この大戦艦に祝福を!   作:カフェイン中毒

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 普通にチートを持った転生者がカズマさんの先輩ポジになる話が書きたかった(遺言


第1話

 「はいこんにちは。山田仁志さん、意識はありますか?」

 

 なんとなくぽやーっとしている。少しづつ意識が鮮明になってきた。俺は山田仁志、このご時世すこし珍しくなってきたブラック企業でSEをして働いていた。たしか営業から納期が1か月縮まったことを話されて連続4日目の徹夜でデスマーチを開催してたはずなんだが・・・・

 

 「ここは・・・あっしまった納期が!!」

 

 「おーここにきてまだ仕事なんて頭の奥まで社畜なのね」

 

 「失礼な!これで飯食ってんだから必死になるのも当然だよ!というかここどこだ!?会社に戻らないといかんのだが!?」

 

 そう、納期が!納期がやばい!なんだかんだ大口の顧客で、営業も信頼されてるそうだからこの取引がおじゃんになるのはすさまじくまずい!

 

 「はいはい落ち着きなさい。えー・・・こほん。山田仁志さん、あなたは死にました」

 

 「・・・は?というかどなた様?」

 

 「今気づいたのかしら!?私はアクア、水の女神にしてあなたのような若くして死んだ人間の死後を導く役割をしているわ。それにしてもコーヒーを取りに行こうとして立ち上がった瞬間エコノミー症候群で死ぬなんて・・・運がないわね・・・ぷーくすくす

 

 は?死んだ?・・・俺が?・・・というかこの青いヤツいまわざとらしく笑わなかった?確かにコーヒーを取りに行こうとした瞬間から記憶がないのは確かなんだけど・・・そんな日曜朝の特撮にいた某神みたいな死に方したの?いろいろ混乱してるとアクアが話を進める。

 

 「さて、山田仁志さん。あなたゲームとかアニメとか好きかしら?」

 

 「まあ人並には?」

 

 「それは結構。あなたには3つ選択肢があります。一つはこのまま天国へ、2つ目は同じ世界に記憶を消して転生する、3つ目は記憶を持ったまま別の世界に転生する。おすすめは3つ目ね、特典もつくわ」

 

 「いわゆるチート転生ってやつ?」

 

 「そうよ。ちなみに一つ目はお勧めしないわ。日がな1日日向ぼっこと世間話で永遠に持たせられつづけるのならいいのかもしれないわね」

 

 なにそれほんとに天国?地獄の間違いじゃないか?しかし、ほんとにこんなよくある異世界ものの始まりみたいな話があるんだなあ。

 

 「ちなみにそれって俺だけ特別?それとも元からこういう話なの?」

 

 「異世界の人って死んだあと自分の世界に転生するの嫌がるのよ。人口増加のため別世界から移住してもらうわけね。あと魔王を倒せば願いが叶うわ」

 

 「世知辛いな・・・じゃあ3つ目で」

 

 特典ももう決まった。どうせ生き返るなら派手にしてしまえ。

 

 「特典はどうするのかしら?カタログあるけど?」

 

 「んーこういうのは出来るか?」

 

 ごにょごにょと別に隠す必要はないけどアクアの耳に寄せて俺の欲望を話す。ふんふん頷いてるアクアがだんだん面白そうな顔に変わっていって、最後には満面の笑みになった。

 

 「はい、承ったわ!向こうに行ったら街道沿いに進みなさい!そうすればアクセルという町につくわ!じゃああなたが魔王を倒すのを期待してるわね!」

 

 部屋の中央に魔法陣ができ、それが光り輝いていくと同時に意識が薄れていく・・・・

 

 「あ、言い忘れたけど向こうの言葉とか常識とか特典をインストールするときにもしかしたら頭パーになるかもしれないから!」

 

 は!?それを先に言え!!という声は口から出ず、俺の意識は光に飲まれホワイトアウトするのであった。

 

 

 

 

 「はっ!・・・ついたか?なんだこれは?!」

 

 次に目を覚ますと森の中だった。自分の体を見ると褐色の肌、さらしに包まれた大きな胸、眼鏡が見える目線も高い。長い髪をつまんでみてみると真っ白だ。声も聞きなれたものだし・・・これは成功したのか?もし成功したなら言ってみたい言葉がある!

 

 

 「んんっ・・・こほん」

 

 なんだがどきどきする。よくよく見慣れた彼女のセリフを口にするだけなのに。

 

 「戦艦武蔵、いざ・・・出撃するぞ!」

 

 

 まんまだ・・・そう、俺があの青い女神に頼んだ特典は・・・「艦これの武蔵にしてほしい」というものだ。まあ暇なときにちょくちょく遊ぶ程度だったはずの艦これが即座に思い至るあたり俺も相当彼女・・・武蔵がすきなのだろう。ところで艤装は背負ってないんだがないのか?

 

 「アリマスヨー」

 

 「妖精さん!?」

 

 俺・・・いやもう私か。私の頭の装備からひょこっとでてきた艦これでよく見る妖精さんの話を要約すると・・・私の鎮守府にいる武蔵がベースになってるようだ。ということはケッコンカッコカリをすませレベルはカンストの武蔵ってことか?左手を見てみると確かに左薬指に銀色の指輪がある。しかし改二だったはずだが・・・

 

 「カイニハムサシサンノイシヒトツデナレマスヨ」

 

 「なに!?変身方式なのか・・・・」

 

 というかいろいろ冷静に考えてみると装備の使い方から艤装の出し方まですべて手に取るようにわかる。その中で結構やばい情報があった。戦艦武蔵そのものを顕現できるらしいのだ。それなんてメンタルモデル方式?これは海にでなきゃ使えないな・・・

 

 「ふむ、確かアクアの話ではこの街道をたどればよいのであったな」

 

 いつの間にか引っ込んでしまった妖精さんをよそにてくてく歩いていくと・・・確かに町があった。よくよく考えれば武蔵の格好ってまずいのでは?そそくさと羽織ってるだけの上着をきちんと着る。うわ胸がつかえる!なるほど、巨乳でサイズがないから羽織ってたのか・・・?結局巻いてるさらしをさらにきつく締めて無理やり上着に収めた。

 

 

 「駆け出し冒険者の町、アクセルへようこそ!お姉さん、冒険者志望かい?」

 

 「ん?ああ・・まあ、そんなところだ」

 

 「じゃあこのまま真っすぐ言って突き当りを左に冒険者ギルドがあるよ」

 

 「ああ、すまんが・・・登録料などはかかるか?あいにく無一文でな・・・」

 

 「1000エリスかかるけど・・・まあ同輩が増えるってことで俺が出そう。はいこれ」

 

 「すまない。ありがたく受け取らせてもらう」

 

 「気にすんな。駆け出し相手にゃよくあることさ。礼がしたけりゃあんたも同じようにすればいい」

 

 紙幣を一枚もらい、言われた通りに進む。異世界に来て初めて話した相手が人間ができていてよかったと考えてると大きい建物に差し掛かった。なるほどこれが冒険者ギルドか。中に入り、受付と思われる女性に話しかける。

 

 「すまない。冒険者になりに来たのだが・・・」

 

 「はい、冒険者登録ですね?1000エリスになります。・・・はい確かに。ではご説明しますね。冒険者とは、主にモンスターの討伐などをする人たちですが実際はそれ以外の仕事もこなす何でも屋の総称です。技術、技能を活かし各職業に分かれ、仕事をこなします」

 

 ファンタジーの定番だな。どういう風に決めるんだろうか?

 

 「こちら、冒険者カードになります。こちらに触れていただくとあなたのステータス、適正職業が表示されますのでそれを選択していただく形になります」

 

 「ほう、では早速」

 

 私がカードに触れるとカードが輝き文字が浮かびだした。よくわからんのでカードを受付に返すと・・・

 

 「ええ~~~!!?あなた何者なんですか!?力と防御が人間のそれじゃないですよ!魔力容量は大きいですが魔力自体は普通ですね。あと運と素早さが低め・・・これですとクルセイダーかナイトになりますが・・・ん?適正職業カンムス・・・?なんでしょうこれ」

 

 「艦娘で頼む!」

 

 食い気味になってしまったがおそらく私だけの職業だ。何だ気が利いてるじゃないか女神アクア!

 

 「は、ひゃい。じゃあこちらが「武蔵だ」ムサシさんの冒険者カードになります。依頼を受けるならあそこの掲示板からどうぞ。それではよい冒険者ライフを!」

 

 「ああ、感謝する」

 

 掲示板の前に行くと様々な依頼とそれを求める冒険者でごった返していた。これから私も冒険者になる。後れを取らないようにせねば。

 

 

 

 

 というわけで半年が過ぎた。なに?もっと詳しく話せ?なんのことはない。でかいカエル相手に大戦艦パワーで無双したり、海辺の町まで行って顕現させた戦艦武蔵で海運業と旅客船みたいなことをしたりしてある程度のまとまったお金と信頼を得たにすぎん。たしかに戦艦武蔵を顕現させたときに盛大に騒ぎになったが神器ってことでごまかしたがな。

 

 半年も過ぎると考える中身まで武蔵に近づいてきたな。アクセルに拵えたそれなりの平屋でいつも通り朝を迎える。私は燃費がすこぶる悪く、食費が大量にかかる。それに加えて鋼材、弾薬等も戦闘をすれば消費する。これらは妖精さんが廃材から作り出してくれているがこれもため込んでおかないとだめだ。

 

 「お、武蔵の姐さん!これ、頼めるかい?」

 

 「武蔵のおねーちゃん!これお願いしまーす!」

 

 「ああ、任せておけ」

 

 私が何をしてるかだと?廃品回収だ。といっても粗大ごみ限定だがな。この町の粗大ごみは捨てるのに金がかかる。そこをリヤカーを引いた私が無償で引き取る。木材だろうが何だろうが妖精さんにかかれば立派な資材に換わる、不思議なものだ。

 

 

 海のモンスターどもを駆逐しているうちにレベルも40の大台を突破した。正直アクセルにいる意味はあまりないが初めてきた街で思い入れもあるのでここで腰を据えて暮らしていくことにしたのだ。海運業のほうも「やかましいがすこぶる安全」という評価をいただいている。音はどうにでもできんのだ、許せ。

 

 ちなみに服は流石にきちんとしたものを着ている。といってもサイズがない故ダボッとしたローブなどが中心だ。さらしではなくきちんとした下着も着ている。こっちはオーダーメイドだが・・・どっちにしろ艤装を展開した瞬間いつものさらしに肩に羽織った制服に戻ってしまうのでこれについては半ばあきらめている。

 

 平屋に戻り、今度は買い物袋をもってアクセルの商店街に入ると・・・ん?この世界では珍しいジャージを着た男と、青い髪の女・・・というか女のほうは女神アクアではないか?こんなところで何をやっているのだ?

 

 

 「うううううう・・・・なんで、なんで女神の私がこんなところに来なきゃいけないのよおおおおお!!!」

 

 「あー悪かったって!もう泣くな、これからのこと考えようぜ!」

 

 「誰のせいだと思ってるのよ!」

 

 なんだが女神アクアが泣いてるように見えるが・・・ともかく話を聞いてみねば。

 

 

 「どうした?さっきから注目の的だぞ。袖振り合うも他生の縁という。もしよければ私に話してみるといい」

 

 「ええ、ああすんません。さっきこの町についたばかりで・・・冒険者ギルドか酒場に心当たりありませんか?」

 

 「ふむ、冒険者志望か。ついてこい、私が案内してやる」

 

 

 踵を返し目線でついてこいと合図してやる。半ば疑いながらだが後ろ二人もついてくるようだ。しかし、ジャージとこの世界の違和感がすさまじいな。

 

 

 「ふむ、素直なのはいいことだ。名前は?」

 

 「アクアよ!敬いなさい!」

 

 「あっはい佐藤和真です」

 

 「うむ、私は武蔵という。同郷にあえてうれしく思うぞ、カズマ。そして久しいな、女神アクア」

 

 私が自己紹介するとぽかんとした顔をした二人が目を合わせ、

 

 「「えええーーーーー!!!???」」

 

 と声をそろえて叫んだ。なんだ、喧嘩してるのかと思ったが仲が良いではないか。

 

 「ってことはあんた転生者!?」

 

 「いかにも。半年ほど前にこちらに来た」

 

 「あーーー!あんた半年前のゲームの女に変わりたいっていった変わり種じゃないの!?」

 

 「ああ、そうだ。その節については深く感謝している。直接礼を言えるとは思わなかったがな」

 

 話を聞くにカズマは特典に女神アクアを指定したようだ。発想がトんでるな。まあ私も人のことは言えないが・・・・ついた。

 

 

 「駆け出し冒険者の町、アクセルの冒険者ギルドへようこそ~!あ、武蔵さんじゃないですか!次の出航の予定が決まったんですか?」

 

 「いや、すまんが2週間は出せん。ブラストのギルドには2週間後で話を通しておいてくれ。今回は後ろの二人だ、金は私が出すから登録してやってくれ」

 

 「金?」

 

 「ん?ああ、登録料がかかるんだ。ここに来たばっかりならないだろう?私が出してやる。じゃあ私はこれで」

 

 ブラストとは私が海運業の出発地点に指定してる町だ。ここと似たにぎやかながら牧歌的なところだな。礼を言う2人に背を向けたままひらひら手を振って買い物に戻る。どうか2人に幸運の女神の加護があらんことを・・・なんてな。

 

 「くしゅっ!」

 

 「ん?クリスではないか。風邪か?」

 

 「んーだれかあたしのこと噂してるのかなーって」

 

 「なんだ、それは?」

 

 

 




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