「うわあ、可愛い!」僕中島剣吾はオカルト部の使い魔とじゃれ合いながら言う。
何でも悪魔には使い魔は非常に役立つ存在らしい。チラシ配りなんかも本来は人に化けた使い魔がやるらしい。一誠達がやってたのは単に新人だから慣れさせるためというだけらしい……。
まあ、僕も未だにやっているんだけどね。悪魔じゃ無いからある意味一誠やアーちゃんの使い魔ポジションなのかも知れないな……。
部長のが赤い蝙蝠、子猫ちゃんが白い子猫、木場君が小鳥だった。一番驚いたのは朱乃さんの使い魔。
なんと手のひらサイズの小鬼!鬼なんて本当にいたんだ!!
その様子を見て部長が「そんなに驚くこと?」と聞いたので「いや、鬼が実際にいるなんてビックリです。」
「悪魔がいるじゃ無いの?」「いや、てっきり、鬼とか妖怪って悪魔の事を日本ではそうよんでいると思っていたんですが完全に別種なんですね~。」とちょっと興奮混じりに言う。
「でも、いいなあ~。こうゆうペット欲しいなあ。」とじゃれながら言う。
すると、「さあ、その辺にして。一誠とアーシアの使いをゲットしに行くわよ。」そう言うと転移魔方陣を展開しオカルト部全員でどこかに転移した。
そしてついたのは見るからに妖しい雰囲気をした森にでた。うん、巨木が無数にあり湿度もある何かでそうな雰囲気がプンプンする。
「ゲットだぜ!!」と言う言葉と共にキャップを後ろ向きに被ったラフな格好をした青年がでた。
僕たち兵藤家は驚いているけど他の人は冷静だからどうやら知り合いらしい……。っというか彼の格好僕が好きなアニメのキャラに似ている様な気が……。
「俺の名はマダラタウンのザトゥージ!使い魔マスターを目指している修行中の悪魔だ!!」
……うん、マスターと言い益々やばい匂いがしてきたぞ?
そんなこんな彼が一誠とアーちゃんの使い魔を捕まえるためのアドバイザーになったのだが……。
これがまたいい加減な奴!!初心者がお勧めと聞いて答えてのがRPGのラスボスみたいなドラゴン。
魔王並みに強くて誰も捕まえられない存在だそうだ。確か名前が天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)ティアマット。五大龍王の1匹で、龍王の中で唯一の女性らしい。
ティアマット……何か聞いたことあるな。神話やゲームとかが正しいならメチャクチャヤバい奴じゃ無いか?これどう考えてもそれこそ超一流が漸く最後に捕まえるような存在ですよね……。
一誠が当然ながら断固拒否すると次に進めたのがヒュドラ。
何でも邪毒蛇とも呼ばれる存在でどんな天使や悪魔でも耐えられない猛毒を持つ最悪の魔物らしい。たしかヘラクレスの試練にもなったんじゃなかったっけ?
まあ、オリジナルかどうかは分からないが仮に始祖より多少ランクダウンしたとしてもそんなもん一誠ではどう頑張っても無理だろう。へたすりゃこっちも食べられそう……。
流石に一誠もぶち切れそうになっている。しかも他の部員はいけるいけるって簡単に言うし。
……あんたら、自分の使い魔はほぼペットショップで買えそうな奴ばっかなのに厳しくないですか?
一誠は女の子の可愛い使い魔が欲しいというと露骨にザトゥージさんは顔をしかめた。
「これだから初心者は……。いいかい、本来使い魔は同じ種類の雄と雌を何匹も捕まえその中で最も優れた個体同士で優れた子どもを産ませる。さらに」
「ちょっと待ってください。それは違うんじゃ無いですか?」と僕が口を挟む。
「使い魔と出会い運命を感じたならそれをえらべばいいだけ。そんなふうに作るのは間違っている。」とモンスターキャプチャー略してモンキャプで俗にいう廃人と呼べるライバルと絆を重視する主人公の対立そのものだった。
そこからしばらく熱い激論が開始するが長くなるから以下省略。しばらくしてアーちゃんが「私も可愛い子が欲しいです。」と言うと
うん、わかった。とそれまでの激論がなんだったのかという感じがするくらいあっさり笑顔で返した。
ウンディーネ。水の精霊として有名で美しい女性の姿しているらしい。でる言われている美しい泉の付近で気配を殺し身を潜ませる。一誠はこれでエロいことをお願いできる盛り上がっているが僕は口を挟んだ。
「一誠、辞めときな。そんなの完全に抵抗できない奴隷を良いようにする悪徳貴族じゃん!見た目人間というか言葉が話せる存在をそんな扱いするのは反対だね!」
「おまえ、男のロマンが分かんないか!!」「実現しなかったらただの戯れ言だからいいけどいざ、実際にやるなら人として止めるね。」「俺は悪魔だから良いんだ!」と話し合っていると遂にウンディーネが姿をみせた。
その姿はキラキラと水色に輝く髪と透明な羽衣を纏った筋骨隆々の体格をした歴戦の戦士だった。
ミルタンをスライムにし、表情を凜々しくしたらこんな感じかもなあ~。と半ば現実逃避をしている僕の横で一誠が何度も目をこする。
現実が変わることを願っているんだろうが現実は非常だ……。なんじゃありゃあ~!!!と一誠が絶叫する。「あれがウンディーネだよ。」ザトゥージさんが残酷な言葉を言う。
「嘘だー!!だってどう見ても水浴びに来た修行中の格闘家にしか見えませんよ!!猛者の中の猛者だよ!正拳突きだけで世界取れそうだって!!」と一誠が抗議する。
「精霊の世界も実力主義者なんだよ。縄張りとなる泉を奪い合うために腕っ節が必要だ。しかし強そうなウンディーネだ。
なかなかレア度が高い。打撃力に秀でたウンディーネも悪くない。ゲットをお薦めするよ。」
「悪いわ!!何その組み合わせが悪い言葉!?癒やし要素皆無じゃん!!殺し系だよ!!打撃の高い殺し系精霊なんていらねーんだよ!!」と一誠が無念の涙流しながら慟哭した!
「だが、君の希望通り女性だよ?しかもかなりの実力だ。」「知りたくない事実!!」
そんなやり取りしているともう一体現れた。さっきのと寸分の狂いもない姿だった!
一誠が号泣している!!僕も幻想が崩れて結構ショックが大きい。
そうこうしているうちに二人のウンディーネが殴り合い神秘の泉が闘技場に変化した。
「あれは縄張り争いだよ。」「魔法とかじゃないんですね。」「所詮、腕力がものを言う。」
そんな僕とザトゥージさんのやり取りを聞いて一誠は泣き崩れている。
そんなこんなでアーちゃんが妙に気にしてディーネちゃんなんて名前つけ始めたのでこのままいるのは危険と判断し半ば強引に乱闘から背を向けその場を離れる。
あれを使い魔になるのは流石に御免被る。
漸くダメージから回復した一誠に対し僕は言う。「やっぱり人型は使い魔としては辞めた方が良くない?何か奴隷みたいで気分が良くない……。」
「……そうだな、さっきみたいな奴ばっかかも知れないしな……。」と沈んだ声で答えた。
アーちゃんが気を遣ったのか「剣さんはどんなのが欲しいですか。」と話題を逸らす。
「……そうだね、やっぱり空を飛べないから僕を乗せて飛べるのがいいかなあ?あ、でも一緒に泳いでくれるのも良いかも。足が速いのも馬代わりになっていいなあ。」
「あ、でも小さいのも可愛いかも。って僕が決めることじゃないか?」そんな事を話し合っているとザトゥージさんがふとこんな事を言う。
「そう言えば近頃女性が襲われる事件が多発しているらしい。襲われると行っても別に命に関わることや怪我はしていないんだが俗に言うセクハラされるらしい。」
まあ、大方スライムと触手の仕業だと思うだが不可解なのはそれらは大した強さがないんだがね。
「スライムと触手、その話詳しく?」と一誠が聞こうとするが「静かに!」っと突然真剣な表情でザトゥージさんが言う。
その視線の先には蒼く輝く鱗をした鷲ぐらいの大きさをした生き物が巨木の枝で羽根を休めていた。
「あれは蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)!その子どもだよ!!この森にいると噂は聞いていたが実際に見るのは初めてだ!!」と興奮しながらザトゥージさんが言う。
へえ、ドラゴンなのか。言われて見れば確かにドラゴンぽいなあ。小さいからそんな風に見えなかった。
可愛さと格好良さが両立している。「運が良い、蒼雷龍はその名の通り雷撃を放つ蒼い鱗のドラゴンで龍王程じゃ無いがかなりの上位種だ!」
「子どもでもある今の時期を逃したらまず、ゲットできないだろう。この機会を逃すな!」と強く勧めてくる。よっぽどレアなんだ。格好いいしこれで決まりじゃ無いか。
部長も感動しているし、一誠もその気になっているな。うん、ドラゴン同士で合うんじゃ無いか!もうこれに決まりと言うときだった。
突然女性陣から悲鳴が上がったのは!そっちを見ると何やら触手に捕まって正にエロゲーのように体に絡み付き、ゲル状のものが服を溶かしている……!
まさか、エロゲーのスライムと触手か!?いや、そんな者がいるわけが無い!毒や酸とかで体を溶かされないうちに助けないと!!
そう思っていたらザトゥージさんがとんでもない事を口走る。「こいつらはさっき言っていたスライムと触手だよ。」
「特に固有名はないけど迷惑な奴らでね。どちらも人型の女性のみ襲いかかる。
スライムは女性の衣服、触手は女性の分泌物が食料で体に危害はないがその生態から女性からぶっちぎりで嫌われている。
ちなみに男には欠片も興味を示さない。スライムは衣服だけなら男物でもいいと思うんだけどどうやら、拒否反応があるらしい。まずいのかなあ……?」
まずい、そんなエロゲーそのものの生物がいるなんて!!
そんなの一誠が知ったら……!!
「こうゆうのは魔力とかの火で一気に蒸発するのがいちばん……」
「部長!!こいつらを俺の使い魔にします!!女性の分泌物を食べる!服を溶かす!俺が求めている人材です!!」と一誠が今まで見たこと無いぐらい目をランランと輝かせている!!
僕は叫んだ!!「今すぐ駆除してください!!この世界で持たせてはいけない人物トップ5に確実入る人物何です!彼は!!」
「剣吾、てめえー!!」そんなやり取りを見つつ呆れた様子で部長達が丸焼きにしたり、引きちぎって投げ飛ばしたりしていた。
一誠は涙を流しながらアーちゃんにまとわりついているの必死で庇う。
「どきなさい、一誠。こんな役に立たない生き物邪魔だわ。」
「いやだい!いやだい!俺はスラ太郎と触手丸を使い魔にするんだい!俺の求めていた奴らです!こいつらと羽ばたきたい!上にいきたい!」
「あのね、ちゃんと考えなさい!使い魔は悪魔にとって重要なのよ!」
「……わかりました……やっぱり使い魔にします。」「3秒しかたってないんだけど!!」部長と一誠のやり取りに僕は思わず突っ込んだ。
「よく見て!アーちゃん真っ赤にしているじゃん。大体自分の女を自分以外の手で辱めて何が楽しいの?いやじゃない?」「男じゃなきゃOK!!」
だめだ、説得できない……!「・・・このスライムと触手をここまで渇望する悪魔を見たのは初めてだよ……。驚くことばかりだ。世界は広いなあ、グレモリーさん。」
「ごめんなさい。この子欲望に忠実だからよく考えてくれないの……。」と心底驚いたザトゥージさんと部長のやり取りをしているとスライムと触手が何やら不自然に揺れ始めた?
その時木々が揺れ、何かが近づいてくる気配を感じた?そして樹上からこっちに飛び降りた姿を見て驚いた。
後頭部が蛸そのものになっていて髪の代わりに触手が蠢いている……。
皮膚は蛸や烏賊を思わせる質感をしており、粘液で覆われている。蛸の魚人というのが一番あっているのかなあ・・・?
背中から蛸の触手が生えており自由に動いている……。それ以外の基本的なシルエットは両手両足と人間に近いようだな?
ザトゥージさんも「何だ、こいつ!?今まで見たことも聞いた事も無い!」と言う。
朱乃さんが「魚人の一種では?」と聞くが「こんな地上で活発に動ける魚人なんて聞いた事も無い!!ひょっとして新種!?」と興奮したような感じで言う。
そんな僕たちを無視して何やら手や触手が妙な動きをするとそれに合わせた様にアーちゃんに纏わり付いたスライムと触手が動く。
ひょっとしてこいつらのボスなのか?すると一誠が「お前、俺の使い魔にならないか!?」と言い始めた?
「ちょっと、何考えてるの!?」「俺のハーレムを作るのに役にたつ!!頼む!!」
すると意外にも”蛸”は考える素振りをした……。え、まさか従うの?そう思っていると何やら羽音と視覚に蒼いのが入ったと思ったら何やら衝撃が走った!!
え、何があったの。周りを見ると男性陣のみ黒焦げになっている……。上の方を見ると蒼雷龍がいるからこの子がやったんだろう……。
女性陣には危害が無く触手とスライムは黒焦げでもアーちゃんには火傷一つ無い・・・。これは一体?
「蒼雷龍は外敵にしか雷撃のダメージが無いんだ。その娘さんは敵でないと思ったんだろう。ちなみにドラゴンのオスは基本的に他生物のオスが嫌いだ。」とザトゥージさんが言う。
それで男性陣だけ黒焦げなんだ……。で、ダメージが大して無い僕を警戒して現在進行形で頭を噛みついているのか。
ただ、平気のは他にもいる。”蛸”は興味深そう?にこのドラゴンと女性陣を見ていた。
一方一誠は「スラ太郎!!触手丸!!」と泣いていた。そんな一誠を”蛸”は手を差し伸べ立たせた。
悪い奴じゃ無いのかなあ……?すると一誠が「そうだ、お前がいる。俺の使い魔になってくれ!!」と言うと何やら女性陣を差して手振りをする。
「ひょっとして、なってもいいけどその代わり部長、アーちゃん、朱乃さん、子猫ちゃんを報酬としてよこせって言っているの?」と僕が聞くと頷いた。どうやら言葉は通じるみたいだね。
すると驚く速さで背中の触手が女性陣を捕まえた!!
触手の動きがもう既にいやらしく何をするのか一目瞭然だった。流石に人として止めないと思っていると「……やっぱり、それはだめだ!!」と一誠が言う。
「一誠、君にも人としての良識あるんだね……。」と感動して思わず涙が流れた。
「……苦労しているんだね……。」と木場君が僕の背中をさすっていくれた。
「やっぱり、俺以外の奴が部長達にいやらしいことするなんてゆるせねえ!!」
「お前、さっきなんて言った!?」
「だってこいつ、なんか人に近いから道具より人感が強い!!俺は寝取られ属性は無い!!」自慢できないがまあ良いだろう。ここで突っ込んでは話が進まない。
木場君が触手を剣で切り無事解放。後は追い払うだけか……と思っていたら斬られた断面からすぐに触手が生えた!?
蛸や烏賊の脚は再生能力があるとは言えこの速さは異常だ!?
再び木場君が斬ろうとするが今度は体の弾力を生かし、上手く斬れない?
木場君が炎の魔剣を創り、朱乃さんや部長が雷や炎の魔力で攻撃すると嫌そうにしているけど大して効果がなさそうだ・・・。
どうやら熱が苦手らしい・……なら、僕も神器を使えれば有利になるのだが危害を加えないと思っているのか一向にでる気配が無い……。
でも、あの”蛸”すごいな。最初食らっていたけど今は見事な身のこなしで攻撃を軽々と躱している。
伸縮する体を利用し軟体動物特有の柔らかさで攻撃を回避している。すると一誠が朱乃さんに「赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)」を使用し、雷の力を増幅した。
流石にこれは効いたのか怯んで苦しそうな表情をした。すると、怒ったのか雰囲気が変わった?
その気配に俺の神器も出現した。すると、”蛸”が俺の神器に反応した気がした。何か僕も磯にい達と近い物を感じるけどどう見ても[禁手](バランスブレイク)とは違う気がするし何何だろうか?
そう思っていると手足と触手を器用に使い高速で樹上を動き回る!!枝から枝に飛び移るので見にくい。
やがて音がしなくなり姿が見えなくなった。だが、僕には分かる。まだ近くにいる。
するとアーちゃんが悲鳴をあげた。見ると斬られた触手が生きているみたいに動いて絡み付いている!?
……もしかして斬られた触手もある程度の時間自由に動かせるのか?と思っていたら女性陣は他に斬られた触手に捕まってしまった。
助けようとしたら嫌な予感がして一誠と木場君を掴んでその場を離れる。慌てて辺りを見渡すと先程の”蛸”が姿を現した。
瞬間移動!?否、アレが蛸の特性を持っているとしたら保護色か?周囲の景色に体色を同化させたのか?
蛸などの頭足類は色だけで無く体型も変えることで自然界でも上位の擬態が得意だと言われている。
でも、これ不味いな……。ただ、透明や色が溶け込むならともかく形まで変化されたら岩や樹と見分けがつかない。
さらに口から何かを放った。とっさに躱したけど後ろにあった巨木に綺麗な穴があった……。何か黒っぽいものが一瞬見えたのと着弾点を見た感じおそらく墨だろう。
水を高圧で発射した要領で墨を放ったのだろうがシャレにならんな。一誠がドラゴンショットを撃つがそれを墨で撃ち落とした。
一誠が殴りつけるが手のひらであっさり受け止められた。すると異変が起こった。握りしめていないのに一誠の拳が相手の掌から離れない!?
そうか、蛸の吸盤!!だから吸い付く力が強いから離れることができないんだ。何をどのくらいの力でくっつくかは自分次第。しかも触手はいくらでも再生可能……。
思った以上に強いな、こいつ。そう言えばある漫画に書いてあったな……。
原文 『軟体動物』 『頭足綱』 蛸や烏賊の仲間を指す
一部の識者によれば人類が絶滅した遙か未来、地球で最も繁栄すると言われているのは
高い知能と変幻自在の身体を持つ、この異形の生物達
全身は筋肉 骨さえ不要なほど
八本の触腕全てが再生可能 重いだけの殻などとうに棄てた
巨大なトカゲは”怪物” 巨大な鳥は”神の遣い”
だが彼等は違う 巨大な蛸は ”邪神かみ”そのもの
成る程、特別な魔法や能力がなくてコレだ。しかし、不味い状況だなあ。力なら上回ることができるかも知れないけど向こうの方が言葉通り手数が上、しかも再生可能というおまけ付き。
動きも触手で引っ張って動くことで見た目より格段に速い上、伸縮自在かつ透明になるハイスペックぷり。
しかももし水中だと動きも格段に速くなるのがほぼ確定……。とんでもないな。
昔の人がクラーケンを怖がるのも無理は無い……。
そう思っていると漸く神器が出現してくれた。これで俺も戦力になる。でも、下手に炎を使うと山火事になって皆にも被害が出そうだな・・・。
最近覚えた氷というか雪は相手を凍らせるほどの冷気は無いし……幻術通じるのか?
だが、単純な打撃や斬撃は今現在躱されているようにまず当たらないし当たったところで手足だから然程意味が無い。
さて、どうしたもんか?と思いながら戦っていると自然に移動ささり気がつくと近くに酷く濁った沼を見つけた。すると、突然沼の水が大きく浮かび上がる。咄嗟に躱すが周囲の木々が枯れた!?
驚いているとその隙をつかれ水を”蛸”諸共まともに浴びる。ヤバい、溶ける?あれ、……何とも無い?
見れば”蛸”も平気そうだ。すると沼の水が顔みたいに変化した!?何コレ?キモ!!
「アレは沼渡り!!」とザトゥージさんが叫んだ!!「沼渡り!?」
「水の妖怪でその名の通り沼から沼に渡る。
沼そのもの丸ごと食ってに入れ替わり、その周辺にいる生物を食い尽くして獲物が少なくなったら移動する恐ろしい妖怪だ。
人食い沼とされる沼は大体こいつの仕業だ。
水そのものの体をしているから物理攻撃が一切効かない厄介な奴だ。しかも強力な毒素があり、これで獲物を溶かし捕食する。よく、君平気だね……。」と言う。
そんな、異質なものみるような……。そうか、こいつ猛毒なんだ……。コレも神器のおかげだね。そうやら毒とかに耐性があるみたいだ……。
「しかし、運が良い。こいつは相手によっては完全に詰みになるレベルで、倒すには超高温で蒸発させるか雷で感電させる。
または凍らせるなどの方法があるが、紅髪の滅殺姫(べにがみのルイン・プリンセス)なら誰より簡単に倒せる。
(滅びの力)を使えばほんの一部でも当たれば風呂の栓を抜いたように為す術無く(滅びの力)に吸い込まれ消滅する!!
こいつは第一級駆除生物なんだ!遠慮無くやってくれ!!」
そうか、こいつ部長なら簡単に倒せるのか。よし、見るからにやばそうな奴だからさっさと退治してもらおう!!
そう思ったが今だ噛みついているドラゴンを思い出し見て閃いた。俺はまず”蛸”を大きく蹴飛ばし距離をとる。
そして無理矢理ドラゴンを引きはがしおそらく懐いていると思われるアーちゃんに渡す。そして一誠に思いついたことを話す……。
……よし、後はタイミングだな。上手くいけば2匹まとめて片付けられる!!俺は再び”蛸”と格闘していて腕が触手に捕まる。その瞬間わざと絡ませて懐に入る。
そして”蛸”の胴体を捕まえるとそのまま沼渡りの中に飛び込んだ!
沼渡りは俺たちを食おうとするのか水圧が押しかかるがどうやらお互い全く影響ないらしい。だが、問題はそこじゃない!大事なのは水中にいること。
籠手の刃を発光させる。すると準備していた一誠が言う。
「行きますよ、朱乃さん!」そう言うと「赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)」を朱乃さんに譲渡する。
強化するのはあの力!「剣吾君、遠慮無くやりますから耐えてください!」そう言うと強化された雷撃を沼渡りに浴びせる。
水は良く電気を通す!ましてや強化されたものなら尚更だ。俺も含め全員が大ダメージを受ける。さて、科学の実験をしようか。
水に電気を通すと電気分解により水素と酸素に分解される。この状態でさらに火が加わえるとどうなるかなあ?
”蛸”は危険を察したのか必死に逃げようとするがそうはいかない!俺は籠手から炎を発射する。その瞬間、一瞬で周囲の水が蒸発するのを感じた。
爆音と湯気、それに高熱と凄まじい衝撃を受けた!!
どうやら、無事みたい。「剣吾~!!」と一誠達が叫びながら近づいてくるのが分かったから鼓膜とかは無事みたいだ……。
「……どうだった?」流石にキツかったがとりあえず結果を聞く。
「お前、死んだかと思ったんだぞ!!」と一誠に思いっきり殴られる!気持ちは分かるがもう少し元気な時にしてくれないか。
「それでどうなったんだい?」「……沼渡りは完全に蒸発し死んだ。”蛸”の方はこの煙が消えてからじゃないと分からない。」と言う。
煙が晴れるとそこには香ばしい匂いをして倒れている”蛸”の姿があった。どうやら成功したみたいだと思っているとどこからか太鼓の様な音が聞こえる?
いや、これはひょっとしてドラミングなの……か?そう思っていると”蛸”が突如起き上がる!!まだ、生きていたのか!!しかもピンピンしているみたいだしこれは不味いか?
僕たちが身構えたが”蛸”は体を再生すると僕たちに背を向け木々を飛び移りながら森の奥に消えていった……。
身構えたが襲ってくる気配は無い。どうやら本当に撤退したらしい。気付くと僕の籠手も消えているから間違いないだろう。
それにしても……何だったんだ、あいつは?
今回残念ながら一誠は使い魔を見つけることはできなかった。あの騒動に加えまだ、スライムと触手の喪失で完全に使い魔への熱を失った……。
そうそう、あの蒼雷龍はどうなったかと言えば……。
「普通、蒼雷龍は普通悪魔に下らないけどあの子は特別清い心の持ち主だから契約できたんだ。前代未聞だよ、こんな事」とザトゥージさんが言う。
そう、アーちゃんは見事蒼雷龍と契約した。名前はラッセ-!雷撃を放つ一誠から名前を取った。
アーちゃんを始め女子には懐いているね。ただ、ドラゴンは他生物の雌は好きだけど雄が基本的に嫌いだということで男子全員が黒焦げになった。
で、電撃が通じない僕には……「剣吾さん、大丈夫ですか?」「なんかもう、そうゆう帽子を被っているみたいね。」とアーちゃんと部長が言う。
そう、現在進行形で僕の頭に噛みついている。結局再びアーちゃんが抱き寄せるまで噛みつかれていいる。
……僕の頭はそんなにおいしいですか?
……とある洞窟に”蛸”が戻った。すると背中の触手が消え代わりに下半身が蛸の8足そのものになった。
??「お前、自分だけ女とふれ合うなんてずるいぞ!裏切り者!!」と姿は見えないがどうやら大柄で筋肉質の体型をしているようだ。
「ふん、随分大人しくしていたんだ、潤いが欲しいんだよ。バカンスに来て美女をみたらもう本能に栄えない!!」と”蛸”が言う。
「突っ込むとこそこじゃねえだろ!!セクハラ、いや痴漢したことにキレろや!!」とまた新たな声が聞こえた。
「でも、まさかここで”王”に会うとは思いもしなかったな……。とりあえず、今は大人しくしているみたいだよ。」と”蛸”が言う。
「しかし、暴走しない”王”の適合者の出現、それに星人、そして真の支配者……いよいよもう、残された時間はないかも知れんな……。」と大柄な影が言う。
「そう思うなら大人しくしてくれる。少しでも長く俺たちの動きに気付かれては不味いんだから!!その為に俺たちはここ頭と共に数年準備してきたんだから!!」と新たな影が言う。
「息抜きも大事じゃ!さて、世界中の美女を救うためにも、もうひと頑張んなくてな!!」
「このエロ猿が!!」と会話しながらどこかに消えていった……。この事を全勢力はまだ気が付いていない。
前話で載せるの忘れていましたがフェニックス編終編で登場したショートカットする異空間は漫画ふらいんぐうぃっちが元ネタです。
原文とあるのは漫画テラフォーマーズの文章です。後、沼渡りは漫画犬夜叉に登場する妖怪です。今後だす予定はありません。
”蛸”が何なのか分かるのは大分先になります。
ちなみに姿は後頭部がONE PIECEにでてくる白髭傘下の海賊タコトパス海賊団船長カルマのように蛸そのもので他はモンスター娘に登場するスキュラのオクトを男性化した姿だと思えば大体あっています。
剣吾が襲われるのは子どものライオンが他の肉食獣に狙われるのとほぼ同じ理由です。