この大戦艦に祝福を!   作:カフェイン中毒

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 思ったより反響がよかったので初投稿です。やっぱみんな好きなんすねえ


第2話

 クリスと世間話をしていると冒険者ギルドから意気揚々と支給品のナイフを片手に持ったカズマと女神アクア・・・もうアクアでよいか、が町の外に出ていった。あの様子だと討伐クエストでもうけたのか?

 

 「む・・・」

 

 「ん?ムサシ、どうしたの?」

 

 「ああ・・・今さっきギルドに案内した新人がナイフ片手に街の外に出ていったから少しな・・・何事もないとよいのだが・・・」

 

 「ムサシは心配性だねー。ここらへんで危ないのって一撃熊とか?そうそう出くわさないって」

 

 「だといいのだが・・・」

 

 「あ、あたしクエスト行くから!じゃねー!」

 

 「怪我しないようにな、武運を祈る」

 

 「ありがと!」

 

 クリスと別れ、商店街に戻って買い物をする。妖精さん用のお菓子を買い、商店街を歩く。自慢ではないがこれでもアクセルの町では数少ない高レベルの冒険者としてそれなりに有名だ。その証拠と言ったらなんだが・・・

 

 

 「お、武蔵の嬢ちゃん!いい鶏肉入ったんだ、どうだい一つ?」

 

 「なんの!武蔵ちゃん、こっちの魚、どうだい?穫りたて新鮮さ!」

 

 「嬢ちゃんはやめてくれ、そうさな、鶏肉は2つ、魚は3つもらおうか。変わりはないか?」

 

 「ありがとよ!いや、嬢ちゃんが受けてくれた依頼のおかげでだいぶ楽になってなあ。お、おまけも持ってけ!」

 

 「武蔵ちゃんが誰も受けないような焦げ付いた依頼を受けてくれるからだいぶ商店街も活気づいてきたぜ!こっちも持って行ってくれや!」

 

 「感謝する。何、時間が余っているからな。頼みごとがあるなら引き受けよう」

 

 「これからも頼むぜ!」

 

 「毎度あり!」

 

 このような感じで買い物のたびに結構なおまけをもらえる。というか過剰サービスもよいところだ。ちなみに焦げ付いた依頼とは、あまり裕福ではない層が出した労力の割に報酬が見合わない等の理由で、長期間受注されていない依頼のことだ。こういう一般層はあまり高額の報酬は出せないため避けられがちになる。暇なときに深刻そうな依頼から解決していたら嬉しいことに顔を覚えられてしまったのだ。

 

 まあこの武蔵ぼでぃ、今はローブで隠れているにしろかなりの美人でナイスバディなのだ。これが愛想よくしてたら覚えられるのも当然だろう。

 

 

 家まで帰り、荷物を妖精さんたちに渡して保管しておいてもらう。なんでも艤装の中は武蔵の内装が再現されており、備え付けの保管庫も使用可能なのだ。すさまじいと私も思っているが便利なので気にはしていない。

 

 

 「妖精さんたち、今日はクッキーを買ってきた。休憩にしよう。総員休め!」

 

 「ワー」

 

 「ムサシサンアリガトー」

 

 「コレガアルカラヨウセイハヤメラレネエ」

 

 「ははは、褒めても出るのはクッキーだけだぞ」

 

 妖精さんのおかげで私の生活は成り立っているといっても過言ではない。ので妖精さんは出来るだけねぎらうようにしてる。私の中にいる妖精さんは30人、これであの戦艦武蔵を動かすのだから驚異的なものだ。といっても装備の妖精さんは分身するので人数はもっと増えるが、分身しなければ30人だ、クッキーもそれなりの量になる。

 

 「夜まで休んでいて構わない、私は出かけるぞ」

 

 「ツイテクー」

 

 「ん、そうか。おいで」

 

 「ワーイ」

 

 大和みたいな恰好をした妖精さんが私の頭に乗っかる。妖精さんはこの世界の人々には見えるらしく、アクセルの町の人からしたらもう見慣れた光景だ。特に子供には大人気だな、不思議パワーでよく遊んでいるのをみる。

 

 ぼんやりとベンチに座り、屋台で買った果物ジュースを飲みながら妖精さんを愛でていると・・・カズマが戻ってきた。行きがけに見たテンションとの落差が激しいな。・・・後ろにはヌルヌルのアクアが号泣しながらカズマの服の端をつまみながらついてきている。

 

 ははあ・・・さてはジャイアントトードに挑んで丸呑みされたな?あれは初心者用モンスターではなく中級者向けのモンスターなんだが、まあ生きて帰れた分よかったのだろう。

 

 と一安心しつつジュースを傾けてると、カズマが私に気づいたようだ。こちらに近寄ってくる。

 

 「あ!武蔵さん!あのー悪いけど日本で言う銭湯みたいな場所ってないか?アクアがカエルに飲み込まれてヌルヌルで・・・」

 

 「あるにはあるが・・・金はあるのか?」

 

 「グッ・・有料かぁ・・・そりゃそうだよなあ」

 

 「カエルか・・・あと何匹だ?」

 

 「えっ?あと4匹だけど・・・」

 

 

 「先立つものがなければ始まらないのが世の中だ、特別に手伝ってやろう。・・・その前に妖精さん、頼む」

 

 「オマカセアレー!」

 

 「うわっ!?なんだこのちっさいの!?」

 

 「妖精さんだ。私の特典の一部だと思ってくれ」

 

 妖精さんがどこからか取り出した扇風機の風に当たったアクアはさっぱり乾いた・・・若干生臭いのは我慢していただきたい。

 

 「ありがと~!うっ・・ぐすっ・・・カエルなんて嫌いよー!」

 

 涙ながらにお礼を言ってくるアクアだが・・・何をしたらカエルに飲まれるんだ?無防備に近づいて殴りでもしなければそんなことにはならないと思うのだが・・・

 

 

 

 アクセルの町を出てジャイアントトードの群生地まで歩く、カズマに何があったのか聞くと

 

 「アクアが調子乗ってカエルにパンチしたら呑まれたので何とか倒して戻ってきたんだ。ファンタジーって怖いんだな・・・・」

 

 「一応命がけの職業だぞ?やつらは金属を嫌うから何か金属製の防具をつけておくといい。まあ初めてで1匹倒せたなら上出来だろう」

 

 「そうか!?そうだよな!やっぱ俺って才能にあふれた超絶冒険者に」

 

 「調子に乗るな。戦い方次第ではあるがカエル相手でも普通に死人が出る。毎年ある子供の行方不明事件の大部分はジャイアントトードなんだぞ」

 

 「・・・はい」

 

 ちなみにこの話の間アクアは妖精さんと戯れていた。絵にはなるがカズマが死んだ目で見てるのが気になった。

 

 

 群生地につくといつも通り人間を優に超えるサイズの蛙がびょんびょん飛び跳ねていた。アクアはトラウマになったのかカタカタ震えている。

 

 「まずジャイアントトードだが、脳天が弱点だ。カズマ、お前が持ってるそのナイフで思いきり殴るか刺せば大体倒せる。こんな具合だ」

 

 つかつかと太陽の光を浴びてのんびりしてるカエルに近づいてジャンプ、脳天にゴツンとげんこつを振り下ろしてやる。大戦艦パワー(全力ではない)に押されたカエルは頭蓋骨を陥没させその生涯を終えた。

 

 「そうだな、まあこんな感じで脳天を潰せば楽に終わる。やってみろ」

 

 「できるか!!何だその馬鹿力は!?」

 

 「別に私と同じようにしろと言ってるわけではない。そのナイフだって腐っても武器だぞ?しっかり使ってやれ。そうだな・・・そこの眠って頭が下がってるやつがやりやすいだろう」

 

 私が指さした先にいる眠りこけたカエルを見たカズマは恐る恐るといった感じで近づき、とびかかって両手に握ったナイフを脳天に振り下ろす

 

 「うおおおおお!!!!」

 

 ぐさり、と頭に刺さったナイフが脳髄をえぐり、眠ってたカエルを見事カズマは討伐した。何だ、やればできるではないか。

 

 「ああ、よし!えらいぞ、褒めてやろう!」

 

 「や、やめてくれよ子供じゃないんだから・・・」

 

 つい嬉しくなってカズマの頭をぐしゃぐしゃ撫でてしまったが嫌がられてしまった。む、残念だが諦めておこう。

 

 「あとはこの要領でほかのカエルを倒せ、コツがわかればそう難しくはないだろう」

 

 「ああ、ありがとう武蔵さん。俺たちだけだったら生活しているかわからなくなるとこだったぜ・・・」

 

 「なに、困っていれば助けるさ。もっとも頼りっぱなしはダメだぞ?きちんと自立を目指せ」

 

 「ああ、これで俺も一端の冒険者に・・・・アクア?」

 

 「む?」

 

 カズマの視線を追っていくとそこには今にもカエルに挑みかかりそうなアクアの姿が・・・・あ、呑まれた。呑まれたっ!?

 

 「アクアあああああああああ?!」

 

 「何をやってるのだ全く・・・」

 

 アクアの足首を掴んで引き抜き、カエルの鼻を掴んで顔を無理やり下げさせカズマに目配せする。察したカズマが同じようにナイフで脳天をカチ割り、討伐する。なるほど、カズマが死んだ目をしていた理由はこれか。

 

 「何やってんだこの駄女神が!俺だけならまだしも武蔵さんにまで迷惑かけるんじゃねえよ!」

 

 「だってだって!ヒキニートで童貞のカズマがあんなあっさりカエル倒したのよ!女神である私にだって勝てるって思ったんだもん!」

 

 せっかく乾かしたのにまたヌルヌルではないか・・・別に初心者(女神は知らんが)だから迷惑ではないし仕方ないが・・・無防備に近づくのはいただけない。

 

 「ヒキニートはともかく童貞は関係ねえだろ!お前なんかよりよっぽど武蔵さんのほうが優しいし女神に見えるわ!」

 

 「ああー!!カズマが言っちゃいけないこと言った!私よりそっちの元男のほうが女神っていった!謝って!ねえ謝ってよ!」

 

 「るっせえこのビッチが!」

 

 「あー・・・私は気にしてないから喧嘩はやめろ。それより後一匹倒してさっさと帰るぞ。アクアもヌルヌルのままでは嫌だろう?」

 

 そのあとすったもんだ騒ぐアクアを尻目にカエルの討伐をさっくり決めたカズマを尻目に泣き叫ぶアクアの構図を眺めながら妖精さんにギルドに討伐報告をお願いする。

 

 「ワカリマシター!イッテキマス!」

 

 「ああ、行ってこい!では零式水上偵察機、発艦!」

 

 私の腕を滑走路代わりにして(水上ではないのだが、まあ妖精さんの不思議パワーだろう)飛び立っていった偵察機を見送り、カズマとアクアに帰るよう促す。

 

 「おい、終わったらなら長居は無用だ。さっさと帰って討伐の資金を受け取れ」

 

 「あの、武蔵さん。いまのは?」

  

 「ああ、妖精さんにクエストの報告とジャイアントトードの引き取りの依頼をギルドにお願いしに行ってもらった。ちなみに自力でもっていかない場合5000エリスで引き取り依頼をすることが出来る。今回は私が持ってやろう」

 

 「ありがとうございます!何から何まで助けてくれて・・・」

 

 「これは私が好きでやってることだ。もし礼がしたいなら1人前になった時、後輩に同じことをしてやれ」

 

 「・・・わかった!」

 

 「いい返事だ。で、アクア・・・そろそろつくぞ、機嫌を直せ」

 

 ぶっすーという表現がよくにあう表情をしたアクアが後ろから黙ってヌルヌルのままついてくる。

 

 「どうせ私はカエル一つ満足に倒せない女神ですよーだ・・・ふん!」

 

 「まったく・・・」

 

 ギルドに入ると、皆一様にヌルヌルのアクアを見てぎょっとしたあとカズマを見て微妙な顔をし、私を見て疑問符を浮かべた。ああ、気が回らなかったな・・・これではカズマに悪いうわさが立ってしまうかもしれん。

 

 受付の女性がこっちに気づき、手招きをしてくる。妖精さんも一緒だな。妖精さんを受け取り、カズマを横に並べて話をする。

 

 「はい!ジャイアントトードの討伐完了です。サトウさん、よかったですね、ムサシさんが手伝ってくれるなんて。こちら報酬になります」

 

 「え、ああはいどうも。武蔵さん、有名人なんですか?」

 

 「そりゃあアクセルの町にいる唯一のレベル40越えの冒険者ですからね。彼女、優しいし、包容力もあっておまけに美人と来てますから人気が高いんですよ?」

 

 「気恥ずかしいからやめてくれ。カズマ、いくぞ」

 

 

 そのあとはカズマとアクアを公衆浴場に案内し私の家がある場所を伝え、困ったことがあればくるようにと言い含めて別れた。ちなみにアクアの機嫌は歩いてるうちに治ったようだ。ポジティブなのかポンコツなのか・・・

 

 

 家につき、夜もとっぷり暮れて薄い部屋着でくつろいでいると・・・コンコンとドアをノックする音が響いた。んー早速困ったことでもあったかのか?

 

 ドアをガチャリと開けるとやはりカズマとアクアだ。

 

 「あ、武蔵さん。よかったら飯でも一緒・・・に・・・」

 

 途中まで言い切ったカズマの視線がガッツリ私の胸と下半身を交互に行き来している。・・・ふふ、元男だからわかるがなるほどこんなにガッツリ視線がわかるものなのか。それにしてもカズマは露骨すぎるが。

 

 「ははは、カズマ。少し視線が露骨だぞ?見るなとは言わんが気づかれないようにしろ。まあこれは薄着で出た私も悪い。食事の誘いだったか?着替えてくるから少し待つがいい」

 

 ちなみに今の私はタンクトップシャツにホットパンツという動きやすいが男からしたらそそる恰好をしてるのだろう。ノーブラだったしな。

 

 ドアを閉め、アクアとカズマの「このエロニート!最低!」「いやでもあの人元男・・・」「関係ないわよ!今女でしょ!」「申し開きもございません・・・」というやり取りを尻目にブラをつけ、上着を羽織り外行きのローブに着替える。

 

 今日の食事は楽しくなりそうだ。

 

 




 (投稿は)終わり!閉廷!以上、みんな解散!
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