原作:アズールレーン
タグ:アズールレーン クリーブランド(アズールレーン) 睦月(アズールレーン) 如月(アズールレーン) エルドリッジ(アズールレーン) クイーン・エリザベス(アズールレーン) ベルファスト(アズールレーン)
「睦月達をヒロインにしたいけど、そうなると憲兵さん的な意味でアウトだから、娘にしちゃおう」ということで考えたお話です。
※pixivに投稿した作品の加筆・修正版となっています。
「よぉ、クリーブランド」
「あ、指揮官……と睦月に如月、エルドリッジか」
クリーブランドが廊下を歩いていると、睦月と如月、エルドリッジを連れた指揮官と遭遇した。
「おはよう!えっと、くりーぶりゃ?くりゃー……?」
睦月が首を傾げながらクリーブランドの名前を呼ぼうとする。しかし、舌っ足らずな為にうまく発音が出来ず、何度も呼び直している。
その様子に、クリーブランドと指揮官は「ぽわぁ」と癒されている。
「クリーブランドだ。呼びやすい呼び方でいいよ」
「うん、わかった!じゃあ、あにき!」
「あ、兄貴……」
「あにきさん、おはよう、ございます」
「兄貴、おはよう」
睦月に続いて如月とエルドリッジもクリーブランドに兄貴と言い放つ。
以前よりは抵抗は無くなったとはいえ、まだ兄貴と呼ばれることを若干気にしており、悪意の一切ない無邪気な言葉がクリーブランドの心を更に抉る。
「3人とも、せめて姉貴って呼んであげてくれ。これでも女の子なんだよ」
「こ、これでもってなんだ!正真正銘の女の子だぞ!」
「知ってるさ。クリーブランドが可愛い女の子だってことぐらい」
「ぐっ……そういうのはズルいぞ、指揮官……と、ところで4人でどこに行くんだ?」
照れて真っ赤になった顔を誤魔化すために、クリーブランドは話を変えた。
「3人がままごとで遊びたいって言うから、今から睦月の部屋に行くところだ。良ければクリーブランドも来てくれないか?俺一人だと付いていけない可能性がある」
「あぁ、構わないぞ。この後は特にやることもないからな」
「よし、じゃあ行くか」
「わーい、しゅきかんとあねきがいっしょ!」
はしゃぐ睦月達を微笑ましそうに見守りながら、一行は睦月と如月の部屋へと向かった。
そして、物陰からそれをアーク・ロイヤルが羨ましそうに見つめるのであった。
「そういえば、アーク・ロイヤルさんは呼ばなかったのか?こういう役割ならあの人が真っ先に飛びついてきそうなのに」
「……一回アークを呼んだことがあるんだが、如月に『おおかみさん、こわい』って泣かれてな。それ以来睦月が『如月をなかすなんてゆるせない!』ってアークを追い払うようになったんだ」
「……不憫というかなんというか」
「それじゃあ、はじめよー!しゅきかんがおとうさんで、むつきがおかあさん!」
「睦月、ずるい……まえは睦月がおかあさんだったから、きょうは如月がおくさんに……」
指揮官の「おくさん」の座を巡って睦月と如月が言い合いを始める。エルドリッジはちゃっかり指揮官の膝の上を陣取っておままごとセットをいじっていた。
「モテモテじゃないか、『お父さん』」
「からかうな。それにしても……娘ができたらこんな感じなんだろうな」
「……うん、そうかも」
クリーブランドは睦月、如月、エルドリッジをジッと眺めた。
性格はそれぞれバラバラだが、3人とも「守ってあげたくなる」ような愛らしさを持っているのは共通している。
元々面倒見は非常に良い指揮官である。彼女達を娘のように感じるのは当然なのかもしれない。指揮官と同様に面倒見が良いクリーブランドも、彼女らを「娘」と聞いて妙に納得してしまった。
(……いつか指揮官と家庭を持ったらこんな感じに……って、私は何を考えてるんだ!?)
指揮官と一緒に娘に囲まれている場面を想像してしまい、クリーブランドは真っ赤になりながら顔をぶんぶんと振る。指揮官はそんなクリーブランドの様子を首を傾げながら見ていた。
「しゅきかん、きまったよ!」
そうこうしている内に、役割分担が決まったらしい。
「お、どっちがお母さんになったんだ?」
「えっとね、えっとね、あねきがおかあさんに!」
「え?」
クリーブランドが硬直した。
「おとーさん、抱っこ」
「じゃ、じゃあ如月はママに……」
「あー、ずるい!パパ、アメあげるから睦月も!」
じゃれてくる睦月達に笑顔になっている指揮官に対し、先ほど想像していた場面と今の状況を重ねてしまったクリーブランドは、どこかぎこちない感じだった。
(い、今の状況、他から見たら私と指揮官ってふ、夫婦に見えてたりするのか!?)
「クリーブランド?」
「ひゃ、ひゃい!?」
「さっきから俯いたままだけど、どうしたんだ?」
「……ママ、もしかしてたのしくなかった?」
如月が泣きそうな潤んだ目でクリーブランドを見上げる。
「そ、そんなことはないぞ!」
「ほんとに?」
「ほんとだ」
「よかった……」
如月がぎゅっとクリーブランドに抱き着く。
「もしかして、パパがなんかわるいことしたとか?」
「睦月、俺が何をやったっていうんだい?」
「ママにかくれてべつのおんなにあいにいってたとか!」
「「ぶーっ!?」」
指揮官とクリーブランドが同時に噴き出す。
「む、睦月!そんなセリフどこで覚えた!」
「青葉がみせてくれたテレビで!」
「青葉ァァアア!」
「睦月、意味は分かってるのか?」
「ううん、わかんない。どういういみなの?」
無邪気な顔で首を傾げる睦月。その様子に、2人はホッと溜息を吐くのだった。
「睦月、俺はそんなことはしないよ」
「パパ、ママのことすき?」
「あぁ」
(え?)
「あいしてる?」
「もちろん」
(えぇぇ!?いやいや、これはアレだから!おままごとの役としてのセリフだから!指揮官に他意はないはずだから!でも、万が一指揮官の本音だったら……)
「ママ」
「な、なんだ、睦月」
「ママは、パパのことすき?」
「え、あ……す、好きだぞ、もちろん」
「えへへ~、よかったぁ」
睦月が安心したように笑う。指揮官や如月、エルドリッジも微笑ましそうに笑っているのだが、クリーブランドだけはドキドキが止まらなかった。
「うにゅぅ……」
「すぅー」
「むにゃ……」
疲れてしまったのか、3人とも心地よさそうな寝息を立てて寝てしまった。
「寝ちゃったな」
「あぁ」
指揮官が睦月の頭を撫でる。
「……パパぁ」
睦月が可愛らしい寝言を言う。2人は思わず顔が綻んだ。
「……こうやってると、セイレーンと戦うための存在だって信じられないな。ホントに、普通の女の子だよ、どう見ても」
スヤスヤと眠る3人を見る指揮官は、本当の父親のように優しい表情だった。
セイレーンと戦うために生み出されたKAN-SEN。キューブから生まれる彼女達は、人の姿をしながらも人ならざる存在である。。しかし、彼女達にも人間と同じく物を考えるし、感情だって持っている。こうやって年相応に人に甘えてくることもある。この指揮官は、それを理解した上で彼女達と接している。
「そ、そういえば指揮官。さっきのす、好きってのは……」
「あぁ、アレか。ままごとに付き合うと毎回お母さん役に対して言わされるんだよ。今はもう慣れたけど、最初は恥ずかしかったなぁ」
「そ、そうか……」
やっぱり、とクリーブランドはがっくり項垂れた。
「……まぁ、好きだってのは確かだけどな」
「え?」
「クリーブランドも、この子達も、他の皆も。俺はみんな好きだぞ」
「あぁ、そういう……」
――指揮官らしいや。
クリーブランドは苦笑いを浮かべた。
「……さて、クリーブランドは戻っていいぞ」
「指揮官はどうするんだ?」
「俺は朝までここにいるよ。起きた時に俺がいないと泣き出すんだよ……」
「ふふっ、慕われてるな」
「悪い気はしないがな」
「……じゃあ、私も残るよ。一人で起きてるのも退屈だろ?」
「いいのか、無理しなくていいんだぞ」
「いいんだよ。私がやりたいからやるんだ」
「そうか」
クリーブランドは指揮官の横に座る。
――みんな好き、か。今はそれでもいい。でも、いつかは――。
そして2人で、3人の「娘」を朝まで見守るのだった。
「指揮官、夫婦って、何?」
「夫婦かー、夫婦ってのは、好きな人同士がずっと一緒にいるってこと、かな?」
「指揮官、エルドリッジ、好き?」
「あぁ、もちろん」
「エルドリッジも、指揮官、好き。エルドリッジと指揮官、夫婦」
「ははっ、そうなるかもな」
「ぐぐぐぐ……」
「陛下、ご主人様のアレは娘とじゃれ合っているようなものです。それに嫉妬なさるというのは如何なものかと」
「う、うるさいわね、ベル!気になるものは気になるんだから仕方ないじゃない!」
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