ダウンフォール隊の隊長であるライプニッツの乗るミデアが撃墜されたという報告を受けてからというもの隊員の士気は目に見えて落ち込んでいる。
それは大半が新兵で構成されたこの隊ではとても大きな問題となっていた。
「・・・以上が今後の予定であり・・・・・聞いているのかっ!」
隊長不在のため一時的に指揮を取ることになったベリアルが部隊に割り当てられた会議室で部下たちを一喝した。しかし、彼女たちの気持ちも安易に想像がつくので頭を振ってもう一度初めから説明することにする。
「はぁ、お前たちの気持ちも分からなくはないが今はこっちに集中しろ。もう一度説明するから今度はしっかり聞いとけよ。」
ベリアルはこの状態の部下をまとめ上げる苦労を考え内心でため息をつく。
(どうせくたばっちゃいねぇんだ。さっさと帰ってこいよ。)
苦労しているのはダウンフォール隊直属の上司であるドミニクもであった。最も彼は上にあげる報告書の内容に悩んでいるのだが。小隊の指揮を取れる下士官は残ってるものの、その下の兵卒が使い物にならないのなら戦場に立たせても邪魔になるだけなので、どう内容を書いて部隊を戦場から外してもらおうかを考えているのである。
ベストなのは彼女たちがこの事を乗り越えることだが、時間的猶予が無いので可能性は限りなく薄いだろう。後はベリアルがうまくやってくれるのを願うだけであろう。
その後、作戦区域上空に待機させてる監視衛星の映像からライプニッツの消息が分かるかもと思い付いたのは朝日が上ろうという時であった。
この事をその時まで思いつかない所を見ると彼もなかなか余裕が無いのかもしれないが。
翌日、マリア、ユリス、エレーナの3人は待機場所へと移動しながら
「ねぇ、ユリスはどう思う?やっぱ、隊長さんはもう・・・」
「マリア、そんなこと言っても暗くなるだけだよ。隊長さんなら大丈夫!」
「そうですね、ユリスさんの言う通りです。分からないならせめて明るい方に考えましょう。私たちに出来るのはベリアル准尉の下で隊長の仇をうつことです。・・・まだ戦死したと決まってはないですが。」
「・・・エレーナも相当だよね。自分から雰囲気立て直しといて自分で突き落とすんだもの。」
「そうでしょうか?」
エレーナが可愛らしく小首をかしげる。彼女が他の2人よりも余裕があるのは単に経験の差だろう。開戦前から軍人であった彼女は仲間が死ぬのを何度か経験しているからであり、その気持ちとの折り合いも自分なりに付けれるようになってきたからである。
それを学校を卒業してまだ半年も経ってない彼女たちに要求するというのは無茶だろう。
ただ、彼女のおかげで多少は2人の士気も戻ったのだろう。ミーティングの時よりはマシな眼をするようになった。
「・・・ふむ、これを見る限りライプニッツ少尉の安否の確認は厳しいか?」
ドミニクは情報部から送られてきたライプニッツ機の監視映像を見ながら呟く。そこには赤外線で捉えた解像度の荒い映像が映っていた。
「敵勢力との交戦後に機体が鹵獲。これからは搭乗者の生死が判別できないな。それ以上に問題なのは新鋭機が鹵獲されたという事実だ。当該地域には薄くだがミノフスキー粒子が残っている。となると次の一手は・・・」
彼は周辺基地の部隊表を見ながら目当ての部隊を探す。今作戦の間、アテネ基地を間借りしてるナイトストーカーだ。
敵前線基地に対して潜入工作・強襲のプロフェッショナルの彼らならパイロットの保護と鹵獲機の破壊をしてくれるだろう。
「それに貸しもあるしな・・・」
そう言いながら秘匿回線でナイトストーカーの出撃要請を済ませる。あと彼に出来るのは救出の成功を祈るだけだ。
そしてなにより、これ以上の犠牲がこの隊から出ないことを祈って。
・・・・・作戦開始まであと少し
『全上陸部隊、準備完了。揚陸艇出撃から30秒後に味方艦隊による援護射撃が1分間。続いて輸送艦によるMS隊の揚陸。・・・・・作戦開始です、ご武運を。」
俺たちは士官食堂でノエルの放送を聞いてから行動を開始する。
「各員MS搭乗後、指定された輸送艦に乗り込み待機。全員の搭乗確認後もう一度作戦内容の確認を行う。移動!」
「「「了解!」」」
敬礼をしてから小走りで格納庫に行く面々を眺めてから俺も移動する。
MSに乗り込んでから全員に対してもう一度簡単なブリーフィングを行う。
「全機に通達。我が隊は第3陣として敵軍港に上陸、先行部隊の補給が完了するまで周辺の哨戒を担当する。その後、陸上部隊本隊の前衛として作戦に参加する。目標はオデッサ鉱山基地。」
ブリーフィングが終わってから暫くしてようやく出番がやって来た。
『先行部隊より入電。湾口設備の制圧に成功した模様。速やかに第3陣は出撃、残敵の掃討に移行してください。』
「聞いたな!上陸地点から300m前進した所で合流。上陸の時はお互いにフォローしろよ。」
隊長の居ない戦いが始まった。
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オデッサ作戦をどこまで書こうか・・・