この大戦艦に祝福を!   作:カフェイン中毒

22 / 27
お待たせしました。


第22話

 「と、とりあえず出発するでごじゃるから準備をするで・・・ごぶぅ」

 

 ・・・現代風に表すなら「前が見えねぇ黒ひげBB」といったところだろうか?こいつは別にフリー素材でも何でもないが。ゴーヤがすっきりした顔でティーチから離れた後に残ったのは顔の原型がギリギリわかるくらいに膨れ上がった黒ひげの姿だった。

 

 「ゴーヤ・・・やりすぎではないか?」

 

 「積み込みも何も手伝わないのが悪いんでち!まかり間違っても仕事でち!」

 

 まだ怒っている様子のゴーヤはそのままぷんすこと部屋を出ていってしまった。あーあーこれは長く続くぞー?

 

 「ティーチ・・・お前いつもの調子でゴーヤをいじくったな?」

 

 「申し開きもありませぬな・・・思いつめてるようだったので発散に付き合おうとしたんでごじゃるが・・・」

 

 「で、逆効果だったと・・・お前にしては珍しいミスだな?」

 

 「子供は好きでつが、いろんな意味で扱いにくい子供ってわけですなァ。聡明すぎるのも考えもんでごじゃる」

 

 「・・・で、私を運ぶ予定だったゴーヤがいなくなったわけだが、どうする気だ?」

 

 「・・・責任取って拙者が何とかするでござる」

 

 「・・・どう運ぶ気だ?」

 

 「・・・お姫様だぬがぁ!?」

 

 今のは私ではなく妖精さんとカズマだ。欲望丸出しのティーチの発言に思わずといった調子で鞘付きのショートソードで殴ったカズマといつの間にか持っていた巨大ハリセンをぶち当てた妖精さん。介護される身で贅沢は言えんから別にティーチに抱っこされようとも文句は言わんが・・・こいつさらっとセクハラをかまそうとするからなぁ。まあ少しくらいなら気持ちはわからんでもないし許してやろうとは思うが・・・

 

 こういったらあれだが私はでかい。上背はあるしそれにともなって体重もある。ゴーヤみたいな艦娘、英霊であるティーチのような突出した力がある人物が運ぶのが一番楽だろう。カズマには申し訳ないがお前に私を運べる膂力が備わっているとは思えん。・・・仕方あるまい。

 

 「ほれ、ティーチ。癪だがお前が運んでくれ。あ、おさわりは厳禁だぞ?」

 

 「うぇーい。失礼するでごじゃるぞ」

 

 そう言っていつの間にか顔面がもとに戻ったティーチが私の腰に手をやり、膝裏に手を当てて変則的なお姫様抱っこ、というかティーチの腕に座る形で私を抱き上げた。さすが身長2m越えの大海賊でサーヴァント、その体は揺るぎもせず私を持ち上げた。

 

 おしりを乗せて足を支えてくれているので足に負担がかからないように配慮をしてくれている。あとは私が手を使って体を密着させてバランスを取ればいい。

 

 「・・・デュッフッフ・・・」

 

 「待てカズマ、その剣を鞘に戻せ。まったく、ティーチ・・・その締まりのない顔を何とかしろ。お前私なんか目じゃないくらいの美女に囲われてただろうが」

 

 「女はさぁ・・・怖いんでつよ・・・その点大将は全然違いますからなぁ!!」

 

 「はいはい・・・」

 

 乱暴にドアを足で開けたティーチがずんずん波止場へ進んでいく。ふむ、私も背が高いという自負があるがこれが2m越えの景色か・・・わるくない。いやまあ、別に女になったことに不満はないしむしろ自分で望んだことなんだが・・・男としてこの身長で歩いてみたかったというのは少しあるかもしれないな。

 

 ティーチに抱かれて歩いていると、前方から見覚えのあるピンク頭のスク水少女がかけてきた、というかゴーヤではないか。どたばたと忙しい奴だな。

 

 「むさしー!ごめんでちー!運ぶのはゴーヤの仕事だったのに!ゴーヤがいなかったからこんなひげに抱っこされる羽目に・・・・!!」

 

 「こんなひげって・・・なんか今日ゴーヤたんあたりつよくない?」

 

 「こらゴーヤ、さっきからティーチに少し失礼だぞ。いつもがどうあれ、こいつはいま私たちの尻拭いのために来てるんだ。迷惑をかけているのは私たちだぞ?もう少し接し方というものがあるだろう。あともう波止場も近いからこのままでいい。今更抱かれなおすのも面倒だからな」

 

 ちなみにカズマはゴーヤのこんなひげ発言ですごい微妙な顔をしている。自分に対してあれだけ含蓄のある言葉を吐いたティーチの普段の扱いがどれだけのものかを察しているのだろう。いやまあ、あれだ。たしかにコイツは普段はクソオタクそのものだが仕事自体はできすぎるほどにできる。

 

 なんせこいつの仕事は海に関する荒事だ。海賊討伐、モンスターの駆除、護衛・・・一応冒険者兼海賊ということになってるティーチは会社で身分を保証することによって合法的に海賊に対してのみ略奪行為を行っているが、戦闘力の高さと船の性質も合わさって獲物を逃がしたことがない。つまり達成率100%なのだ・・・私はちょくちょくやらかしているが。

 

 「うぅ・・・ごめんなさいでち。で、ゴーヤが戻ってきたのはでちね・・・追加の人員がきたのでち!」

 

 「は?待つでおじゃる。そんな話拙者一ミリもきいてないのですが?」

 

 「そうなのか、して誰だ?」

 

 「副社長と、実務部隊の隊長でち!」

 

 「「・・・はあ!?」」

 

 待て待て待て!なんであの二人がここにいる!?副社長も実務隊長も仕事を離れられる状態じゃないはずだ!というか副社長に限っては私の仕事を代わりにやってるわけで・・・・いやでも私のデスクワークってそんなに重くないから頑張れば行けるのか・・・?訳が分からん!とにかく行ってみねば!

 

 「ティーチ!」

 

 「ガッテン!」

 

 私の指示に従ってティーチがその巨体に見合わぬ速度で移動を始める。後ろから「待つでちー!」「ちょ、はや!?待ってくれ!」と残された二人が追いかけてくるのがわかるが腐っても英霊、追いつけずすぐに波止場に出た。

 

 行く先には明らかに見覚えがあるどころかついこの間までよく顔を合わせた2人と、後ろに3頭立ての馬が引く戦車があった。黒ひげの船、アン女王の復讐号(クイーンアンズリベンジ)の前に堂々と立つ二人は近づいてくる私たちに気づいたようで、黒ひげが急ブレーキをかけ止まったのをみて近づいてきた。

 

 「よぉ。思ったより元気そうじゃねえか。顔見に来たぜ」

 

 「おっす姐さん!暇だから護衛がてら副社長のデリバリーだ」

 

 「シカマル!アキレウス!お前ら仕事はどうしたんだ!?」

 

 「ん?ああ。あんたが仕事を細かくやってたからな、俺がやる仕事がなかっただけだ。で、4日分くらいの仕事まとめてやって時間を確保してここまで来たんだよ」

 

 「俺は普通に有給だ。いやーあんたがやられたって聞いて俺の部隊率いてやったやつぶち殺しに行こうと思ったんだけど無事でよかったよかった」

 

 「部隊を編成しておいてなんだがそれはやめろ。冗談抜きで天変地異が起きる。主にインドのやつらのせいで」

 

 「ギリシャとかも大概でござろう・・・」

 

 「日本のやつらもな、めんどくせぇけど抑えてこっちに来たわけだ」

 

 そこにいたのは副社長のシカマルと戦闘系のやつらを寄せ集めた部隊の隊長をしているアキレウスの2人だ。ちなみにシカマルは普通に生きていけてたのだが私がその頭脳を見込んで土下座どころかプライド捨てて五体投地して入社してもらったという経緯があるため頭が上がらない。そしてアキレウスはそのあまりの強さと宝具の数々で遠巻きにされ、その武具と馬を狙って討伐隊が秘密裏に組織されたくらいに多方面から狙われていた。せっかくあったのだからこれも縁ということで入社してもらい、すぐ戦果を挙げて出世してきたバリバリのたたき上げだ。ちなみにこっちには物理的に頭が上がらない。こいつ強すぎる。早くて当たらないし当たってもダメージないし、踵を狙う技量はないし・・・理不尽だ!どの口が言うという話ではあるが。

 

 ちなみにこいつは副業でachilleus.comという配達屋をやっている。実際は商品を運ぶとかそんな話ではなく手紙等を別の町の郵便局的な場所に送る感じだ。音速を超える戦車と名馬、神馬の無駄遣いだなあと思ったが私が言えた義理ではないのでやりたいようにやればいいじゃないと好きにさせている。そんな頻繁にドンパチあるわけではないからな。

 

 「しかしわざわざ来る必要はなかったんじゃないか?とくにアキレウスはせっかくの休みだっただろうに」

 

 「大事な社長の一大事だぞ?見舞いに来るぐらいいいだろ。まあ見た目無事そうで安心したよ」

 

 「どうせ休みつっても鍛錬くらいしかやることないからなあ。それだったらあんたとゆっくり話せてなおかつ海も堪能できるこのひげのとこに転がり込んだほうがいいんだよ。で、怪我は?」

 

 「お前らがそれでいいならいいんだが・・・やられたのはこれだよ」

 

 そう言ってローブをまくり上げる。下着がギリギリ見えないくらいまでたくし上げて露になった凄惨な傷ととりあえずの応急処置をみた二人は顔をしかめて私の手をつかんでローブを下げた。なんだお前らが見たいといったのだろうに。

 

 「・・・動くのか?復帰のめどは?」

 

 「今は動かん、が武蔵(わたし)が治れば治るだろう。復帰のめどは未定だ・・・妖精さんたちも相当やられた」

 

 「どんな奴がやったんだ?まだ生きてんならすぐに探して轢いてきたいんだけどよ。いやだって言ってもやるぞ」

 

 「もうプロテアがやってくれたよ・・・で、あいてなんだが」

 

 「「ああ」」

 

 「ダイダラボッチだ」

 

 「「「は?」」」

 

 なんだティーチも聞いてなかったのか?珍しく間抜け面をさらした2人にいいものを見れたと内心ほくそ笑んでいる私が説明を続ける。

 

 

 

 「有名だろう?ジブリのあれだ。触れれば即死、物理的な攻撃では無限に再生する。正直もう2度と会いたくはないが、もし倒せるとしたらプロテアのように文字通り格が違う存在がひねりつぶすか不死殺し、魔術で跡形もなく消し飛ばすくらいしか無かろう。思えば私もよく生き残れたものだ」

 

 「「「えぇ・・・」」」

 

 思ったよりもくだらない内容だったせいか全員が微妙な顔をした。会ってないからわからんと思うがあれに相対した時の絶望は相当なものだぞ。そうこうしてるとカズマとゴーヤ、アクアたちが荷物をとってもこちらに来ていた。そういえば出航だったな。

 

 「えーと・・・カズマです。こっちがアクア、めぐみん、ダクネス。・・・どちら様で?」

 

 「ん?ああ俺は奈良シカマル、この人の会社の副社長やってる。ま、お前と同じって言ったらわかるか?話はいろいろ聞いてるよ、大変そうだな」

 

 「俺はアキレウスだ!一応扱い的には部隊長・・・そうだな、部長みたいなもんだと思ってくれ!2日間よろしくな」

 

 「ええ、まあいろいろと・・・」

 

 普段の苦労を思い出したのかカズマの目が濁った。それを見たシカマルとアキレウスが肩をたたいて慰めている。アクアたちはまさか自分のことだとは思ってないらしく黒ひげの船を見て各々感想を述べている。平和そうで何よりだ。

 

 「にしても、どうしてそんな偉い人二人がいくら武蔵さんのこととはいえ、こっちに来たんですか?忙しいんじゃないんすか?」

 

 「あーそれはだな、そこのひげの神器の効果にあるんだ、ティーチ、説明」

 

 「えーそこで投げるんでござるか。まあいいでつけど・・・うぉっほん!拙者の神器、アン女王の復讐号(クイーンアンズリベンジ)にはいろいろ効果がある!その一つに乗船してる人物とその戦闘力によって船体強度、速度、その他もろもろの効果が上がるんでござる!つまり、この二人が来たことにより旅の安全性が上がるのだァッーー!!」

 

 「つーわけだ。ぶっちゃけ姐さん一人だったら俺が来ればどうとでもなったんだが、人が多かったからな・・・俺がいりゃこの世で怖いもんはねーよ。任せておけ」 

 

 「へぇ、そんな効果があるのか・・・すげえじゃん黒ひげさん」

 

 「野郎に褒められてもうれしくないでござる!それよりもそこの女の子たちに褒めてほしいなー!なんつって!」

 

 「「きもい(でち)」」

 

 「ンゴパッ!?」

 

 私とゴーヤからのカウンターを食らった黒ひげが膝をつこうとするが私を抱えたままなのを思い出したらしく吐血して踏みとどまった。というかこれ血糊じゃないか。いつの間に口に含んでたんだ?変なところで器用なやつだ。

 

 

 さっさと船に乗り込んで武蔵(わたし)をしまう。ティーチが私を抱いたまま舵があるところまで歩いていく、カズマたちは甲板で待っている。

 

 「そういえば、誰もいませんけどどうやって船を動かすんですか?私たちがやるんですか?」

 

 めぐみんがどうやら船員がいないことに気づいたらしく疑問をアキレウスに尋ねている。ああ、そういえばいろいろ説明を省いていたな、まあみればわかるだろ・・・ん?待て、見れば・・・だと?まずい!

 

 「さあ行くぞ野郎ども!出航だー!錨を上げろー!」

 

 「まてティーチ!少し待て!」

 

 「ほへ?」

 

 間に合わなかったか・・・!黒ひげの号令とともに船のいたるところに亡霊が形を持って仕事を始めようとがやがや動き始める。黒ひげの宝具、アン女王の復讐号(クイーンアンズリベンジ)は黒ひげの部下の「亡霊」を召喚して敵からあらゆるものを略奪するというものだ。

 

 つまり、発動の前提として亡霊を召喚するというものがある・・・そしてここには、アンデッド系モンスターが我慢できないスペシャリストが乗っているのだ・・・つまり

 

 

 「あーーー!!アンデッド!アンデッドね!?なんで出てきたか知らないけど私の前に出たのが運の尽きよ!後も残らず浄化してあげる!セイクリッド―――」

 

 「バカ!よせアクア!どう考えてもティーチさんの神器の効果だろ!?」

 

 「ターンアンデッド!!!」

 

 シュワ~~~~ンといった感じで呼び出された黒ひげの部下たちは一人残らず浄化されてしまった。青い顔をさらすカズマと得意げなアクア、我関せずなめぐみんとダクネス。そして大爆笑してるゴーヤとシカマル、アキレウス・・・表情を失った黒ひげとそれを見つめる私。

 

 

 

 

 「大将、どういうことでごじゃろう?」

 

 「彼女、女神。アンデッド、嫌い。お前の部下、アンデッド。OK?」

 

 「おk、把握。半日くらい呼び出せないでごじゃるがもう波止場から離れてるわけで・・・どうする大将」

 

 「幸い帆船だからお前が舵を取ればどうにかなるだろう?で、彼女には働いてもらおうか」

 

 「俺の部下を全滅させちまうとはふてぇ野郎だが今回は大将に免じて許そう。説明してなかった俺らもあれだが・・・本来ならサメの餌、まあ大目に見て甲板の掃除からやってもらおうか」

 

 

 拳骨をカズマからもらったアクアが大泣きして言い訳をしながらこちらに引きずられてくる。カズマも慣れたものではあるが本気のティーチと話したことがあるからかその顔は真っ青だ。で、アクアは開口一番

 

 「なんでよ!私はアークプリーストにして女神よ!現世にとらわれたアンデッドを開放するのも仕事の一つなの!何も悪いことはしてないわ!」

 

 「バッカ野郎!お前にとっちゃそうでもこの人たちにとっちゃ違うだろうが!いいから謝れ!見た感じ船員だろあのアンデッドたち!船員いなくなってどうやってこの船動かすんだよ!」

 

 「おいクソ女神、てめえ随分と好き勝手やってくれるじゃねえか。ああ?うちの部下やっちまうとはどうしてやろうかなあ?サメの餌か?さらし首か?んん?」

 

 ティーチがアクアに悪気がないことを察しながらも高圧的に迫る。こいつは本気で怒ってないけどルールの徹底のためにたまにこうなることがある。相手は新入りの社員が主だがこうやって失敗を刻み付けておかないと致命的な時にまたやらかすなんてことになりかねないからな。

 

 私が飴なら(はなはだ不本意なのだが)ほかのやつらは鞭をやるということらしい。というかこのひげアクアの反応がいいから遊んでるな?あまりの顔面の怖さと威圧感にアクアが本格的に大泣きして謝りだした。

 

 

 

 「ひぃ!ごめんなさいごめんなさい!アンデッドが出てきて反射的に・・・!何でもするから許してぇ!」

 

 「・・・ん?今何でもするって言ったでごじゃるな?じゃあはいこれ」

 

 そう言ってアキレウスに手招きした黒ひげと察したアキレウスから帆を張るロープを渡されたアクア。ついでにシカマルが掃除用具を持ってきてアクアの足元に置いた。

 

 

 

 「えっと・・・なんでしょう?これ」

 

 「まず帆を張ってそのあと甲板掃除、よろしくでござる♡」

 

 「なんでよ~~~~~!!!!」

 

 

 「アクア、手伝ってやるから素直にやっておこうぜ・・・・」

 

 アクアの心からの大声とカズマのあきれ返った声が、うちの社員どもの笑い声とともに雲一つない空に響いた。

 

 

 

 




何か先の展開ばっかり思い浮かんで今の話を進めることができないんですよねえ・・・ゆっくりやってきますわ

興味がある話に投票してくれたら嬉しいなー

  • カズマ、日本転生者同窓会に行く
  • アクアと不死系転生者
  • めぐみんと魔砲少女
  • ダクネスと盾持ち英霊
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。