妖精さんから被害報告を受ける。貨物は6割がダメになり、囚人で生き残ったのは
妖精さんも本体は私と一緒にいたから全員無事だが、分身を大量に殺されたためどの妖精さんもしんどそうだ。ひどいものは私の中に入って早々に眠ってしまった。・・ともかく、妖精さんが誰も欠けなくてよかった。彼女らが一人でも死んでしまったら立ち直れそうにない・・・家族のようなものだからな。
情状酌量の余地はある、と信じたいが少なくとも会社の信用に大きな傷を作ってしまったぞ・・・辞職ものか?まあ私がいなくても会社はまわるからまあ何とかなるだろうが。
じくじくと太ももが痛む。ふとスカートをめくって見てみると
「うわあ・・・切断したほうがいいのではないだろうか、これは」
かろうじて足とわかるが、腫れ上がり青黒くなっており、どうやら骨がいくつもばらばらに粉砕され、筋肉がぐちゃぐちゃになっているのがわかる。・・・痛すぎて逆に痛みがわからないというやつだな。かろうじて皮膚で足の形を保ってるといってもいいだろう。
「弱ったなあ・・・
「痛そうです・・・もっと、急ぎますか?」
「いや、
私と
それよりも私の悲惨になってしまった足を見たプロテアがその藤色の瞳から涙をこぼしながら急ぎだしてしまったので、私は失敗したなと思いながら限界がきてゴロン、と寝ころんだ。痛みで寝れそうにはないが、足に負担がかからないから幾分かマシだな。
寝転んだ私の周りにわらわらと妖精さんが集まり、私の胸や腕、腹を占拠して寝息をたて始めた。・・・ごめんな、こんなにボロボロになるまで無茶をさせてしまって。あと一歩で私も妖精さんも死ぬところだった。いつも命は軽いだのなんだの言ってる癖に、死ぬ寸前になって恐怖で目をつぶってしまった。本当ならこの子たちを逃がすなりしなければならない私が、何もせずに。
「ごめんな、ごめんな・・・こんな風にさせてしまって・・・ごめんな・・・」
眠っている妖精さんを見てると目頭が熱くなってきた。懺悔の言葉とともに涙があふれ出てしまう・・・あんなのに好き勝手されて悔しくてたまらない、情けない・・・いろんな感情がないまぜになって胸が張り裂けそうだ。
察してくれたプロテアが何も言わず、アルカンシアに向けて移動する音とかすかな振動が・・・生き残ったという事実を強調してるように感じた。
「あ!あれですよね?つきましたよー!」
おそらく務めて明るい声を出したであろうプロテアが見てる方を私も確認すると、小さな島にまるで巨大な聖堂がまるまる一つ入っているような感じの島がある。アルカンシアだな。ようやっと着いたか・・・今までで一番疲れた依頼かもしれないな。
「ああ、ありがとうプロテア、波止場にそっと降ろして一番縮んでもらえるか?いろいろ手伝ってほしい」
「はい、はい!お任せください!おろしますよ?・・・はい、つきました!」
ズ、ズズウゥゥン・・・という音を立て波止場に
「すまんプロテア、自力で動けそうにないのだ。下ろしてくれると嬉しい」
「はい、失礼しますね?・・・そーっと、そーっと・・・」
「そんな緊張しなくてもいい。多少は乱暴でも文句は言わんさ・・・よっこらせっと」
プロテアが差し出してくれた手に腕を使って這い上る。妖精さんも手伝ってくれてなんとか体制を整えてプロテアに運ばれる。プロテアがアルカンシアの監獄の入り口に向き直ると入り口から見覚えのある桜色の少女を筆頭に5人、全力疾走でこちらに走ってきた。
ゴーヤ達だ。涙で顔をぐしゃぐしゃにしたゴーヤ、アクア、めぐみんに珍しく目じりに涙を浮かべるカズマにダクネス。貴重なものを見たな・・・プロテアが察してくれてそっと地面に手を置いてくれた。泣きながら飛び込んでくるゴーヤを受け止める・・・いったい!!
「む゛ざじ~~~!!!生きてて!生きててよかったでち~~~~!!!うわああぁあああんん!!!!」
「むぐ、ゴーヤ、落ち着け、痛い・・・」
ぐずるゴーヤを抱きしめ返してやり、カズマたちに目を向けると泣き虫のアクア以外はみんな安心したような顔をしていた。とりあえずは無事なようでよかった・・・・それにしても痛い。やせ我慢してるけどゴーヤの足が私の足に乗ってるのですんごく痛い。助けてくれカズマ・・・・。
「おーいゴーヤちゃん、そろそろ武蔵さん放してやってくれよ。怪我してるかもしんないだろ?アクア、一応治療してやってくれ」
「うぐっぐすっ・・・任せなさい!このアクア様に治せない傷なんてないんだから・・・!」
「あー躍起になっているところすまないが、船と私はつながっていてな・・・壊れた船が治らんと私の怪我も治らんのだ。ゴーヤ、頼む・・・そろそろ足の痛みをこらえるのが限界だ」
ゴーヤが、いやいや離れアクアが怪我の確認をしようと私のスカートを少しだけあげる。そこにあった凄惨な傷にアクアどころかダクネスまで真っ青になる中プロテアが口を開いた。
「えっと、社長さんを心配するのはいいと思うんですけど、きちんと休ませてあげたほうがいいと思います。私には、治せないので・・・」
「あっそっか・・そうだよな・・・ってでかっ!?誰だあんた!?」
「ひどいです!大きいなんて言わないで下さーーい!!」
「おいカズマ、彼女にそれは禁句だ。この子はキングプロテア、うちの社員だ。たまたま休みで羽を伸ばしていたらしくてな、私がドンパチやってるのに文句を言いに来て私がやられる間一髪で助けてもらったのだ」
「あの地獄のような海に羽を伸ばしに来る・・・・?」
「深く考えてはいけない。この子にとって大体の相手は羽虫程度の認識だからな。あのダイダラボッチも一撃だ」
「えぇ・・・とりあえず中入るか?武蔵さん立てる・・・わけないよな。担架とかあったっけか・・・」
「カズマ、カズマこれ使いましょう!」
めぐみんとダクネスが丈夫そうな棒二つと自分が羽織っていたマントを使って即席で担架を作ってくれた。ありがたくそれに乗らせてもらいアルカンシアに入ろうとすると一つ気付いてしまった。プロテアが入れないということに・・・!
「えーっとキングプロテアさん?でいいかしら?こういうのもなんだけど・・・あなた、建物の中に入れる?」
「・・・この建物の中は天井が低いので座っても無理だと思います・・・ここで待ってますね?」
うっ・・・命の恩人を建物の外にほっぽリだして自分は建物の中に入るなど・・・!!!私の苦虫をまとめて飲み込んだような表情を気にする間もなく担架は無常にもプロテアを置いてアルカンシアの中に入っていってしまったのだった。・・・ごめんなさい。
アルカンシアに入ってまず待ち受けていたのは謝罪だった。クルーヴ殿が依頼を失敗してしまったことを責めもせず、仕方がない。むしろ看守だけでも届けてくれたことに感謝していると述べ無事な物資と囚人、そして遺体を
次に私が運び込まれたのは入り口近くの個人部屋だった。窓の近くに設置してあったベッドにおろされてアクアのヒールと添え木などの治療を施されてとりあえず人心地付いた。窓の外にはいつのまにか移動したプロテアが心配そうにのぞき込んでいてすこしびっくりしたがな。
「ああ、まず心配を掛けさせてすまなかった。無事・・とは言えないが一応五体満足だ・・・プロテアも、改めて助けてくれてありがとうな」
「ほんとだよ・・・生きた心地がしなかったぜ」
「・・・しばらく武蔵は仕事禁止でち。デスクワークも現場も許さないでち」
・・・そんな殺生な!私が仕事をしなくなったら副社長にとばっちりがいくだろう!?しかも仕事をしない私など会社にとっていらない人材になってしまうではないか!・・・責任を放り投げるような真似はしたくない!
「待て待てゴーヤ、どうしてそうなるのだ。私の決済が必要な書類とかもあるだろう?」
「うっさいでち!そんなもん副社長がどうにかするでち!武蔵は怪我が完全に治るまで休職するでちー!!!」
「・・・いやまあ、現場はともかくこの体でもデスクワークは出来るわけでな・・・?」
「武蔵さん・・・あんたいつも忙しそうとおもったらワーカホリックだったのか・・・俺からも頼むから休んでくれ」
「カズマまで!?むぅ・・・仕方あるまい。副社長に聞いて許可が出たらだぞ?しわ寄せを被るのはやつなんだ。あいつがよしといわねば書類仕事はやる、文句はあるまい?」
「・・・仕方ないでち。じゃあ武蔵の無事を伝えるついでに今から聞いてくるでち」
「いや、それは私が――「ダメでち」なぜだ!?」
「どうせテキトー言って仕事できるようにする気でち。ありのままをゴーヤが伝えるのでそこで休んでいるといいでち」
・・・私への信頼が低すぎる。しかも見抜かれているのでは世話はあるまい・・・カズマの生ぬるい視線が今は腹立たしい。
「カズマ、何か私へ言いたいことがあるのか?」
「武蔵さん、自業自得って知ってっか?」
「お前に言われるのが一番腹が立つのだぞ!?」
「なんでだよ!?」
それは普段の自分の行いとアクアたちがやらかした時の対応を見てから言ってほしい。連絡を取るためにゴーヤが出ていったのを私は死んだ目で見送るのだった。
10分ほどカズマたちと談笑してるとドアが開いて満面の笑みのゴーヤが戻ってきた。対照的に自分の末路を悟った私の顔が青くなる。・・・なぜ許可をだしたぁ!?
にやりと笑ったゴーヤが楽しそうに口を開く
「副社長から伝言でち『事情は分かった。社長、あんた働きすぎだ。怪我したみてーだし休め、あと今からそっちに追加の物資と迎えをよこすからそれに乗って帰ってきてくれ。・・・めんどくせーが俺が代わりに何とかするよ。それと、あんたがいなくても確かに会社はまわるが、あんたがいなけりゃこの会社は成り立たねーんだから馬鹿なこと考えるなよ』とのことでち!ゴーヤの勝ちでち!」
ゴーヤの勝利宣言に私以外はぱちぱちと拍手する中、私は観念したようにかぶりを振って白旗を上げる。
「ああ、わかったわかった。そこまでされては私の負けだ。怪我が治るまでゆっくり休ませてもらうよ」
私の降伏宣言にハイタッチまでし始めたゴーヤ達を尻目に、プロテアと目を合わせてどちらともなく笑いながら、私は体を休めるのであった。
翌日、仕事があると名残惜しそうにプロテアがアルカンシアを離れてしまい、暇になってしまった私はまだ回復しきってない妖精さんを順番に撫でているとここからは見えないが波止場が騒がしくなった。どうやら副社長が手配した迎えがもう来たらしい。この速さだとブラストからの出発ではないな?
すこししてドタバタとドアの前が騒がしくなり、ノックもせずにバタン!と派手にドアが開いた。そこにいたのは筋骨隆々の肉体をジーパンに白のTシャツに包んだ立派な黒ひげを持った大男であった。あー・・・お前が来るのは予想外だった。
「久しぶりでごじゃる大将!黒ひげ、あなたの危機に華麗に参上でごじゃりますぞ!デュッフフフフフ・・・!」
「お前が来るとは思わなかったぞ?大海賊が貨物船と人員輸送か、人生分からないものだな?ティーチ」
「おっとこれはテキビシー!!・・・真面目に話すとアンタが死にかけたって会社中で大騒ぎになってんだよ。だから一番近くにいた俺がきたんだ。愛されてるなあ大将?」
やかましい。まあコイツなら迎えの人選としても的確だろう。無事に帰れそうで何よりだ。
というわけで我らが黒ひげ氏の登場です。コメディリリーフもできる、真面目にさせればイケメン、そして強い。そして貫禄の大海賊、これはもう最強では?
話は変わりますがこの時点で副社長が誰か当てられたらすごいなって思います。もうだれを当てるかは決めているので。
興味がある話に投票してくれたら嬉しいなー
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