この大戦艦に祝福を!   作:カフェイン中毒

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 オリジナル編続きです。ちょっと充電期間をいただきましたがまたぼちぼち書いていきます。


第15話

 ワイワイきゃあきゃあと楽しそうなめぐみんとカズマ、私にシュワシュワを盗られてめそめそ泣いているアクアを落ち着かせるため、パァン!と一度手をたたいて

 

 「ほら、一応仕事の話なのだ。少し落ち着いてくれ」

 

 「あ、ごめんなさい」

 

 「すみません・・」

 

 「いいから、ほら。席につけ。依頼について他に質問は?」

 

 ざっと見まわして特に何もないことを確認した私が口を開こうとした瞬間、トントン・・・とノックの音が響いた。この時間に来客とは珍しいな。玄関まで移動してガチャ、とドアを開けるとピンク色の髪と同色の瞳をもった元気そうな少女が立っていた。なんだ、お前だったのか。

 

 「武蔵!久しぶりでち!お仕事がひと段落したので会いにきたでちよ!」

 

 「ゴーヤ!久しぶりではないか!1か月ぶりか?変わりないようで何よりだ!」

 

 そこに立っていたのは艦隊これくしょんに登場する潜水艦娘の一人、伊58だった。彼女は一応だが私の会社の社員で私やカズマと同じ転生者だ。普段はその隠密性を活かして要人などの護衛兼移動をやってもらっている。海上なら兎も角海中を移動する手段はこの世界にないに等しいからな。おかげさまで彼女は引っ張りだこだ。

 

 ワンピースに身を包んだ彼女が私にギュッとハグしてくるので抱き返してやり、家の中に案内する。居間に戻るとカズマたちがまたびっくりしたようにゴーヤに目を奪われているな。まあ知らない人間をいきなり案内したのだからそうもなる。

 

 「武蔵、お客さんでちか?出直してくるでち?」

 

 「いや、構わない。せっかくだからお前も手伝え。ちょうど人手が足りなかったところだ」

 

 58は私が仕事をさせようとしてるのは察したのか深いため息をついて大げさな身振りで抗議してきた。

 

 「いやでち!武蔵は人使い・・・いや!潜水艦使いがあらいのでち!もう働きたくないのでち!」

 

 「3日前に一週間連続で休んでたではないか・・・しかも有給休暇として。それに久しぶりに一緒の海に出るのだぞ?そんなに嫌がらなくてもいいじゃないか」

 

 「むぅー・・・もう一声、もう一声ほしいでち!そしたら一緒に行くでち!」

 

 はっはーん?こやつさては甘えたいだけだな?まあこの子も元13歳の未成年、働かせている私が言うのもなんだが甘えたい盛りだろう。実際4か月前はホームシックですごく暗くなってしまっていたからな。元社会人としてでろでろに甘やかしたうえで食わせてやるために私の会社に入れたらまあ、懐いてしまったのだ。

 

 「いやに甘えん坊だな?どうした、寂しかったのか?」

 

 むに、と彼女の柔らかい頬を両手で挟んでぐにぐにと弄ってやる。私が甘やかしてやれる年数も少ないのだぞ?ここは日本じゃないからな、もう少ししたら独り立ちしてくれないと困る。私がいつまでもこの子の面倒を見れるわけじゃない・・・この世界は命が軽い、いくら私たちが特典もちの転生者であろうとも明日には死んでるかもしれないのだ。このまま私に依存されてはいけない。

 

 「やーめーるーでーちー!・・・58、寂しかったでち。休みっていっても武蔵、いなかったでち」

 

 ぐりぐりと私の脇腹に顔をこすりつけるゴーヤ、これは相当きてるな、仕方あるまい。そのままカズマたちのほうに顔を向けると、アクアは何かを思い出そうとしてる顔、ダクネスとめぐみんはなぜか納得顔。カズマは微妙に鼻の下を伸ばしていた。そんなんだからクズマとか言われるのだぞ?

 

 「ああーーー!思い出した!あんた!5か月前に私が担当した子でしょ!?へー、武蔵に拾われてたのね、よかったじゃない!」

 

 「なんだ?お前がそう言ったことをきちんと覚えてるのは珍しいな?」

 

 「そりゃ覚えてるわよ!私が担当した中でぶっちぎりで若いほうなのよ!?本来ならその年齢の子は輪廻転生に組み込むんだけど・・・なまじ判断能力が高かったのがいけなくてね・・・選択させなきゃいけなかったのよ」

 

 「そういうことだったのか・・・」

 

 何でもアクアがボソボソ言うには、若いといっても現状の自分の置かれた状況を客観的に見れるような人間はいくら若くても転生か元の世界で産まれなおすかの選択をさせないといけないらしい。アクアも元の世界に産まれなおすのを勧めたそうなのだが、ゴーヤはこの世界を選んだらしいのだ。

 

 で、せめて強い力を持たせてあげたかったのだが・・・ゴーヤ自身はあまりそういうのがわからなかったらしく、私のような特典でなおかつ一番適性が高いものを見繕った結果、現在のゴーヤが出来上がったというわけらしい。

 

 なるほど、なんだかんだアクアにも優しさというものはあったのだな。優しい顔をしているではないか・・・いつもこうならいいのに。

 

 「えーっと・・・武蔵さん・・・そのこどなた?」

 

 「ん?ああすまんカズマ!紹介しよう、彼女は伊58、私の会社の社員の一人だ。ほら、ゴーヤ」

 

 「伊58でち!ゴーヤって呼んでもいいよ!普段は要人警護とかやってるでち!」

 

 「えーと、俺は佐藤カズマ、こっちがアクアに、めぐみん、んでダクネスな。俺たちは武蔵さんから依頼を受けるからその説明をしてもらってたんだ」

 

 「よろしくたのむわ!」

 

 「よろしくお願いします」

 

 「ダクネスだ、よろしく頼む」

 

 「よろしくでち!武蔵が他の冒険者に頼むなんてめずらしいでちね?私たちなら大概のことはどうにかなるのに・・・」

 

 「行く場所がだな・・・この季節のアルカンシアなのだ。で、そこのアクアの対アンデッド能力にあたりをつけているわけだ。他も他でなかなかのものなのだぞ」

 

 私が椅子に座りながらそういうと、ゴーヤは素早くぴょん、と私の膝の上に乗ってご満悦になった。お前がいくら小柄とはいえ多少は邪魔だし示しもつかんから人前ではよせというに・・・はあ。

 

 「へー!武蔵がそんなにべた褒めするのは珍しいでち!いつもなら冒険者に頼むことすらしないのにー」

 

 「状況が状況だからな。あそこに行くには万全を期さねばならん。無論お前もいくのだぞ?どれだけ成長したか私に見せてみろ」

 

 「もぉー仕方ないででちね!任せるでち!」

 

 言葉では嫌がっているが顔はゆるゆると緩んでいるぞゴーヤ。扱いやすくて何よりだが、カズマたちのほほえましいものを見るような視線に気付け。私にばっかりかまけてるんじゃない。

 

 

 「えっと、ムサシ・・・その子、連れていくんですか?」

 

 「もちろんそのつもりだが?」

 

 「えっでも私より年下ですよね?」

 

 確かにゴーヤははめぐみんより小さいが・・・同い年だぞ?それに特典の関係で私よりも直接の戦闘能力は劣るが索敵等は私以上だ。

 

 「めぐみん、ゴーヤはお前と同い年だし曲がりなりにも私の会社の社員だ。そんじょそこらの冒険者よりは有能だぞ」

 

 「えっへん!でち」

 

 「同い年ですか!?えっ!?」

 

 「なんでそんな驚くでちか!?」

 

 それは自分の身長をよく見てみるといい。言動もまあ年相応だがどうしても小さく見られてしまうのはしょうがないだろう。ちなみにゴーヤは結構着やせする。そのバストは割と豊満である。・・・仕事中カズマのラッキースケベがないことを祈る。私は元男だからまあ理解できるがゴーヤは正真正銘女の子だ。私が憲兵になるのも辞さない。

 

 

 「とりあえずこの子も同行するが、問題ないな?では明日の朝10時に乗合馬車・・・カズマ、この前のとこだ。カズマに案内してもらってきてくれ。では、解散!」

 

 

 「「「はーい!」」」

 

 「・・・学校ではないのだぞ?」

 

 「じゃあ、武蔵さんまた明日な」

 

 そう言ってカズマたちは出ていった。あとアクアが私のベーコンをすべて持って行った。・・・まあ駄賃としておいてやろう。ゴーヤを持ち上げて立たせ、私もたつ。ここからは私の会社の仕事の時間だ。

 

 「さて、ゴーヤ。せっかくだから報告書を出していけ。どうせ持ってきたんだろう?」

 

 ゴーヤには書類の書き方を教えてある。練習がてら書かしているからそれの赤ペン先生をしてやろう。日本のものだが、私が社会に出て培った処世術の数々を教え込んでいる最中なのだ。この子は勉強熱心だから実に教えがいがある。

 

 「うーん、やってはあるでちけど・・・ちょっと恥ずかしいでち。妖精さーん!」

 

 「アイアイ!」

 

 

 彼女の声に反応したゴーヤの妖精さんが書類をもってぬるん、と出てくる。私が彼女を一人にしてもある程度問題ないと思う理由の一つは、私と同じで妖精さんがついているからだ。彼女らがいれば大概のことは何とかなる。まあ人同士の関係はまた別だがそれは私が教えていけばいい。

 

 書類を受け取り、目を通す。・・・・うむ、特に問題はないな。誤字脱字もなし、少し表現が子供っぽいが実際子供だし成長したら解決するものだろう。字もきれいだ・・・前の世界の後輩に爪の垢でも煎じてやってほしいくらいに優秀だな・・・もう言っても意味ないことだが。

 

 「よし、合格だ!よくやったな。担当した仕事も問題ないようだし、むしろまた頼むとオファーが来てたくらいだ。ご褒美に一緒に飯に行こうか。何か食べたいものはあるか?」

 

 「じゃあ!・・・武蔵さんのお味噌汁飲みたいでち。武蔵さんが作ったご飯がいいでち」

 

 いじらしく指をつんつんしてお願いするゴーヤ。・・・かわいいやつめ!私がこういうのに弱いと知ってのことかもしれないがそんな態度取られたらかなえてあげたくなってしまうだろう。

 

 「いいだろう!せっかくだし一緒に買い物に行こうか!」

 

 「やったでち!」

 

 

 

 翌日、いつも通りと思ったらゴーヤの妖精さんも合わさった2倍の起床ラッパで跳び起きた私とゴーヤは朝食を済ませてまったりしていた。なに?昨日のことだと?ゴーヤのお願い通り味噌汁といろいろ日本の家庭料理を並べて楽しく食事を済ませ、ゴーヤのおねだりに負けて一緒の布団で就寝しただけだ。誤解なきように言っておくが、けして不埒な真似はしていない。もうこの子のことは妹か娘にしか思えないからな。

 

 「さ、いくぞゴーヤ。準備はできたか?」

 

 「問題ないでち!いろいろ持ってきておいてよかったでち!」

 

 私はいつも通りローブ姿、ゴーヤは艤装風のセーラー服にスカートだ。私は洒落っ気がないから服装のことはよくわからないが、ゴーヤ自身スク水はともかく艤装自体は気に入ってるらしく仕事着やプライベートでも艤装を意識した服装をよくしているらしい。

 

 集合場所に行くと既にカズマ一行が待っていた。気づいたアクアが手をぶんぶん振って、めぐみんが会釈をしてるのが見える。

 

 「うむ、時間通りだな。一応馬車一つ貸し切りにしてあるからもう乗るだけでいい、こっちだ」

 

 「貸し切りって・・・金あるなあ武蔵さん・・・」

 

 「どうせこの人数で行ったら定員オーバーで誰かが荷台行きだ。なら最初から大きいものを取っておけばいい。必要経費というやつだぞ」

 

 「おれだったらアクアかダクネスを荷台に送るわ」

 

 「そこでその答えが出てくるあたりしょうもないやつだなカズマ。甲斐性の一つくらい見せてやれ」

 

 「見せる意味があるんだったらな」

 

 なんてやり取りをしつつ馬車に乗り込んでさっさと出発する。道中各々適当に暇をつぶしているとカズマが話しかけてきた。

 

 

 「なあ、武蔵さん。ゴーヤちゃんって俺と同じ転生者なんだよな?」

 

 「そうだぞ。というかちゃんなのか。お前らしくもない」

 

 「いや、あの見た目だとどうしても・・・」

 

 「なになにー?ゴーヤの話でち?」

 

 ずいっとゴーヤが割り込んできた。私の膝を横断してカズマと私の間に座ってカズマを見つめている。子供特有の無邪気な瞳は自分の話題だ!嬉しい!と輝いている。うーんめぐみんが割と大人びているからか余計子供っぽさが目立っているな。まあ13で親元から離れさせる紅魔族もどうかと思うのだが、そりゃ大人びるわけだ。

 

 「えーと、ゴーヤちゃんが今回の仕事で何をするのかなって聞こうと思ってたんだよ」

 

 「ああ、そういうことか。いつも通りだ、な?ゴーヤ」

 

 「いつも通りなら、海に潜って対潜警戒でち!武蔵さんに近づく怖いのがいたら雷撃するでち!」

 

 「と、いうことでゴーヤは私の目が届かない海の中の索敵と可能であれば露払いを担当してもらうわけだ。まあ見ればわかるさ。お前ならわかるだろ?」

 

 「ってことはゴーヤちゃんもアレができるってことか!?はー益々アレを選んだ自分に後悔したくなるぜ・・」

 

 「カズマが選んだのは女神様だよね?すっごいでち!女神様を連れてくるなんてゴーヤ思いもしなかったでち!」

 

 カズマが顔をゆがめた。大方ゴーヤの純粋な言葉に汚い自分を顧みているのだろう。私も汚いやり取りは会社のトップとして遭遇しないわけじゃないから気持ちはよーくわかる。子供っていうものは残酷だ。

 

 「武蔵さん・・・心が、痛い・・・」

 

 「気を強くもてカズマ。一週間一緒なんだぞ」

 

 なんてことをしながら馬車は順調にブラストまで進んでいく。盗賊もここら辺には出ないし、実に平和でいいことだ。アルカンシアまでの道のりもこのままだといいのだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 転生者を出してみましたがどうでしょうか?といってもこの章以降はちょくちょく出るけど本筋には絡ませないつもりですが。

 あと感想で突っ込まれましたBLタグの扱いの件ですが、もしこの先カズマと恋仲になる等のことがあれば精神的BLタグと必須タグのほうを追加させていただきますが、そうならない場合はそのままにします。

 ご了承ください。

では、次回もよろしくお願いします
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