今回から暴力描写によるR-15タグが付くのでご了承くださいませ。
楽しい休暇になるはずだった。
豪華客船による宇宙遊覧航行。親子三人、水入らずの旅は、確かにいささかギクシャクとした始まりだったかもしれない。
外交官として多忙を極める父は、遠くの星へ出張することが多く、家で過ごすことは滅多になかった。
良家の子女として何一つ不自由なく育った母は、仕事ばかりで自分や子供にかまってくれない夫に対する不満をよく口にしていた。
「少年」は、そんな二人の間に生を受けた。利発な子供だった。物覚えが良く、機微に
そんな賢い子であったが故に自然と察せられたのだ。冷え切った両親の関係を。そして危惧した。この旅行が最初で最後の家族行事になってしまうのではあるまいかと。
結論から言うと、その懸念は
何のことはない。旅は道連れ世は情け、子は
ささくれだった心を、日常から離れて非日常を
始めは子を間に挟んだぎこちないやり取りであったものの、旅も半ばを迎える頃には、すっかりわだかまりも解消されつつあった。このままつつがなく旅程を終えることが出来たならば、三人は、より深い絆で結ばれた真の家族として再出発を果たすことが出来たろう。
衝撃、轟音、鳴り響くアラート音。艦内を温かに彩る薄金色の照明は落ち、警戒色の赤い非常灯と無機質な青白い誘導灯が
宇宙海賊の襲撃だ。
運が悪かった。そうとしか言い様がない。
乱れた世の秩序は、ここ十数年で急速に回復しつつあった。巨悪が滅びたからでも、宇宙が平和になったからでもない。むしろ逆だ。
銀河に悪名を轟かせるコルド大王は、ますます精力的に活動し、かねてより進めてきた拡大政策を採り続けている。彼は、第一子クウラ――
対して銀河王率いる宇宙警察機構であるが、こちらもまた、これまでの日和見姿勢から一転、活発な動きを見せている。銀河パトロール入隊から程なくして頭角を顕し、周囲からの期待に応える形で長官の座に就いた人物――クラウス・ギヤマンが
斯くして相反する二つの勢力が拡充するかたわら、一方で割を食った連中がいる。宇宙全体に散逸する零細宇宙海賊の面々であった。コルド軍の支配域で勝手をすれば、ただちに酷薄非情の『尋問官』が派遣され、死ぬよりも酷い目にあわされる。同様に、銀河パトロールの
どちらに転んでもこの世の地獄を見せられる以上、活動を自粛せざるを得ず、宇宙に一時の安寧がもたらされたのである。
故に油断があったのだろう。
多数の富裕層が利用する客船には、控えめに言って時代の最先端を行く防衛設備が整っていた。しかし、それを用いる人間側に問題があったのでは、宝の持ち腐れに過ぎない。レーダー観測員は、機器類が示す敵戦艦の接近を隕石と誤認し、侵入者の対応に駆り出された戦闘員は、不意打ちにより半壊、最新鋭のバトルドロイドを起動させようとしていた支配人は、操作にまごついている間に光線銃で頭を撃ち抜かれて死亡した。
賊たちの手並みも鮮やかなものである。二大勢力による包囲網をかいくぐり、細々とではあってもこれまで稼業を続けてこられただけのことはある。内通者を客と船員、双方に潜り込ませ、船の見取り図と警備状況を把握。さらに人質としての価値が高く、多額の身代金を望める上客が複数乗船するタイミングを狙いすまし、計画的犯行に及んだのである。
救命ポッドは砲撃によって保管ブロックごと破壊され、救難信号は強力なジャミングにより出せず、モニタールーム、機関制御室等の重要設備は速やかに占領されてしまっている。恐慌をきたした乗客たちは悲鳴を上げて右往左往し、反抗する者は容赦なく殺され、或いは、手足の腱を切られて床に転がされる。婦女が乱暴されていないだけまだましであるが、それも時間の問題であった。
そんな中、少年の家族三人は、賊から逃れ、薄暗い通路を必死に駆けていた。既に救命ポッドが破壊されたことを知らない彼等は、敗北を約束された愚かな賭けに出てしまったのである。
当然、その動きはモニタールームに筒抜けであり、彼等は獲物が狩人に追い詰められるようにして船尾へと誘い込まれた。つい数日前に管弦楽団の演奏を楽しんだコンサートホールである。そこには
事ここに至り、自分たちの状況が詰みにはまったことを悟る一家。せめて妻と子だけでも逃がそうと最後の反抗を試みるも、敢えなく無力化されて地面に押さえつけられる父。
「へへ、お前の
「な!? やめろ、妻に手を出すな!」
実働隊のリーダー格と思しき一際恰幅の良い肥え太った賊の言葉に、周囲の手下どもが色めきだった。獣欲に目を血走らせる連中が、はやし立てながら包囲を縮め、ステージ上の母子に迫る。もはや逃げ場はない。
「ママ! 逃げて!」
「いてっ、このガキぃ!」
いよいよ伸び来たる賊の手に少年が噛みついた。怯える母を救わんとする咄嗟の行動であったが、この場においては、最悪の一手である。
「無駄な抵抗にも限度あり。しかし、一命を賭して母を護るその勇気誉れ高い。ちいさな騎士様かな? 偉いね❤ 頼むから死んでくれ」
逆上した賊は、態度とは真逆の朗らかな笑顔で、強かに少年を殴りつけると、腰のホルスターから光線銃を抜いた。
「いやああああ!」
「やめろおおお!」
両親の悲鳴がやけに遠くに聞こえる。
突きつけられた銃口を前に、少年の心は凪いでいた。
殴られた左の頬が痛む。
心臓が壊れたように早鐘を打つ。
手足が小刻みに震え、背筋を冷たいモノが這い上がり、頭のてっぺんへ抜けていく。
死を目前にした恐怖によるものか。
違う。
他の誰でもなく、彼が真っ先に気付いた。
賊の指がトリガーにかかり、数グラムの力でもって、絶大な破壊力を秘めた死の光が解き放たれる。
「はあ?」
果たして、飛び出した光線は、少年の服を焦がし、小さな穴を開けた。
それだけだ。
肉が焼き切れることも、体を貫通することも、ましてや若人の命が奪い去られることもなかった。
間抜けな声を上げ、目の前の光景に唖然とする賊が少年に続いて異常を悟った。
皮切りに、この場にいる面々もソレに気が付いた。
さむい。
寒いのだ。体が凍えて震えるほどに、艦内の温度が加速度的に低下している。
それだけではない。
霧だ。
総身を苛む冷たさを覚えるや否や、地面から壁から天井から、染み出すようにして霧が顕れたのである。
有り得ないことだった。
宇宙船の空調システムは、宇宙非適応種族のことを最大限考慮した安全機構が備わっている。仮に船体を統括するマザーコンピュータが大破したところで、独立したAIが適宜、周囲の環境を生物の生存に適した状態に最適化するように出来ている。
そのはずだった。
粘性を孕んだ
こうなると光線銃は、もう物の役に立たない。
どれだけ技術が進もうとも、それが自然法則のメカニズムを利用した産物である以上、周囲を取り巻く自然環境に多大な影響を受ける。レーザーであれ、ビームであれ、光線銃のような指向性エネルギー兵器は、特にその傾向が顕著だ。原理は若干異なるものの、両者は同じ欠点を有していた。軌道上に存在する粒子に干渉され、威力が減退してしまうのである。比較的密度の低い大気を通過する時でさえ起きるその現象。況んや、密集した水滴をや。
あまつさえそれが、自然発生的に生じたものでなく「明確な敵意を持つ者」の「害意に溢れる意志」を汲んだ「精神感応エネルギー」によって引き起こされた現象であるならば――気功波すらも拡散、無効化する不定形の盾となる。
もう一度、改めて記そう。
運が悪かった。
そうとしか言い様がない。
誰に予想できようか。今年ちょうど五十歳という人生の節目を迎えた記念にと、休養もかねた悠々自適の一人旅を思い立ち、既に予約が埋まっていた客船へ金と権力に物を言わせて予定外の乗船を果たした一人の男――賊の入手した乗客リストに載っていない彼が、たまたま偶然、悪の帝国を率いる邪知暴虐の暗黒卿であったなどと。
賊は聞いた。
「ぎやあああ! 腕が、俺のうでがああああ!」
インカム越しに届く絶叫。
「おい! 何だ!? 何が起きてる!? どうした応答しろ! オラッ、応答しろって! ……クソッ!」
そして静寂。
最初は、ロイヤルスイートの襲撃に向かった仲間たちだった。続いてスイート、セミスイート、一等客室……。
悲痛な叫び。
苦痛の
必死の
それを最後に通信が途絶える。
モニタールームから状況を確認させようにも、全ての画面が霧に覆われており、何ら有用な情報は得られない。やがて、そこからの応答もなくなった。
カジノ、二等客室、機関室……。
船頭から始まり、上へ下へ。
そう、船尾だ。
大気圏下で天井を開き、屋外ホールとしての運用を想定した多目的ホール。それが設えられた船尾。
つまり、ここだ。来る。そういうことだった。
「壁だ! てめえら、壁をぶち破れ! このうざってえ霧を宇宙に追い出すぞ!」
リーダー格の
姿の見えない敵と相見え、訳の分からない内に殺される恐怖から逃れようと必死である。
霧で減退しないよう、壁に光線銃の先や気功弾を押し付けて接射。程なくして穴が空いた。
空気が霧と共に、気圧差によって真空中へ排出される。
異常を察知した船室管理AIがドローンを飛ばして穴を塞いでしまう頃には、すっかり霧も晴れて、青白い誘導灯に照らされるコンサートホールの全容をはっきり見渡せるようになった。
これでひとまずの危機は去った。
賊たちが安堵のため息をついたところに、ちょうど良いタイミングで入るインカム通信。
まだ生き残りがいるようだ。
どうせならこちらに合流させて、少しでも戦力を確保すべきだろう。ここなら不気味な霧もない。広く見通しが利くため、不意打ちによる各個撃破のリスクも少ない。
そう考えたリーダー格の賊は、左耳につけたインカムのスイッチを入れた。
「お前たちで」「最後だ」
インカムを付けた左。何も付けていない右。
左右の耳が同じ音を拾う。
寂と静まりかえったホールに朗々と響く声。
賊も少年一家も、その場に集う誰も彼もが魂を抜かれたような顔で押し黙り、一点に視線を向けた。
後方の出入り口。
ドアを開く小さな音を立てて、大きな男が入ってきた。
白い。
薄明るい蛍光の中、真雪の色がまず目につく。
肩に羽織った白い毛皮のマント、そして、体の各部を覆う甲殻。ピタリと体のラインに沿い、その肉体美を一切損なうことなく胸と肩を、前腕と脛を、それに、頭頂の青いクリスタル状器官の周囲を、一点の曇りもない純白のそれが覆っている。
男は一人、堂々と屹立していた。周囲に仲間が潜んでいる気配もそぶりもない。
普通に考えればただの無謀な単騎駆け、間抜けな英雄願望である。
しかし、賊たちは、嗤わなかった。笑えなかった。
マントの下から覗く肉体。その凄まじさよ。
紫色の肌に隆々と奔る血管の山脈。深々と切り落ちた腹筋の渓谷。大地を踏み締める両足は、亭々とそびえ立つ
男は、高見からホールを
「人間のクズが……」
口を突いて出た言葉は、果たして誰に向けられたものか。
左手がマントを翻す。
そして惨劇の幕が上がる。
「怯むな! 撃て! 撃ちまくれ!」
戦慄を誤魔化すように叫ぶ賊たちが気弾や光線銃を乱射した。数十人からなる集中射撃。一人の人間に対し過剰とすら言える飽和攻撃である。
男は光の刃で応えた。
迅い。
否。
その太刀行きは、極めて
荒事になれた賊のみならず、これまで暴力とは無縁の生活を送ってきた少年の目ですら、余裕をもって軌跡を追える太刀筋である。
故に恐ろしかった。
飛び交う光は、まるで吸い込まれるようにして刃と接触、明後日の方角、或いは、攻撃者の元へ偏向されてしまう。側面や背後へ回り込み、死角から放ったものさえも、そこに飛んでくることを予め知っていたかのような動きで対応される。まるで、手のひらの上でムシケラを弄ぶかのように。
そうこうする内に、いっそ優雅さすら感じさせる所作で、男が距離を詰めてきた。光の刃で空間に小さな円を描きながら、入り口から中央ステージへ続く階段をゆっくりと降りてくる。
その威容を前にして賊たちの射撃の手が一瞬止まる。刹那、男は左手を突き出した。
念動力。
不可視の力が振るわれ、
多くの者が頼みの綱である武器を奪われ、そして錯乱した。こうなってしまえば、最早、組織的な戦闘は不可能である。
雄叫びを上げて近接戦闘を挑む者。怒りと恐怖で強張った体から繰り出す大振りの一撃は最小限の動きで
泣き叫んでホールから逃げ去ろうとする者。闘志が萎えたことで、人体が生来的に有する「気への抵抗力」を一時的に喪失した彼等の肉体を容赦ない念動力が襲う。頸椎粉砕骨折により絶命。
辛うじて対抗できたのは、頭を使って立ち回ろうとした連中だった。船内に備え付けられた最新鋭のバトルドロイド。これを起動して、けしかけたのである。
対エネルギー兵器用抑制フィールドを有する機械兵士であれば、相手の武器に対応できる。その判断は間違っていなかった。
「カスが効かねえんだよ」
問題は、武器にしか対応できなかったことだろう。
核の爆発にも耐え得る超硬合金装甲のロボットは、硬い拳で力任せに砕かれ、鋭い指先でコードを引き千切られ、太い脚の一撃で天高く蹴り上げられると、天井に突き刺さって停止。ガクガクと振動した後、しめやかに爆発四散した。
「ま、待て、てめえ、こいつがどうなってもいいのか!?」
阿鼻叫喚のワンサイドゲームが続くなか、不意にリーダー格の賊が叫んだ。
その腕の中には、不幸な民間人の少年が囚われ、頭に光線銃を突きつけられている。
男は呆れを孕んだ訝しげな顔で口を開いた。
「貴様、有害な宇宙線に脳か視覚をやられたか? 俺の顔をよく見ろ。ハンサムだろう? そして悪人面だ。バカンスの邪魔をしたゴミどもを始末しに来ただけの俺が、どうして縁もゆかりもないガキの心配などせねばならん?」
無情だった。
「そんな……ひどい」
「お願いします! 息子を、サウザーの命だけはどうか……どうか!」
今度は、少年――サウザーの両親から痛ましい
男は、夫妻の様子を心底嫌そうな顔で
視線と視線が重なる。それは、一瞬の交差。その短い間に覚悟を決めたサウザー少年が決然と声を張り上げた。
「ぼくのことは気にしないで! 悪い奴らをやっつけて!」
「な、このガキ! 黙ってろ!」
反抗的な人質とそれを黙らせようとする賊のやり取りを前に、男はますます嫌そうな顔をして、盛大にため息をついた。
そして、おもむろにセーバーの光を引っ込めると、ただの物言わぬ金属塊となったヒルトをステージへ向け、そっと転がした。
「ふん、降参だ。好きにしろ」
両腕を組み、敗者とは思えない太々しい態度で
その姿に一瞬、あっけにとられる賊のリーダーであったが、すぐさま状況を再認識。ニチャッとした満面の笑みを浮かべた。
「へ、へへへ、そうそう、それでいいんだよ、それで。人質をとられたら、くっそ不様に敗北宣言しないと、ね❤ クソが、よくも好き放題やりやがって、死ねよ。オラッ、てめえら、ヒーロー様のお望み通り、好きにしてやりな!」
絶望に顔を歪めるサウザー少年。対照的に嬉々として調子を取り戻す海賊たち。
「最後に三つだけ、言いたいことがある。良いか?」
「うん? いいよ、いいよ。ぼく、遺言だーいすき❤ さっさと言えよ、記念だぞ」
散々やられた借りを返そうと息巻く彼等を前に、侮蔑を隠そうともしない態度で、尚も男は口を利いた。
「一つ。お前、面白い奴だな。気に入った。殺すのは最後にしてやる」
薄笑いと共に軽口を叩き。
「二つ。人質を取るなら、可憐な少女にしろ。なぜ男なのだ? やる気が削がれるだろう。お前ホモかよ、かっこ、歓喜、かっことじ」
据わった目で、
地を這うような前傾姿勢ではない。
変身。
それは一部の種族が有する形態変化型のパワーアップ手段である。成長段階と戦闘力の高まりに応じて、これまで四回の変態を経験した男は、計五つの変身形態を有していた。
普段は、最も攻守のバランスに優れ、且つ、筋肉鑑賞の妨げになる甲殻が一番少ないというクソみたいな理由から第四形態を専ら好んで使用しているが、己の意志一つで自由に好きな形態へ移行できる。本来ならば体を作り替えるために要する十数秒ほどの変身時間も、当人の肉体に関する深い造詣と二年ほどの試行錯誤により、今ではコンマ一秒かからない。
その能力を発動して、男は自分の体を『退化』させた。
二足歩行の利と理を捨て、骨格の強度と重量を落とし、さらに、より高い柔軟性としなりを背骨に持たせる。断腸の思いでデッドウエイトとなる胴部の筋肉すら捨てて軽量化。代わりに肩の筋肉を補強。手足には、地面を捉えるスパイクとなる鋭い爪を生やす。細く、長く、流線型のシルエット。突き出した額を守るべく硬く軽量な頭角を発達させた以外、一切の防御力を捨て去ったそれは、ただ速く走ることのみに特化した一つの
『
男は駆けた。マントをその場に置き去りにし、四本の足で地を這った。前方に転がしたライトセーバーを口で拾い、ブレードを展開。深紅の残光をきらめかせながら、居並ぶ賊たちの間を音もなくすり抜ける。
そして階段を半ばまで駆け下りたところで跳躍。壁と天井を経由して瞬く間に距離を詰めると、人質を掴む相手の腕へ、顎と首の力でもって鋭い剣閃を送った。
「は? え? なん、で」
焼き切られて転がる腕。血の一滴も流れない炭化した傷跡。両者の間で視線をさまよわせながら肥った賊がつぶやく。
「三つ目だ。お前は最後に殺すと約束したな。あれは嘘だ」
再び第四形態に戻った男は、少年を横抱きにして、悪びれるそぶりもなく言い捨てた。
そして、塞がった手の代わりに、念動力でライトセーバーをホルスターへ戻しつつ、太く、長く、逞しい尻尾を横一文字に薙いだ。
厚い脂肪に被われた賊の腹に一本の線が走り、程なくして、ぷくりと無数の赤い玉が浮かぶ。直後、
「ひ、ひ、うひいいいい!」
膝から崩れ落ちた賊のリーダーは、血と汚物と内臓のプールに頭から突っ込んだ。しばらくの間、腕をじたばたと動かしていた。溢れ出た
「悪いな。涎のついたセーバーを握りたくないんだ。残ったお前たちには、少々むごい死に方をしてもらうことになる」
すえた臭いのする血溜まりから離れ、そっと少年を下ろしてやりながら、男は賊たちに無情なる決定を下した。
「じゃあ、死のうか」
僅かに残った宇宙海賊たち。彼等の身に起きた不幸を敢えて描写はすまい。
斯くして、惨劇は幕を閉じた。
種族柄の青い肌をよりいっそう青くして震える夫妻を一顧だにせず、無慈悲な虐殺をなした男――クウラは、鼻歌交じりにエントランスへ足を向ける。
変身の際に脱げ落ちたお気に入りのマント――ダディがハントしてきたオオカミの毛皮を拾ったところで、不意に視線を感じて振り向いた。
そこにはサウザー少年が一人。濡れた瞳に羨望の色を湛えて立ち尽くしていた。
「あなたは、ヒーローなのですか?」
熱に浮かされた声でそう問われる。
「お前も有害宇宙線に脳をやられた口か?」
大きなため息と共にクウラは答えた。
「こんな
マントを肩にかけ、改めて
何があってこんなことになっているのかは、次回「ネイズと振り返るしくじりとうっかりの50年奮闘記」でさらっと説明します。
ところでwikiの年表や考察サイトによると登場時のクウラ様がおよそ250歳で、フリーザ様が170歳、コルド大王は400歳らしいです。地球人の知覚する10年が彼等にとって1年の感覚ですかね? つまり、今話のクウラお兄さんは、地球人でいうところの5歳です。
あと亀仙人が初登場時319歳で、何気に宇宙人ブラザーズよりも年配だったりします。ヤベー。
・サウザー
拙作においては、機甲戦隊最年少です。
吊り橋効果じみた胸の高鳴りを感じて、後々部下に志願してきます。
忠誠心高めなので、機甲戦隊という名の「お兄ちゃんのワガママを叶え隊」、そのリーダーとかいう罰ゲームを嬉々としてやってくれます。
隊内において、お兄ちゃんからは、ネイズ(付き合いが長いので気安い)、ドーレさん(かつて憧れたスター選手)、サウザーくん(若い頃のイメージが強い)呼びとなります。
ところで全然関係ない話ですが、ちいさな男の子って可愛いですよね。ふふふ。
☆お知らせ☆
アンケートをやります。このアンケートは、基本的にどちらを選んでも展開に違いはありません。
ズバリ「原作開始まで巻展開でいく?」です。
それぞれ以下のような違いがあります。
・まきます
七話か八話くらいで惑星ベジータ花火大会が開催され、お兄ちゃんは、地球へ旅立ちます。孫悟飯(じいちゃん)に正しいサイヤ人の育て方をレクチャーしたり、悟空やクリリンに余計な知識を吹き込んだり、亀仙人と武術交流したり、ウミガメ、牛魔王、ミスターサタンをダディと間違えたり(声優つながり)するイベントが早く見られます。
フリーザ様たちとの心温まる触れ合いイベントやベジータ王に意図せずしてトラウマを植え付けるイベントは、番外編として、適宜、事前知識が必要そうな場合に挿入される形で展開されます。
・まきません
花火大会が十三話くらいか下手するともっと先に遠のきます。
ビルス様に意図せずしてとんでもない無礼を働いたり、ベリブルばっちゃをうっかり間違えてお母さんと呼んでしまったことで延々といじられたり、ことあるごとに勘違いされてフリーザ様から「さすおに」されてしまうイベントを早く見られます。
宇宙で起きる出来事を時系列順に見られるため、作品への没入感は、こちらの方が高くなるかもしれません。
まきますか? まきませんか?(詳しくは5話参照)
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まきます(もうすぐ花火大会だ!)
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まきません(花火大会はまだ先だ!)