違います。
この名前をつけたときコッコロちゃんは、まだ生まれていませんでした。
旧ブロリー映画でピッコロさんが「ふん、化け物め、好きにしろ❤」などと視聴者の欲情を煽る淫で卑猥なセリフをはいたのが印象的でこうなりました。
悲報、ライトセーバー開発参加無期限自粛令の沙汰が下る。
仕方ないことだった。切り替えていこう。
全面的に俺が悪いという結論に至り三浦のように全ての罪を背負ったため、科学者たちにお咎めがなかったのは、不幸中の幸いである。
俺が開発に携われない間、頑張って技術発展に努めて貰おう。当面の課題は、小型化と大出力化だろうか。特に出力については、今のままだと大問題だ。尻尾が切れなかったのは個人的に有難いことだが、武器としてはいかんでしょ? 自粛令が解けるまでにどうにかしろ(無責任)。
その間、本来は武器開発と並行して行う予定だった修行の方に専念する。
バトルドロイドやクローントルーパーを作らせて自分は高みの見物することも考えたが、鬼強いダディの血を引くマイボディのこと。順当に鍛えた方が確実に生き残れる気がするので徹底的に強化することにした。
それに、この体をはち切れんばかりの筋肉でミチミチに満たしてみたくもある。
動機としては、後者八割だ。
ただ、筋肉の方は良いとして、平和な日本で生きてきた俺に戦い方などさっぱりである。せいぜい、高校の頃、選択授業で半年だけ空手を習っていたくらいだ。その記憶も流れる時と共に摩耗し、ニンジャスレイヤーや迫真空手部のカラテ知識と混ざったお粗末極まりない代物と化している。ブッダシット。
というわけで、分からないことは、さっさと訊くべし。詳しい者に師事しようと行動したのだが……。
何の成果もぉ、得られませんでしたあああ!
いやまあ、予想していた事態の一つではあった。
何度でも言うが、コルド軍の大部分はガラの悪い残虐宇宙人たちの集まりである。(体系化された軍隊戦闘技術のようなものは)ないです。幹部候補の高学歴インテリ層は別として、前線で消耗品のように使い潰す運用を前提とした一般入隊者は、光線銃や気功弾の集団運用法を主とした簡単な軍事訓練を受けたり、受けなかったりして軍団に配属され、徒手格闘や気の運用については完全な自由裁量に任せられている。そして、そういった隊員の大半は、本能のままに戦う我流の戦士たちなのだ。
うん、こう表現すると実に格好いいが、前世における町の喧嘩自慢や自称最強の不良と本質的な部分はまるで違わない。
つまり、格下相手には圧倒的に強く、格上には為す術なし。やられ役の噛ませ犬である。
創作物の中にしか存在しない「思いが! 肉体を! 凌駕する!」説を実在するものと思い込んでプロ格闘家にスパーリングを挑む。ワンパターンテレフォンパンチを的確に防がれる。焦れて放った大振りの一撃には、キラーマシンもかくやの正確無比な精度でカウンターを合わせられる。さらに頸動脈を絞められて失神からのしめやかなる失禁並びに脱糞。その様をSNSや動画配信サービスで広く世界に認知されるまでが彼等のテンプレートである。
未だコルド軍が左様なる無様をさらしていないのは、ひとえに闘いの趨勢に直結する『気』の総量、即ち『戦闘力』の種族間格差がえげつないほど大きいためだ。
卑小な人間では、巨大な鮫や竜巻に勝つことはできない(フィン・シェパードの一族は考慮しないものとする)。同様に、弱小種族がいかに技術を磨き抜こうと、それらをまとめて踏み潰せる圧倒的戦闘力を保有する優等種族には、逆立ちしたって太刀打ちできないのが今の宇宙のスタンダードである。
テレフォンパンチはガードを突き破り、来ると分かっている大振りの一撃は目にもとまらず、巌のごとき頑強な肉体には傷一つつけられない。
そんな理不尽の体現者筆頭がウチのダディであり、彼の率いる軍団もまた然りなのである。
トレーニングルームで体を鍛える者や気功弾派生の必殺技を考える者はいても、鍛えた肉体や気の力を効率的に運用するための技術研究などはこれっぽっちも行われていない。歪みねぇな!
実戦経験なら腐るほどあるだろう。しかし、それは圧倒的な数と力にあかせた格下狩り。身につけた技術の実践でもなく、しのぎを削る命の奪い合いでもない。ただのゴミ掃除だ。当然、いい汗かく程度の軽い運動で戦いがうまくなるはずなどない。だらしねぇな!
で、左様なる現状であるが、これ、まずいかまずくないかで言えば、クソまずい。
今は対等な能力を持った相手がいないから良いものの、将来、一族に匹敵する力量を持った敵と相対した場合、近接戦闘から気の運用までひっくるめた「総合戦闘技術」の有無は、致命的な差となり得る。前世における、不良くん脱糞劇。その再来である。
決してただの杞憂ではない。
銀河を取り巻くパワーバランスが現状のまま、大きく推移しないのならばそれでいい。ダディは最強で、部下は野蛮で、正義の味方は影も形もない。実に結構なことだ。
しかし、変化とは、いつの時代も唐突に訪れるもの。突然変異による進化然り、技術的ブレイクスルー然り。
それはこの宇宙の歴史が証明している。
五百万年前、宇宙を恐怖のドン底に陥れた魔人ブウ。
時期は定かでないが、その昔、宇宙を恐怖のドン底に陥れたヘラー一族。
頻繁に居眠りしているものの、目覚めれば、宇宙を恐怖のドン底に陥れてる連中を鼻ほじりながら片手間で滅ぼせる破壊神。
そして他でもない我が一族。ダディ曰く、元々温厚だった種族から突然変異的に爆誕した我々が現在進行形で宇宙を恐怖のドン底に陥れている。
何でお前らそんな宇宙くんに辛辣なんだ(呆れ)。優しくしてさしあげろ(焼けた刃付きの特大ブーメラン)。
宇宙の情勢を調べる内に判明した銀河ぶっちぎりのとびっきりにヤベー奴らである。いつも自信満々なダディが真顔になって「ほんとヤベーから絶対関わるな(意訳)」と弱気を漏らしたことからも、その尋常でない危険性が窺える。
仮想敵ジェダイ含めて、こんな奴らが今後世に出てこない保証は、どこにもないのだ。
と言うか、前二つは封印されているだけで今も存命である。実際宇宙の危機は何一つとして滅んでいない。おお、ブッダよ! 寝ているのですか? ああ、宇宙の秩序を護るべき破壊神は寝てるのか……たまげたなぁ。
あ……(察し)。クォレハ、封印が解けるやつですね、分かります。きっといつか湧いて出てくる正義マンが倒すのだろうが、バタフライエフェクトによって復活の時期がずれれば、こっちに来る可能性も否定できない。対岸の火事じゃねえ。
銀河に覇を唱えてスペース乱世を勝ち抜こうとしている我々とは利害関係からして敵対は必至。そのとき味方がみーんな現在の慢心舐めプムーブかましたままだと……ふふこわ(ふふっ、恐い)。
刃牙のサムワン海王、加藤、アライJr.や他大勢のようにされてはかなわないので、何とかして総合戦闘技術のノウハウを学びたかったのだが、現状では難しそうだ。
広い銀河に散らばる部下の中から探せば、個々人で武の研鑽を積む酔狂な隊員も見つかるやもしれないが、少なくとも身近には存在しなかった。
仕方ないね。全宇宙に「求む! スペース・クロース・クォーターズ・コンバットの達人!」とお触れを出して広く公募してみよう。一子相伝のコズミック暗殺拳使いや二打不要のブラックホール八極拳使いとかが来てくれないだろうか。俺直々に体得して、有用性を部下たちに示さねば(使命感)。
さて、そんな具合に戦闘技術についてはいったん先送りとして、今の俺に唯一出来ることをやる。
そう、
もちろん手段は、ウエイトトレーニング一択である。ファンクショナルな意識高い系トレーニングなんざぁ、クソ食らえだ。
「幼少期のトレーニングは、身長の発達を阻害する」
「ウエイトトレーニングでつけた筋肉は、スポーツでつけたそれに比べ、柔軟性がなく、出力も低い使えない筋肉だ」
「筋肉をつけすぎると体が重くなって動きが遅くなる」
俺がよくある異世界転生オリ主の非トレーニーであれば、こういったウエイトトレーニングにまつわるネガティブな話を信じてしまっていたことだろう。
延々とマラソンをしたり、感謝と共に一万回の正拳突きを放ったり、自重による腕立て、上体起こし、スクワットを毎日百回だけやって満足していたかもしれない。
しかし、俺はトレーニー。故に、敢えて言おう。
全て、科学的根拠のない、或いは、科学的に否定された迷信である。
一つ目は、「身長の低い人には、筋肉質な人が多い」という統計の解釈を誤り、間違った結論を導き出してしまったというよくあるパターン。因果関係が逆なのだ。筋肉をつけることで、身長が伸びなくなるのではない。身長の不利を補う形で、意識的ないし無意識的に筋肉が発達するのである。結果、統計のようになるのだ。
二つ目は、運動能力と筋肉を混同している。ウエイト「だけ」で筋肉をつけたボディビルダーがスポーツ選手に身体能力の点で劣るのは事実であるが、これは筋肉の質が悪いからなどでは断じてない。体を効率的に動かすための知識、脳で下した判断を筋肉へ伝える神経の発達、競技をこなすのに必要な可動域など諸々の不足によるものである。そして、それらは、ウエイトトレーニングに並行して実践を積むか、体作りをした後から習得することにより、スポーツで鍛えた選手と比べて遜色ないパフォーマンスを発揮できる。場合によっては、上回ることすらあり得よう。
三つ目、慣性が強く働くようになるため、小回りが利かなくなる点は認める。ニュートン力学的に考えて正しい。しかし、筋肉とは、肉体のエンジンであり、モーターでもある。自動車と同じだ。大型化すれば重量の不利を上回るほどの出力が得られる。全力を出したときの小回りが利かなくなる代わりに、単純な動きの速度は向上するのだ。また、筋力に余裕が出来るため、速度を要しない繊細な動作の精度も増す。そして後述するが、慣性の不利については、「この世界」であれば全く問題にならない。
こうした事情を
ビッグ・スリー(ベンチプレス、デッドリフト、スクワット)をやる。オーバーヘッドプレスと懸垂もやる。もちろん、懸垂は、ウエイトを体にぶら下げたり、金属の鎖を体に巻いたりして加重する。尻尾も鍛えよう。懸垂するときに、ダンベルを尻尾で掴めば一石二鳥で鍛えられる。逆に尻尾で鉄棒にぶら下がり、両手でバーベルを掴んで、尻尾懸垂なんてのも悪くない。
理想を言えば、習得する戦闘技術に適した肉体を想定した上で、必要な筋肉を重点的につけたかった。だが、無い物ねだりをしてもしようがない。オーソドックスな方法で満遍なく鍛え、出来上がった肉体に対して、技を適応させる方向で今は考えよう。
それにこの世界に限れば、筋肉を鍛えすぎて困るということは、まずないはずなのだ。
前世の地球でも、多くのスポーツにおいて筋肉をつけることは、万能最良のソリューションであった。
しかし、必ずしも良いことばかりではない。
先ほどあげた慣性の問題、それからスタミナの問題がある。
筋肉を動かすためには、エネルギーが必要で、それを人体は、ATP(アデノシン三リン酸)を分解することでまかなっている。
ATPは、必要に応じて速やかに分解される即応性に優れているが、反面、その性質ゆえに不安定であり、筋肉に安定した状態で大量に蓄えておくことが出来ない。激しい運動をすると速効で尽きてしまう。腕立てを五、六回もすればもうカツカツである。
当然そんなことでエネルギーを使い果たし、動けなくなると困るわけで、人体には、枯渇したATPを速やかに補充する仕組みが備わっている。クレアチンリン酸であったり、糖であったり、ダイエッターがさよならバイバイしたくてたまらない脂肪であったり――そういった安定した物質を蓄えておいて、有事の際にそれらからATPを合成して運動にあてている。
とは言え、じゃあ、その安定した物質が体にあれば、無限に運動出来るのかといえば、もちろんNOである。五十メートルを全力で突っ走った後、息が乱れてしばらくは口を開くのも億劫になる。誰しもそんな経験をしたことがあるだろう。ATPの合成速度に限界があるため、激しい運動で一度に大量のエネルギーを消耗すると、大きな疲労に見舞われる。そしてエネルギーの消耗は、当然、体の重量がある方、素早く動ける方が大きくなる。これも自動車と同じだ。パワフルな大型エンジンの燃費は、すこぶる悪いのである。
そこで、想定される戦い方によっては、筋肉の量を抑え、適宜体重を調整することで持久力と運動パフォーマンスの調和をとることを当初、俺は考えていたのだが……。
気とかいう謎のエネルギーがあるじゃろ?
これが全ての問題を解決した。
気の力で慣性を無視! 気のエネルギーで筋肉を動かす!
うーん、とっても頭悪い。
だが、その発想、嫌いではない。
しかも、この気というエネルギー、筋力に正の相関を示すことが科学者たちの間では一般的に知られていた。そうだよね、生命エネルギーなんて名前でも呼ばれているのだものね。作って、蓄えて、増幅する。それらは細胞単位で生じる現象なのである。よって、細胞が多い、延いては、筋肉が多い方が気の総量、戦闘力を高めやすいということなのだ。
もう、これは、世界が俺に筋トレをしろと言っているようなもの。そう考えても過言ではあるまい。
こうして大まかな方針を立てた後、たまたま今日の側仕えだったひょろ長いオレンジ色のモブ(カエル顔)、熊に手も足も出なかったクッソ情けないモブ(モヒカン)、オレ(生後一ヶ月)の三人で魔城ガッデムの北のトレーニングルームで盛りあったぜ。この体では初となるベンチプレスで胸筋はヒクヒクしてくるし、一族特有の優秀なボディを過信してスクワットのワン・レペティション・マキシマム*1測定にチャレンジしたから大腿四頭筋がぷるぷるしている。危うく前世で初めて本格的なスクワットをしたときのように、一時的歩行困難に陥り、むくつけき男たちの介助を要するハメになるところだった。
「ああ^〜たまらねえぜ。多関節種目だけでもう体中、疲労物質塗れや(恍惚)」
「あ、クウラ様。俺、知ってますよ。それ、乳酸ってやつですよね?」
「は(威圧感)?」
精神的には久しぶりでありながら、この体にとっては初体験。そんな清純派AV女優並に矛盾したトレーニングを終え、不思議な感慨と達成感に浸っていると、カエル顔の部下が話しかけてきた。
どうやら俺の漏らした独り言から「疲労物質」というワードを拾って便乗したようなのだが……。
いや、乳酸は疲労物質じゃねーよ。むしろ、疲労を和らげてくれる超イイヤツだよ。地球でも百年近く誤解されていたが、科学の進んだこの世界でもそういう勘違いをしている奴がいるのか……たまげたなぁ。
あっ……(察し)、さてはこいつ、おっちょこちょいだな?
上司の息子に気に入られようと、俺の趣味をリサーチして勉強してきたのだろう。その過程で、間違った知識をつかまされたのか。
よかろう。その歪んだ知見、俺の知性溢れるマッスルで直々に正してくれよう(親切心)。
「おう、ワレぇ、名は何という?」
「へ? あ、えーっと、ネイズと申しますが……。あの、俺なにかお気に障ることでも?」
「ねいず……ネイズ……よし貴様の顔と名前、それから身長、体重、体脂肪率、スリーサイズ、その他諸々のサイズ、全て見て憶えたぞ、ネイズ。貴様は、これから俺のトレーニングに強制参加だ。そのひょろーんとした体のボディ・マッス・インデックス*2が二十五を超えるまで、決して逃れられると思うな」
「ケケェ!?」
斯くして、トレーニングパートナー兼、いじられ役兼、親衛隊第一号という記念すべき栄誉ある役職に任命したネイズと共に、俺の新たなるトレーニングライフが幕を開ける。
そして、五十年の歳月が流れた。
まーだ原作開始まで時間かかりそうっすかねぇ~。
すいません、許してください、なんでもします。
とりあえず次回はいっきに年代ジャンプして、原作改変(小)のリザルト、その辺のモブ宇宙海賊でマサムネの切れ味を試す、サウザー登場回の予定でお送りします。
・ネイズ
機甲戦隊のメンバー二人目。あと一人でコンプリートですね。
原作では、うっかり味方を攻撃してしまい、うっかり戦闘中によそ見していて頭を消し飛ばされかけ、うっかり得意の電気攻撃を跳ね返され、そして死にました。
拙作においては、クレバーに立ち回ろうとするも、生来のうっかり癖で画竜点睛を欠き、行動が裏目に出るキャラとなります。
リーダーになるサウザーが加入するまでは、お兄ちゃんの無茶ぶりを一手に引き受けることになるので、心身ともに逞しく育つことでしょう。
・自分の感性が平均的一般地球人のそれと大差ないものと思い込んでいる筋肉キチ憑依主
基本的に畜生。相手の正確な体脂肪率やスリーサイズを見ただけで看破する能力は、転生チートとかではなく、地球人の頃に自力で習得しました。
人並みの情は持っているものの、「覚悟や信念に宿る力」や「愛や絆の力」といった精神論をフィクション作品にしか存在しないものとして全否定している(フラグ+)。「魂が本質、肉体は容れ物」という多くの人が抱いている認識とは逆に「肉体が本質、魂はそれを動かすためのプログラム」と考えていたり(フラグ++)、全ての物事に科学的根拠をあてはめて解釈しようとしたり(フラグ+++)する非常に面倒くさいやつ。
これは将来、絆の力で超絶パワーアップを果たした真の主人公との戦いに敗れ「これが……きずな……あたたかい」とか言いながら死ぬパターンですね。
あと、腹筋をコアマッスルと呼んだり、超回復理論の話をしようとしたり、機能的トレーニングについて意見を求めたりすると、露骨に眉をしかめてものすごーく嫌そうな顔をします。