剣士だとでも思ったか?   作:アゲイン

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おら、ヒロインだ!
喜べお前ら!
あと切りが良くなくって時間がかかったわ!
すまん!

許せる人だけ、読もう。


ヒロインがいないとでも思ったか?

 

 

 

 孤島での修行というには結構人と交流できてる実況動画始まるよー

 

 

 

 

 はいどうも、実況者の不乱12です。

 前回は拠点となる平屋での終わりでしたが、今回はその二週間後からの開始となっております。

 何故かって?

 ……これには理由があるんです。

 それを説明するためにまずはこの一週間で定まってきた大まかな自分の一日の生活についてお話していきましょう。

 

 朝。

 まだ暗い内から起床します。

 節約しつつチマチマ食べていた保存食で軽くお腹を満たしたら差し迫った問題である食料の確保、つきましては漁をするための準備に外へ出掛けます。

 干していた網を回収し、早速海へと向かいましょう。

 

 

 

 十分ほど歩いて到着。

 大いなる海のざわめきだけが支配する、星空と海面の照り返しの明かりだけが頼りの世界。夜の海は昼とは全く別の顔を見せてくれます。

 視聴者の方の中には暗闇の中、自分一人だけ取り残されたような感覚に襲われることでしょう。

 何ともセンチメンタルな光景ですがこれから自分は仕事です、そんなものに浸っている暇はありません。

 カッと覚悟を決めて前に歩みを進めます―――そのままの格好で。

 当然このままでは何もできません、自分は網しか持っていませんからね。

 でも自分―――魔法使いなんすわ。

 

 

 

 

 

 ―――海へと一歩。

 踏み入れた場所を起点に波に干渉、緩やかに回転を開始。

 沖へ進むたびに範囲と出力を上げていき、海底を晒しながら自分の周囲で海水の壁が渦を巻く。

 それは自分の身長を越えてなお成長を続け、小さな家屋など容易く飲み込むまでの規模になります。

 

 

 ―――これが回転エネルギーの応用技、《水流操作》です。

 

 

 これまで行っていた《気流操作》の液体版で、やってることはそこまで変わりありません。回転エネルギーは様々な物に干渉できる便利な能力、これくらいは簡単にできます。

 さて、既に魚の生息域に到達していますが、この異常な状況にそのほとんどは逃げ去ったことでしょう。

 しかし全く問題ありません。

 逃げたのなら捕まえるだけのこと。

 渦を加速させ()()()を強化、周囲に散らばる魚群を引き寄せます。

 魔法で強化された現象に自然界の存在が逆らえるはずもなく、そこそこの数の魚君たちはあえなく御用となります。

 

 

 これが自分の漁のやり方です、これが一番効率的だと思います。

 おそらくこの方法が出来るのはただ一人、自分だけでしょう。

 正にオンリーワン、悪くない響きです。

 とはいえこれで捕まえられるのは主に小さい種類ばかり、何匹かは食べ頃な大きさのも居ますが少々不足気味ですね。

 場所を移動しながら満足いくまで行い、網が一杯になったところで引き上げです、陸に上がりましょう。

 能力の干渉が解除され、海も元の状態へと戻ります。

 そうこうしているうちに日が顔を覗かせ始めましたが……そろそろ来ますかね?

 

 

「―――……ーい」

 

 お?

 

 

 

「―――おーい! おはよー!」

 

 

 

 

 

 ―――来ましたね。

 

 朝一番に響き渡る元気な声。

 この一週間で馴染むようになった朝の挨拶の主がこちらへと駆けてきます。自分もそちらの方へ顔を向け、声の主を探します。

 そしてだんだんと近づいてくる人影を林の向こうに発見したので、大きく手を振って居場所を示します。

 それに気付いて足を早める人影がどんどんと鮮明になり、お互いの顔が認識できるまでの距離を詰めます。

 

 

 

 

「コウくんおはよー! 今日も早いね!」

 

 網を引きずる自分に駆け寄ってきたのは黒髪褐色の女の子。

 外様の自分に対しても偏見なく、朗らかな表情で接してくる彼女はこの島で初めて会った同年代の子供です。

 自分を平屋まで案内してくれた東理雄さんの娘で、名前を藍李朱(アイリス)といいます。

 

 

 

 彼女との出会いは自分が漁をしてもよいか、できるならばその範囲はどれ程かを聞くために東理雄さんのところへ向かった時のことになります。

 初日を構想に費やした自分は次の日、彼に自分が想定している漁のやり方について話をしていました。

 その途中、ひょっこり顔を覗かせた彼女はいつの間にか会話に加わり、魚の有毒無毒の見極め、加工や保存の方法などが欠けていることを指摘してくれたのです。

 それもそうだと思い直した自分はそういった知識が乗っている書籍はないかと聞いてみたところ、「そんなものなくても私が教えてあげるよ、何たってお父さんの娘だからね」という頼もしい申し出があったこともあり助力を乞うこととなったのです。

 

 島の漁師たちのまとめ役であるという東理雄さんは始め自分のところで面倒を見ると言ってくれたのですが、アイリスの「でも他の人たち『本土の奴らは嫌いだ』っていつもいってるじゃん」とあまり当事者の前で言わないほうがいい正論でその案を却下し、しぶしぶですが東理雄さんの許可の元、アイリスが自分の先生となった―――という経緯がありこの一週間、彼女の指導を受けつつ漁を行っていたのです。

 そうしてそこそこ仲がよくなったと判断してくれたのか、いつしか自分をコウくんと呼ぶようになり、自分も彼女をアイリスと呼ぶくらいの関係になりました。

 

 さて、魚の捕獲が終わった後は彼女の監修の元、自分の家の近くの作業場で仕分けを行います。自分のお昼ご飯になるものもこの時に選り分けておきます。新鮮さは大事ですからね。

 彼女の知識はとても豊富で、経験に基づいた蘊蓄(うんちく)はとても為になりますね。

 今もこの魚を選り分けながら、

 

「あっ、これ焼いたら美味しいやつだよ! 中々捕まらないんだけどコウくん運がいいね。でもこっちは背鰭に毒があるから気をつけようか、後で処理の仕方教えてあげる」

 

 と、自分に対応しながらもテキパキ作業をこなしていきます。

 自分はそれについていくので精一杯ですが、彼女は嫌な顔せず何度も教えてくれるので非常に助かっています。

 魚の仕分けが終われば次は加工です。

 それぞれの桶に選り分けた優先順位の高い魚から手をつけていき、熟練さを窺わせる手並みで魚を捌いていきます。

 そうして一通り手順を見せてから自分に交代し、指示を出しながら時々包丁を持つ手を握って刃の角度を調整してくれます。

 

「そう……そのまま真っ直ぐ切るんだよ」

 

 自分この時がめっちゃ困るんですよね。

 背後で囁く彼女にそんなつもりはないんでしょうけど、すっごくゾワゾワするんですよ。手とかこういう仕事をしてる割に柔らかいし何かいい臭いしますし。

 服も薄いんで当たるんですよ、何がとは言いませんけど。

 言いませんけどね、日本男児なんで。

 

 無自覚な少女の誘惑に鋼の精神で耐えることしばし、ようやく加工処理が終わりました。ここで一先ず道具などを簡単に洗っておきます、血の臭いとか結構きついですしほっとくとすぐ駄目になってしまいますからね。

 そして昨日の漁で得て天日干しにしていたものを取り込み、今出来たものと交換して干していきます。

 開きとなった魚を並べながら彼女とたわいもない話をするのですが、この時彼女は決まって外の世界のことを聞きたがるんですね。

 

 というのも彼女、島の外に興味があるようなんです。

 自分に協力してくれたのもそれが理由のようで、初めてその事情を話してくれたときの恥じらった表情は不覚にも萌えてしまいました。

 まあ自分の知る範囲のことなんて大したことはありませんが、それで彼女が喜んでくれるなら喜んで相手になりましょう。

 

「へー……やっぱり本土って進んでるんだね。いいなぁ楽しそう、ここって娯楽ってないからさぁ」

 

 いやぁ、都会は都会で良くない所とかあるよ?

 テロとか多発するし、先勝国ってことで無駄に選民意識肥大化させた老害とかいるし。

 

「物騒なんだねぇー」

 

 そうそう、悪いところではないんだけどね。

 と、こんな風にアイリスは自分のそこまで面白くもないような会話にも飽きることなく、ときどきと遠くを見るような目をして話を聞いています。

 憧れ……とか、そういうのなんでしょうかね。だったらちょっとでも夢があるような話題を選んだほうがいいかな?なんて。

 そんなことを考えつつ、話題の切りがいいところで丁度作業が終わりました。

 これにて朝の行程が終了です。

 

 そして何だかんだいって時間が経ってしまってもうお昼時。

 今日のお昼はこの新鮮な魚を使ったものしようかと思いますが―――ついでです、彼女も誘いましょう。

 できないわけではありませんが料理の経験が浅い自分がするよりも彼女に手伝ってもらったほうが魚も喜ぶでしょう。

 そのことを伝えるとアイリスは目を輝かせて喜びます。

 

「え、いいの!? じゃあこれ! この美味しいやつ食べよ!!」

 

 でしょうね(知ってた)

 君がずっとそれに熱視線向けてたのお兄さん気づいてたよ。こっそり昼食用の桶に移動させていたのもね。

 よっぽど食べたかったんでしょう、そうと決まれば早いもので先程の倍はあるスピードで散らかっていたもの片付け、続いてキッチンに移動して豪快に調理を開始します。

 自分はその間に木製の簡易テーブルを広げたりしながら完成を待ちます。自分の手から肘ぐらいまである大きさの魚でしたが、彼女にかかればものの十数分で焼き上がりです。

 

「完成ーーー!! さあ食べよう!!」

 

 ふっくらと焼き上がった白身魚がテーブルの中央に置かれます。

 調理の最中から良い匂いはしていましたが目の前にすると更に香ばしい香りが嗅覚を刺激します。ゲームということを忘れそうになりますねこれは。

 仲良くいただきますをしてからそれぞれ箸を取り、まずは一口。

 途端、白身とは思えない濃厚な味わいが口に広がり、なんとも言えない幸福感に包まれます。

 

「ん~~~……!! たまんない!!!」

 

 それには彼女も思わず声をあげるほど。

 シンプルな塩だけの味付けでここまで美味しいとは思っていなかった自分もこれには手が止まりません。

 しばらく食べることに集中し、いつのまにか二人で完食していました、いやー、満足満足。

 

「はぁ……おいしかった……」

 

 アイリスはすっかり夢心地でお腹を撫でています。

 二人して余韻に浸っていると一足早く正気に戻ったアイリスがあ、と声を挙げます。

 何があったのかと思い聞いて見ると、

 

「忘れてた、村のおばあちゃんの体調が悪いって聞いてのに。お見舞いにいかなくちゃ」

 

 ほう、それは何とも―――実に自分向きな案件ですねこれは。

 こういっては何ですが実践の機会がこうも早く訪れるとは運がいいのか悪いのか。

 ともかくこれを逃すべきではありません、彼女に同行の意思を伝えましょう。

 

「え……その、気持ちは嬉しいけどあれだよ、村の中に行くことになるし……」

 

 問題ありません。

 冷たい視線なんぞに負けるような軟弱な精神していませんよ自分は。それにやってみたいことがあることを熱烈にアピールし許可を勝ち取りました。やったぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして心配そうな彼女に連れられ町へと来た自分、案の定視線が刺さりまくりですが宣言通り無問題、これっぽっちもダメージはありません。

 それよりもさっさとおばあちゃんの容態を確かめに行きましょう。

 自分のこの態度に逆に引いてるアイリスを余所にそのおばあちゃんのいるところに到着。

 アイリスを笑顔で迎え入れたおばあちゃんと一緒に住んでいるというお孫さん、次に現れた自分に微妙な顔を向けますが致し方ないことでしょう。

 自分が来た理由をアイリスが説明しますがまあ、戸惑いますよね、分かるよ。

 でもそこを何とかと言いくるめ、ベッドに横たわる老婆の側に座ります。困惑する老婆の顔色は確かに悪く、体の内側に不調を抱えていることが窺えます。

 すぐに済むと声を掛け、持ってきていた鞄に手を入れます。

 

 

 

 そして取り出しましたるは―――一つの鉄球。

 

 

 

 そう、《黄金の回転》と言えばなこの逸品。

 海岸に漂着していた屑鉄を削り出して製作した自作の品、デザインはシンプルなものです。

 原作で球使いジャイロが『聖なる遺体』で目覚めた《スキャン》の能力、これを自分なりに再現して老婆の体調不良の原因を探り、あわよくば治療を施す予定です。

 

 鉄球を不安げな表情で横たわる老婆の腹部にそっと置き、集中。

 そして鉄球に干渉、『黄金長方形の軌跡』で回転させていきます。

 この二週間、必死に観察し『自然のスケール』の中から黄金長方形を見出だし、それが産み出す無限の軌道を無意識でも再現できるぐらいになった自分に隙はありません。

 十分な回転が生まれた鉄球から発生した力が対象の体へと浸透していきます。

 中央から広がっていき―――全体に行き届いたそれを妨げる部分を感覚で把握。

 そこに対して更に干渉、歪んだ筋道―――経路に魔力を流し正していきます。

 ここでいう経路というのは東洋医学における『気脈』に相当するものだと思ってください。

 徐々に整っていくのに従って老婆の顔色がよくなっていくのを見るに、この人体の神秘に対しても自分の能力が有効だというのがぐいぐい証明されております。

 背後で見守っている二人がその光景に驚いている気配を感じながら根気よく続けていきました。

 そうして全部の経路を正せたことを確認し施術は終了です。お疲れさまでした。

 

 もう大丈夫だということを告げ、鉄球を回収して立ち上がります。

 明らかに体調の良くなった老婆に孫が寄り添い、元気になったことを喜んでいますね。よかったよかった。

 

 それを見届けて自分は退散することにします。肉体への干渉がどれほどできるわかった以上、もう用はないですからね。

 背後から声が掛けられますがそれに応えることなく自分の拠点へと戻ることにします。先程の感覚を忘れないうちに練習しておかなくてはいけませんから。

 後ろをついてくるアイリスの説明要求が結構うるさいですが、それにぼやかしながら適当に受け答えをしておきます。

 そうして拠点に帰ってきた後、アイリスももう家に戻らなくてはいけないとのことで後ろ髪を引かれるような顔をしながらも帰っていってしまいました。

 

 いつもなら午後は修行にあてていましたが今日はイベントがあったので今回はそれで得た経験を纏めることにしておきましょう。

 それが終わるころには日が落ちてきたので干物を炙って夜食とし、今日はここまで。

 とりあえず自分はこんな風に島の暮らしを満喫しています。

 まだ完璧とは言えませんが目標には近づいているので良い感じです。この調子で頑張っていきましょう。

 

 

 

 

 それではまたの動画でお会いしましょう。

 じゃあな。

 

 

 




読了ありがとうございました。
雑な再現だなって自分でも思う。
でもぱぱっと進めるためにはこうするしかねぇ。
もうデータが消えるんは嫌じゃ……
感想待ってます。

ヒロインは何人くらいがいい?

  • 一人で十分
  • 二人くらい
  • 三人はいる
  • 原作と絡めや
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