【悲報】クラスごと異世界に拉致られた件について【マジやば】 作:火影みみみ
「……ん?」
彼が違和感に気づいたのはその時だった。
「どうしたの? ハジメ」
小柄な金髪の、つい先程ユエと名付けられたばかりの少女が問いかける。
「扉の向こうに、誰かいやがる」
さっきまで彼は、南雲ハジメはサソリモドキと呼ばれた怪物と戦っていて気がつかなかったが、扉の外から誰かの気配がするのを彼の持つ技能《気配探知》が感知していた。
自分以外にここまで来ている人間(仮定)がいることに驚きはしたが、すぐ様愛銃ドンナーに装填を済ませ、扉へと向ける。
そもそも自分がいる階層だって外では知られていない未知の階層である。それでもここまで来たということは自分と同程度の力を持った人物ということになる。
しかし、そんなことがあり得るのだろうか?
それほどの実力者ならとっくに百階層まで制覇しているはずだし、何より扉向こうの人物が善人とは限らない。
万が一、そいつがこちらに襲いかかって来ても良いように警戒を続ける。
そんなハジメの様子を察したのか、ユエもいつでも魔法を放てるように準備を終える。
彼らが注目する中、そこから赤いフードを被った人間らしき人物が部屋の中を見渡して……ハジメたちと目があった、ように思えた。
「…………」
なぜか硬直し動かなくなるフードの人間。
一秒、二秒と過ぎ、こちらから話しかけようか、とハジメが思い始めていたところ。
「スイマセン、間違エマシタ」
と言って扉の外へと頭を引っ込めた。
「…………」
妙な反応をされ、どうしたものかと頭を捻るハジメ。
つい先ほど彼に全く同じ反応をされたユエは、あれって外の世界で流行ってるの?などとどこか的外れなことを考えていた。
時間は少し前に遡る。
百階層の床を錬金術で穴を空けることで真のオルクス大迷宮へと侵入することに成功した荒屋敷武威はとある扉の前にいた。
あれから幾日も過ぎ、表の百階層がお遊びだったとも思える段違いの殺意あふれる大迷宮を突破し、いよいよボス部屋かという場所へと辿り着いたのだった。
5963:スレ主
ようやく初のボスか、長かった
5964:名無しの権兵衛
せやな、まさか更に五十階層も下るハメになるとは
5965:名無しの権兵衛
できればここで終わって欲しい、長い
5966:名無しの権兵衛
あれやな、FGOのタワーイベみたいな感覚がある
攻略サイトはないが
5967:名無しの権兵衛
先が見えないのがここまで辛いとはな
5968:スレ主
んじゃとりあえず開けるべ
5969:名無しの権兵衛
OKOK
5970:名無しの権兵衛
さてさて、何が出る
5971:名無しの権兵衛
日本ではこういう時鬼か出るか蛇が出るかっていうらしいね
5972:名無しの権兵衛
英語では神のみぞ知る、とも言う
5973:名無しの権兵衛
ベヒモス君以上となると、ミノタウロス系?
いや、弱いか
5974:名無しの権兵衛
ジンオウガとか?
5975:名無しの権兵衛
いや、進化して極ベヒーモスになったかもしれんww
5976:名無しの権兵衛
アラガミかもよ
5977:名無しの権兵衛
↑せめて種類を言えwww
5978:スレ主
おん?
5979:名無しの権兵衛
あれ?
5980:名無しの権兵衛
なんか死体が転がってる
5981:名無しの権兵衛
先客? ってことはオタさん?
5982:スレ主
血が乾いてない、それにまだ体温が残ってるってことは、まさかここら辺にいる?
5983:名無しの権兵衛
やっとか……長かったなぁ……
5984:名無しの権兵衛
もう2ヶ月以上潜ったもんなぁ、感動するわ
5985:名無しの権兵衛
てか、ノータイムで死骸に手を突っ込むスレ主に畏敬の念を覚えるわ((((;゚Д゚)))))))
5986:名無しの権兵衛
それな、これっぽっちも躊躇してねえ
5987:名無しの権兵衛
あの半開きの扉が怪しいね
5988:名無しの権兵衛
まあ、ちゃんと魔法で手洗いしてるし……
5989:スレ主
んじゃ、一応レ級に変身しておいて、ちょっと確認しますね
5990:名無しの権兵衛
ゴクリッ(゚ω゚)
5991:名無しの権兵衛
ゴクリンコ(・□・)
5992:名無しの権兵衛
ドキドキするぜ・・・・・・
5993:名無しの権兵衛
やっとか、この長い長い奇妙な旅も終わ……らないな、まだ帰る手段がないや
5994:名無しの権兵衛
おおぅ
5995:名無しの権兵衛
せやったな
5996:スレ主
はーい、と言うわけでお邪魔し……ん!?
5997:名無しの権兵衛
え
5998:名無しの権兵衛
んん??
5999:名無しの権兵衛
金髪ロリ、だと……
6000:名無しの権兵衛
くっ、謎の光でよく見えんがおそらく全裸のロリだと!!
6001:名無しの権兵衛
え、だれ?
6002:名無しの権兵衛
ほうほうこれはコレは
6003:名無しの権兵衛
間違いなく美少女、アニメ歴が長い俺が言うんだ、間違いない
6004:名無しの権兵衛
ひゃっふうううううううううううううううううう!!
6005:名無しの権兵衛
テンション上げ上げやでー( ̄▽ ̄)
6006:名無しの権兵衛
みんなオタ君よりロリに反応してるの草なんだけど
6007:名無しの権兵衛
問題は合法か否か、そこが重要だ
6008:名無しの権兵衛
イエスロリータ、ノータッチ
6009:名無しの権兵衛
まあ、ワイらは見てることしかできんがな
6010:名無しの権兵衛
やだ、スレ民怖い
6011:名無しの権兵衛
さすがやなって
6012:名無しの権兵衛
まず人種を確認しよう、それからだ(亜人好き)
6013:名無しの権兵衛
ケモミミは……ないか(´・ω・)
6014:名無しの権兵衛
エルフでもないな(・ω・`)
6015:名無しの権兵衛
ドラゴン娘でもないっぽい(´-ω-`)
6016:名無しの権兵衛
ナイスバデーなおねーさんじゃないのか(´・_・`)……
6017:名無しの権兵衛
>>6013 >>6014 >>6015 >>6016 こいつら……
6018:名無しの権兵衛
地味に顔文字が違うの笑うんじゃが
6019:名無しの権兵衛
あ、スレ主が逃げた、ついでにレ級も解けた
6020:名無しの権兵衛
間違えましたってwwwwwwwwwwwww
そいつであってるよwwwwwwww
6021:名無しの権兵衛
いやうん、まさかオプションが増えてるとは思わんって
6022:名無しの権兵衛
スレ主ロリコンだし、テンパったかなwwwwwwwww
6023:名無しの権兵衛
ささ、早く戻るのです、そして回収するのです
6024:スレ主(非ロリコン)
いやうん、それもそうだけどさ、ふと思ったことがあるんよ
6025:名無しの権兵衛
??
6026:名無しの権兵衛
なんぞ
6027:名無しの権兵衛
名前で主張するの激しく草なんじゃが
6028:名無しの権兵衛
言ってみ
6029:名無しの権兵衛
何か問題でも?
6030:スレ主(ロリコンではない)
いや、私の正体バラすとさ、連鎖的に能力のこともバレるじゃん
6031:名無しの権兵衛
せやな
6032:名無しの権兵衛
そこは仕方ないって
6033:名無しの権兵衛
あー、説明が面倒とか?
6034:名無しの権兵衛
親に連絡させろーとかありそう
6035:名無しの権兵衛
そこはほら、オタさんに口止めすればいいのでは
6036:スレ主(ロリコンではない、いいね?)
今、あなたの姿が全世界に実況中継してますって言われたら、どう思う?
6037:名無しの権兵衛
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6038:名無しの権兵衛
あっ
6039:名無しの権兵衛
やっべ
6040:名無しの権兵衛
まったく考えてなかったな、うん
6041:名無しの権兵衛
((((;゚Д゚)))))))
6042:名無しの権兵衛
どーすんべ
6043:名無しの権兵衛
深刻な事態なのに名前欄に目がいくんじゃが、じゃが
6044:名無しの権兵衛
SANが減るな
6045:名無しの権兵衛
私なら……どうなるんだろ、必要なことだしそこまで怒るわけはない、はず
6046:名無しの権兵衛
いやー、これは人によるからなー、正直予想がつかん
6047:名無しの権兵衛
日本はそう言うの厳しいんだっけ? うちの浮気番組とかほぼ顔丸出しだけど
6048:名無しの権兵衛
せやな、この国に来てからみるけど割とモザイクが多い
6049:名無しの権兵衛
ドッキリとかは顔丸出しなんだけどなぁ……
6050:名無しの権兵衛
どーすんべ、オタ君ならまだしもオタさんなら襲いかかってくるかも
6051:名無しの権兵衛
いや、そこまではない、はず……オタさんのことよく知らんけど
6052:名無しの権兵衛
一応ここの実況映像は顔に黒線が入るし、名前とかも匿名のあれに変換されるし
配慮はしてる、うん
6053:名無しの権兵衛
まあ、その気になれば特定余裕なんですけどね、連日ニュースでやってるし
6054:名無しの権兵衛
名簿と特徴があればまあある程度は
6055:名無しの権兵衛
同級生だし、割とわかる(そしてスレ主の本性を知って愕然とした)
6056:名無しの権兵衛
あ、そっかぁ・・・・・
6057:スレ主
Σ(・□・;)
6058:名無しの権兵衛
スレ主にダメージがwwwwwwwwwwwwww
6059:名無しの権兵衛
巡り巡って思わぬところにwwwwwwww
6060:名無しの権兵衛
クッソワロたwwww
じゃなくて、どーすんのよ、場合によっては激おこぷんぷん丸よ
6061:名無しの権兵衛
激お……何?
6062:名無しの権兵衛
むしろ激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームまで行くかも
6063:名無しの権兵衛
>>6061 日本で少し前に流行ったギャル語だった気がする
6064:スレ主
よくわかんないので誰かいい案ない? >>6080
6065:名無しの権兵衛
おいいいいいいいいいいいいいいい!!
6066:名無しの権兵衛
ここにきてまさかまさかの安価である
6067:名無しの権兵衛
ダメだ、思考停止してやがる
6068:名無しの権兵衛
しかも多数決とか案を上げるタイプじゃなく単発安価である
6069:名無しの権兵衛
よっぽどショックだったんだろうなぁ
6070:名無しの権兵衛
どーすんべどーすんべ
6071:名無しの権兵衛
隠れる
6072:名無しの権兵衛
とりあえず見なかったことにして迷宮攻略
6073:名無しの権兵衛
加速
6074:名無しの権兵衛
とにかく頑張る
6075:名無しの権兵衛
説得しかないぜよ
6076:名無しの権兵衛
逃げる
6077:名無しの権兵衛
土下座外交
6078:名無しの権兵衛
誠心誠意の謝罪
6079:名無しの権兵衛
記憶を消して逃げる
6080:名無しの権兵衛
変装して誤魔化す
6081:名無しの権兵衛
土下座して謝罪
6082:名無しの権兵衛
全力で説得
6083:名無しの権兵衛
言いくるめる
6084:名無しの権兵衛
時間を巻き戻す
6085:名無しの権兵衛
謝罪する
6086:名無しの権兵衛
変装とな
6087:名無しの権兵衛
これまた面白そうなものを
6088:名無しの権兵衛
変装…なんかできるようなのあったっけ?
6089:名無しの権兵衛
ないな、ほとんど戦闘系だわ
6090:名無しの権兵衛
光の屈折でワンチャンあるかと思ったが、ここは地下だ、光なんて届かん
6091:名無しの権兵衛
道具も・・・・・化粧とかでごまかせるもんじゃないしなあ
6092:スレ主
いや、いけるかも
6093:名無しの権兵衛
ほう
6094:名無しの権兵衛
まじで?
6095:名無しの権兵衛
どうすんの?
6096:スレ主
まずゆかりパーカーと学生スカートと砂鉄を用意します
んで錬金術でゆかりパーカーのデザインを変更してただのウサ耳黒パーカーにします
6097:名無しの権兵衛
はい
6098:名無しの権兵衛
なるなる
6099:名無しの権兵衛
最初らへんで送られたやつやな
6100:名無しの権兵衛
ああ、さすがにゆかりのマークでばれるからな
6101:名無しの権兵衛
そういえばゆかりんこの世界にいないしな、一発でばれるかもしれん
6102:スレ主
次に錬金術で砂鉄を仮面に、ついでにスカートを赤色に、足りない素材を上着から補って再構成
後は、余った上着で適当な服を作って赤に染めて、ついでに仮面に薔薇でもつけておこう
6103:名無しの権兵衛
おお、どんどん変化してる
6104:名無しの権兵衛
手合わせ練成は便利やな
6105:名無しの権兵衛
知ってるか、この錬金術、魔力100以下だったんだぜ?
6106:名無しの権兵衛
せやな
6107:名無しの権兵衛
仮面がバラの装飾とかついててお洒落な件
6108:名無しの権兵衛
スレ主わりとセンスあるのな
6108:スレ主
そんでそれを早着替え、最後に髪の色を赤に変えて終わり……
思ったより髪が邪魔だな、斬るか
6110:名無しの権兵衛
ん!?
6111:名無しの権兵衛
くっ、画面がモザイクになったせいで見えなかった・・・・・・
6112:名無しの権兵衛
髪は女の命ぞ!?
6113:名無しの権兵衛
え、そこまでやることは
6114:名無しの権兵衛
とか言ってる間に砂鉄でぶった切ったアアアアアアアアアアアア
6115:名無しの権兵衛
すげえ、砂鉄が蛇みたいにうねって髪を切り取ってった
6116:名無しの権兵衛
ビリビリ娘のアレだろ?
一歩間違えれば頭切れるのにようやるわ
6117:スレ主
ここ最近髪切ってなかった気がするし、元々面倒だったから伸ばしてただけだから別にそれほどでもない
むしろ髪型が変わってた方が気づかれにくいかもしれないからの
後は声だけど……ちょっと頑張って音程ずらして喋るか
6118:名無しの権兵衛
お、スレ主の背後、てか扉から二人がこっち覗いとるぞ
6119:名無しの権兵衛
さすがに痺れを切らしてやってきたかwwwwwwww
6120:名無しの権兵衛
ま、あんな退場したら気になるよな、すごくわかる
6121:名無しの権兵衛
なんだろう、昔見たドラマを思い出すような感じで見てるな、顔半分出して
6122:スレ主
服装よし、仮面よし、声は……多分よし
髪を片付けて、後はボロを出さなきゃ完璧か
6123:名無しの権兵衛
こうしてフードを被った全身赤コーデの不審者仮面が爆誕したのであった
6124:名無しの権兵衛
草草の草
6125:名無しの権兵衛
>>6123 やめろ、ちょっと吹いたじゃないかwwwwwwww
6126:名無しの権兵衛
俺。こんな奴がいたら間違いなく通報するわ、うん。
6127:名無しの権兵衛
日本どころか外国でも通報されそう
これが大丈夫なのはハロウィンかラスベガスくらいやろ
6128:名無しの権兵衛
ベガスもそんなに狂って……ないとは言えんな、変な奴らはいっぱいいるし
6129:スレ主
さて、覚悟を決めて逝ってくるわ
6130:名無しの権兵衛
ノシ
6131:名無しの権兵衛
ノシ
6132:名無しの権兵衛
がんば
6133:名無しの権兵衛
てら
6134:名無しの権兵衛
ノシ
6135:名無しの権兵衛
ファイト
「なんだあいつ……」
彼女が姿を隠してから数分後、急に引っ込み扉向こうで何やら変な音や光を出している不審者のことが気になり扉から顔だけ出して様子を確認する二人。
見れば先の不審者は何やら地面に座り込み何かをしていたようだったが、すっと立ち上がるとこちらへと向き直る。
「ん?」「あ?」
そいつの第一印象は、《怪しい奴》という一言に尽きた。
全身赤と黒の二色に染めた奇抜な服。一見渋谷辺りにいそうな現代風の服装かと思ったが、所々にトータスで見かけたような意匠があしらわれていたし、何よりも注目を引いたのは顔面であった。
そこにいるユエのように美人すぎたりということではなく、その不審者が顔につけていた仮面が二人の視線を釘付けにした。
おそらく鉄でできているのであろうそれは通常の顔全体を隠すタイプではなく、イメージとしては仮面舞踏会に参加する貴族のような顔の上半分を隠すような物で、仮面全体に植物の蔓のような模様と仮面の右側方に赤い薔薇があしらわれている。
単体で見ればオシャレとも見えなくもないが、
「まさかこんな場所に人がいるとは思わなくてびっくりしたよ、あんたたちも冒険者なのか」
声や服装からしておそらくは女性なのだろうが、口調は男のそれに近い印象を受ける。
「……まあそんなところだ」
ドンナーを持ったまま彼女の質問に答えるハジメ。いくら彼でも警戒は続けるが敵対しているわけではないので急にドパンと撃つような真似はしないようだ。
「すごいな、上じゃあ勇者たちが敗走したばっかりだというのにあんたたちは二人でここまで来れるんだからな、余程名が知れた冒険者なんだろうな」
そう言って手放しで褒める女。その様子にどこか奇妙な何かを感じてはいたが、それの正体が何かがわからない。
「……確かに楽じゃなかったが、そういうアンタも一人でここまで来るなんて只者じゃないんだろ?」
正確にはユエは違うのだが、そこまで明かす義理はないので敢えて訂正はしない。
「アッハッハ、そう言えば私もそうだったわ、いやー失敬失敬」
ペシンと額を、正確には仮面の額の部分を叩く。
なんだこいつは、訳がわからないと若干困惑気味な二人を差し置いて一人勝手に話し続ける。
「えっと自己紹介がまだだったな、私は……今はルビーローズって名乗ってるかな」
かなってなんだ? 明らかに偽名だろそれ、と思いつつ口には出さない。
「趣味は物語を読むこと、好きな色は赤、好きな言葉は滅尽滅相と見敵必殺、後は……特にないな」
「後半二つが物騒だな、おい」
「で、私の自己紹介はしたが、君たちはしてくれるのか?」
そう言って右手を差し出してくる。
次はハジメ達の番と言いたいようだ。
少し悩んで、特にごまかす理由も無いのでハジメも自己紹介をし始める。
「南雲ハジメだ、そんでこっちは」
「ユエ」
ハジメの背後に隠れつつ、そう短く告げる。
「うん、ハジメ君にユエちゃんか、立ち話もなんだしどこか休めるような場所で食事でもどうだ? 一応食料は余る程度には用意してるが?」
「……そうだな、近くの壁に穴を空けてそこで話すってんならいい」
ハジメの提案にユエもコクンと頷く。同意と見ていいだろう。
本来なら断ってもいい話だが、ここ数十日魔物以外を口にしていないハジメにとってまともな食事はとても魅力的な話であり、断ることはできない。
万が一毒を盛られたとしても耐性があるから大丈夫だろうと言う考えもある。
「じゃあ、早速行こう……っとと、その前にやっておくこととかあるか? 魔石とか素材回収とか見る限りまだだと思うが」
「ああ、……それじゃあ悪いが、そこにある魔物の死体を運ぶのを手伝ってくれるか?」
「了解、どこまで運ぶ?」
「扉の外まででいい ……本当なら運ぶ必要はないが、ユエがここが嫌らしい」
本当ならハジメの拠点に運んでしまいたいが、そこまで信用はできない。
「なるほどね、ならさっさと運んでしまうわ」
そう言って魔物へ近づき両手で魔物を持ち上げると、そのまま扉の外へと歩いていった。
「……いいの?」
何がとは言わないが、言葉にせずともハジメには理解できた。
「今のところ断る要素がないしな、まともな飯があるのと、もしかしたらあいつが脱出手段を持ってるかもしれない、それならここは多少のリスクはあるだろうが、あいつから色々と聞き出すべきだ」
「……なるほど」
確かにそれなら、と彼女も納得する。
こうして奇妙な出会いを果たした二人は、少しの間謎の不審者と共に行動するようになる。
それが今後どのような変化をもたらすかは……まだもうちょっと先の話。
《続く》
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