第五章 冥界合宿のヘルキャット編 1
目を開けるとそこは銀世界でした!うん、嘘だよ。何か混乱していてね、ちょっと御免。
僕の義兄一誠がリアス部長、アーシアことアーちゃん、最近一緒に暮らし始めた朱乃さんと共に土下座させられモスラの巨獣器(タイタンギア)使い伊藤歌織(いとうかおり)さんに叱られるのはいつもの事だ。
だが、問題は僕と一誠は同じ部屋で寝ていたはずなのに個室になっている。しかも何やら欲しくて手に入らなかったテレビとかパソコンとか色々あるのにかなりスペースに余裕がある?
手に入れたらきりがないしスペースが無いから諦めていたコミックスやグッズも完備している!
どうゆう事だ?と戸惑いつつ部屋をでる。……この家こんなに広かったっけ?
驚きつつ廊下を渡り一誠の部屋に行こうとするが階段が上下に分けられている。これはどうゆう事なんだ!?
しばし呆然と見つめていた。
その後僕は正気に戻り事情を知ると色々聞かされた。父さん達にはリアス先輩のお父さんがモデルハウスの一環でここを無償リフォームしたということにしたらしい。
しかも丁度いいタイミングでお隣さんが引っ越したからその土地も利用したとの事だ。
いくら催眠状態だからって少しは疑って欲しい!これじゃ悪いのに引っかかるぞ!
まあ、一見完全に地上げ屋とかに関わると思うがリアス先輩の実家がやったんだ。
問題ないだろう。ここには全勢力と同盟を結んでいる伊藤さんがいるのだから変な事は絶対できないから安心しているんだが。
屋上に空中庭園地下三階、地上六階という大豪邸になっているから驚きだ!すごいもんだ。
「剣吾さん!説明途中で真っ先にシアタールームに閉じこもろうとしない!」
映画が好きなんだよ!このくらい許してくれ!父さんは家庭菜園にやりたがっている。
……こんだけスペースあるなら誰も利用していない所でカブト虫育てようかなあ?と一瞬迷ったがすぐに考えが変わった。
何となくだけどこれからも入居者がどんどん増えそうだから辞めておくとしよう。
少し話が落ち着くと夏休みだからリアス部長の実家に戻る事になったので眷属も共に冥界に戻るという事だ。
若干一名早とちりして涙目になっていたがそこはいいだろう。いつも事だ。
「剣吾何、ボーとしているの?貴方もよ!」「え、僕悪魔じゃないですが?」
「今更何言っていんだ!お前はゴジラを宿しているんだ!お前の存在がどれ程の陣営に影響与えると思っているんだ!」といきなりアザゼル先生が割って入ってきたのでびっくりして僕を含めた全員が思わず叫んでしまった!
「アザゼル!いつからそこにいたの!」「普通に玄関から入ってきたぞ!」
「「まだ修行不足ですね!歌織!」」と人形に思える程の大きさと美しさを誇る双子のコスモスさんが笑いながら言う。
「俺はお前らがリアスの実家に里帰り中にサーゼクス達との会合だ。面倒くせえなあ。」
「「私たちも付き合うので逃げられませんよ。」」と笑顔で牽制するコスモスさん。
「わかっているよ、そう心配すんな。その後お前らが新鋭悪魔の会合を終えたら修行開始だ。俺としてはこっちがメインだな。」
「会合。そっちもまさかでるんですか?」「いや、今回は無しだ。巨獣器の扱いは難しい上からその辺りも含めサーゼクスと話すことになっている。」
良かった。そんな面倒に首つっこむ気はさらさらないから今後もそうしてほしい。
「一応言っておくがあくまで今回は違うってだけで絶対紹介するときあるからな!」
……念押された。い~や~だ~!顔と態度にでていたのだろう。
「剣吾さん!逃げられませんよ!」伊藤さんにまで注意された。
「しかし悪魔ルートは始めてだ。楽しい冥界入りになりそうだ。」とウキウキしている。
それを聞いて僕はちょっと疑問だった。魔方陣があるんだからどっち行きもくそもないのでは?
この疑問は当日になって解消された。
荷物に関して大体は向こうが用意してくれるとのことで必要最小限のものになっていた。
そして何故か最寄り駅に向かっている。そしたら何とスパイ映画よろしく通常には存在しないはずの地下に行きそこには列車があった!
そして何とこの列車で冥界に行くのという。驚いたが疑問に思う。
「何でわざわざ列車に乗るんですか?」空間移動があるならそっちの方が楽だろうに利用するメリットが無いような?
そんな疑問をアザゼル先生にぶつけると
「次からはそれでいいんだが真剣属の悪魔は正規のルートで入国しないと罰せられるんだよ。それに巨獣器や堕天使の俺がいるんだ。いきなり転移するよりこっちの方が向こうも対応しやすいだよ。」
なるほ~ど~。そんな訳が。あれ?
「その理屈だと……僕や一誠はかなりまずいのでは?」大丈夫?入国した瞬間に逮捕されて牢獄とか嫌なイメージが頭に過る。
「その心配はないわよ。」とリアス先輩が笑いながら言う。
「ええ、あれはサーゼクス様による特例ですから問題ないですよ、まあ次は無いでしょうけど。」と朱乃さんもそう言う。
その後、リアス部長、朱乃さん、アーちゃんで女の戦いが展開される事になったが僕は正直おっかないので迷わず一誠を見捨てて別の場所に逃げて宿題を始めた。
……あれ、そう言えばこういう時にツッコミを入れるのが子猫ちゃん、伊藤さんだけど妙に静かだな?
疑問に思いそちらに目を向けると子猫ちゃん窓に目を向け心ここにあらずという表情をしている。
対して伊藤さんはコスモスさんと何やら話しているようだ。
どうやら内密の話らしくご丁寧に結界のようなものを張っている。後で先生が会話が聞き取れない特殊なものだと説明してくれた。
全勢力と協力しているのだから下手に流せない情報も当然知っているので時折こうしているらしい。
因みにコスモスさんの方が多く知っていて伊藤さんにも隠している事が多いとの事。そりゃそうか。まだ10代何だから負担掛け過ぎてもね。
そんなこと思っていると窓の景色が先ほどまでの暗がり一色だったのが一変し紫色の空が見える。
……む、紫色の空!?慌てて窓の外に見てみるとそこはどう見ても人間界とは違う景色だった。でも山や川とかはこっちに近いのかな?
思わず見入っていると一誠とアーちゃんも隣に来て騒いでいる。ふっと冷静になると騒いでいるのが僕達だけだったがまあいいだろう。
お上りさん、田舎者と思われようが結構!こうゆうのに騒げない奴の方がノリが悪い!
考えてみたら僕と一誠は初めての海外旅行なんだよね。それが冥界とはどうゆう事なんだろう?
ちょっと引っかかるものがある気がしたが無視しよう!気にしたところでどうせ何もかわらないんだから!
「「しかし冥界って広いですね~!後地獄とも言われているからてっきり火の海や針山なんかあるって思っていましたけどデマだったみたいですね。」
「否、そっちも確かに存在するぞ~。」とアザゼル先生が言う。
やっぱりあるかい……。「考えてもみろ!冥界の底つまり冥府。その最深部、地獄の最下層に存在するのがコキュートスだぞ。コカビエルも投獄されているだろうが。」
コカビエル。あの戦争狂……むさ苦しい面を思い出してしまった。嫌な気分。
思わず顔をしかめた僕に対し「お前本当にあいつ嫌いだな。」ちょっと呆れた顔をするアザゼル先生に対し
「好きになれる要素があると思います?先生には同志だったかも知れませんが僕には唯の敵ですから。」と割と冷たく返した。
そんな話をしているとリアス部長から畏ろしい事を聞かされた。
まず冥界は人間界と同じ広さだが海がないので断然こっちの方が使い勝手がいい!しかも堕天使、悪魔の領土だけでも人数に対して余りまくっているというのだから驚きだ!
そしてグレモリー家の領土は大体本州丸ごとだそうだ!しかもほとんど森林や山ばっかりだそうだ。
す、すごい名家なんだね。しかも一誠やアーちゃん、ゼノヴィアさんも土地与えられて僕はただただ驚いてばっかりだよ。
「間もなくグレモリー本邸前、間もなくグレモリー本邸前。ご乗車ありがとうございます。」とアナウンスしてくれるのはレイナルドさん。
このグレモリー専用列車の車掌で白いあごひげがダンディなお爺さん。
僕達にも挨拶してくれてリアス部長の事を幼少期から知っているから感慨深いとか話してくれたけどその時は女のバトルがあった時なので省かせてもらうよ。
停車し荷物を降ろそうとするがそれは他の者がやるからそのままでいいから手ぶらで降りればいいと言われた。駅員さんがやってくれるのかなあとこの時の僕はまだ現実を見ていなかった……。
降りてみると映画やゲームでしか見たことが無い光景が広がっていた。
馬やグリフォン、その他よく分からない生物にまたがり旗を振り回す兵士。花火と空砲、それに楽隊の音楽が空に鳴り響く
そしてリアス部長を称える黄色い歓声!想像以上にすごい人だと改めて認識させられた。たくさんの名と屋執事に誘導されると馬車が用意されていた。
それも見るからに豪華絢爛!それに見とれていると「ボーっとしてないでさっさと乗んな!おれは電車で魔王領に行きサーゼクス達との会談を終えてから合流するから先にリアスの実家に行って挨拶しておけ」
と先生に言われ正気に戻ると伊藤さん、木場君、子猫ちゃん、ギャスパー君と馬車に乗った。
何でこっちにしたかと言うと単純に馬鹿の面倒を見るのに少しでも解放されたかった。
女のバトルになるかもしれないからそれに巻き込まれたくないというのも当然あるが一番の理由は子猫ちゃんの様子が可笑しいことだ。
どこか心ここにあらずという雰囲気で気になっていた。一体何があるのか探ろうと思ったわけだが失敗だったかなあと出発してからすぐに後悔した。
子猫ちゃんの事で話したいのにいくらぼーとしているからって本人の前で出来るわけがない!
間抜けだったなあと気まずい空気の中後悔している中もう一つの懸念していることがある。
それこそが僕の隣に座っている伊藤さんだ。子猫ちゃん同様何やら思い悩んでいる表情をしている。
とりあえず今は問いただすのは辞めておくか。こうゆう雰囲気じゃなかったら素敵な街の景色を楽しめたのになあ。
そんなことを思っていたら目的に着いたらしく降りてみると途轍もなく巨大な建造物が目の前にあった。
……これってもしかしなくてもお城ですよね?これがグレモリー家のお屋敷なのか!!
「ここが本邸で家のひとつよ!」とリアス部長がほほ笑みながら説明してくれる。
城の巨大な扉が開くとそこには大勢のメイド、執事が並んでいる。すると小さな人影が飛び出しリアス部長に抱きついてきた。
「お帰りなさい、リアス姉さま!」「ただいま、ミリキャス!大きくなったわね。」と抱き合っている。
絵になるね。よく見ると髪の色がリアス部長と同じ紅の髪をしていて顔立ちも似ている。……という事は?
「弟さんですか?可愛い子ですね。」と僕が声を掛けると「いいえ、甥っ子よ。この子はお兄様――サーゼクス・ルシファー様とグレイフィア義姉様の子供よ。名前はミリキャス・グレモリーよ。」
へえ~、サーゼクスさんの息子さん!という事は魔王の息子という子か!正真正銘のプリンセスというか。
あれ、でもグレモリー?疑問に思っていると顔にでていたのだろう。
リアス部長が笑いながら教えてくれた。
「魔王は継承したは本人にしか名乗れないからミリキャスを始めとしたその血を引く子供でも魔王の名前は継承できないの。私に次ぐグレモリーの次期当主候補よ。」
なるほど、だからグレモリーなのか。どっちが継ぐのかなあ?個人的にこの子は魔王に相応しい器だと思うからやっぱりリアス部長が受け継ぐのかな?
しかしこうして見ると姉弟だな。サーゼクスさんよりこっちの方が自然な気がする。一誠を始め今回初めて出会う眷属は緊張しテンパりながら挨拶している。
それを見つつ悪魔じゃない伊藤さんも丁寧に挨拶しているし、僕もそうするのが良いかなあと思った時だった。ミリキャスがどことなく寂しそうな表情に見えたのは……。
僕は怒られるかもしれないリスクがあったがそう考える前に口が動いていた。
「へー、サーゼクスさんとグレイフィアさんの子供か。格好いいね。ミリキャス君、ちょっと言いにくいからミー君って呼んでいい?」
と目線を合わせるため少し屈みながら言った。その瞬間、伊藤さん、一誠が慌てて様子だったがそれより先にミリキャス君が「はい、剣吾さん、僕も剣兄さまと呼んでいいですか?」と嬉しそうに応えた。
「う~ん、本当は僕より先に兄さま呼んで欲しい人がいるから無理強いしないけどできればその後の方がいいだけど待ってたらいつになるか分からないから好きに読んでくれていいよ。呼び捨てでも構わないし。」
「じゃあ、剣兄さま。僕と友達になってくれますか?」「僕でいいなら喜んで。」
「良かったわね。ミリキャス!貴方にこんな親しいお友達ができて。そしてお帰りなさい、リアス。」
と聞き覚えがない声が聞こえてきたのでそちらに目を向けるとそこにはリアス部長そっくりの美少女がいた。違うのは若干目つきはきついのと髪が亜麻色という事だけ。
初めましてと挨拶しようしたがどこかであった気がするぞ?どこだっけなあ?……あれ、可笑しいな。この人記憶が正しければ確か
この間普段使わない頭をフルに使い数秒で結論に達したが記憶が間違えていたのではないかと混乱している。そうこうしている内にすぐに答えが分かった。
「ただいま、お母様。」「はい、おばあ様。」とリアス部長とミリキャス君否ミー君が呼んだ時記憶とあっているはずなのに一誠と驚いてしまった。
そう、記憶では結婚披露宴の時ジオティクスさん、つまりリアス部長のお父さんの隣に座っていた。つまり夫婦という事だ。
「ちゃんと挨拶するのは初めましてよね?私はヴェネラナ・グレモリーリアスの母よ。よろしくね、兵藤一誠及び皆さん。」
悪魔は年齢を操作をできると頭では知っていたけど実際に見るのでは大違い、これは見た目で判断できないから思ったより大変だな。と心のどこか冷静な部分で突っ込みながら一誠と一緒に派手に驚いていた。
その後部屋に案内されるとその広さに呆然とした。でもこんな広いと一人で過ごす機会ないから旅行気分で楽しむかと思った時だった。
扉が開く音が聞こえた瞬間嫌な予感がした。
―――「それで僕が一誠と同じ部屋にいろと?」部屋に入ってきたのは伊藤さんで何でもアーちゃんとゼノヴィアさんが落ち着かなくて一誠と同じ部屋にいたいと言うのを聞き伊藤さんが自分と一緒にしようといい引き留めた。
ついでに男女が一緒の部屋にさせない為に監視役として僕が一誠と同じ部屋になった。
「なんで不満そうなんだよ!」「また、お前と一緒かあって思ってなあ。たまには離れたいんだよ。」
まあ、正直持て余し気味だからいいんだけどね。ベッドだけは申し訳ないけど交換させて貰った。2段ベット以外で一緒のベットに高校生になって寝るのは避けたい。いくら巨大なベットだとしてもだ。
準備してくれている最中メイド姿のグレイフィアさんが僕に声を掛けてくれた。
「剣吾さん、先程はありがとうございました。」「?何の話です?」「貴方はミリキャスを魔王の子供でなく普通の子供として接してくれたでしょ?」
ああ、その事か。「なんとなくミー君が敬語で話されていると少し寂しそうに見えたからこっちの方が嬉しいかなあと思ってやったんですよ。僕は一誠達と違って悪魔でないからあの子はリアス部長の身内ぐらいの感覚しか僕にはないですね。」
「そんなふうに接してくれる人が本当に少ないの。だから可能な限りでいいけど少しあの子の事を気にかけてくれる?ミリキャスとして見れるのは家族以外では貴方が初めてだと思うから。」
「僕でよければ喜んで。弟いなかったのでちょっとうれしいですよ。」と応えた。
食事の時アザゼル先生は会談が長引ているらしく食事にはこれないと当主であるジオティクスさんから夕餉の席で聞かされた。
そして僕と一誠は他の人の食べ方をマネしながら何とか恥にならないように食べ進めていた。
話を進めていくと一誠に紳士的振る舞いや雑学を学んでもらうという。早速外堀を埋めたかと感心していると僕もついでに巻き込まれた。
まあ、確かにもし結ばれたら親族として恥ずかしくない振る舞いは必要かもね。僕この手の奴、苦手なのにとちょっといやだが仕方がない。
その事でリアス部長とヴェネラナがちょっとした口論になったがこれからは他勢力に魔王の妹して見られる自覚を持てと叱咤されてしまった。
娘のわがままという発言と今回の訓練結構簡単に結びつくんだけどわからないだろうなあと隣でさっぱりわからんと顔に書いてある馬鹿を見てため息をついた。
ミー君、君が一誠をお兄様と呼べる日は残念だけどまだまだ遠そうだよ。
ポケモン新作及び新ポケモン楽しみですがレイドは個人的に辞めてほしかったです。2月中にまとめたかったけどダメだった。悔しい。