あ、いつの間にか日刊乗ってました。ありがとうございます。
その日の夜、私とウィズは町の共用墓地に来ていた。ちなみにここはアンデッド系モンスターの巣窟として夜に近づく人は誰もいない。
「では、始めますね・・・ターンアンデッド!」
ウィズを中心に三角形の魔法陣が展開し、周りのアンデッドと幽霊が浄化されて・・・・ん?
「こんのバカちんがぁー!ここで何してんのよー!」
「ふむ、アクアではないか。危ないから人に殴りかかろうとするものではない」
上から降ってきたアクアのなんでか光り輝く拳とむんずと掴んで無力化しそっと降ろしてやる。
「え、ああ・・・ごめんなさい。・・・じゃなくて武蔵!?なんであんたがここにいるのよ」
「お前が殴りかかろうとした彼女の護衛だが?」
「はっそうよ!やいリッチー!こんなところで何してんのよ!武蔵をだませたって私をだませるとギャイン!?」
「誰が騙されているか。落ち着け」
女神だからなのかウィズの正体をあっさり看破したアクアの興奮が収まらないのでゴツン!とげんこつをくれてやり遅れてやってきたカズマ一行が会話に入る。
「あれ!?誰かと思ったら武蔵さんじゃねえか!?なんだクエストのゾンビメイカーじゃねえのか・・・後ろで腰を抜かしてるあんたは?」
「ひぇぇぇ・・・・あ、はい。私はウィズといいます。私は定期的にここにきて迷える魂の浄化を行っているのですが・・・・」
「そんな善行リッチーにふさわしくないわ!くらいなさい!ターンアンデッド!」
「ひぃぃぃーーー!?消える?!私消えちゃいます!?やめてやめてやめてくださあああーい!!!」
私の隙をついたアクアのターンアンデッドがウィズを巻き込み墓場全体を浄化し始める・・・ん?ウィズにも効いてるではないか!?
「よさぬか馬鹿者!妖精さん、GO!!!」
「シバレー!」
「タイホジャタイホ!」
「ネングノオサメドキナリー!」
「あははははは!!!さあ愚かなるリッチーよ!欠片も残さず・・・え!?ちょ、縛らないで縛らないで!やめてってばー!!」
「しばらくそのまま反省するがいい。私の友人を浄化しようとするとは・・・本来げんこつではすまんのだぞ?」
「なんでよー!あたしはアークプリーストにして女神そのものよ!仕事を果たそうとしただけじゃない!」
ぐるぐる巻きになったアクアとおびえるウィズを放っておいて、カズマに事情を聴くとなんでもゾンビメイカー討伐のクエストを受けここに来ていたのだが、私とウィズを見つけたアクアが暴走、現在の状態になっているとのことだ。
「なあウィズ・・・確かお前の魔力に反応すると死体はどうなるんだったか?」
「へ?ああ、私の魔力に反応すると勝手に起き上がりだしますが・・・」
「お前がゾンビメイカー騒動の犯人ではないか・・・」
「なあ、確かここの浄化してるって言ってたよな?町の教会に頼まないのか?」
「ああいえ、この町の教会はお金がある人のところにしか来なくて・・・」
「拝金主義というやつですね・・・まったく困ったものです」
む、カズマがアクアを見つめて何やら考えている・・・カズマは悪知恵が働く、それが吉と出るか凶と出るか・・・もしウィズを浄化させるつもりなら敵対するのも辞さないが・・・できればしたくないのが本音だ。せっかくできた同郷の友、こんなところでなくすには惜しい。
「おいアクア、じゃあお前がウィズさんの代わりに定期的の浄化しにいけよ。あんだけぎゃーぎゃー言ってんだから責任とってな」
「はぁ!?なんで私がそんなことしなきゃならないのよ!」
「じゃあウィズさんにやってもらうか?拒否してんのお前だけだぞ。言っておくが俺は今のお前よりウィズさんのほうが100倍いい人に見えるけどな」
「ぐぬぬぬ・・・・わかったわよ!やってやろうじゃない!私が素晴らしい女神だって知らしめてやるわよ!」
「言質とったからな!つーわけで武蔵さん、ウィズさん。これからはこのアホが浄化するらしいので」
「え、ええ・・・わかりました・・・?」
「ふむ、いい考えだなカズマ。せっかくの高位プリースト、遊ばせておくにはもったいない。ちょうどよいだろう」
その日以降、夜になると定期的に青い髪をした女のやかましい幽霊が共同墓地に出るという噂が立ったが、まあ関係ないだろう。
「なんでよーーーー!?なんでキャベツ狩りの報酬の残りがこれっぽっちだけなのよーーーー!!」
「それはあれだけ飲み食いすれば減るだろう。しかもほとんどが「私のおごりよ」と豪語していればそれはな・・・」
「その通りだぞ駄女神。使えば減るのは当たり前じゃないか」
「えっと・・・それもあるのですが・・・アクアさんが捕まえたのはほとんどレタスでして・・・報酬もそのように・・・」
「そんなぁ・・・・」
ウィズとカズマ一行の邂逅から一夜明け、アクアがキャベツ狩りで得た資金を豪遊しようと窓口に引き出しに行った結果がこれだ。うむ・・・その場にいなかった私にはよくわからないがキャベツとレタスはよく似てるからな、仕方あるまい。
かくいう私が捕まえたキャベツのうち3割はレタスだったらしいのだ。私の場合とらえた数が膨大だったため報酬にはあまり響いていないが・・・
「ねえカズマさん・・・あと武蔵さん。あなたたちの報酬って・・・いかほど?」
打算的でありつつ露骨に美しく笑いながら振り替えってきたアクアが訪ねてくる。もしや私にたかる気なのだろうか・・・
「俺は100万」
「私は400万だが、それがどうした?」
「ねえ二人とも・・・困ったときはお互い様よね?助け合いましょう?」
「断る」
「すまんが自業自得だ。己の所業を悔いるがいい」
「ごめんなさい!酒場にも報酬当てにしてつけてもらってるんです!」
「出来高制にしろっつったのはお前だろ」
「カズマさま――――!!」
「たまには俺たちの後ろで笑いながら見るだけじゃなくてテメーで働いて稼げよ駄女神」
さすがにこらえたのか瞳を潤ませながらこちらを睨むアクア、どうしたものか・・・
「いいわよ!私もクエストクリアしてあっさり返済「それは無理だ」なんでよーーーーっ!?」
今はタイミングというか・・・いろいろと悪くて依頼自体がないのだ。理由は・・・
「いやな、今回はお前が悪いわけではないのだが・・・アクセル近辺に魔王軍幹部がやってきたらしい。弱いモンスターは身を隠してしまって依頼自体が激減してる上に高難度のものしか残ってないのだ」
それを伝えるとアクアは真っ白になってへなへなと腰を落としてしまった。私が悪いわけではないのだが・・・ちょっぴり悪いことをした気がする。
「うう・・・どうすれば・・・・へ?・・・あっ・・・」
アクアの肩にポンと救いの手を差し伸べたのは・・・・酒場の親父だ。その手にはメイド服が握られている・・・・バイトがんばれよ、アクア。
アクアが断末魔の叫びをあげながら引きずられていき、残ったカズマと私は顔を見合わせ、ため息をつくのだった。
「さーて厄介払いも済んだことだし、俺は俺でのんびりしますかねー。じゃ、武蔵さん、また」
「ん、ああ待てカズマ。暫く暇になるか?」
「んーしばらく稼ぐ必要はないからそうなるなー。めぐみんは杖を作るまで不在、ダクネスは実家に帰省、アクアはあの調子で俺だけ少し時間があるからな」
「ふむ、ではちょうどいい。ほかの町に興味はあるか?」
「どういう意味で?」
「実をいうとだな、私は海運業を営んでいるのだが・・・出港が明後日なのだ。プチ旅行ということで少しこの世界を見に行くのはどうだ、カズマ?なに、金はとらんさ」
「どのくらいかかるんだ?」
「行きかえりで3日ほどだ。明日アクセルを出れば4日だな。どうする?」
「いくっ!なんだかんだここしか知らねえんだし、せっかくのファンタジーを堪能したいしな!」
「そうか!断られたらどうしようかと思っていたのだ!余計なお世話ではないかとな!」
うむ、アクアや他の皆には悪いがカズマには何も悩まされずストレスを解消する時間が必要だと思うのだ。なにせカズマは毎日毎日アクアやめぐみん、ダクネスの引き起こす騒動の渦中で解決を強いられている。その分彼女らを絞っているのは確かだがたまには羽を伸ばしても罰は当たるまい。
「それでは、明日の乗合馬車の7便で出るから、乗り合い所に着替え等を持って20分前に集合だ。遅れたらおいていくから遅刻はするなよ?」
「わかった。誘ってくれてありがとう武蔵さん」
「気にするな。存外私はお前のことが好きなのさ。少しくらい世話を焼かせてくれ」
「好き・・・っ・・・・て・・・」
「ははは!お前は本当にからかいがいがあるなあ!では明日だぞ、カズマ!」
「このーーー!またからかいやがって!!!」
ふふふ、好きなのはほんとうだぞ?まあそれが男女の関係かどうかはまた別の話だがな。
そんなことを考えながら家に帰り、妖精さんと仕事の段取りを済ませて就寝するのであった。地球で働いたときには誰かと旅行なんてしたことないかったから楽しみだ。まあ私は半分仕事なのだがな。
翌日、いつものように起床ラッパで目を覚ました私は身だしなみを整え、いつもはしない化粧を施し妖精さんたちを点呼して30人全員を私の中に押し込み、家を出るのであった。乗り合い所につくと既に荷物を持ったカズマがウキウキした様子で待っていた。
「おお、早いなカズマ。遅刻しなかったようで関心関心」
「ああ、武蔵さん。おはよ・・・・武蔵さん?」
「ん、いかにも私だがどうした?見たこともないものを見たような顔をして」
「いや、いつもより雰囲気が違うっていうか、綺麗っていうか・・・」
「ふふ、存外気づきが早いではないか。私は半分仕事だからな。失礼にならない程度に化粧をしている。一応客商売なのだ、すっぴんではだめなのだぞ?」
「そうなのか・・・まあ、その、似合ってるんじゃないか?」
「っ・・・ふふふ。なんだ、意外と褒め上手ではないかカズマ。もしかして口説いてるのか?」
「いいいやそうじゃなくて!!」
「冗談だ。そのよく回る口は恋人ができたときにでも取っておけ。それよりもほら、馬車が来たぞ」
7番線は街道を真っすぐ経由し5時間ほどをかけてブラストに向かうものだ。ついたときにはちょうど昼時になるだろう。向こうのうまい魚料理を食べながらゆっくりしてもらおうじゃないか。カズマとともに馬車に乗り込み、出発を待つ。魔王軍がいるせいなのか乗る人間は私たちだけのようだ。静かにダチョウ型モンスターが曳く馬車が出発する。
「しかし、よくこれたものだと思うよ、カズマ」
「そりゃどういう意味だ?」
「アクアにめぐみん、宿屋自体は同じだろう?2人ともついてくるくらいは思っていたのだが・・・・」
「ああ、あいつらに気付かれないように潜伏しながら荷造りして寝てるうちに書置きだけ残してきたからな。あいつらが来たら休まるもんも休まらねえ」
「それは2人にとっては寝耳に水であろうな。せっかく二人きりなのだ。普段できない話でもどうだ?」
「それってこっち来る前の話ってことか?」
「まあそういうことだ。私はSEとして会社に勤めていてな、徹夜のし過ぎで過労死したのだ。転生して心底よかったと思っているよ」
「うっわ・・・俺はまあ、アクアがいつも叫んでる通りニートだったんだ。たまたま出かけたときに、トラクターに轢かれた・・・と勘違いしてショック死した」
「くくっ・・・なんだ、それは。私たち二人とも恰好つかない死に方だったのだなあ」
「ははは・・・そうだな。武蔵さん、元男だったよな?違和感とかなかったのか?」
「ん、そうだな・・・最初はあったさ。でも一月もたつと体に引っ張られたのか気にすらしないようになった。もうすっかり女だよ。別に男の気持ちもわかるからどう見てもらっても構わないさ」
「ふーん・・・そういえば海運業って何してるんだ?」
「主に乗員輸送と貨物船を兼ねている。それ以外は向こうでのお楽しみだ。そうさな・・・かならず驚くから期待しておけ」
「うわーずるいなー。驚かなかったら罰ゲームでどうだ?」
「ふむ、いいだろう。何をしようか」
せっかくの賭けだ。どっちに転んでもカズマが喜ぶようなことをしてやろうではないか。私はサービス精神が豊富なのだ、今回はとことんカズマを甘やかしてやろう!
「じゃあ俺が驚かなかったら・・・妖精さんを2週間貸してくれ!俺もあいつらといる中癒しが欲しい!」
「そんなことでいいのか?まあいいだろう。では驚いたら・・・・そうだな、膝枕でもしてやろう。男の夢だろう?私でいいならかなえてやる」
「へっ?俺にしか得ないけどいいの?まあいいや、賭け成立だ!」
そんなことを話してるとあっという間に海辺の町、ブラストについた。ここはアクセルと結構連絡を密にしている町の一つで、多くの中級冒険者が集う街の一つだ。海辺ということもあり潮特有の生臭いような、艦娘の私にとっては心地いい香りが漂っている。
「さて、カズマ。ようこそ「貿易特化街ブラスト」へ!歓迎するぞ!」
ここは私の町ではないが、このくらいのセリフは許されるだろう。ああ、この旅路に祝福があるように、だ!
プチ設定 武蔵さんのステータス
ちから 15万馬力 やばい
ぼうぎょ かたい ぱない
すばやさ 低速 おそい
うんのよさ ひくい ちょっとわるい
まりょく ふつう たくさんためられる
実は転生の時アクアが体を艦これ世界の武蔵さんからコピペして主人公をぶち込んだせいで思考などが「艦娘武蔵」から浸食を受けている。
彼女は気づいていないが、もう元の人格からはだいぶ変わってしまっている。今残っている「彼」の要素は「優しさ」「世話好き」「からかい上手」そして日本の記憶くらいである。
ちなみにこの設定が本編で活かされることはほぼない。なぜならこれは「このすば」の二次小説だからである
ちなみに作者は赤色が好きです(露骨なアピール)