この大戦艦に祝福を!   作:カフェイン中毒

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第4話

 報告に行ったカズマが報酬をもって帰ってくると、分割しめぐみんとアクアに渡しだした。きちんと報酬を分割して渡すのだな・・・パーティー間の不和がなくなるいい方法だ。

 

 「で、めぐみん。爆裂魔法は緊急時以外使用禁止な。もっとこう・・・使いやすい魔法をだな」

 

 「無理です」

 

 「・・・は?」

 

 爆裂魔法禁止令を出そうとしたカズマにめぐみんが異を唱える。常識的なアークウィザードなら他の上級魔法を使えてしかるべきなはずなのだが・・・?

 

 「私は爆裂魔法しか使えない・・・いえ!使わないのです!たとえ一日一発でもそこにすべてをささげ、魔法を放つ!それが私の生きがい!報酬はわずかな生活費で構いません!こんなエコアークウィザード他にいませんよ!こんにちはカズマさんこれからもどうぞよろしく!」

 

 「あー・・・うん・・・そっか!がんばってな!」

 

 「あっさり見捨てようとしてます!?」

 

 カズマが輝くようなさわやか笑顔でめぐみんを切り捨てようとしている。心情的には面倒を見てあげてほしいのは確かだが戦術的に見るなら正しい判断だろうな・・・めぐみんが主義を曲げてパーティーのために他の魔法を覚えるというなら一考の余地があるのだろうが・・・望み薄なんだろうな。

 

 「お願いします!もう他のパーティーは私を入れてくれないんです!なんでもしますから!荷物持ちだろうがヌルヌル粘液プレイだろが何でも受け入れますから!だからどうか!どうかーーー!!」

 

 「よーしわかったこれからよろしくなめぐみん!」

 

 ・・・周りの圧に屈したなカズマ。冒険者たちがヒソヒソめぐみんの小さく愛らしい容姿を見てカズマがいじめてるもんだと勘違いしているうわさが飛び交っている。ついでに「武蔵さんがあんな変態の餌食に・・・」という声が聞こえたがカズマは別に人並み程度に欲があるだけだろう。露骨な分むしろ好感が持てるぞ?

 

 「やはり粘液ヌルヌルというのは本当だったのか・・・!ぜひ私も同じ目に・・・!」

 

 「「・・・え?」

 

 唐突にこちらに割り込んできたのは金髪に長身の鎧を着た女・・・というかダクネスじゃないか。ほとんどクリスとセットで動いているのに一人でいるのは珍しいな。

 

 

 「ダクネス、お前の趣味はわかっているが公衆の面前では控えろといつも言っているだろう」

 

 「あっ武蔵!?いや・・あのこれはだな・・・そう!パーティーの募集を見てきたのだ!まだ募集はしているだろうか!?」

 

 「武蔵さん、知り合い?」

 

 「まあそんなところだ。こいつの職業はクルセイダー、ナイトの上級職だ。固さでいうならアクセルで私の次に固い前衛だと言っていいだろう」

 

 そして本人は隠しているつもりなんだろうが被虐趣味・・・ようはドMなのである。なんなのだろうか・・・カズマは変わった人材を集めるオーラでも放っているのだろうか?類は友を呼ぶというがさすがに呼びすぎであろう。

 

 「いや・・・あのウチはポンコツばかりで・・・あなたに攻撃が集中しますよ?」

 

 「望むところだ!」

 

 「カエルとかに呑み込まれてヌルヌルになったりしますよ?」

 

 「むしろばっちこ・・・望むところだ!!」

 

 「・・・・・」

 

 打てば響くような会話を繰り広げているがこちらを見つめるカズマの目が「助けて」という信号を全力で送っている。すまんがダクネスには何を言っても無駄なのだ。私も彼女の被虐癖を矯正するのはもうあきらめている。

 

 「あーダクネス!ここにいたんだ!もしかしてさっき言ってたパーティーのこと?あっムサシ!やっほー!」

 

 「ああ、クリスか。まあなんだ・・・強く生きろ、カズマ」

 

 そこで私はすべてをあきらめ、テーブルに座った。そのあとはクリスに連れられたカズマがスティールのスキルを覚えて帰ってきて、めぐみんと私の下着を盗って振り回すという行為をしていたがまあ・・・これだけは叱っておいた。私にも恥ずかしいという感情はあるんだぞ?カズマ。

 

 

 「緊急クエスト発生!全冒険者は所定のギルドまで集合してください!繰り返します!緊急クエスト発生!」

 

 「む、この季節でこれは・・・キャベツか」

 

 「キャベツだね」

 

 「キャベツだな」

 

 「キャベツですね」

 

 「キャベツ?」

 

 「すまんが私は戦闘の都合上巻き込みかねない。町の外でやるからここで別れる」

 

 「へ!?あの武蔵さん!?おーい!」

 

 

 この世界では年2回キャベツの収穫期がやってくる。これが何で緊急クエストかというと、この世界のキャベツは空を飛ぶのだ。・・・別に私の頭がおかしくなったわけではないぞ?この世界の野菜はなんだかんだ動くものが多いのだ。その中でもキャベツは生きがよく、簡単に食われてたまるかとばかりに空を飛んで逃げだし、大陸を越えて人が来ない秘境でその生涯を終えるのだ。

 

 で、そのキャベツを捕まえるのがこの緊急クエストというわけだな。もちろん無傷で捕まえる必要がある。私が参加したこの前の収穫期では失敗し、そこまで稼げなかった。というわけで今回は秘策を引っ提げてきたのだ!

 

 「総員起こし!戦闘配置につけ!零式水上観測機隊!全機発艦!戦艦武蔵、抜錨するぞ!」

 

 「ワー!」

 

 「ソウインオコシ!ソウインオコシ!」

 

 「レイシキスイジョウカンソクキ、ハッカンシマス!」

 

 「バツビョウ!」

 

 

 久しぶりに艦娘としての姿に変わる。背と右腰に装着された艤装の重さが心地よい。今回の装備は46㎝三連装砲が二つ、残りは零式水上観測機だ。何?対空カットイン?撃ち落としたら金にならんからダメだ。ちなみに連装砲の中身は火薬だけの空砲だ。弾はいらん。

 

 町の外の農村から迫りくるキャベツの大群の前に仁王立ちした私は

 

 「よし、主砲装填、3,2,1・・・撃て!」

 

 ドグワァァァァァン!と私の背の主砲が轟音と衝撃波を吐き出し、飛んでいたキャベツが次々と音に耐えられず気絶をしてふらふらと落ちていく。そう、大和型の主砲である46㎝三連装砲は発射時の衝撃波だけで甲板にいる人間がミンチになるほどの威力を誇る。それを逆手にとって、主砲の発射時の衝撃波でキャベツを無傷で落とそうというわけだな。ちなみに発想の元はカチンコ漁だ。

 

 「ワー、カイシュウシロー!」

 

 「キャベツ、キャッチ!」

 

 妖精さんが次々キャベツを回収しながら私の後ろに積み上げていく。ははっ!何だこれは!病みつきになるくらい爽快感があるな!

 

 「次弾装填!この武蔵の主砲、伊達ではないぜ!」

 

 「ムサシハダテジャナイ!」

 

 「ジダンソウテンカンリョウ!」

 

 「ウチマス、ファイヤー!」

 

 「よぉし!撃て!」

 

 また轟音が響き、キャベツが落ちる。くくっ・・ここまでうまくいくと笑いが止まらないな!私はキャベツの波が収まるまでこれを繰り返し、私の後ろにできたキャベツの山はどんどん積みあがっていくのであった。

 

 

 

 「わームサシさん・・・すごい捕りましたね・・・こちら報酬の500万エリスになります。」

 

 「ああ、ありがとう。なに、うまく作戦にはまっただけだ。」

 

 結局あのあと2時間ほどキャベツの掃討を繰り返し、自力で運べなかったためギルドに出張してもらい査定をしてもらった。なんでも街中まで私の主砲の轟音が響き、他の冒険者たちも楽してキャベツを取ることが出来たため報酬に色を付けてくれたそうだ。・・・・どこから見てたんだ?

 

 「で、迷惑料100万エリスを引いて残り400万エリスになりますね」

 

 「まあ、そうだろうな。もう少し離れてやればよかったか・・・」

 

 外で報酬を受け取り、背の艤装だけ消してギルドに入ると・・・いた、キャベツの炒め物を食べているカズマたちだ。

 

 「どうだ、カズマ。稼げたか?」

 

 「ああ、武蔵さ・・・ぶっ!?なんて格好してんだあんた!?」

 

 「ん?ああ。力を使うとこうなってしまうのだ。別に見たければ見ればいい。見られて恥ずかしい体はしてないつもりだ。それにほら、この腰の艤装もかっこいいだろう?」

 

 「いや、かっこいいけどさ・・・なんでローブ姿じゃないんだ?」

 

 「・・・忘れていた。投錨!」

 

 「忘れてたんかい!」

 

 私の合図とともに艤装と艤装の一部である眼鏡やさらし、スカートや制服が消えいつものローブに戻る。うむ・・・腹が減った。ウェイトレスに大量の料理を注文し、私も席に着く。

 

 届いた料理を食べながらカズマたちの話を聞くと・・・ダグネスはパーティー入りするとのことだ。カズマは苦労ばかりしょい込むな・・・元ニートというが根は善良なのだろう。お人好しで口は悪いが頼りにはなる。そして苦労の中身を知ってると労いたくなってしまうのだ。いや、これは私がただ世話好きなだけなのだろうが。

 

 私が大量の料理を消費してひと心地ついていると、カズマが話しかけてきた。

 

 「武蔵さん、お願いしといて失礼だと思うけどバイトの件・・・」

 

 「む?ああ、やめるのか?まあまだ向こうに話は通してないからな。そんなに稼げたのか?」

 

 「うん、今回はアクアの主張で個人出来高制にしたんだけど、100万以上は稼げた。装備を買ってもおつりがくるんだ!きちんと冒険者家業ができるってもんだよ!」

 

 「そうか、よかったな!私も400万稼げたんだ。まあ貯金するだけなんだが・・・」

 

 「えっ400万・・・?・・・・もしかして街中に響いてたすごい音って武蔵さんか?あとさっきかけてた眼鏡とかどこ行ったんだ?」

 

 「そうだが?なんだ?眼鏡が好きなのか?まあ妖精さんがしまい込んでると考えておけ。私も詳しいことは知らん。眼鏡が好きなら、ほれ。かけてやろうか?」

 

 艤装から眼鏡だけを展開してカズマを覗き込んでやると真っ赤になって顔をそらしてしまった。くくく・・・なんだ初心だな!まあ男としての経験をもとにした「美人にやられるとやばい行為」をやっただけなのだがここまで反応がいいと楽しいものだ。

 

 「ぷっ・・くくく・・・っ・・・いやぁいい反応するなぁカズマ!」

 

 「あっからかったな!・・・そうだよ眼鏡美人結構好きだよちくしょー!」

 

 「あっはっはっは!」

 

 「何よ楽しそうじゃない!私も混ぜなさい!」

 

 「カズマ、デレデレしすぎです・・・」

 

 「武蔵、できればそのすさまじい音がする攻撃をぜひ私に・・・」

 

 なし崩し的に全員集まってきてしまい、その日はギルド全員巻き込んでどんちゃん騒ぎになるのであった。ああ、この世界は素晴らしいな!

 

 

 

 

 

 

 

 キャベツ収穫祭から二日後、私は適当に作った料理をもってある場所を訪ねていた。「ウィズ魔法道具店」という店名が書かれた看板の下、ドアを開けて入ると長い茶髪の女性がカウンターに座ってぼーっとしていた。

 

 「邪魔するぞ、ウィズ。相変わらず閑古鳥が鳴いてるな、この店は。ほら、また貧乏してるのだろう?差し入れだ」

 

 「ああっ武蔵さん!いつもありがとうございます。でも一言余計ですよ」

 

 「事実だろう。私が来るときいつも他の客はいないではないか」

 

 「武蔵さんのくるタイミングが悪いんですよーだ」

 

 「ふふっ、まあそういうな。今日は血色がいいな?」

 

 彼女はウィズ。このマジックアイテム店の店主であり、元凄腕のアークウィザードであり、元人間の現リッチーであり魔王軍幹部の一人だ。本来なら転生者の私の敵になるはずなのだが・・・偶然事情を知ってしまい、特に魔王軍への対抗意識などはない私も別に倒す必要を感じなかったので友人となった。

 

 「ふふふ・・・今回はいい商品を仕入れたんですよ!じゃじゃーん!」

 

 彼女がセルフ効果音をつけながら取り出したのは・・・右耳用のイヤリングが二つだ。翼の意匠があり、見た目はいいセンスをしている・・・見た目は・・・な

 

 「ふむ、どういうものなんだ?」

 

 「なんと、このイヤリングをつけた人同士はどんなに離れていても会話が可能になるのです!洞窟にもぐっていても、海の中にいても!どうです?すごいでしょう!」

 

 「なるほど、それはすごいな。で、欠点は?」

 

 「一言会話するだけで爆裂魔法一発分の魔力を消費します」

 

 「人はそれをゴミというんだぞ?」

 

 「なんでですかー!?」

 

 そう、彼女・・・ウィズは・・・壊滅的に商才が存在しないのだ。この店にある商品はすべて欠陥品で、一部使えるものが存在してるが使ったら死ぬという商品のほうが多い始末だ。ちなみに私も何回か被害にあっている。大和型の耐久力に感謝するばかりだ。

 

 「あ、武蔵さん・・もぐもぐ・・・今日の夜お暇ですか・・・ごくん」

 

 「食べ物を口に入れたまましゃべるな。暇といえば暇だが、どうした?」

 

 「ふぅ・・・ああいえ、今日の夜共同墓地の浄化に行こうと思うのですが万が一を考えて一緒に来てもらえないかなーと」

 

 「お前を浄化しきれるプリーストがいるとは思えんが・・・まあいいだろう」

 

 彼女は定期的に共同墓地の迷える魂を浄化している。この町の教会は拝金主義で共同墓地まで来て浄化なんてしないからな。彼女が代わりにやっているというわけだ。

 

 まあ最近ゾンビメイカーなる不審者の情報もあることだし、一緒に行ってやるか。




 主人公にどれだけ雌ムーヴをさせてカズマさんを弄ればいいか悩むなあ
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