戒で男は飽き飽きしていた。正規兵ではあるが新米と言ってもいい男にとってこのようなつまらない任務というのは自分の想像していた”パペッター”とは程遠い。青年と言われるべき男がパペットに乗っている事自体が優れている証拠でもあった。故に、男は夢想していたのだが、夢は夢である。

 

「……?」

 

 飽きていようが任務は任務である。優秀な男の視界に僅かに、微かに、確かに映った閃光。一瞬だけのソレを男は気の所為だと思った。目眩の類いだとも思った。けれど優秀な男の思考よりも速くパペットを操り、歯を食いしばりながらパペットの上体をズラした。

 パペット内にいても聴こえた風切り音。鋼鉄の塊が螺旋を描きながらただ真っ直ぐに直進する。通り過ぎた場所は先程まで自身のコックピットが在った場所。そして結果は後ろにあった建物を尽く破壊し尽くした。

 

「ッ! 隊長ッ! 敵襲だッ!」

 

 男は通信を開き、叫びながら先程の閃光へと注視した。光は無い。警戒をしながらも記憶にある閃光と後ろの惨状を計算していく。

 

「おいおい、冗談だろ……」

 

 もしも自分の予想が当たっているのならば敵とも呼ぶべき謎の閃光は帝国軍での長距離射撃記録を有に上回る結果を打ち出すだろう。

 それでも男はただ真っ直ぐに残滓すら残らない閃光へと警戒をし、浅くなりそうな呼吸を少しだけ正す。

 

『無事かッ!』

「敵は北西方面ッ! 俺たちの予想の数倍は遠い距離からの狙――」

 

 全て言い切る前にまた幽かに閃光が散る。ほんの一瞬。火花の様に。先程まであった冷たい感触は男から外れた。頭に銃を突きつけられている本能的な感触が、無くなった。

 

「逃げろッ! 隊長ッ!」

 

 隊長機の証明である胸元の国章に風穴が空いた。隊長機の後ろにあった建物が吹き飛び、同じく胸元にあるコックピットの中がどうなっているかなど容易く想像出来る。

 漏れそうになった息を歯を食いしばる事で止め、男は改めて自身へと向けられた冷たい感触と僅かな閃光に反応して機体を動かし、隊長に代わり撤退命令を下した。

 

 

 

 

 

「逃げられた、か。勘がいいな。新兵だと思ったが……」

 

 パペットと共有した視界に映る遥か遠方で燃える拠点と先ほどまでそこにいた反応のいい帝国パペットを思い出す。真新しい帝国量産型パペットは標準装備であったし、ワンオフという事でもなく、動きもぎこちなかった事から新兵だと思っていたがどうやら間違えていたらしい。

 殺しておけば、とも考えるが額面的にはただの新兵を殺しただけになる。それならば育った所を美味しく狩った方が得であるし、その辺りを考えるのは自分の役割ではない。

 殺しても殺さなくても自身の報酬は変わりはない。

 

『拠点の制圧が完了した』

「……ああ、こちらでも確認出来た」

『本当にあの場所から視えるのか?』

「君の隣にある隊長機と同じ所に穴でも開けて証明してみせようか?」

『どうやら本当らしい。すまない』

 

 気にしていない、と返してから通信を切る。ようやく息を吐き出して自身の依頼が達成した事を実感する。着けていたバイザーを外して、深くコックピットに沈み込む。

 繋がっている視界に映る紫銀髪の女。自身と同じくコックピットに凭れる女。このパペットに乗っていなければ何も出来ない女。タケミカヅチと名付けられたパペットの狩り手。紫電と呼ばれるパペッター。

 

 

 そして自身である。

 

 

 

 

 

 

 

『お疲れ様、ラン』

「と言っても、帰りはずっと寝てたがね」

『アタシからするとその狭いコックピットで寝る事も苦痛よ』

 

 声だけでもわかる苦虫を噛み潰したような声にランは苦笑する。少し前までこの中で数ヶ月も暮らしていたランにしてみれば数日の輸送など苦痛にすら感じない。いいや、今となっては少し窮屈にも思う。

 

「私のような人間はこっちの方が楽なのさ」

『ふーん。隣にシラギク君もいるんだけど?』

「むっ……」

 

 次はランが苦虫を噛み潰したような顔をする。どうにも迎えに来たらしい同居人に聞かれてしまったらしい。本心ではあったけれど、同居人の機嫌を損ねれば今日の夕飯には目に見えてトマトを使われるに違いない。

 どうにか回避も考えてみるが、戦場でもない限りあちらに主導権があるのだから諦めるが吉である。ランは溜め息を吐き出して、どうにかトマトを口に入れないように作戦を練る。お願いしたらどうにかなるかもしれない。

 こうして考えている自分に気づいて、ランは笑みを浮かべる。自分も人間らしくなったな、と。

 

 ようやく定位置に接合されたパペットのコックピットを開き、開いた先にいた白髪の少年に微笑む。白髪の少年もまたランを見ながら微笑んだ。

 

「ただいま、シラギク」

「おかえりなさい、ランさん。今日はトマト鍋です」

「回避できないじゃないか!」

 

 ニッコリといい笑顔で夕食の献立を発表した同居人に対してランは頭を抱えてそう叫んで落ち込んだ。この世の終わりだと言わんばかりに落ち込んだ。

 戦場での活躍とは裏腹に自身の生活はシラギクに握られているランはうぅ……と唸りながらシラギクが準備していた車椅子へと腰掛け、うなじに着けていた機器を外してパペットとの接続を切り離す。

 ランの視界はこれで僅かな光しかわからなくなった。先程までは動いていた足も、今となっては足の機能を果たしてはいない。幸い、腕は動くけれど、それだけだ。

 それでもランは笑みを深めて楽しそうに口を開く。

 

「それじゃあ我が家に帰ろうか」

「はい、今日こそはトマトを食べさせます」

「神は今日も留守か?」

「そんなの数十年も前から留守ですよ」

 

 淡々と返したシラギクの言葉にランはそれもそうか、と納得したように呟いてからどうにかトマトを回避すべく思考を循環させる。

 当然そんな彼女の思惑はだいたい察しているシラギクは同居人であり保護者であるランに甘い事を自覚しているので、任務から戻ってきた彼女には好きな物を食べさせる事に思考がシフトしている。尤も、過去に彼女から聴いた好物は参考にならないレーションや乾パンなどであったし、今聞けばトマト以外になることも知っているので聞くことはないが。

 

「それにしても今回の任務は長かったですね」

「そうだろうか? 移動も含めて二週間だろう。なんだ、寂しかったか?」

「ランさんはどうなんです?」

「寂しかったが? 久しく食べた乾パンが不味くなった。シラギクの料理が美味しいからな」

「……トマト鍋は無しにしましょう」

「よし!」

 

 元々する気はなかった。とは口にしない方がいいだろう。シラギクは少しだけ熱くなる顔をどうにか落ち着けながら車椅子を押していった。

 

 

 

 シラギクが料理をしている音を耳にしながらランは適当な音程で鼻歌を奏でる。どこか調子外れな音程は聞くものが聞けば不快に感じるものではあるが、シラギクにとってこの調子外れな鼻歌は耳心地の良いものであり、同居人が帰ってきた証明にもなる。

 

「この匂いはハンバーグかな? 私の物にはチーズも乗せてくれ」

「はいはい」

 

 呆れたように返事をしてやれば鼻歌のオクターブが上がる。

 久しく帰ってきた同居人はやはり鼻がよく効くし、何より子供っぽい言葉を容易く吐き出してくれる。シラギクが拾われた当初は随分と素っ気無かった彼女であったが、いつの間にかこうして感情を露わにしてくれている。

 そう考えた所で同じ言葉はきっと自身にも言える事をシラギクは理解している。

 商品であった自分を買った傭兵企業も。その企業に今も勤めている彼女も。少しは前に進めているのだろう。

 

「はい、出来ましたよ」

「あぁ、いい匂いだな。携行食とは段違いだ」

「固いビスケットと比べないでください」

「む……。いや、確かにそうだな」

 

 反論しようと口を開いたランであったけれど、その口はモゴモゴと言葉を転がして丸くなった言葉はすんなりと飲み込まれた。

 ランの前には何も置かれず、シラギクの前にだけ置かれた大皿に乗せられたハンバーグ。一つは大きめでチーズが乗っており、もう一つは少し小ぶりで何も乗ってはいない。

 

「はやく食べさせてくれ」

「はいはい」

 

 親鳥を待つ雛鳥のように口を開いて待つランにシラギクは苦笑してしまう。戦闘中やパペットに乗っている時とは全く違う表情である。

 幾つかに切り分けたハンバーグをフォークで刺し、少しだけ冷まし、ランの口元へと持っていく。

 

「あーん」

「あー……んぅ! あっふあふ」

「あ、ごめんなさい」

「ん!」

 

 まだ熱かった事を指摘され少しだけ慌てたシラギクの声に気にしないように一音だけで返したランは口の中で広がる肉汁とチーズの甘みを楽しみながら幸せそうに眉尻を下げている。

 申し訳なさを感じながら先程ランへと向けたフォークをそのままにシラギクも自分の口へとハンバーグを運ぶ。美味しいけれど、自分の中で幾つかの改善点を洗い出し、またランが任務に出たら幾つか試してみるか。と心の中へとメモ書きしておく。

 

「それで、今回の任務はどうだったんですか?」

「んっく……いつも通りさ。タケミカヅチは狙撃が主だからな。……ああ、帝国側に優秀な兵が一人居たな」

「帝国側に、ですか」

「あの距離の私に気付いたのは本能か、情報か。どちらにせよ、アレは脅威になるだろうな。相手にしないといけない連盟に同情する」

「……いつまで戦争は続くんでしょうね」

「その戦争で稼いでいる傭兵だが、まあ暫くは続くだろう。私達の食い扶持はそれなりに大丈夫って事だ」

 

 悲しいやら嬉しいやら、と頭を振って溜め息を吐き出す。

 幾つかの国を名乗る集団がその機能を果たし始めてから既に数十年も経過している。内乱とも呼べた始まりを考えれば、少しは平和になっているとも言えるが、その程度でしかない。

 

「何にせよ、戦争が終わろうが、終わらなかろうが。君は私にハンバーグを運ぶべきではないか? 美味しいぞ?」

「……はいはい」

 

 また口を開いたランに対してシラギクは微笑みながらハンバーグを口へと運び、また悦びの声が産まれた。

 戦争は終わらないが、こうした日常も二人が死ぬまで終わる事はない。

 

 




ラン
大人の女性。紫銀長髪、藍目。
『パペット:タケミカヅチ』のパペッター。元々は瞳などの障害も無かったが戦闘中の負傷で足が動かなくなり、パペットの補助機能を無理やり接続した結果として視界が無くなった。
なんとなくは見えているけれど、見えてない。
シラギクに対して甘えているが、心の拠り所がシラギク君しか無いので多少はね?
子供の頃にトマトに襲われる夢を見てからトマトが嫌い。今は見れなくなったので食感が余計に駄目になった。
自分でブラが外せないのでシラギク少年がちゃんと着けてくれるまではノーブラだった。


シラギク少年
ショタ。白髪、黒目。
商品としてランの務める傭兵企業に買われ、ランの世話を言いつけられる。最初はお互いに不干渉を貫いていたが、なんやかんやがあって今の状態になった。誰か考えてくれるでしょ(テキトー
料理の勉強をしているのはランの為であり、自分の為ではない(重要
お互いがお互いに甘い。時折、ランの言う盲目ブラックジョークの対応に困る。
ランの世話をしていたらなんか女性下着に関して詳しくなってしまった悲しき少年。


パペット:タケミカヅチ
案はそれほどないけど、右腕に狙撃銃本体、左肩後方に砲身を背負った狙撃特化のロボ。強い(確信
狙撃特化ではあるけど、ランさんは近接もバリバリに出来るので銃本体でパイルバンカーみたいな事する。つよい。




ボツシーン
「シャワーだけさっと浴びれば私は満足なんだが……」
「何言ってるんですか。せっかく綺麗な髪をしてるんですから今日は徹底して洗います。あと単純に凄い匂います」
「むぅ……」

 基本的にパペットに乗っていなければ主導権はシラギクに握らてしまうランは自宅へと帰宅して早々に風呂場へと移動させられた。シャワーから吐き出される水音で鼓膜を揺らしながら自身の後ろの気配が動く。

「じゃあ服を脱がしますね」
「自分でも脱げるぞ?」
「この前そういってブラジャーのホック外せなかったの誰ですか」
「……そんな女がいるのか? 見てみたいな」
「その盲目ブラックジョークは反応し辛いので無視しますよ」

 バッサリと切り捨てられた冗談はゴミ箱にでも投げられた。ランはなすがままにシャツを脱がされ、ブラジャーを外され、パンツを剥ぎ取られ、下着も奪われた。

「ふむ。女を抱く時は苦労しなさそうだな」
「そんな事するような歳じゃありませんし、その予定もありません」
「そうか。なら暫くは君を独占できそうだな」

 呟いてしまった冗談はまたバッサリと切り捨てられゴミ箱に。同時にシラギクの目が鋭くなったことを感じたが、言葉を返せば溜め息がシラギクの口から溢れた。


――
ここから続かなかった。無理。

あとはお布団で一緒に寝るとか考えてたけど、誰か書いてくれるでしょ(丸投げ


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。