機動戦士ガンダム DOWN FALL   作:ヨルムンガン

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第十話 第4軍〜マルタ島・地中海〜

『駆逐艦エバレット被弾、損傷軽微。戦闘続行可能。』

 

エレーナから友軍艦の被害報告が回って来る。

これで被害艦は8隻目だ。

中破以上の被害を受けた自走可能艦は随時シチリア基地に戻して応急修理を受けさせている。

 

「もう半分まで来た。後10分もしないでこの戦域を突破できるぞ!」

 

我々第4軍はシチリア島とマルタ島の間を最大戦速で突破している途中である。

今回は海の輩も一緒に強行突破している。

そのため被害艦が出ているのだがMS母艦に未だ被害が出ていないのは僥倖と言えよう。

 

『シチリア基地司令部より入電。ワレ航空戦力ノ出撃ヲ決定ス。後3分で当戦域に増援が到着します。』

 

「よし、それをオーシャンポストにも回しとけ。増援が来たら仕事が楽になるぞ。」

 

海上では航空母艦3隻、MS母艦、輸送船団を中心とした輪形陣5つが単縦陣を組んでいる。

順番は空母、MS母艦、空母、輸送船団、空母の順番だ。

そろそろ先頭の輪形陣が敵要塞の有効射程距離から離脱する頃だ。

 

『こちら先頭艦隊旗艦のマズィル。我が艦隊は現時刻をもって敵有効射程距離から離脱。後続艦の幸運を祈る。』

 

よし、一部隊抜けた。

この調子で残りも護衛したらこちらの勝利だ。

 

『IFFに反応。方位360から新たな反応。味方増援部隊です。』

 

来た!これで勝ったも同然だ。

被害が少なくて助かった。

 

『こちらシチリア基地所属航空部隊。味方艦へ、目標を支持してくれ。』

 

『電子戦闘艦アンドロメダより増援部隊へ。ポイントTW625からTW648までの一帯を爆撃してくれ。それで敵の反撃能力を大幅に奪える。』

 

「全機、現空域を離脱。北から味方機が侵入するぞ気をつけろ。」

 

注意を喚起した直後に全てのミデアが北から来る味方機の進路を確保するためマルタ島上空から離れていく。

キィィィイイイン

頼もしい音と共に30を越す味方攻撃機の編隊が接近して来る。

 

『全機、ウェポンフリー。全弾ここに落としてけ。攻撃開始ポイントまで5、4、3、2、1。攻撃開始!』

 

一機から4発のミサイルと2個の爆弾が放たれる。

それらは全て敵の施設を破壊してゆく。

全ての味方機が通った後は火の手と黒煙だけが立ち上っていた。

 

『アンドロメダからダウンフォール各機へ。上空より爆撃効果を確認しろ。あと、つい先ほどMS母艦ティレニアを旗艦とした第二艦隊が当海域を離脱した。』

 

よし、中核部隊が抜けた。

と、喜んで無いで敵の状況を確認しないと。

…対空砲が残り2割に対艦砲が4割の壊滅ってところか。

 

「敵被害報告。対艦砲4割の壊滅を確認。航空部隊による再攻撃を提案します。」

 

『アンドロメダ、被害報告了解。少尉、貴官の提案を却下する。貴隊で残りを沈黙させたまえ。第3艦隊から支援艦隊を抽出編成する。戦艦レーニエ、巡洋艦ベルフェア、アストリアを貴隊の離脱まで援護させる。』

 

「…ダウンフォール隊了解。作戦行動を再開します。」

 

クソがっ!いくらなんでも俺たちを便利屋扱いし過ぎだろ。

少しは休ませてくれないとそのうち誰か堕ちるぞ!

石頭の作戦指揮官め!

はぁ、愚痴ってないで生き残るために頭を働かせろ。

 

「ベリアル!対空火器を潰せ。エレーナ、マリアは俺と共に上空から対艦砲を叩くぞ。残り2人はベリアルの掃除が終わったら直接降下して残りをやれ。」

 

『ベリアル了解。あと2分くれ。』

 

それからしっかり2分後、ベリアルは自分の仕事を終えた。

 

「全対空火器の沈黙を確認。支援艦隊へ、味方が地上に降りる。艦砲射撃中止、くり返す射撃中止!」

 

リンとユリスを載せたミデアが地上へと近づいてゆく。

高度200を切った時、ユリスの載るミデアのほぼ真下から発射炎が見えた。

 

「4番機、RPG!真下から来るぞ!」

 

RPG、旧世紀から使われてる対戦車擲弾発射器である。対戦車と銘打ってあるが現在では弾頭次第で対人から対MSまでこなす優れた兵器である。

そして今回使われてたのは対航空機用のヒートシーカー搭載型弾頭であった。

 

『くそ!避けてもケツに付いて来やがる。振り切れない。誰か助けてくれ!』

 

その声を聞いたからかどうかは分からないが護衛の一機がヒートシーカーの標的を自分へと変えミデアを助ける。

しかしその味方機に弾頭が着弾して右翼が半分ほど無くなってしまう。

 

『こちらダウンフォール護衛部隊のハートブレイク1。被弾した。イジェクトするからしっかりと拾ってくれよ。』

 

そう言って黒煙を吹いていた味方機のコックピット付近から真上に白い煙が上がってゆく。

アレがイジェクトシートだろう。

イジェクトシートは機体から十分な距離と高度をとると、自動的にパラシュートが開く構造となっている。

彼のパラシュートも例外なく開いて彼は安全に海へと落ちてゆく。

彼はもう大丈夫だろう。味方艦も彼を救出する行動に移ってるし。

 

『リンです。地表に到達、敵対艦砲の破壊に移ります。』

 

「リンか。ロケット砲を持った敵兵には注意しろよ。いくらMSでも関節部や装甲の薄いとこに当たったらタダじゃ済まないぞ。」

 

『分かってますよ。学校で習いましたから。見ててください!』

 

そう言って張り切って敵陣地に突撃を敢行してゆく。

大丈夫だろうか。まぁ、ユリスも直ぐに着くから心配はいらないと思うが。

 

そして俺の予想通り大した事もなく全艦艇は戦闘海域を離脱したのであった。

 

 

マルタ島を抜けた俺たちに待っていたのはMS母艦ティレニアで地中海を抜けるための作戦会議だった。

これを見てくれ、とドミニクから作戦海域の航空写真が渡される。

 

「これは半年前に我が軍の偵察衛星が撮影した写真だ。そしてコッチがつい先ほど友軍によって撮影された最新の写真だ。」

 

二つの写真を見比べてみるが大して地上には変化が見られない。

しかし海上にはたくさんの公国軍艦艇が集結中であった。

この写真を見てエレーナが疑問を浮かべる。

 

「それにしては艦艇数が少ないですね。こちらのおおよその艦艇数は分かっているはずなのに。これでは航空部隊の被害を覚悟すれば何とかなる数ですね。となると狙いは他にある?」

 

「エレーナが正解だな。恐らく海中には公国軍潜水艦隊が息を潜めて待っているはずだ。そして此処オデッサを母港にする潜水艦隊はリトルドルフィン隊だ。」

 

リトルドルフィン隊と聞いてドミニクが頷き、ベリアルが嫌そうな顔をする。

対照的に他の4人は首を傾げてる。

それもそうだろう。赤い彗星や黒い三連星みたいに有名じゃ無いからな。

俺は4人の為に口を改めて開く。

 

「エレーナ達が知らないのも無理ないな。戦争初期に地球軍の海軍省から恐れられた部隊で、別名はシーハンター。地球降下作戦で奪った連邦軍の潜水艦隊をそのまま使って大量の連邦艦隊を葬ったことから名付けられた。ジオンが潜水艦隊の存在を公式発表する前から活躍してた最古参の部隊だ。」

 

俺の話が終わるのを見計らってドミニクが口を開く。

 

「ライプニッツ少尉の言う通りだ。だが、君達には海中の敵に対して有効的な損害を与えられる装備はない。よって今回の戦域突破は友軍対潜艦隊の仕事となる。君達には少しの間休暇を与える。先の戦闘では無理もさせてしまったからな、その償いの意味も兼ねている。ゆっくり休んでいてくれ。」

 

休暇だと。その言葉を聞いてから全員に落ち着きが目に見えて無くなった。

俺だって嬉しい。作戦指揮官のクソに振り回されなくて済むんだからな。

 

「一応君達にはミデアの機内待機を命じる。緊急での出撃要請があるかもしれんからな。あぁ、それと消費弾薬数と戦闘データを纏めておいて整備班に提出してくれ。」

 

面倒だがこれも仕事の内だ、10分もかからないだろうし。

機体の状況を知っとくべきなのは俺たちパイロットだけではなくて整備班も一緒だからな。

 

「一時間後には艦隊が戦闘海域に突入する。それに先立ち我が隊は50分後に当空母ティレニアからミデアで空中へと避退する。それまでに自分のMSが載ってるミデアに行っとけよ。」

 

あぁ、俺の休み時間がどんどん無くなってく。

ここの艦内食堂で飯を食べようと思ってたのに。

この船は飯が美味いことで有名なのに。

そんな俺の内心も知らずにドミニクは解散を宣言してさっさと会議室から出て行きやがった。

さっさと終わらせて飯でも食いに行こう。

そう誓ってこの部屋を出るのであった。




今回は始めて戦闘シーンから書いてみました
…上手く書けてるといいけど

祝!十話
これもひとえに読んでくださる皆様が居るからです
拙い文章ですがこれからも読んで頂ければ幸いです
感想は全部読ませて頂いております
このMS好きなんだけど出ないの?
みたいなのが有りましたら送って下さい、参考にさせていただきます
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