この大戦艦に祝福を!   作:カフェイン中毒

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案外武蔵さんが強くても受け入れてくれる人が多くてうれしいゾ。オリジナル編はあと2話くらいで終わらせたい・・・なあ


第7話

 武蔵(わたし)の中は複雑だ。およそ旅客用の船には適してないと言えるだろう。なぜだと?大和型の内部構造は元から複雑な戦艦の内部をさらに広大化したため、1種の迷路になっているのだ。実は大和が建造された際に訓練のため大和内部をめぐるスタンプラリーが開催されたのだが、一番遅かったもので12時間、大和の中でさまよっていたのだ。つまりだな・・・

 

 「ひろおおおおおおお!?なに?今どこ歩いてるんだ俺!?何回扉くぐって何段はしご上ったんだ!?」

 

 「そうはしゃぐなカズマ。私が一緒なのだ、迷うことなどありえない。安心して私についてくるがいい」

 

 目的地まで行くのがものすごく億劫になりかねないという欠点があるのだ。目的地まで長いのはこれまでキミが梯子を上るたびにガン見していた私の下着という名のさらしに免じて許してほしい。案内する都合上私が先行しなければならないのは仕方ないのだがスカートの中から目をそらすくらいしてもよいのではないだろうか?思春期特有か?

 

 「さ、ついたぞ。ここが武蔵(わたし)の中枢部、艦橋だ。ここで操舵をしたりするわけだな」

 

 「お?おおおおお!!すげえ!軍艦の操舵室ってこうなってるのか!まあ俺普通の船の操舵室も見たことないんだけど・・」

 

 「そうか?基本的な装備はほとんど一緒だろう。違いがあるとすればほら、そこのラッパみたいな金属の筒・・・伝声管というのだが、それの行先が何倍も広いくらいだ」

 

 「へーそうなのかー・・・これが羅針盤っていうやつか?」

 

 「ああ、そうだ。船の揺れを考慮して常に水平を保つように出来ている。そしてこれが舵輪だな。まあ今動かしても何も起きないが出発するとき悲惨なことになりかねないので触らないでくれ」

 

 「お、おう。改めてみるとでっかいなあ!あの大砲なんて俺の何倍あるんだ?」

 

 「武蔵自慢の主砲だ。46㎝3連装砲、現代では技術が完全に失伝した、ロストテクノロジーの産物なのだぞ。・・どれ」

 

 「うわっ動いた!?すっげ~あんななめらかに動くのか・・・」

 

 主砲を一基だけ動かしてやる。ガコン・・・ズズズズズズ・・と音を立てて回りだした主砲にロマンでも感じているのかカズマの目がキラキラしてきた。艦内設備も航行、戦闘に至るまでやろうと思えば私一人でこの巨大な武蔵(わたし)を操ることは可能だ。だが、所詮は一人の力、妖精さんと連携を取りながら動いたほうが何倍も強くなれるのだ。・・・決して私が脳筋のポンコツなのでははないぞ?ほんとだぞ?

 

 「うわぁ・・・海ってすげえなあ・・・」

 

 「いい眺めだろう。今は凪いでいるからな、夕日が水面に映るだろう。そうさな・・・あと2時間ほどか。さ、お前が3日世話になる部屋に案内しよう。私がいなくてもどこにだって入っていいさ」

 

 艦橋を後にし、士官室にカズマを案内する。途中に分社された神社に参拝し(カズマは熱心に何かを願っていた)案内をつづけついた士官室は狭い軍艦の中では比較的広い部屋だ。さすがの妖精さんでも壁をなくしたり、構造を変えたりは出来ないが内装を弄る程度のことはできる、ので日本の旅館風の部屋にしてみた。

 

 「・・・なんで畳張り?」

 

 「懐かしいだろう。・・・私も妖精さんがどこから調達してきたのかはわからんが・・・・」

 

 「それ大丈夫なのか?爆発したりとか・・・」

 

 「しない!はずだ・・・多分」

 

 「せっかくの好意だし、甘えさせてもらうわー・・・うわっ匂いまで畳だ・・・」

 

 「うむ、ゆっくりするといい。では私は仕事に戻る。その妖精さんは3日間お前専属だ。ちゃんと可愛がってやってくれ。ではな」

 

 「うん、仕事頑張ってくれ」

 

 金剛風の妖精さんを畳の上で溶けているカズマの上にのっけて艦橋へ戻る。といっても私のやることといえば3時間後のアナウンスと万が一モンスターが襲ってきたときに対処するだけだ。と言っても多くのモンスターはこの巨大な武蔵(わたし)を恐れて近寄ってこない。

 

 

 「さて妖精さん、現在の状況は?」

 

 「ヨテイシテイタニモツノ50%ガツミコミカンリョウデス!」

 

 「シュホウ、フクホウ、キジュウモンダイナシナノデス!」

 

 「ジョウキャクハ30%ホドノリコミマシタ!」

 

 「タラップマエニテチケットノギゾウヲハッケン、ゴネダシタノデタイショモトミマス」

 

 「なに?それはいけないな。すぐ向かうからそれまでしのいでおいてくれ」

 

 「リョウカイ!」

 

 非常用の脱出口を開け、そのまま飛び降りる。危なげなく着地した私はそのままタラップを降りて現場へ向かう。揉めている相手は・・・昼の商人ではないか、何をしている?

 

 「ああ、武蔵さん!ちょっとこの人一番高い部屋に通しなさいって図々しいんですよ!しかもチケットまで偽造して!」

 

 「何を言いますか!ほらこれ!きちんとしたチケットでしょう!さっさと通しなさい!」

 

 太い指で取り出したチケットは・・・ああ、偽造品を掴まされたんだな?たまにいるんだ、適当にガワだけまねたチケットを格安で販売するやつが。大方VIP用の部屋が安いと聞いて騙されたんだろう。

 

 「ふむ、まずそれは偽物だ。路地裏かどこかの非正規の店で買ったな?この船のチケットはギルドでのみ取り扱いしている二次販売不可のものだ。しかも貴様が握っているVIP用の部屋は完全予約制だ。当日券はでない。すまんがお引き取り願おう。妖精さん!」

 

 「ケンペイダー!」

 

 「ヨケイナシゴトフヤスンジャネエ!」

 

 「カエレー!」

 

 「な、んですって!?ちょちょっと!運ぶんじゃないですよ!くっ!おぼえてなさいーーーー!」

 

 「ふむ、では覚えておいてやろう。妖精さん、ブラックリストに追加しておいてくれ」

 

 「アイアイ!」

 

 この世界は私が元居た世界と比べて治安が悪い。盗賊も当たり前にいるし、外に出れば人の死体を見ることだってある。ちょっとしたことで命取りになるこの世界で大勢の命を預かる海運業をするなら揉め事を起こすような人物は極力乗せないのがセオリーだ。すまんな、デブ商人よ。

 

 「大事ないか?」

 

 「ええ、ありがとうございます武蔵さん。あの商人、いいうわさを聞かないんですよね・・・商人ギルドに言って罰則を入れてもらったほうがいいかしら?」

 

 「それは任せるが・・・旅客をやめて貨物専門にするか?トラブルが少なそうだしそっちのほうが・・・・」

 

 「それはやめてください!今この事業が途絶えたら上向いた経済が下がっちゃいます!ですからどうか!どうか!」

 

 「お、おおわかった・・・」

 

 予想外の大反対を受けた私は仕事を再開した職員と妖精さんから離れ、甲板を上り舳先に座り込む、水平線の先と太陽が重なり合うような光景を見つめ、酒が飲みたいなあと益体もないことを考えながらぼーっとする。こういうのもなんだが、私は意外とものぐさだ。必要があるからとこうやって動いてはいるが実際私がやらなくていいならやりたくはない。

 

 それが変わったのはカズマが来てからだな。あいつらのドタバタ冒険を見ていると私も楽しくいろんなことがしたい、とそう思えてくるのだ。

 

 「仕事を楽しむ、など考えたこともなかったなあ・・・」

 

 SE時代はPCとにらめっこをし、冒険者になってから魔物を蹂躙し、金を稼いできた。カズマが私に頼ってくるたびに聞かせてくれる苦労話は、私にとっては少しだけ羨ましいものなのだ。

 

 それ以上に、あんな目には合いたくない、カズマをねぎらってやらねばという気持ちのほうが強いがな。あえて言うなら、私は同じ価値観を持った人間に飢えているのだろう。つまり、カズマである。あの子ともっと楽しく、仲良くなりたい・・・そう思える不思議な魅力が彼にはあるのだ。そうでなければ様々な辱め・・・カズマは不本意なのだろうが・・・を受けているめぐみんやダクネス、クリスが彼と仲良くするはずがない。アクアは論外だがな。

 

 さて、そろそろ放送の時間だ。日も暮れたし艦橋に戻るか。

 

 艦橋に戻るとカズマがいた。どうやらぐだぐだ寝転んでいるのに飽きたらしい。妖精さんと遊びながら艦橋で夕日を眺めていたようだ。

 

 

 

 「お、武蔵さんお帰り。仕事はどうなんだ?」

 

 「ん、ああもう終わったよ。乗客もしっかり全員乗り込んだからな、ここで一泊して明日出発する。では、館内放送を始めよう。妖精さん」

 

 「アイコチラドゾー」

 

 妖精さんが差し出してくれたマイクを握る。これは各部屋に配置された妖精さんが対になる再生機を持っており、乗ってる全員に私の話が聞こえるようにしたものだ。

 

 「あー、あー。マイクテスト、1,2、よし。此度は弊社の旅客、貨物サービスを利用していただき感謝する。こちらは本艦艦長の武蔵である。まず注意であるが、今その部屋にいる小さな生き物、妖精さんは弊社の従業員である。部屋の専属となり常駐するが、小間使いではないので了承してほしい。そして本船は立ち入り禁止の場所が大変多い、もしトイレ等に行きたくなった場合、専属の妖精さんに伝えてもらえば案内してくれる。食事はサービスで、この放送の後、明日の7時、昼の12時に配膳されるので部屋で待機していただきたい。シャワーは有料だ。本船は明日の10時に出港し、夕方6時にブーステリアに到着する。出航30分前までは1度おりて酒場等で食事などをしてもらっても構わないが、出航30分前までに戻ってこなければいかなる理由があろうと再乗艦は出来ないので留意していただきたい。こちらからは以上だ。では、よい旅を」

 

 マイクをきり、一息つくとカズマが話しかけてきた。

 

 「なあ、何で妖精さんが一部屋に一人いるんだ?」

 

 「トラブル防止のためだ。言うなれば監視カメラだな。置き引きやスリ、果ては強盗が起きないとも限らん。彼女らはああ見えて普通に強いのだ。もし何かあっても対処ができる」

 

 「ゴハンデスヨー!」

 

 「お、きたな。武蔵の料理、よく味わって食べるといい」

 

 「いただきまーす!」

 

 メニューはパン、コンソメスープ、ハンバーグ、サラダだ。これは調理室で調理したものを妖精さんの謎パゥワーで運ばれている。ほんとに万能だな、妖精さん。

 

 食事を済ませ、カズマはそのまま眠るそうなので、部屋まで送り私は艦橋で有事に備えることにした。海に映る満月が、武蔵(わたし)の船体を優しく照らすのをコーヒーを傾けながら楽しんでいると、妖精さんが風呂が沸いたと知らせてくれたのでそのまま入ることにした。この浴場はそう広くはないが、士官室の一つの内装を変えたものだ。服を脱ぎ、さらしを外して・・・なぜ下までさらしなのだろうか?・・・ちなみに私は生えてない。きちんと服をたたんで置き、妖精さん印の浴槽に身を沈める。

 

 「あぁ・・・身に染みるな」

 

 私は風呂が好きだ。こうして肩までつかると疲れがすべて溶けだしていくような感覚がある。これが艦娘特有のものなのかどうなのかは知らないが、入渠ってこういう感じなのだろうか。この世界に高速修復材はないし、風呂につかろうが怪我は回復しない。怪我をすれば自然治癒か回復魔法、薬になるし、艦これ世界にはない魔力がある。

 

 武蔵(わたし)が動く燃料は魔力だ。妖精さんが変換した資材を艤装に入れ、魔力に変え貯蔵している。なぜこのプロセスが必要なのかは疑問だがそういうものだと納得している。職業「艦娘」のスキル「補給」と「貯蔵」によって魔力をため込めるため、それを使って動かしている。・・・そういえば艦娘のスキルをカズマに教えたらどうなるのだろうか?こんど試してみようか。と考えてると・・・がらりと扉を開いた。

 

 「お~船なのにきちんと風呂があるんだな!武蔵さんにかん・・・しゃ・・・」

 

 「・・・カズマ、見たいならきちんと見たいと言え。こんな風に卑怯な真似をするんじゃない」

 

 カズマが全裸で入り口に立っていた。とりあえず浮いている胸を片手で隠し、一応湯船の下だがもう片手で股間を隠し指摘する。まったく、これではほんとにアクアが言ってたクズマさんではないか・・・・。気づいたカズマが慌てた様子で弁解してくる。

 

 「ご、誤解だ~~~!!」

 

 「騒ぐな。私は気にしてないからほれ、きちんと湯船につかれ。寒いだろ?」

 

 「えっあっはい・・・シツレイシマス・・・」

 

 「あっはっはっは!顔が真っ赤だぞカズマ!いつも女性と生活しているだろ?アクアから聞いているぞ!エロニートだのなんだのとな!」

 

 「それとこれとは別問題だよ!俺が悪かったから!すぐ出てくからぁ!」

 

 「まあそういうな。前にも言っただろう?見られて恥ずかしい体はしてないと。裸の付き合いでもしようじゃないか」

 

 「俺は恥ずかしいの!それに武蔵さん「それだ」・・・それ?」

 

 ずっと気になってたことを聞いてやろう。

 

 「なぜ武蔵「さん」なのだ?どうせなら呼び捨てにしてくれてもいいだろう?」

 

 もっと私と仲良くしてくれてもいいのではないか?カズマ。




 なんかカズマさんってめぐみんと混浴してたしこのくらいは許されるかなって・・・え?許さない?

カズマってちょっと強化しても許される?
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