めぐみんファンの方、ごめんなさい。作者はめぐみんは好きですが、きちんと話を考えた結果、こうなりました。
アクセルに帰ってから1週間、私は次の出航の予定を組み始めていた。ギルドからしばらく本数をふやしてほしいという連絡があったからだ。まあそれは構わないのだが、私より負担が大きい妖精さんのことを考えて組まないとな。
カズマはあれからパーティーメンバーからの文句と、新装備のトンカチを羨ましがられまあいろいろやっている。目ざとくカズマのトンカチを見つけたアクアがカズマが眠ってる隙をついて売り払おうとしたときは流石の私も激怒した。頭にいくつものたんこぶを作ったアクアに説教したのも今となってはいい思い出だ。
「ん。またやったのかめぐみんは・・・」
町外から私の主砲のような轟音がかすかに聞こえてくる。モンスターに爆裂魔法を打ち込めなくなっためぐみんがカズマを巻き込んで少し歩いたところにあるらしい古城に打ち込んでいるとのことだ。毎日毎日カズマはめぐみんをおんぶして、一緒に帰ってくる。なんでも爆裂魔法の調子までわかるようになってきたというのだから驚きだ。
「うむ、ちょうどいい。妖精さん、休憩にしようか」
「アシタシュッコウダケドダイジョブー?」
「いや、問題ないさ。もうリストは完成、今日の夜にブラストにいって、アルカンシアまで行けばいい」
これはお上からの依頼で、監獄島アルカンシアに罪人輸送と看守の補充、そして物資の補給をしなければならない。
昼に差し掛かった時、にわかにアクセルの町全体が騒がしくなった。何かあったのかと家を出てみると・・・門の周りに人だかりができている。
「ふむ、すまんそこの。何があったのだ?」
「えっあっ武蔵さん!なんか魔王軍の幹部がこの町に来てるらしくて・・・」
「なんだと?それいかんな。すまん!通してくれるか!」
人垣とかき分け、門の前に行くと、首なしの馬にまたがったこれまた首なしのデュラハンがいた。ああ、小脇に抱えているのは頭か。
「失礼する。アクセルの町の冒険者を代表して貴殿に話しかけよう。私は武蔵、この町に何用か」
「む、丁寧に感謝する。我はベルディア、魔王軍の幹部だ。用というのはだな・・・毎日毎日我の城に爆裂魔法を打ち込んでくるのは誰だァーーーーっ!!!!」
・・・・・・・・・・・あっ・・・・・
「よく聞け貴様ら!この町には俺を如何こうできる冒険者がいないのはわかってる!手を出してこなければ何もしないでおこうと思えば毎日毎日ドカンドカンと・・・!気が狂ってるのかぁ!!!」
ああ、うん。私のせいではないが、なんかすまん。
「おかげで耳鳴りはひどいは食事はのどを通らぬわで・・・なんだ!嫌がらせか!?最上級魔法を何だと思ってるのだ陰湿にもほどがあるわぁ!!!!!・・・・ぜえ、はあ・・・」
「爆裂魔法・・・・?この町で爆裂魔法が使えるのっていえば・・・」
「ああ、たしか鬼畜のカズマのとこの・・・」
「いるのかこの町であんな悲しみを背負った魔法を使えるやつ・・・」
・・・頭が痛い。めぐみん・・・住人がいるかいないかの確認くらいは取れ・・・もしこれが領主が持ってる別荘だった場合お前の首だけでは済まないのだぞ?しかも結果論とはいえ町の住民全員の命を危険にさらしおって・・・
私は無言でずんずん歩を進め、人垣がモーゼのように割れていく。その先にいるのは「私ではありません」という顔をしているめぐみんとシラーッとした顔をしているカズマだ。私はめぐみんを猫掴みすると
「カズマ」
「カズマです」
「借りてくぞ」
「どーぞどーぞ」
「よくありません!何をするの「黙れ」・・・ハイ」
無言でめぐみんを空輸する私と後ろをついてくるカズマがベルディアの前に戻り、私はめぐみんをおろし、ごちん!と強めのげんこつを入れうずくまるめぐみんをほっておいてベルディアに話しかける。
「すまん、これが犯人だ。だがこいつもあの城に魔王軍とはいえ住んでるものがいるとは知らなかったはずだ。もう撃たせないようにするからここで手打ちとしてはもらえないだろうか?」
「ぐぬ、いたいです・・・!私は紅魔族随一の魔法使い、めぐみん!私があなたの城に魔法を撃ちづけたのはこうしてあなたをおびき寄せるためだったのです!」
くだらないウソをつくな。しっかり謝ってくれれば丸く済むんだから、きちんと謝ってほしいのだが・・・・
「すまん、この子は少し爆裂脳でな。しっかり言い聞かせておくから聞き流してくれ」
もう一発げんこつを入れておく、つよめに。まったく、反省してくれ。
「お、おお・・・痛そうだ・・・ウォッホン!まあそういうことならこれでいい。我はある調査のためにあの城にいるだけだ。今後貴様があの嫌がらせをしない限り俺ももうここには来ない、いいな?」
「いいえお断りです!紅魔族は1日一発爆裂魔法を撃たなければ死んでしまうんです!・・・こう、魔力で体がボンッ!と」
「嘘つけそんな話聞いた事ねーぞ!」
「めぐみん、話がまとまりかけたのになぜ混乱させるようなことをする?」
「いえ、その・・・大きいものじゃないと満足できない体になってしまって・・・」
だめだ。頭が痛いどころか頭が割れそうである。せっかく被害なしで返せると思ったのだが・・・
「どうあっても迷惑行為をやめないつもりか・・・?それならばこちらにも考えが・・・」
「迷惑なのはこっちよ!あんたのせいで私たちはろくに仕事ができないの!ちょうどいいから浄化してやるわ!」
ああ・・・状況が混乱していく・・・なんで積極的に喧嘩を売りに行くんだ。正面から戦えば何人死人が出るかわからんのだぞ?よしんば私が倒せてもアクセルが魔王軍にマークされ、初心者の町なんてとても言えない状況になるかもしれんというのに。
「・・・おかしい恰好をしたアークプリーストがいるようだな。だがこの町ごときのレベルで浄化される我ではないわ!そして紅魔族の娘よ!貴様にはしかるべき罰をくれてやる!」
「・・・っしまっ!?」
混乱した状況を整理していた私はベルディアが放った魔術に反応できなかった。めぐみんに向かって一直線に走る黒い塊がめぐみんに当たろうかという瞬間、ダクネスがめぐみんを突き飛ばし代わりにその黒い塊に当たってしまった。何をやってるのだ私は・・・!
「ダクネス!大丈夫か!?」
「カズマ・・・いや、なんともない」
「今だけはな!少々予定は狂ったが・・・紅魔族の娘!その金髪の娘は1週間後に死ぬ!そういう呪いだ。せいぜい1週間おびえるがいい!」
呪術か・・・!クソ、私は門外漢だぞ。ダクネスがやられるなんて・・・・
「そっ・・・それは・・・・!呪いを解いてほしくばどんな変態プレイでもしろと!そういうことだな!?」
なんだか急速にすべてがどうでもよくなってきた。どうしてこんなにぐだぐだなのだ?ああ、頭のおかしいやつが多いからだな、うん。
「えっ?あのちょっと」
「見ろカズマ、あのデュラハンの怪しく輝く目を!まさしく変質者の目だ!ああ、どんなハードコア変態プレイを私にする気なのか!」
「えええーーーーっ!?」
「くっ!行きたくはない・・・行きたくはないが!しかたない!ではいってくる!」
「いくな!幹部の人困ってるだろ!?」
「オホン!とりあえず紅魔族の娘、我の城に爆裂魔法を撃つのをやめろ!そしてその女騎士の呪いを解いてほしくば俺の城に来るがいい!我が配下を倒せるのならな!フハハハハハ!!!」
あっにげる!にげる!どうしよう・・・・
そうだ!くらえ!!大 戦 艦 パ ン チ!!!!!
「ぐぬわあああああああああ!?」
半ば現実逃避していた私が一足飛びに馬に乗ろうとするベルディアを殴ろうと加減抜きの拳を突き出す。ぎりぎりで反応したベルディアは辛くもよけたが、私の拳の余波で首なし馬はミンチになり、ベルディアは森の奥まで木をへし折りながらぶっ飛んでいった。・・・逃がしてしまったな。
「ちっ、逃がしたか。追撃しよう、準備してくる。他の冒険者はこの町の防御を固めててくれ。やつが言葉をたがえるとは思わんが、万が一もある。いいな?」
「「「ウッス!」」」
「おいめぐみん!どこ行くんだよ!?」
「今回は私の責任です!あのデュラハンの元まで行きダクネスの呪いを解いてもらってきます!」
「お前ひとりじゃ雑魚に一発撃ってお陀仏だろ!しょうがねえ、俺も行く!」
「待て!それならば私も行く!さっきはふざけて悪かった。自分の呪いなのだ私が行かねば・・・」
「まて、気概は買うが全員待機してくれ。お前たちが正面から乗り込んで勝てる相手ではない。私が「セイクリッド・ブレイクスペル!」・・・む?」
「「「・・・・え?」」」
「もう安心よダクネス!呪いは解いておいたわ!この私にかかればおちゃのこさいさいよ!優秀なアクア様に感謝しなさい!」
さすが腐っても女神、スペックは高いんだな・・・となれば追撃の必要性はなくなった。・・・説教の時間だ。
「カズマ、めぐみんを少し借りていくぞ」
「いいけど、何すんだ?」
「説教だ。もしこの先冒険者家業を続けていくなら、あの言動には少し問題があると思う。自分だけならまだいいが、今回のように他人、ひいては町ごと巻き込むのはいただけない」
今回の件、相手が割と騎士然とした、温厚な性格をしていてくれたおかげで被害はなかったが、場合によってはこのアクセルの町が消し飛んでもおかしくはなかった。魔王軍幹部とはそういうものなのだ。しかもここは初心者の町、奴の配下ややつ自身と渡り合える冒険者は少ない。
「それはダクネスもそうじゃないか?」
「あいつのことはもう知らん。何度言っても治らないからな。といっても本当に危ない時はダクネスもふざけんよ。めぐみんはもし過激派の魔王軍にあんな態度取ればどうなるかくらいは説明しておかねば」
「じゃ、めぐみん行ってこい!」
「あの・・・私はもう十分反省したので・・・お許しいただけませんか?」
「ほう、ならば何が悪かったのか言ってみろ」
「それは・・・あの廃城に爆裂魔法を撃ち続けたことで「ちがう」・・・」
「それは原因ではあったが問題ではない。あのデュラハンも私がそれに触れたとき突っ込まなかっただろう?私が言いたいのはな、魔王軍幹部という明らかに強い相手に対して面と向かって挑発行為をしたからだ」
「え、でもそれは、相手が魔王軍だからで・・・」
「お前とあのデュラハンの関係は一応加害者と被害者だ。そして魔王軍と我々人間は戦争中なのだぞ?しかもあのデュラハンは警告という形で不干渉を持ち掛けてきたのにお前が挑発したせいで死者が一人出るところだった。まあそのあとのことはダクネスが悪いが、場合によってはお前が不干渉の提案を踏みにじった瞬間、この町とあのデュラハン、その配下との戦争が始まっても不思議じゃなかった」
「・・・・っ!・・・」
ようやく気付いたのか愕然とした顔になるめぐみん、だんだんと顔が青くなっている。紅魔族は仲間意識が強い、もし自分の言動で戦争が始まったりでもしたら自責の念で折れてしまうかもしれないくらいには。めぐみんもそうなようで、カタカタと震えだした・・・罪悪感がすさまじいが、ここは心を鬼にせねば。
「まだ子供のお前にこういったことを突きつけるのは甚だ不本意だが、もし全面戦争になった場合・・・お前は犠牲となる一般市民、そして戦の場に出る冒険者にどう責任を取るつもりだったんだ?さっきの私の攻撃も、「呪い」という攻撃を受けたからやり返しただけだ。もしこれでこの後攻めてくるのであれば、あのデュラハンのプライドはゴミ以下だったということだが・・・」
「・・・考えが足りませんでした。ごめんなさい」
「・・・あのデュラハンに挑発してくれたおかげで、私はこの町に残らねばならなくなった。明日の運行、これからの運行が欠航になれば、億単位の損害と私の会社の信用が落ちる。事情が事情だから違約金は少ないだろうが・・・こうして損害を受ける人間がいる。きちんと反省して次に活かしてくれるなら、私からはもう何も言わんよ」
「はい・・・ごめんなさい」
「よし、じゃあこの話は終わりだ。怒ってすまなかったな。さ、町に戻って食事でもしに行こう!」
まったく、損な役回りだ。きちんと言えばわかるのだから、この子は反省できる子なのだろう。誰かが言わねばならない、命が軽いこの世界ではほんの少しの判断ミスが死に繋がる。もし私が怒ることでその判断ミスが減るならば、嫌われても私は喜んで怒るだろう。・・・例えそれが、カズマであっても。
このすば世界ってカズマ周りの話だいぶ緩いけど本質は戦争中なんだから割と殺伐としてないとおかしいよねって話です。
ちょっとやりすぎだったかな?