書いてるとき「あれ?これこのすばの2次創作だったよな?」という考えが浮かぶ感じでして・・・
私の疑問を聞いたカズマはぽかんと鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。別にそんな顔をしないでもいいではないか。いつもさん付けで呼ばれる私の気持ちになってみろ、意外と疎外感があるのだぞ?
「へ?そんなこと気にしてたのか?」
「そんなことはなんだそんなこととは。私は結構キミと仲がいいと勝手に思っているが、案外そうではないのか?それは少し寂しいぞ」
「いやいやいやそうじゃなくて!アクアとかめぐみんとかダクネスとかはパーティーメンバーだしさ、それにあいつらってさん付けするほど高尚な存在じゃないし・・・」
「もしかして・・・私のことが嫌いなのか?」
自分で言っててめんどくさいと思うが、私にとっては重要な問題だ。もしや世話を焼きすぎて重い女だと思われたのか!?いやでも助けておかないとカズマがそのうちつぶれそうな感じがして・・・あ、視界がうるんできてしまった。どうしよう、どうしよう。
「そんなわけないだろ!!」
「っ・・・カズマ?」
私の混乱を切り裂くように大声を上げたカズマが湯船から立ち上がった。
「俺が武蔵さんのことをさん付けするのはあんたが恩人だからだ!尊敬してるからだ!だってそうだろ!?あの駄女神と一緒にアクセルに来て!カエルに負けて!途方に暮れた俺たちを助けてくれたのはあんただ!」
「・・・っ・・」
「風呂の世話してくれて、メシおごってくれて、こうやって自分の身を切って俺たちのことを考えてくれる!嫌いになれるわけないだろ!俺はあんたに追いつきたいんだ!あんたと肩を並べて冒険したいんだよ!あんたに「一人前になったな」って言われたいんだ!」
私が息を吞むのに構わずカズマは思いのたけを叫び始める。顔が熱くなる。うれしい、彼に仲間だって思ってもらえてることが、私はパーティーメンバーじゃないのに。
「悪いけど、一人前になるまであんたを呼び捨てにする気はない。いや、できない。あんたに追いつくまでは、あんたと同じようにカッコイイ、と思える自分になるまでは」
「カズマ・・・そう思ってくれるのは嬉しいが・・・その・・・湯船につかってくれると嬉しい」
「・・・え?・・・あっ。・・・ゴメンナサイ」
私の目の前の彼の裸身、その単装砲は、最大仰角であった。・・・・台無しである。いや、こんな場所でこんな話をした私が悪いのだろう、うん。これがこう、艦橋とか甲板であったならきちんと絵になるはずなのだ。
「ふふふ・・・ははははは!!悩んでた自分が馬鹿らしくなったよ!ありがとうカズマ!実をいうと私はな、同じ世界出身のお前を失いたくないのだ!仲間として、友人になって楽しく過ごしたかったんだよ!」
「へっあっ・・ちょ、武蔵さん!?はなしてくれぇ!!」
思わずカズマを抱き寄せ、胸に抱きしめる。カズマが抵抗しているがそんな抵抗で戦艦たる私は小動もしない。彼の内心を聞けた、私のことを嫌っていなかった、私のことを尊敬してくれた!いくつもの「嬉しい」が私の中で弾んでいる。
「私に肩を並べたいんだったな!ではまずレベル上げを・・・カズマ?・・・カズマっ!?」
「んぐぅ・・・・」
しまった!嬉しすぎてカズマの顔を胸に押し付けすぎた!呼吸ができなくなって気絶してしまったカズマを担いで急いで脱衣所に出る。幸い呼吸自体は正常だ、すぐに目を覚ますだろう。
「妖精さんっ!妖精さーん!?」
「アラアラマアマア」
「サッキハ、オタノシミデシタネ」
「違う!そうではない!とりあえず彼を着替えさせて部屋に運んでおいてくれ!私もすぐ行く!」
「ワカリマシター!」
「コレダカラコジラセタカンムスハ・・・」
なんか一人私に対してあたりが強い妖精さんがいたような気がするが気にしてられない。用意しておいた浴衣に素早く着替え、彼に用意した部屋へ急ぐ。服は艤装を展開するとき自動的にそうなってしまうだけでそのあと着替えようが何しようが問題はないのだ。
部屋に入り、すでに寝巻用の服を着せられたカズマが寝かせられいるところまで歩き、彼の無事を確認する。助けたいと思っている相手をこんな窮地に追いやってしまうとは・・・私もまだまだだな。とりあえずカズマが無事でよかった・・・・む、そうだ。
「んん・・・うん・・・・」
「お、目を覚ましたかカズマ、すまなかったな。大丈夫か?」
「武蔵さん・・・?・・・っ!?へっ!ああのこれぇ!?」
「動くな、まだじっとしていろ。なに、賭けの罰ゲームというやつだ。詫びともいうがな」
ん?私たちがどのような状態だと?私は崩した正座をし、カズマは私の足と足の間に頭を乗っけている。早い話が「膝枕」だ。カズマが驚いたらする約束だったからな、ちょうどいい。
「さて、さっきの話の続きだがカズマ、そう思ってくれてうれしい。もう呼び捨てにしろなんて馬鹿なことは言わないから許してくれ」
「いや、それは俺がつまらない意地をはってるだけで・・・」
「つまらないものか。目標は大事だぞ?お前は魔王軍を倒そうとかそういう気概はないみたいだが、それならそれでいい。どうやらそれに代わる目標があるようだしな」
「いや、でもさっきはそれで――――」
カズマの口にそっと人差し指を押し付けて、彼の口を閉じさせる。瞳を覗き込んで、私の期待を口にする。
「待っててやるから、ゆっくり強くなれ。お前と肩を並べるのが楽しみだ」
「・・・・・ああ!」
「ふふっ。いい返事だ。ではまた明日。食事を楽しみにしていろ。・・・・いい夢を」
カズマの返事を待たず、彼の頭を降ろして部屋を後にする。今日は嬉しいことばっかりだ。きっとこの世界は祝福されているのだろう。そう思えてならない。
翌日、いつものように起床ラッパ・・・ラッパどころかオーケストラであったが・・・で目を覚まし、艦内の最終チェックを済ませ、食事を作る。他の客の分は妖精さんがまとめて作っているが、カズマと私の分は私が作っている。別に妖精さんに任せてもいいんだが、たまにはこういうものもいいだろう。鰹節で出汁を取り、なめこ、わかめ、豆腐を入れてひと煮たち、サケの塩漬けをグリルで焼いて、昨日漬けておいたキュウリの浅漬けを出し、味噌を溶いて器に盛りつけ、部屋まで持っていく。
部屋に入ると布団にくるまったカズマが気持ちよさそうに寝息をたてながら眠っていた。うむ、こんな気持ちよく寝てるのにおこすのは忍びないが・・・食事は出来立てが一番うまいのだ。ここは心を鬼にせねば。
「妖精さん、たのむ」
「アイアイ!」
妖精さんが分身してそれぞれ違う楽器を持ち始めた。どこから取り出したとかなぜ弾けるとか疑問は尽きないが、妖精さんのことは考えるだけ無駄だ。
「セーノ!」
ジャジャジャジャーン!とベートーヴェンの「運命」を演奏し始めた妖精さん、うわぁ・・・目覚め最悪ではないか?
「うわっ!?なんだなんだ?またアクアか!?」
「おはよう、カズマ。私だ」
「なんだ武蔵さんか・・・ん?いい匂いがする」
「朝餉を持ってきた。私お手製だぞ?顔を洗って目を覚まして戻ってこい」
「わかった」
カズマが顔を洗いに行ったのを確認した妖精さんが布団をしまいこみ、二度寝を完全に防ぐ。さすが妖精さん、気が利くな。
「ただいまー。お!味噌汁に漬物に白ご飯!この世界にもあったのか!」
「結構昔から転生者はいるらしいのだ。そして日本人の食事に対するこだわりは恐ろしい、ということだな。もっとも希少性が高いからそうやすやすと買えるものではないぞ?味わって食べろ」
「いただきます!・・・ん!うまい!」
「そうか、それはよかった。さて、もうすぐ出航なわけだが・・・一応別大陸までいくのだ。ちょっとした注意をしておこう」
「注意?別におとなしくしてりゃいいんじゃねえの?」
「まあ実際そうなのだがな・・・お前の場合、トラブルに自分から突っ込みに行くようでな。昨日がいい例だ」
「うっ・・・何も言い返せない」
「それはそうだ。さて、むこうでは言葉が異なる。といっても私たち転生者には関係ないがな。だが、微妙な習慣の違い、その中でも相手に話しかけられたときに頷いてはいけない。それは向こうでは「見下す」というジェスチャーだからだ。とりあえずそれにだけ気を付けてくれ」
「お、おお。わかった」
カズマが頷いたのを確認し、私も食事に手を付ける。うむ、いい塩加減だ。
そろそろ出航である。戻ってきてない乗客がいないことを確認し、機関に火を入れる。低い音でうなりだす機関が、私の巨体に前進するための力を伝達させていく。
「あー、あー。こちら本船艦長の武蔵である。時間になったのでこれより出航する。本船は戦闘を前提に作られているので、道中モンスターが現れても落ち着いて行動し決して甲板上に出ないでほしい。予定時間は8時間、ブーステリアには午後6時到着予定である。それでは、よい旅を」
館内放送をすまし、艦橋にてそれぞれ持ち場につく妖精さんを見ながら舵輪の前に立つ。別に動かすのは考えるだけで出来るのだが、こういうのは雰囲気が大事なのだ、雰囲気が。
「機関最大!錨を上げろ!これよりブーステリアへの航海を開始する!」
「キカンサイダイ!」
「バツビョウ!」
「シュッコウジャー!」
機関がうなりを上げ、
「おーすっげえ!意外と早いもんなんだな!」
「ん?ああ、妖精さん謹製の装備で速力を上げているのだ。まあこれはゲーム由来だな」
「へー、ますますあの駄女神を選んだことを後悔しそうだ・・・」
「それは自業自得だろう。アクアは能力が高いのは確かだから、きちんと手綱を握ってやれ」
「そうかぁ・・・でもあいつが頑張ると悪いことしか起きないのがなぁ・・・」
「運のステータスのせいであろうな。・・・そろそろか」
「そろそろ・・・ってうわあああああ!?恐竜!?」
いつの間にか船体に並行するように泳ぐ首長竜のようなモンスターにカズマが悲鳴を上げる。うむ、2週間ぶりに見たが元気そうで何よりだ!
「そう驚くなカズマ、言ったであろう?海のモンスターはでかいと」
「言われたけどこんなでかいとは思わねえよ!というか迎撃!倒さないとこっちがやられるんじゃ・・・」
「ああ、その必要はない。あれはテンダーネスドラゴン、この世で最も優しいとされているモンスターだ。なぜか人間が大好きでな、船を見ると寄ってきて縄張りを外れるまで護衛してくれるかわいいやつなのだ。」
「人間が大好きって食料的な意味じゃなくてか!?」
「あのモンスターは草食だぞ?ブラストで飲んだカカナッツ、あれが大好物なのだ。近くで見てみるか?」
「いいいいよ、何か食われそうだし・・・」
「まあそういうな。そらいくぞ!」
「拒否権ないなら聞くなよーーーー!!!おちるーー!!?」
速度を少し落とし、非常用の出口からカズマを抱いて飛び降りる。カズマの悲鳴をよそに問題なく着地した私が甲板にカズマをおろし、船の縁まで行って手すりの前で指笛を鳴らす。ピュイッ!という音に反応したテンダーネスドラゴンが泳ぎながら首をもたげ、こちらに近づけてくるのでその巨大な鼻筋を撫でてやる。
くるくるくると甘えるように鳴きだしたこいつと出会ったのは海運業を始めたその日だ。船を出すということでギルドから存在自体は聞いていたのだがこんなにあっさりと出会えるとは思わなかった。そのあまりの人懐っこさにおやつ、お土産として買い込んだカカナッツを全て上げてしまったのはいい思い出である。
「うわっ・・・ほんとに人懐っこい・・・」
「うむ、せっかくだしなでておけ。妖精さん、カカナッツを持ってきてほしい」
きゅるる?とカズマを見つめ鳴いたテンダーネスドラゴンに恐る恐るといった様子のカズマが鼻に手を置くと、ぺろり、と手をなめられ、笑顔になったカズマが鼻を撫でだした。しかも結構気持ちいいらしくきゅるるるる!とすごい勢いで鳴いている。カズマは撫で上手といったところか・・・・
「アイドウゾー!」
「うむ、ありがとう妖精さん」
妖精さんが買い込んで置いたカカナッツの箱を出してきてくれた。カズマを手招きし、カカナッツを2つ手渡しし私も2つ持ってテンダーネスドラゴン、そうだなテンちゃんと呼ぼう。テンちゃんの鼻面をタンタン、と2回ノックするとぐぱぁ、と大きく口を開けてくれる。ちなみに草食らしく上の前歯はない。カカナッツを口の中に入れてやり、カズマも同じようにカカナッツを置き、私がもう一度鼻をノックするとバクン!と口を閉じ、パキュパキュと音をたてながら食べ始めた。うむ、かわいい。
「へー、なんか訓練された動物みたいな感じするなー」
「ああ、この子はブラストの町全体から可愛がられているからな。とりわけ人に対して警戒心がない。
縄張りを外れるまではこの調子でいようか。カズマがテンちゃんと仲良くなってくれると私としてもうれしいのだがな。
武蔵さんのステータス 「寂しがり」「心配性」「ポンコツ」←NEW!
なんか属性たしすぎてペガサスMAX昇天盛りみたいにならないか心配
次話でオリジナル編は終わって原作に戻ろうかと思います。これ以上続けたらこのすばである意味がなくなってしまうと思うので。
次もよろしくお願いします