【悲報】クラスごと異世界に拉致られた件について【マジやば】   作:火影みみみ

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今回はある種の実験というか
思い切って掲示板と小説同時進行してみました
掲示板になると背景色が変わるのは視点が掲示板へ移ったみたいな感じです

・・・てかこれで一万文字か、分割するとモヤモヤするし致し方なしか


【第一回】オルクス大迷宮攻略実況スレ その3

 戦いは両者まさに一歩も譲らぬ互角と言った有様であった。

 ベヒモスはその巨体に相応しい力と速さを持って荒屋敷へと襲いかかる。

 その一撃一撃がまさに必殺級の威力を秘め、並の人間どころか勇者として召喚された彼らでも最低でも重傷、最悪叩き潰されて死んでしまうのは想像に難くない。

 しかし、それは彼女も理解していた。

 とある事情(うっかり)により右足を負傷した彼女は移動を最低限にしながらも、まるで兎かバッタのように幾度も片脚で跳躍し相手を撹乱する戦いに努めていた。

 自身の(主にモンハンなどの狩ゲー)経験からその巨体がどのように動くかを凡そ把握し、器用に片足でベヒモスの攻撃を避けては斬る、もしくは避けては見たこともない炎の魔法で攻撃を繰り返している。

 しかし、界王拳なしの状態ではその強固な皮膚に致命傷を与える事ができてはいない。

 彼女の持っている剣が一般兵に支給されるようなありふれた物であることも一因ではあるが、そもそもレベルが足りていないことが大きい。

 片や攻撃が当たらず、片や攻撃が通らない。両者は千日手とも呼べるような状態に陥っていた。

 それを離れた位置で見守るのはハイリヒ王国の騎士団長メルド。

 幾度か彼女に助勢しようかと試みたが、彼女があまりにもベヒモスに近すぎるため結果的に見守るのみとなってしまう。

 何かできることはないのか、このまま見ていることしかできないのか、彼が必死になって頭を働かせていたその時だった。

 

「メルドさん!!」

 

 召喚された勇者の中で唯一凡庸な、悪く言えばありふれた天職とステータスしか与えられなかった無能。

 メルドは後に語る。

 まさか彼こそがこの戦況を打開する鍵になるとは夢にも思わなかった。

 そして、まさかあのような事態に陥るとは思いもよらなかった。

 

 

 

 その頃、激闘を繰り広げていた荒屋敷と言うと。

 

(あああああ!! 今掠った、なんかかすった気がする!? やばいやばいやばいってかやばいを超えてマジヤバなんですけど!!?)

 

 内心、すごく焦っていた。

 中学2年以降、剣道を辞めて以降彼女は特に外面を気にするようになっていた。

 自身の行動のせいでまたあの道場へ送り込まれては堪らないと、学校ではいつも優等生として振る舞っていた。

 その長年の努力の成果か、内面を一切外に漏らすことなく側から見れば涼しい顔でベヒモスと戦うことができていた。

 

(右、じゃなくて左!! ここで斬りつけて、すぐにバックステップ!!)

 

 ベヒモスの攻撃を瞬時に見切り、反撃をしてすぐに離れる。

 言うだけなら簡単だが、一瞬の見逃しも許されず、常に迅速で適切な判断を求められるそれは彼女にとても重い負担を強いていた。

 さらに界王拳の負担や足の怪我のことも考えると、そう長くは持たない、と彼女は感じていた。

 

(ああんもう!! なんで叩っ切れないかなぁ!! さっきから何度も斬りつけてるのに全然傷つかないし、憤怒の炎も表皮をちょっと焼いた程度しかダメージないし! 情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ、そして何よりもレベルが足りない!! 根本的な強さが全然足りてねえ!!!)

 

 ただ、こうして1人ボケる余裕があるのはまだ彼女が諦めていないと言うことである。

 

512:名無しの権兵衛

意外と余裕あるなこいつwwww

 

513:名無しの権兵衛

片足でようやるわ、俺なら開始5秒で死んでる自信がある

 

514:名無しの権兵衛

キュロスみたいなことやるやつ初めて見たわ

 

 

 

 一つはこうやって脳内で相談できる相手がいると言うこと、先の思考もある程度(NGワード等の制限はあるが)そのまま掲示板へ書き込んでいるためそれについての返信が届く。

 普段の修練や試合などでは決してできない雑談や会話が彼女の緊張を程よく解していた。

 さらに顔は見えずとも掲示板の住民たちが彼女に好意的であることも大きい、遠慮なく不安をぶちまけ、喜びを分かち合える仲間がいると言うことがこれほど心強いのか、と彼女は実感していた。

 

 強さ(レベル)が足りない。 だからどうした。

 覚悟(炎圧)が足りない。 だったら今すぐ覚悟を決めろ。

 全身が泣く程痛い、てか千切れそう。 泣き言は聞かん、後にしろ。

 弱音を虚勢と根性でねじ伏せる。道場での修練を思い出し、あの頃の自分を呼び覚ます。

 

(別に勝つ必要はない、生きて帰れればそれで十分、魔法もあるし、限界超えてもなんとかなるはず……あーもうっ! さっさと来いよ!! 早く来ないとまじで死ぬ!! それか本当に切り札使うことになるぞ!!)

 

 切り札とはつまり深海棲艦化のこと。

 解析と鑑定で分析した結果、ベヒモスはレ級クラスの戦力があれば難なく倒せる相手ということが解っている。

 しかし、それは本当に最後の手段。

 もし使用すれば団長か騎士たち、もしくは天之河あたりから国にバレる可能性やオタバレというこれまでの努力(猫被り)を無に帰す事態になりかねない。

 

517:名無しの権兵衛

悟空を待つクリリンってこんな気持ちだったのかな?

 

518:名無しの権兵衛

むしろスレ主が悟空でオタ君がクリリンな件

 

519:名無しの権兵衛

クリリンを待つ悟空ってわけわからんな

 

520:名無しの権兵衛

てか、画面がぐるぐるしてるせいで酔う、てか酔った

 

 

 

 画面越しのせいでイマイチ緊張感がないが、住民たちも彼の到着を今か今かと待ちわびている。

 そして、永遠に続くかと思われた均衡が、遂に崩れ始める。

 

「はは! やっぱりここら辺はセオリー通りに限るね!!」

 

 攻撃を避け、ベヒモスの顔が近づいたその一瞬に彼女は全力の跳躍、そのまま怪物の左目に剣を突き刺した。

 痛みに呻き、すぐに異物を排除しようと前足で顔を擦るが、その巨大さ故に返って剣を奥へ突き刺してしまう結果となる。

 

「餞別にその剣はあげるよ、どうせもう使わないだろうし」

 

 ベヒモスの前方、少し離れた位置に彼女は着地する。

 剣を突き刺した後にすぐ様離脱をしていた彼女は(外面だけ見れば)余裕を持ってベヒモスと対峙する。

 そんな彼女の内面はどうかと言うと、

 

(あっぶな!? もう少し反応が遅れてたら確実に死んでた!! 嫌な予感がして退いて正解だった! ありがとう師匠、修行(じごく)で培った勘は未だ健在です!! ……なんか思い出したらムカついてきたので礼はしないけどね!!)

 

 こんな風、としか言いようがないくらいに慌しかった。

 少し呼吸と整えて再び殴りつけようか……と考えていた荒屋敷だったが、ここでベヒモスの挙動に変化が起きる。

 

「……ん?」

 

 ベヒモスの角がが赤く輝き、キィィィという音と共に熱を帯び始める。

 

(あー、あれはヤバイかも)

 

 ここで変わった挙動、赤化した角。

 間違いなく必殺技クラスの攻撃がくると彼女のゲーマーとしての勘が囁いている。

 慎重に挙動を観察していると、急にベヒモスが跳び、そのまま頭からこちらへ隕石の如く突っ込んできた。

 

「ですよね〜、じゃあ――っ!?」

 

 余裕を持って回避、するはずが急に動きを止める荒屋敷。

 

「嘘ぉ!? こんな時に!!」

 

 彼女の左脚が思ったように動かない。

 それもそのはず、右脚をかばった状態で今までずっと酷使し続けてきたのだ、とっくに限界なんて超えている。

 普段の彼女ならある程度限界を見極められたかもしれないが、異世界に来て身体能力が向上した弊害か、自身の体とイメージに乖離が見られていた。

 要するに、彼女のイメージに体がついて行かなかったということだ。

 それは、この場において致命的であり、

 

「あ、これは死んだ」

 

 見上げれば視界内でどんどん大きくなるベヒモス、それは間違いなくこちらへ近づいて来ているということであり、

 

「荒屋敷さん!?」

 

 ようやくその場に到着した南雲が見たものは身動き取れない彼女の頭上から、ベヒモスが降り注いだその瞬間だった。

 ベヒモスの頭は固い穴を空ける程強力で、衝撃波だけでも南雲が吹き飛びそうになったほどだ。近くにいた彼女がどうなったか、彼は容易に想像できた。

 

「間に合わなかった……僕がもう少し早く来ていれば「いやいや、勝手に殺さないでくれるかい」んんん!?」

 

 急に背後から声をかけられて、少し前と同じように心臓が外へ飛び出そうになる程驚く南雲。

 振り返ればそこには潰れて死んだと思っていた荒屋敷がなんともなさそうに佇んでいた。

 

「荒屋敷さん!? え、さっきあそこに」

 

「まあまあそんな些細なことは置いておいて、早くベヒモスの動きを止めてしまおう、あまり時間もなさそうだし」

 

「……うん、それもそうだね」

 

 聞きたいことはあるが、今はそれどころではない。

 南雲は急いで錬成を使い、穴から頭を抜き出そうとしているベヒモスの妨害を始めた。

 ベヒモスが頭部を抜こうとすれば周りをより頑強に、覆う面積を多くして奴を離さない。

 

「じゃあ、ちょっとの間そのままでお願いするよ」

 

「荒屋敷さん? 一体何を?」

 

「なーに、ちょっと覚えたばかりの必殺技をお見舞いしてくるだけさ」

 

 そう言って彼女はゆっくりと歩き始める。

 両脚の痛みに耐えながら、彼女はベヒモスへ近づく。

 

 さて、身動きが取れなかった彼女がどうやって脱出したかというと、それはとても単純なことで、彼女が覚えていたスキルを全て思い出してほしい。

 幾つかあるスキルの中で超能力を操る程度の能力というやや曖昧な表現があるのを覚えているだろうか?

 超能力、英語にすればESPなどど呼ばれる部類の力であるがそれには幾つか種類があり、本来この力を持っていた少女も幾つかの超能力を駆使していた。

 発火能力(パイロキネシス)念力(サイコキネシス)、そして瞬間移動(テレポーテーション)である。

 

 あの時、何かないかとスレッド上部にある自身のステータスを見直していた彼女はこれを発見し、咄嗟に後方へ瞬間移動して難を逃れていた。

 

530:スレ主

ふぅおどかしやがって、死んだかと思ったぜパトラッシュ

 

531:名無しの権兵衛

こっちもな!!

 

532:名無しの権兵衛

そんなハゲてて筋肉マッチョなネロは嫌だwwwwwwww

 

 

533:名無しの権兵衛

こっちはどアップで迫りくるベヒモスがトラウマになりそうだったんだぞwwwwww

 

534:名無しの権兵衛

どんな時でもユーモアを忘れないその精神、ありだと思います。

 

535:名無しの権兵衛

サイヤ人編…餃子…ナッパ…う、頭が

536:スレ主

さて、あとはベヒモス君にトドメを刺して終了かな

 

537:名無しの権兵衛

できるん?

 

538:名無しの権兵衛

こちらの攻撃がほとんど通らなかったのに?

 

539:名無しの権兵衛

ここは逃げ……ても追ってくるよな、それだとオタ君が無駄死になってしまう

 

540:スレ主

そゆこと、……はい瞬間移動で背中に乗ったのでドレインタッチで限界まで魔力と体力を奪います

 

541:名無しの権兵衛

奪います

 

542:名無しの権兵衛

てかポンと乗ったな、いや、そこが安全なのはわかるが

 

543:名無しの権兵衛

それでどうにかなるの?

 

544:スレ主

いや、解析の結果から見るに半分も奪えない

のでできるだけ弱らせたらオタ君と一緒に逃げます

 

545:名無しの権兵衛

オタ君も魔力無くなってポーションガブ飲みしてるからね

 

546:名無しの権兵衛

なぜこれだけ男気があって虐められるのか

 

547:名無しの権兵衛

そらKさんも惚れるわ

 

548:スレ主

で、ある程度逃げたところでお手手とお手手を合わせて幸せー

からの3倍界王拳+憤怒の炎じゃあああああああああああ!!!!!

 

549:名無しの権兵衛

wwwwwwwwwwwwwwwwww

 

550:名無しの権兵衛

幸せとは程遠い件wwwwww

 

551:名無しの権兵衛

あれって地域ごとにCMの内容違うらしいね

 

552:名無しの権兵衛

>>551 マジで!?

 

553:名無しの権兵衛

わいスペイン人、故についていけぬ

 

554:名無しの権兵衛

>>553 安心しろ、私もついていけてないから(ロシア人)

 

555:名無しの権兵衛

わい、日本在住だから知ってるけど、これは仏壇のCMだな

 

556:名無しの権兵衛

>>555 ほーん、サンクス

 

557:名無しの権兵衛

てか今すごい挙動しなかった? 具体的にはベヒモス君が急に小さくなって何かにぶつかった様な衝撃があったんやけど

 

558:スレ主

うっしゃあ!! どうだザマーミロ、丸焼きにしてやったぜ!!!

 

559:名無しの権兵衛

確かに焦げてるし、ちょっと遠いけど顔とか骨が見えてるっぽいな、グロい

 

560:名無しの権兵衛

反作用というか、かめはめ波もどき撃った瞬間反対に吹っ飛んでったからな

あと収束が甘かったせいでダメージが分散したんやな

 

561:名無しの権兵衛

あれだね、未来編ツナがよくやってた失敗のやつ

 

562:名無しの権兵衛

未完成Xバーナーか、本来片手を後ろにやらなきゃいけないのに両手でやったらそりゃ吹っ飛ぶわな

 

563:スレ主

背中めっちゃ痛い(T . T)

 

564:名無しの権兵衛

迷宮の壁(かもしれない所)に直撃したからな、そりゃ痛い

 

565:名無しの権兵衛

ほらよ、これでも塗ってな つ軟膏

 

566:名無しの権兵衛

つ 包帯

 

567:名無しの権兵衛

てかスレ主が痛みに悶えてるせいで視界が安定しないから、今どうなってんのかわからん

 

568:名無しの権兵衛

つ 消毒液

 

569:名無しの権兵衛

>>567 それな

 

570:スレ主

えっと、今は……うん、骸骨どもはまだ出てるけどそれより倒す方が早くなってるね

これなら帰れそう……あ、団長どうかしました?

ええ、ちょっと背中を強打しちゃって、あと全身もちょっと……

え!? いやいやいやいいですなんとか根性で歩きますから!!

 

571:名無しの権兵衛

焦って話してる内容まで書き込んでるの草なんだけど

 

572:名無しの権兵衛

まあ今スレ主ヤムチャみたいに転がってたからな、そりゃ心配するわ

 

573:名無しの権兵衛

おまけに体も動かんのじゃろ、そら抱き上げるわ

 

574:名無しの権兵衛

惜しむらくはそれがお姫様抱っこじゃなくて片手で荷物みたいに抱えられてることかなwww

 

575:名無しの権兵衛

まあ、体が無事だっただけ良しとしようや、

ベジータ戦終了直後の悟空みたくなってるんだし

 

576:名無しの権兵衛

ん? そういえばオタ君は?

 

577:名無しの権兵衛

えっと、確かスレ主の前を走ってて

かっ飛んでった時に追い越して

 

578:名無しの権兵衛

うん、ちょっと遠くからこっちに走ってる

炎には巻き込まれなかったみたい

 

579:名無しの権兵衛

スレ主が上に飛んだのがよかったな、水平に飛んでたら巻き込んでたかも

 

580:スレ主

まあ、さすがにその時は炎を切ってたよ

できるだけ収束するように掌を合わせたわけだし……それでも思ったよりばらけたけど

 

581:名無しの権兵衛

!? ベヒモス君動いてない!?

 

582:名無しの権兵衛

うっそん!?

 

583:名無しの権兵衛

うっわマジだ、あの傷で生きてやがる!!

 

584:名無しの権兵衛

ええい! 迷宮の魔物は化け物か、化け物だわ(真顔)

 

585:スレ主

あー、でもそこまで心配することはないよ

HPがもうすっからかんでほぼほぼ残ってない

てか火傷と出血でもう直ぐ死ぬ

 

586:名無しの権兵衛

なんだ、驚かせやがって……

 

587:名無しの権兵衛

マジで不死身かと思ったわ

 

588:名無しの権兵衛

あ、なんか団長が攻撃指示出してる

 

589:名無しの権兵衛

なんで? あー団長たちからはHP見えないからか

 

590:名無しの権兵衛

なるほどな、それなら確かにトドメ刺そうとするわ

 

591:名無しの権兵衛

あれ? オタ君巻き込まれんよな?

 

592:名無しの権兵衛

大丈夫やろ、相手はデカいしオタ君の上に撃ったらあたらんはずや

 

593:名無しの権兵衛

せやな、その証拠にどんどん撃ってるが全然当たってないや

 

594:名無しの権兵衛

おーいオタくーん早くこーい

 

595:名無しの権兵衛

まあ、ステが一般人レベルじゃ遅いわな

 

596:スレ主

あ、ベヒモス君死んだ

 

597:名無しの権兵衛

おおー……立ったまま死んでない?

 

598:名無しの権兵衛

ほんとだ、こいつ立ったまま死んでやがる

 

599:名無しの権兵衛

実質スレ主とオタ君が討ち取ったようなもんやなこれ

死体撃ちしてるのにびくともしてないじゃんこれ

 

600:スレ主

……今誰か殺気出した?

 

601:名無しの権兵衛

……なんと?

 

602:名無しの権兵衛

日常会話では決して聞くことがない単語が聞こえた件について

 

603:名無しの権兵衛

誰か舌打ちした?ってくらいの気軽さで言っていい単語じゃないのですがそれは

 

604:スレ主

いや、なんか気持ち悪い感じがしたからつい

てか今もうっすら感じ!?

 

605:名無しの権兵衛

 

606:名無しの権兵衛

え!?

 

607:名無しの権兵衛

はぁ!!?

 

608:名無しの権兵衛

うそやん……

 

609:名無しの権兵衛

火球がオタ君に直撃した!?

 

610:名無しの権兵衛

誰かコントロールミスった!?

 

611:名無しの権兵衛

え、いやでもスレ主の発言を考えると……

 

612:名無しの権兵衛

いやそんなことより早よ助けんと!!

 

613:名無しの権兵衛

せやな! ……わいら以外がな!!

 

614:名無しの権兵衛

くっ、祈ることしかできないというのか

 

615:名無しの権兵衛

あーんもう!! みてるだけがこんなに辛いなんてーーーーーー

 

616:名無しの権兵衛

ああ!? バウンドしたオタ君が橋の端で崖っぷちのファイト一発状態に!?

 

617:名無しの権兵衛

おお!! 根性あるなオタ君!! よしそのままそのまま

 

618:名無しの権兵衛

>>616 落ち着け、言語がめちゃくちゃやぞ

 

619:名無しの権兵衛

おお! 勇者が走り出した!!

 

620:名無しの権兵衛

やる時はやるなあいつ!!

 

621:名無しの権兵衛

よし、そのまま手をつか

 

622:名無しの権兵衛

 

623:名無しの権兵衛

あ……

 

624:名無しの権兵衛

嘘でしょ

 

625:名無しの権兵衛

 

626:名無しの権兵衛

そんな

 

627:名無しの権兵衛

オタ君

 

628:名無しの権兵衛

まじか……まじか……

 

629:名無しの権兵衛

間に合わなかった……

 

630:名無しの権兵衛

オタ君が、崖下に、落ちた

 

631:名無しの権兵衛

あれ? 画面にノイズが……

 

632:名無しの権兵衛

え!? ここで!!?

 

633:名無しの権兵衛

しまった!! すっかり忘れてたがスレ主も割と限界だった!!

 

634:名無しの権兵衛

おーい!! ((((;゚Д゚)))))))寝たら死ぬぞ!!

 

635:名無しの権兵衛

あ……画面が落ちた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、彼らは命からがら迷宮を脱出することに成功する。

 だがその代償はあまりにも重く、この一件を皮切りに召喚者たちの心に深い影を残すこととなる。

 特に南雲ハジメに恋心を抱いていた白崎香織はそれが特に顕著で、親友の八重樫雫が止めなければ単身迷宮に向かうという自殺行為に及ぼうとしたほどだ。

 またそれとは別に事件の後で変化が見られた人物が1人いた。

 そう、クラスの中で唯一ベヒモスと戦うことができた荒屋敷武威である。

 

「ぷげらっ!?」

 

 彼女は一週間昏睡状態だったが目覚めた途端まずやったことが、食事中の檜山大介を殴りつけることだった。

 食器が散乱し、檜山は壁に叩きつけられる。

 突然の奇行に誰もが度肝を抜かれたが、それを気にも留めず彼女はこう言った。

 

「次、余計なことしたらその首刎ねるから」

 

 何かの冗談かと、誰もが思った。

 だが彼女の目を見た瞬間、それが本気だということわかってしまった。

 闇だ、深い闇がそこにあった。

 まるであの迷宮で見た奈落のような深淵が、地獄へと繋がっているかのような闇が檜山を捉えて離さない。

 実際に人の顔に闇があるわけではないのだが、クラスの誰もがそこに闇を幻視した。

 そして、それが彼女の怒りの現れだということを理解してしまった。

 一度は皆の前で土下座で許しを乞い、難を逃れたかに思われた檜山だったが、それは彼女が未だ昏睡していた故に口が出せなかっただけのこと。

 昏睡から目覚めて直ぐに自分を殴りにくるほどに……、いやきっとベヒモスと戦っていた時から既に怒り狂っていたのかもしれないと理解した。

 

「ちょっと」

 

 そんな悪鬼羅刹の化身が如き彼女に声をかける勇者(天之河ではなく)がいた。

 クラス一番の苦労人、八重樫雫である。

 

「何?」

 

 そちらを見ずに短く問いかける。

 それは邪魔をするなという意味であり、無視したらどうなるかは……この場にいる誰もが容易に想像できた。

 

「貴女が怒るのも無理ないけどちょっとは周りを見なさい、鈴と先生が怒気に当てられて泣きそうになってるわよ」

 

 ちらりと横目でそちらを見れば、クラスの中でも特に身長がない2人が抱き合いながら震えていた。

 

「……そうね、ちょっと頭冷やすわ」

 

 そう言うとふらりふらりとおぼつかない足取りで少し離れた場所に座り、給仕の人に食事を頼み始める。

 そうやらそのまま食事にするようだ。

 

「はぁ…… 全く、最近は落ち着いてたと思ったのに」

 

「雫ちゃん? 何か知ってるの?」

 

 様子を見守っていた白崎が問いかける。

 

「うん、昔ちょっとね……」

 

「それにしても仲間に対してあの態度はないだろう、今からでも注意して」

 

「やめときなさい、昔みたいに気絶させられたくないでしょ」

 

 その場にいたものの、武威の尋常ならざる殺気に身動きが取れなくなっていた天之河が動こうとするのを先んじて止める。

 同時に彼に一つの疑問が思い浮かぶ。

 

「気絶? 何を言ってるんだ、彼女と争ったことなんてないはずだけど」

 

「呆れた、まさか忘れてたの? ほら中学一年の時に練習試合したわよね、赤羽道場の人たちと」

 

「ああ、それは覚えてる、確か何人かと試合をしてそれで……あれ? どうやって帰ったのか記憶がない?」

 

「本当に忘れてたのね……光輝はね、最後に彼女と試合して気絶させられたのよ」

 

「え!?」

 

「嘘だろ!?」

 

「彼女に!?」

 

 上から順に白崎、立ち聞きしていた坂上龍太郎、天之河が驚きを隠せないでいた。

 

「もうほんと見事な一本勝ち、それも相手が私と同い年くらいの女の子だったからよく覚えてたわ……まあ、あの後少しして彼女剣道やめちゃったから会うことはなかったのだけど、高校になって同じクラスになった時には本当に驚いた、だってあの時のピリピリした感じがなくなって優しいお嬢様みたいになってたんだから」

 

「……それは、別人じゃないのか?」

 

「荒屋敷武威なんて珍しい名前の人がこの世に他にいるとでも? それも同い年の女の子に」

 

 そう言われたは何も返すことができず、天之河はただ黙るしかない。

 

「とにかく、今彼女は気が立ってるからそっとしときなさい、特に檜山! 死にたくなかったら今後は大人しくしておくことね」

 

 急に怒鳴られビクッと体を震わせる。

 「あ、ああ」と返事とも取れないような返事を残し、彼はこの場から立ち去る。

 両腕で自身の体を抱きしめ、ガチガチと歯を言わせてる様子から先の彼女のことがよほど恐ろしかったのだろう。

 

「はぁ…… さ、私たちも食べましょ」

 

 そう言って彼女も席へ座る。

 ややごたつきがあったものの、少しした頃にはいつもの食事風景となっていた。

 さて、あの惨状を引き起こした張本人はと言えば、

 

 

913:スレ主

ちゃおっす

 

914:名無しの権兵衛

!?

 

915:名無しの権兵衛

!!?

 

916:名無しの権兵衛

スレ主! スレ主じゃないか!!

 

917:名無しの権兵衛

生きていたのか!! 自力で脱出を!!

 

918:名無しの権兵衛

一週間も連絡ないから心配だったぞーーーーー!!!

 

919:名無しの権兵衛

>>917 彼女は瑠璃ではない(無言の腹パン

 

920:名無しの権兵衛

いやっっっっっっふううううううううう!!!

 

921:名無しの権兵衛

イッチの帰還だぜええええええええ!!

 

922:名無しの権兵衛

体は大丈夫なん? 結構な重傷だったと思うけど

 

923:名無しの権兵衛

祝え!! 我らの主の帰還を!!

 

924:スレ主

んー、魔法のおかげかほとんど治ってる

ただ今さっき目が覚めたせいかすごい腹減ったから飯食ってるとこ

血が足りねえ

 

925:名無しの権兵衛

いきなりがっつくと腹壊すぞ

 

926:名無しの権兵衛

てか、一週間寝たっきりだったのか((((;゚Д゚)))))))

 

927:名無しの権兵衛

本来ならそれ相応の食事がいいんだが、まあそれほど発達した世界じゃないし致し方なし?

 

928:スレ主

うわぁ、もうそんなに経ってたのか

じゃあちょっち急がなならんな

 

929:名無しの権兵衛

何を?

 

930:名無しの権兵衛

そら、リハビリでは?

 

931:名無しの権兵衛

そんなことより安静にだな

 

932:スレ主

そら、次のスレ立てよ

 

933:名無しの権兵衛

あー

 

934:名無しの権兵衛

確かに

 

935:名無しの権兵衛

第一回は終わったからな、ここも潮時か

 

936:名無しの権兵衛

次はなんてスレにすんの?

 

937:スレ主

立てるのはもう2、3日後になるけど、タイトルはもう決めてあるよ

『【第二回】オルクス大迷宮攻略実況スレ【全力全開ソロプレイモード】』ってのはどう?

 

938:名無しの権兵衛

・・・・・・正気?

 

939:名無しの権兵衛

2、3日でもうリトライだと!?

 

940:名無しの権兵衛

しかもソロって、1人で!? 死ぬぞ!!

 

941:名無しの権兵衛

いや、確かに諸々の事情を考えればありかもしれんが、そう急ぐことはないのでは?

 

942:スレ主

本来、これは必要ないことかもしれない

でもね、オタ君はまだあそこにいるんだよ

 

943:名無しの権兵衛

………

 

944:名無しの権兵衛

それは・・・

 

945:名無しの権兵衛

オタ君……

 

946:スレ主

正直生きてる可能性は低い、けどゼロじゃない

なのでこの3日…いや2日で戦力を整えて再挑戦するつもり

 

947:名無しの権兵衛

せやな、確かにゼロじゃない

 

948:名無しの権兵衛

あのオタ君が簡単に死ぬはずないもんな!!

 

949:名無しの権兵衛

俺知ってる、崖から落ちるのはむしろ生存フラグだって^_^

 

950:名無しの権兵衛

しゃあああああ!! み・な・ぎっ・て・き・たあああああああああああああ!!

 

951:名無しの権兵衛

これが、青春! 私が失った過去……

 

952:名無しの権兵衛

全力で応援するぜ! 全裸でな!!

 

953:名無しの権兵衛

>>951 なんか違うの混じってね?

 

954:名無しの権兵衛

>>953 し、触れちゃいけません

 

955:スレ主

てなわけで、起きた時にステプレみたらだいぶレベルが上がってて魔力も増えてたから

今日は4、5個安価する、明日も同じ

この二日で出来る限り最適な能力をとって、明後日にはオタ君救出大作戦の決行だあああああああああ!!

 

956:名無しの権兵衛

おおおおおおおおおおおおおおおお!!

 

957:名無しの権兵衛

おおおおおおおおおおおお!!!!!!!

 

958:名無しの権兵衛

ヒュー!!

 

959:名無しの権兵衛

そうこなくっちゃ!!

 

960:名無しの権兵衛

流石スレ主、そこに痺れる憧れる!!

 

961:名無しの権兵衛

俺は今、猛烈に感動している〜〜〜〜〜〜!!

 

962:スレ主

じゃあ、まず早速三つくらいから

今から一時間、D100で最高値三ついってみよーー!!

 

 

 

 

 こうして、三者三様の一日が過ぎていく。

 果たして、彼女は南雲を救出することはできるのか?

 

《【第二回】オルクス大迷宮攻略実況スレ【全力全開ソロプレイモード】に続く》

 

 




《マジぎれ武威さん》
ハンターハンターのイルミがヒソカにマジぎれした場面を思い浮かべていただけましたら大体あってます。

《やや親しげな八重樫さん》
そりゃバレます、オタ系と違いそちらはオープンでしたし
再会した時にちょっとした何かはあったでしょうが、今は普通に下の名前で呼び合う程度には仲がいいです
しかし、彼女がオタということは知りません。

《釘を刺された檜山》
この後、彼は前のようにいばり散らすことはなくなり、ひっそりと目立たないように努めることになります
なお、殴りつけた本人はあれで手加減したという、「師匠なら切腹か腕を落としてたレベル」らしい
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