イケメンナンパ師、レオ・タードはヤマブキシティのジムリーダー・ナツメと仲の良いラバースーツフェチなのだ。

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サイキックなラバー


イケメンとナツメとラバースーツ

 唐突だが、ポケモン世界に転生した。

 いや、容姿はそのままなので転移したというのが正解か。

 俺はこのファンタジー溢れる世界で、心がウキウキと湧き踊る…事は無い。

 この世界にはビキニのお姉さんやミニスカートはいても、ラバースーツのお姉さんはいないからだ。

 

 だが、いなければ作れば良い。

 俺は元の世界では、中学生にして社長となり、ナンパして集めた女の子達と共に、ラバースーツのグラビアを制作して販売していた。

 人は俺に敬意を持ってゴム人間(ラバーメン)と呼んだ。

 

 

「なあ、ナツメ。頼み事があるんだが──────」

「断るわ」

 

 まだ俺は何も言っていない。

 しかし、恐らく超能力で思考を読まれたのだろう。

 それともいつもラバースーツを着るようにお願いしているからだろうか?

 

「まあまて、落ち着いてくれ。冷静になるんだ。落ち着いてラバースーツを着てくれ」

 

「お断りよ」

 

 心で伝えても、言葉で伝えても話が通じない。

 この世界に転移して3年が経った。

 その頃からの知り合いであるナツメにお願いしたのだが、断られてしまった。

 

 仕方無いが、イブキさんのところに行くしかないか。

 

「…どうしてそこで別の人の名前がすぐ出てくるのかしら」

 

「いや、だってさぁ」

 

 イブキさんピッチリした服好きそうだし、普段着でラバースーツ着てそうだし。

 

「…そういうところ、あるわね」

 

 俺、ナツメのそういうところ好きだぜ。

 

「ッッ!?」

 

 声に出さなくても思考を読んでくれるから、疲れなくて良い。

 

「…そういう人よね、レオって」

 

「ああ、面倒臭い事は嫌だ」

 

 そう言えばハナダジムのカスミやその姉達は、仕事柄水着を着る事も多いと聞く。体のラインがピッタリでる競泳水着を着て人前に出ることに抵抗が薄いとすれば、ならばラバースーツだって──────

 

「ヤマブキの品を落とす行為は辞めてくれるかしら。

まったく、私のジムと隣の格闘ジムで免許皆伝になった自覚はあるの?」

 

「それはある。しかしそれはポケモンバトルの話だろ? 俺はポケモンで負けてヤマブキの恥を晒すつもりは無い。それに、それにだ、ラバースーツを恥ずかしいと思うから恥ずかしい。恥ずかしくないと思えば恥ずかしくないのではないか?」

 

 

 

「…ものまね娘があなたにだけはものまねしたくないって言ってた理由もわかるわ」

 

 ものまね娘、あの子も可愛かったな。

 きっとラバースーツが似合う。

 ラバースーツは凄いぞ。

 ポケモンに着せれば電気タイプのワザが無効だからな。

 サー・マチスにはファックと言われたが、ものを持たせるのがありなのだから、着せるのもありだ。

 

 ジムリーダーと言えば、ドクター・カツラはラバースーツを変とは言わなかったな。

 グレンの島のお土地柄、ダイビングに来る人々のウェットスーツを見慣れているからだろう。

 あそこは火山活動が無い時は、かなり良いナンパスポットだ。

 開放的になった女性は、ラバーで包括するに限る。

 

「…そんなことしてたの?」

 

 

 

「俺からナンパスキルを無くしたら、ラバー愛とポケモンしか残らないって」

 

「ラバー愛とやらも無くして良いわよ」

 

 

 これは厳しい。

 しかし、元子役でモデルもやっているジムリーダー様が、ラバースーツを着てくれれば、俺もナンパしに行かなくても良いんだけどな。

 

「…えっ」

 

「ほら、お隣のエリカさんだと、なんと言うかスレンダー過ぎるし、身長が足りないんだよね。理想を言えばカスミのお姉さんとかが良いんだが…」

 

 

「スリーパーの催眠術で嗜好矯正してあげようかしら」

 

 俺が催眠でラバースーツ好きじゃなくなったら、元の俺の原型が無くなる。

 それは即ち俺の死に等しい。

 ラバースーツ愛が無くなったら、ナンパする意味もない。

 真面目にヤマブキで両ジムの師範不在時の代理とか、支援とかやる程度のつまらない人間になってしまう。

 

「…いけ、スリーパー」

 

「マジかよ、勘弁してくれ。頼むぞバリヤード」

 

 

 間一髪だった。

 バリヤードのバリアでスリーパーの催眠術を跳ね返した結果、俺ではなくナツメが催眠術に落ちたのだ。

 …勝ったな。

 

「ナツメ、今すぐこのラバースーツに着替えるんだ──────」

 

 どうせここはナツメの家なのだから、恥ずかしがる事も無いだろう。

 いや、着替える前に契約書を書いてもらおう。

 おおっと、契約書を自分から差し出すなんて殊勝じゃないか。

 どこに持っていたかは知らないが気にするのはやめよう。

 さあ、サインしてくれ。

 私にナツメは、レオ・タード様の専属ラバースーツモデルになりますってね。

 よし、俺もサインしてこれで契約は完了だな。

 もう逃げたりなんて、させないぞ。

 おおっと、危ない危ない。

 印鑑を忘れていたぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「予想通り、私にラバースーツを着せてる妄想をしてたのね。間一髪だったわ。…スリーパーの催眠術が間に合ったのは」

 

 そう。私ナツメはレオのバリヤードがバリアをする紙一重のタイミングで催眠術を通した。

 今頃は私にラバースーツを着せている妄想にどっぷり浸かっている。

 超能力で思考を読み取れば、今は撮影をしているつもりのようだった。

 そんな接写をしながら顔だけはキリッとしているのは、変態という他ない。

 それにしても、催眠下にある相手に契約書で縛り付けるだなんて、本当に外道。

 モラルが崩壊していると言わざるを得ない。

 どうしてこんな男を好きになったのかはわからないが、ラバースーツフェチとナンパ男な部分を除けば、大概にハイスペックにも程がある男だから仕方無い。

 彼をカスミの姉に渡したりなんかはしない。

 絶対にさせない。

 

 だから、私はこの婚姻届に彼の名前を書かせて、印を押させるのだ。




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