剣士だとでも思ったか?   作:アゲイン

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どうも、作者です。
週間の方にも顔出させてもらえて感無量です。
本当にあざます。

一応、二年となってからの諸々のイベントを数話かけてお送りしる予定です。
とはいってもこの次でまた七星剣武祭に突入するんですけどね。
そんじゃ今回もよろしくお願いします。


二年生は中弛みするとでも思ったか?

 

 どうも、動画投稿者こと不乱12です。

 今回もゲーム実況、頑張っていきたいと思います。

 浩太郎くんが念願の七星剣王となってから月日が流れ、遂に十六才となりました。

 だからという訳ではありませんが、最近は周囲に色々と動きがありました。

 

 

 

 一つは島関係のこと。

 リゾート化とは別に進めていたものの、闇が深く中々手だしが出来なかった人身売買の件―――これについて進展がありました。

 村長含め多くの島民から平にとお願いされていたことで、私としても自分のやったことの責任を最後まで果たすため必ず被害者たちを見つけ出してみせると約束していたことです。

 しかし元々居ない存在とされ戸籍すらない彼らの販路を辿るのは難しく、関係者も巧妙に事実を隠蔽しその尻尾を掴むことさえできませんでした。

 

 それがあの事件以後、お父様の伝手を使って関係者を捕らえ、地道に調査を続けていたのが最近になってようやく実を結んだのです。

 関係者の一人として監視対象となっていた人物がどういう風の吹き回しか、今まで(だんま)りだったのを翻しやけに協力的になって色々情報を提供してくれたのです。

 情報の裏取りを行いそれが正しいものだと判断できたため、警察組織と連携して拠点を強襲、護衛の連中が制圧されていくのを見て慌てふためく購入者の一人を検挙することに成功しました。

 こいつがまあ下衆な奴でして、島の人たち以外にもかなりの人数の女性が奴隷として地下室に拘束されていました。

 

 長年酷い目にあってきたからでしょう……心身共にかなり疲弊し、助けに来た私たちに対しても怯えを隠せない人たち。彼女たちをどうにか宥め、なんとか全員を保護することができました。

 彼女たちは今後施設の方で一時的に預かってもらい、色々と落ち着いた後には島の方で暮らしてもらうことになることでしょう。

 長らく待たせていた島の人たちに朗報を知らせることが出来て一安心と言いたいところですが、奴がまだ氷山の一角に過ぎない以上戦いは始まったばかり。気を緩めず次のお呼びが掛かるまで牙を研いでいるとしましょう。

 

 

 

 さて、島の話題はひとまず、次は学園生活のことについて。

 学年も一つ上がり、上の重圧と下からの突き上げを食らう二年生、自分は上記のような立場に着いているため特に突っかかってくる新入生は多いです。中には貴徳原ディフェンスを潜り抜けてくるような厄介な奴もいたりと、やる気があるのはいいんですけどこっちのことも考えてほしいですよね。

 

 しかし、これは私に―――というかアイリスにとっては好都合というものでして。

 この熱心な後輩くん(ミッドフィルダー)たち、実はカナタさんたちから私たちに害意なしと判断した人たちなんです。それでいてそこそこ腕が立つ有望株とのこと。

 つまり敢えてコースを空けておいて甘いシュートを打たせ、実戦の経験をアイリス(新人ゴールキーパー)に積ませてあげているという……中々スパルタなことをしてるんです。

 本人に才能があったのか、はたまたカナタさんや刀華さんの指導を受けたからか、素人だった彼女もここ最近中々いい動きをするようになりまして、ランクでは測れない力量を身に付けつつあるんですよ。

 そうして培った技術を試す相手として彼らという存在は丁度いい相手なんですねぇ。

 彼女に勝てば次は私が相手をするという条件でアイリスの練習相手をしてもらっています。

 

「そこっ!!」

「おわ……ッ!?」

 

 今もそんな一人をアリーナの中で相手取り、結構優勢に戦いを進めています。

 軽快なステップで的確に攻撃を避け、思わず大降りになった隙を突いてカウンターを放つ。

 実に堅実な戦法で安心して見ていられますね。

 ちなみに彼女の固有霊装は海賊なんかが使うのをよく見る単眼望遠鏡、その能力は『物体の拡大と縮小』というもので、これは彼女の肉体にも作用します。

 倍率こそ低いものの間合いが重要となる近接戦において、自在にリーチを変えることができるというのは非常に有効な手段と言えるでしょう。

 今の攻防でもその能力を生かし相手の生徒を翻弄しています。

 

 『織姫』と名付けられた霊装をバトンのように操り、短棍術の要領で次々に打撃を繰り出していってます。

 先ほどの反撃で体勢を崩された挑戦者くんはそれに対応することが出来ず徐々に追い詰められていき、力を溜めた一振りによって握っていた腕ごとポールウェポン型の霊装を上に弾かれた結果、守るものがなくなった腹部をしたたかに打ち据えられあえなく決着となりました。

 

「くそ……俺の敗けだ」

「オスッ! ありがとうございました」

 

 勝敗の結果に関わらず、お互い握手で終われる。

 内容も含め、実にいい戦いだったと言えましょう。

 先程の試合を通しての振り返りを一通り話終えた二人が見学していたこちらへ向かってきます。

 

「コウく~ん!! 勝ったよ~褒めて褒めてー!!」

 

 おおアイリス、この可愛い娘ちゃんめ、何度も言ってますけど無闇に異性に突撃するもんじゃありませんよ。相手が私だからいいものの、そのロケット頭突きをまともに受けれる存在は普通にはいないからね?気をつけようね本当。

 ほら、後ろの彼も困惑してるから、いい加減離れなさいな。

 下腹部を的確に捉え今もなお首で抉ってくる君の無自覚の容赦のなさに困惑しているから。

 というか今はそこまで構えないの、ね? 後でいくらでも遊んであげるから今はちょっと時間を頂戴。

 分かってくれる?

 ん、いい娘。

 

 

 

 ……ふぅ、何とか静かになってくれましたか。

 元気で明るい女の子はいいんですがパワフルすぎるところがたまに傷というか……まあそれも彼女の魅力なんですけどね。

 まあそれはさておき―――いい加減、本題に行くとしますか。

 いやはや、いい加減お待たせしてすみませんねぇ―――

 

 

 

 

 ―――黒鉄一輝くん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――いえ、こちらこそ覗き見るようなことをしてすみませんでした、葛城先輩」

 

 

 いや、ここは七星剣王と呼んだほうがいいのでしょうか?―――などと。

 言葉とは裏腹に全く隠す気のない闘志を纏いアリーナの入り口から現れたのは一人の生徒。見覚えのない人物の登場に後ろでアイリスが疑問の声を挙げています。

 それを手で制し前に出ます。

 彼が用があるのは私のはずなのでね、ここは任せてもらいましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「御初にお目に掛かります、黒鉄家分家筋が一つ葛城が長子―――葛城浩太郎と申します。

 そちらは本家のご子息、黒鉄一輝殿とお見受け致します。

 本来であれば自分から挨拶に向かうところ、ご足労をお掛けし誠に申し訳ございません」

 

 何分厄介な案件で方々飛び回っていたもので、何卒ご容赦を……と、あくまで分家という立場で腰の低い態度を崩さない目の前の人物に対し僕―――黒鉄一輝は何だか妙な感覚を味わっていた。

 

 これまで経験してきたような、伐刀者としての能力の低さを理由とした蔑みの感情を感じないからだろう。こちらを見てくるその目は凪いだ湖面のように静かで、僕が意図的に発している挑発的な戦意などまるで無いものかのように受け流している。

 

「むしろこちらの方が邪魔をしてしまったみたいで申し訳ありません。それに僕はただ一生徒に過ぎませんから、そんな格式張った口調は必要ないですよ。

 それに―――今回はお願いがあってここに来たんですからね」

 

 歩みを進め、台の上へと上がる。

 それだけで分かったんだろう、先程戦っていた二人を下がらせ彼もまた舞台に上がる。

 

「……ふむ、その様子を見るに内容は推察できますが」

 

「ええまあ、お察しの通り―――」

 

 

 

 

 

 ―――どうか僕と、立ち会って貰えませんか?

 

 

 

 いきなりで、不躾で、かなり失礼なことを言っている自覚はある。

 だけど、現役の七星剣王を相手にして今の自分がどれだけ戦えるのか……それを知りたいというこの欲求には何をおいても抗いがたい力がある。

 もっとも間近にある最強という称号持つこの男に―――挑んでみせろと魂が叫んでいるのだ。こればかりは理性でどうにかなるものではない。

 気色ばむ僕を前にして、それでも彼は小揺らぎもしない。

 

「本来であればお断りをさせて頂くところですが……いいでしょうその挑戦、お受けします」 

 

 そしてこれだ。

 実に堂々とした受け答え、これが自分と一つしか年が違わない男の態度だとは思えない。たったこれだけのことで人間としての差を感じさせられる。

 

 

 

 

 ―――だが、それでこそ挑み甲斐があるというものだ。

 

 

 

 前回の七星剣武祭、僕の目に飛び込んできた光景は驚愕の一言だった。いや、体を突き抜けた衝撃を考えればそんな表現では足りないのかもしれない。

 まるでこれまでの常識を覆すような圧倒的な戦闘、魔法に特化した伐刀者は本当に個人で空間制圧を行うことができるのだと知ったのだから。

 それは剣術に特化した自分には決してできない、一騎当千を体現する所業。

 そしてその時以来どこか燻るような感情を抱え、学園入試に挑んだあの日。

 そこで試験官の折木有理という人から言われたのだ。

 

 

 

 

 

 ―――『あなたでは葛城浩太郎(カレ)には勝てない』と

 

 

 

 

 その言葉を、素直に認めることは、出来なくて。

 だってそれは、自分のこれまで努力(こと)を、否定してしまうことになるから。

 だから―――

 

 

 

 

 

「―――僕の最弱(さいきょう)を以て、君の最強を打ち破る!」

 

 

 

 

 

 

 だからこの一戦、何が何でも食らい付く!

 相手は遥か格上、勝利の可能性はほとんどない!

 それでもこの戦いで何か一つでも攻略の糸口を掴んでみせる!!

 アリーナの使用時間が迫っているので五分だけと制限があるものの、それだけあれば十分。

 霊装『陰鉄』を出現させ構えを取る。

 

「その意気やよし、だが剣士では我が絶技を破ること(あた)わぬと知るがいい」

 

 それに合わせるようにして、彼も二刀一対の霊装を腰に携える。

 そしてどちらともなく動き始め―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――あっという間に、五分が経った。

 

 

 

「これが……学生騎士の頂点か」

 

 僕はたぶん、このたった五分の()()()()()()()()()()()()を……生涯忘れることがないだろう。

 黙して語らず、少女を連れて去っていく対極の絶対者。

 膝を着きアリーナの床に踞る僕と彼の姿が、この立ち会いの勝敗を物語っている。

 

 

 

 

 しかしこの戦いで見せたものが、あくまで彼の実力の一部でしかなかったことを僕は後々知ることになる。

 彼の二度目となる七星剣武祭。

 そこで見せたものに比べれば()()()()()など児戯に等しいと言わざるを得ず―――

 

 

 

 

 

 ―――それを知らない僕はただ、()()()()()()()()()()()()()という、隔絶した現実というものに打ちのめされるばかりだった。

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 ―――はい、ということで原作主人公である黒鉄一輝くんとの初戦……というかまあ手合わせとも言えないようなものは私の完勝とさせていただきました。

 もうね、この時のために暖めていたとっておきを使わしてもらいましたよ、情け容赦なくね。

 

 そんで今回使った技についてはまあ、そうですね。

 見ただけでは分からないとは思いますが次回の投稿で種明かしをするとしましょう。

 これの答えが次回以降に使うことになる他の技の胆になってくるのであまりネタばらしをしたくないというこちらの都合で申し訳ないですが、そこは考察の余地を残すという動画外での楽しみを提供するという投稿者の粋な計らいというやつですようん。

 

 

 そんじゃ今回はここまで!!

 逃げるわけじゃねぇからそこんとこよろしく!!

 またの投稿をお待ちください!

 またな!

 

 




読了ありがとうございました。
さて、主人公はいったいどんな方法で一輝くんを下したでしょうか。
アンケで正解率が高かった場合、二年終了時の周囲の反応……みたいな閑話を書いたりするかもしれません。
それではまた。

浩太郎の新技、どんなの?

  • 竜巻で拘束『転網廻々』
  • 相手の力を相殺『箱廻し』
  • 重力強化『曇天落とし』
  • 『六花ノ陣』改め『歪曲の魔眼』
  • 空間操作『方違え』

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