この大戦艦に祝福を!   作:カフェイン中毒

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 うん、なんか御剣がすさまじく嫌なやつに見えるよう書いちゃったけど、私は彼が好きではないので御剣ファンの方ごめんなさい。原作の彼は勘違いくんだけどいい人なはずなんです。


第11話

 ベルディア襲撃事件後、すぐギルドに「魔王軍幹部襲撃の恐れがあるため明日の便は欠航とさせていただきたい」という旨を今回の依頼者である国に伝えたところ、事情は把握したから違約金等はなしでいいが、次回の出航の際にこちらを最優先、それと報酬の減額を申し付けられた。まあそうなるだろう。

 

 あのあと結局ベルディアは攻めてこなかった。一夜明け、ギルドから私に対して正式な依頼として王都からの高レベル冒険者が来るまでのアクセルへの常駐を依頼されたため二つ返事で受けた。あのデュラハン、混乱していたとはいえ私の加減抜きの拳を被害を最小限に逸らし、余波に乗じて撤退していった。間違いなく強敵だ。

 

 で、私はといえばギルドに缶詰めされているわけで・・・仕事もパァだし暇だ。いや、怠惰に過ごすのは嫌いではないがそれは平和あってこその話、いつまたあのダクネス的に言えば変態デュラハンが攻めてくるかわからない以上、アクセルの外には出られない。

 

 

 「むぅ・・・仕事がないと暇だ」

 

 「暇!?暇っていったわね武蔵!?じゃあ一緒にこの高難度の依頼するわよ!このアルタードラゴンの番討伐!どう!?」

 

 「それは私がアクセルの外に出られないと知った上での発言かアクア。というかその依頼、私に全部やらせて報酬かっさらっていく気だろう?聞いたぞ?また借金こさえたんだってな」

 

 「駄女神・・・お前・・・」

 

 「ちちちがうのよカズマ!決して高級シュワシュワに目がくらんだとかそういうわけじゃなくて・・・!」

 

 「てめえ借金肩代わりしてやったばっかじゃねえか!しかもこの依頼が少ない時期に節約もしないとか何考えてんだよ!しかも俺らのせいで大損害被ってる武蔵さんにたかるとかお前ほんとに女神か!?まだ悪魔とか言われた方が納得いくぞ!」

 

 「それは・・・その・・・そうだけど」

 

 「いいか?今俺たちにできることはあのベルディアとかいうやつを刺激しないで高レベル冒険者が来るまでつなぐことなんだよ。そのためにアクセルにいるこの人には負担をかけちゃだめだ」

 

 「うう・・はい。じゃあそうね!商売しましょう!」

 

 「切り替えが早いのかなんというか・・・そういえばめぐみんは?」

 

 「昨日のことが相当こらえてるみたいでなあ。暫く謹慎しますって妙にしおらしくなっちまった挙句、爆裂散歩ももういいってさ」

 

 「まあ、あいつは頭がいい。私に怒られたくらいでへこむような子じゃないさ」

 

 そうか、きちんと考えてくれてるのだな。喉元過ぎれば熱さを忘れるというが(アクアは完全にこのタイプだ)これで少しはあの自ら危険に飛び込むような言動をやめてくれればいいのだが。

 

 

 「ねえカズマカズマカズマ~~~!!!」

 

 「カズマだよ」

 

 ほらもう来た。さっき怒られて涙目になってたとは思えないほどの満面の笑みだ。すさまじいほどのポジティブシンキングである。私も見習うべきだろうか・・・・?

 

 「ほら!この依頼!ちょうどいいんじゃない!?」

 

 「なになに・・・湖の浄化ぁ?そんなもんお前できんの?」

 

 「当然よ!私は水の女神アクア様なのよ?半日もあれば湖くらいしっかり浄化して見せるわ・・・ただこのモンスターからの護衛を・・・」

 

 「あーーー・・・しょうがねえなあ。浄化の方法は?」

 

 「水につかって魔法かけ続けるだけよ。半日くらい」

 

 「なっげえよ!・・・ん?待てよ・・・うん・・・これなら・・・・よし行くかアクア!」

 

 「カズマさん・・・?その輝くような笑顔は・・?」

 

 「まあ俺に任せておけって!」

 

 カズマがさわやかな笑顔をしているときはたいてい効果的だがろくでもない提案がおおい。アクアもそれがわかってるから顔が引きつっている。

 

 「よし、ダクネスとめぐみん引っ張っていくぞ!」

 

 「なんだかわからんが気を付けていってくるといい」

 

 カズマとアクアが意気揚々とギルドから出ていく、私が頼んだコップの中の氷入りジュースがカランと音を立てる。静かになったギルド内で私はまた一人こうごちるのであった。

 

 「それにしても・・・・暇だ」

 

 

 

 二日後、私から妖精さん謹製の檻を借りて戻ってきたカズマ一行に対して私は思わず元の世界で有名な言葉を発してしまった。

 

 「何この・・・・なに?」

 

 「アクアだけど?」

 

 「それはわかる。が、なぜ檻の中で小さく震えているのだ?」

 

 「なんか外の世界がトラウマになったんだってさー」

 

 「そうなのか・・・うむ・・・」

 

 「おそとこわい・・・ここ安全・・・私女神・・・」

 

 ぶれないな・・・と考えてると

 

 「女神様!?女神さまではありませんか!?」

 

 唐突に割り込んできたのは栗色の髪をした全身鎧にマントを着た男だ。誰だ?少なくともアクセルの冒険者ではないな。マントも鎧も上等なものだ。そして腰に刺した剣・・・・あれだけ別格だ。ってことはこの男転生者か。

 

 「いったいどうされたんですか!?こんなところで・・・」

 

 「おいアクア、あいつお前の知り合いか?」

 

 「えっと・・・どなた様?」

 

 アクアの言葉に一瞬ガーンという顔をした男だったが気を取り直して自己紹介を始めた。

 

 「御剣ですよ!御剣響夜!貴方に魔剣を授かってこの世界に送ってもらった!」

 

 「ああ~よくわからなくてカタログから選んだ子ね!はいはい覚えてる覚えてる~」

 

 こいつ絶対覚えてないな・・・と考えてると唐突にグシャァ!と檻を曲げてアクアを出した御剣がカズマに向かってまくしたて始めた。おい、それ妖精さんが作ったものでカズマが私から借りてったものだぞ・・・・許せん。ほら、作った妖精さんが涙目じゃないか。クエストで壊れるならまだしも目の前で壊すとは・・・・

 

 「どうしてアクア様がこんな檻に閉じ込められてるのですか?」

 

 それはアクアが自分から入っていったのだろう。いつもの言い合いに負けて、いつものようにいじけて、でもカズマたちに構ってもらうのが楽しくてってかんじで。

 

 「それはだな・・・」

 

 

 

 一通りカズマの説明が終わると御剣は激昂した。うむ、なんだかこやつはアクアに対して妄想が入った信仰をしているようだ。あとさっさと檻壊したことを謝れ。さすがに気が長いと評判の私も怒るぞ?

 

 「馬鹿なっ!ありえない!そうすると君はおかしな願いで女神様をこの世界におろし、あまつさえモンスターへの囮にしたと!?君はアクア様を何だと思ってるんだ!」

 

 お前こそアクアを何だと思ってるんだ。いや、確かに実物を見なければこういう感じになるのはわかるが・・・とりあえずカズマから手を離せこの似非勇者。

 

 「おい、貴様。いい加減にしないか。いきなり割り込んできてあまつさえ備品を壊し、持ち主に対して謝罪もせずに絡む。何様のつもりだ」

 

 「何だいキミは?今は彼と話してるんだ。すまないがあとに・・・ぐっ・・・いたたたたた!はなせ!」

 

 私が御剣のカズマの胸倉をつかんでる手を握り、そのまま万力の力で締めあげ、離させる。御剣は相当自分に自信があったのか握られた痛みに悲鳴を上げながら私の手を外せないことに驚いている。なんだこいつは?カズマにも非はあるのかもしれん。が、それはアクアとカズマで解決すべきことであって貴様が出る枠はない。さっさと失せろ。

 

 「おい、貴様の後ろ、その壊した檻がいくらするものか知ってるのか?」

 

 「そんなこと知るわけないよ。せいぜい10万エリスだろ?」

 

 「500万エリスだ。その檻はモンスターを生け捕りにするための特別性、いまだこの世界にはない製鉄技術で作られた特別製の檻だ。別にクエスト等で壊されるなら不満はないが、目の前で人為的に壊されるなら話は別だ。なんなら警邏に通報してやろうか?器物損壊罪だ、この国の法律に置き換えるなら壊したものの値段で罪が重くなるぞ?」

 

 「ぐっ!法律を盾にするなんて卑怯だぞ!」

 

 「どの口が言う。貴様はアクアが女神であるということで彼女の意見も聞かずにカズマに対していろいろ言ってたではないか。相手に反論の機会も与えず、相手の話も聞かない。貴様のどこが卑怯ではないというのだ?」

 

 「何の騒ぎだ!?」

 

 「何をしてるのですか?」

 

 「めぐみん、ダクネス!」

 

 「彼女らは?」

 

 「うちのパーティーメンバーだよ。ほんとなんだよお前、よしんばお前の意見が正しくてもそれは俺とアクアの問題だろ。無関係のお前がしゃしゃってくるな」

 

 「君はこんなきれいな人たちにまで不遇な扱いをしてるのか!?町できいたぞ?馬小屋で雑魚寝、ひどい態度をしてると!」

 

 「何ですかこの人。顔面を爆発させてもいいのでしょうか?」

 

 いいぞめぐみん。今回だけは私が許可すると言いたい。さらにヒートアップする御剣がとんでもないことを言い出した。

 

 「よし、こうしよう!君たち僕のパーティーにおいでよ!僕なら君たちに苦労はさせないし僕の仲間との相性もぴったりだよ!」

 

 何を言ってるんだこいつは。それは彼女たちがどう思ってるか知っていってるのか?アクアは確かにカズマとよくケンカをするがそれは仲がいい故だ。めぐみんは爆裂魔法を使って倒れた自分を見捨てずパーティーに置いてるカズマになんだかんだ感謝してるようだし、ダクネスも自分の性癖に対してフラットに接するカズマを好ましく思ってると聞いた。不愉快ここに極まれり、というやつだな。

 

 「「「お断りよ!(です!)(だ!)」」」

 

 「何が悲しくてあんたみたいなナルシストについていかなきゃならないのよ!」

 

 「あなたがカズマの何を知ってるというのですか!一昨日来やがれです!」

 

 「私は貴様が生理的に嫌いだ!私が拳を突き出す前にさっさと帰ってくれ!」

 

 非難轟轟というやつだな。針の筵ともいう。ここまで言われても御剣はあきらめがつかなかったようで・・・

 

 「・・・決闘だ!君が勝てば檻の代金と何でも言うことを聞こう!代わりに僕が勝ったら彼女らを僕のパーティーにもらう!」

 

 うん?それはもしかして私もか?貴様は何を考えているのか・・・受ける理由がなかろう。

 

 「何勝手なこと言ってるんだ?俺がそれに乗る理由がないだろうが」

 

 「逃げるのかい?まあいいさ、キミがよく行動してるらしい「アクセルの不沈艦」・・・僕はその人もパーティーに誘おうと思っているが・・・聞く限り防御とレベルが高いだけの冒険者じゃないか!それに君と一緒に行動してるならお里が知れるってものさ!どうせ卑怯な手段で名声を得たに違いない!」

 

 安い挑発だ。というかさっきのやり取りで私がその不沈艦本人だと気づいてないのか?まあ受ける理由もあるまい、このまま警邏に通報して終わりでいいだろ・・・・カズマ?

 

 

 

 「おい、乗ってやるよ・・・その賭け」

 

 「ふん、怒ったのかい?図星かな。まあいい、キミが最弱職の冒険者だろうと手加減はしない。ここでキミを断つ」

 

 「うわっ中二病かよ。もらいもんの剣でえらそーに」

 

 「うるさい!アクア様は僕が守るんだ!」

 

 斬りかかってきた御剣をカズマはぎりぎりでよけるが首狙いの斬撃に対して掠ってしまい、首筋からたらりと血を流す。御剣のやつ、殺す気で斬ったな?命を何だと思ってるのだ!思わず止めようと動くがダクネスとアクアに止められた。

 

 

 「カズマが珍しく本気なのよ。もし殺されても私が生き返らせてあげるし、そのあと御剣に何してもいいから・・・今はやらせてあげましょ」

 

 「そうだ武蔵。私もはらわたが煮えくり返る思いだが・・・カズマにも考えがあるはずだ」

 

 逃げ回るカズマに対し、御剣は追いかけまわす。くっ、何もしてやれないのがもどかしい。

 

 「逃げるだけかい?威勢の割にはずいぶんな動きじゃないか!」

 

 「うるせえ!おらっ!」

 

 カズマが投げた袋を思わずといった感じで切り捨てた御剣、切り捨てた袋から白い粉・・・目くらましか?どうする気だ、カズマ!

 

 「なんだいこれは?こんなものでどうする気かな?」

 

 「こうするんだよ!ティンダー!ウィンドブレス!」

 

 ボッ!と風で大きくなった種火が御剣の近くにともると、ドカァァン!と粉が燃え上がり一瞬だけ爆発が起きた!そうか粉塵爆発!でもこの世界ではこけおどしに過ぎない。現に爆発を切り裂いた御剣は無事だ。

 

 「へえ、頭だけはまわるみたいだけど、こざか「クリエイトウォーター!」ぶっ!」

 

 「クリエイトウォーター!クリエイトウォーター!」

 

 御剣に水をぶっかけ、地面に水を撒いていくカズマ、何をしているのだ?

 

 「水遊びかい?初心者魔法ばかり、やはり最弱職「なあ御剣」・・・なんだい?」

 

 「お前、いい鎧着てるよなあ?」

 

 「この鎧かい?王都でこしらえたものでね、君ごときでは「それが命取りだバァカ!」・・・?」

 

 そうか、御剣の鎧は金属製、そして金属は通電する、そして水を被り、地面が水浸しならば!

 

 「おらっ!ブリッツ!」

 

 バチイ!とカズマの手に一瞬走った雷撃が地面の水を通電して御剣に走る、通電性抜群になった鎧は初心者魔法とはいえ電気を防げるわけもなく御剣は感電、硬直してしまった御剣に近づいたカズマは

 

 「スティール!」

 

 御剣が持っているご自慢の剣を奪い、離れた。動けるようになった御剣が憎々し気な目で

 

 「僕のグラム・・・もう許さないぞ!」

 

 完全にカズマのペースだ。激昂し冷静さを欠いた御剣と油断せず知略を巡らすカズマ。カズマの悪知恵は天下一品、この凸凹パーティーをまとめ上げ、クエストを成功させる中で鍛え抜かれた知略がいま自分の何倍という格上の相手を追い詰めている。

 

 「この剣がそんなに大事かよ。じゃあほら、返してやるよ!」

 

 ブンっとグラムを御剣に向けて投げたカズマ、思わずキャッチする体制に入った御剣に向かって、グラムより強くカズマが何かを投合した!

 

 「くっ!しまっ!?ぐあああっ!?」

 

 グラムをキャッチした瞬間の御剣に激突したのは私がカズマに渡したトンカチだ。カズマによって魔力を込められたそれは、御剣のプレートアーマーにぶつかると大爆発を起こし、御剣を吹き飛ばした。

 

 せっかくキャッチしたグラムを手放し、ゴロゴロ転がる御剣に対して油断せずカズマは次善の策を講じる。

 

 「フリーズ!」

 

 水浸しになった鎧と地面がくっつき、仰向けのまま動けなくなった御剣に対しゆっくりと近づいたカズマは。

 

 

 「武蔵さんに・・・謝れクソ野郎!」

 

 バコン!と御剣の顔面を殴り、もろに入った御剣は気絶。・・・カズマ、強くなったな。

 

 

 

 




 カズマ強すぎィ!という意見もあるだろうし。こんなのカズマじゃないわ!という意見もあると思いますが、どうしてもカズマさんをかっこよくしたかったんです。

 あ、ベルディア戦のアンケ締めさせてもらいます。ご協力ありがとうございました。
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