Mの試験評価の後日、マドラスに帰ってきた俺達に待っていたのは参謀本部よりもたらされた新たな命令だった。
大反抗作戦開始ス。
大反抗作戦とは連邦軍が予てより立案していた大規模な攻略戦である。
目標は黒海に面した東欧オデッサ鉱山基地。
此処には大量の鉱物資源が眠っており、資源に乏しいジオンにとっては生命線とも言えるような場所である。その為に、南極条約締結後の第一次降下作戦では地球で一番最初に占領された場所ともなった。
MSの開発に成功した連邦軍としてはここらでジオン軍の重要拠点を奪って膠着状態によって蔓延した厭戦ムードを完全に払拭しようと言う算段でもある。
「お上の算段は知ったこっちゃ無いがこの作戦が成功したら地上での連邦の優勢が確定する。失敗は許されない。各自奮闘せよ。以上。」
ドミニクがスクリーンの前から離れる。
あのオッサン作戦概要話してねーし、俺に話せってか。
面倒なんですが。
エレーナがチラチラとこっちを見て来てるし。
しょうがない、やるか。
「我々の参加する第4軍はジオン軍の防衛網を掻い潜って地中海から黒海へと抜けコボタザナ軍港へと攻撃を仕掛ける。」
「我々の輸送はどの部隊が行うのですか?」
ユリスが手を上げて質問をする。
「いい質問だ。第66補給大隊のミデア隊が我々を目的地まで運んでくれる。直掩には第14戦術飛行師団が行きの駄賃代りに進路上の防御網を食い荒らす。他に質問は?」
次はマリアが手を上げる。
「第4軍の構成は?」
「ふむ、今回の作戦には連邦地上軍稼働機の約8割が参加する。それを4つの軍に別ける。よってとても多くなるので言えない。ただしMSは15機参加する。」
全員が8割の下りからざわつきだした。
「静粛に。もし、今回の作戦が失敗に終われば連邦は二度と此処を占拠する機会すらやって来ずに負けるだろう。そうならないためにもより一層の奮起を期待する。」
話し終えて席に戻ると黙って聞いていたドミニクが驚きの一言を発する。
「新たなMSと新任のパイロットが到着した頃だぞ。滑走路に行ってみたらどうだ。」
はぁ?そんな事言ってなかっただろ。全員唖然としてんじゃねぇか。
「ライ〜、見に行こうぜ。」
うるさいベリアル。だから愛称で呼ぶなと言ってるだろうが。後キモいから肩を抱くな。
まぁでも気にはなるので急いで滑走路へと向かった。
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4機のミデアから6機のMSと大量の予備パーツと兵装が降ろされてくる。
その中に場違いなほど小さい少年を見つける。
そうすると彼もこちらに気付いたのか近寄ってくる。
「おはようございます少尉。リン・エバン上等兵です。本日付でダウンフォール隊配属となりました。宜しくお願いします。」
「あ、あぁ。よろしく頼む、リン上等兵。ダウンフォール隊隊長のライプニッツだ。因みにリン上等兵は何歳だ。」
「自分のことはリンとお呼び下さい。16になったばかりです。訓練学校の成績が良かったので配属となりました。」
リンとこんな話をしてるとドミニクが顔を寄せてきた。
「今回の作戦に合わせて多くの少年・少女兵が実践導入されることになった。彼もその内の一人だ。」
クソッタレが!何のために俺たち正規兵が居るんだよ!こういう子達が戦わなくていいために居るってのに。
ベリアル達もこの話を聞いて憤った。
そこに場違いな陽気な声が聞こえてきた。
「皆さん怒ってるところ申し訳ないんですが機体の説明に行ってもいいでしょうか?」
整備班長のメイールが話しかけてきた。分かっててこの雰囲気にあんな陽気な声で話しかけてきたんだろう。
色々と気を使える素晴らしい女性だ。
「隊長さんには新型が来てるけどまだ調整が終わってないからこの作戦は陸戦型ガンダムで我慢してね。次にベリアル准尉はジムスナイパーカスタムね。これは完全に遠距離対応の機体。機動性は悪くは無いけど運動性は悪いから近付かれたら終わりだと思っといて。」
「ベリアル、お前の面倒は俺がしっかりと見ててやんよ。ヌヘヘ。」
「面白い奴だな、気に入った。後ろから撃つのは最後にしてやる。」
「はぁ、お二人さん?もういいかい。説明に戻るよ?マリア兵長の機体はガンキャノン。V作戦で開発された機体だね。中近距離対応の機体、ビームサーベルは搭載されて無いから接近されたら殴ったりして対処してね。ユリス兵長の機体はジムストライカー。こっちは完全近距離対応で射撃武器は15mmサブマシンガンかATCショットガンの選択だね、ウェポンラックが無いから携行だけになるよ。近接武器はビームサイズにビームサーベル、高周波ナイフと豊富に取り揃えております。」
最後を茶目っ気たっぷりに言い放ったメイール。
てか、癖のある機体が多いな。ガンキャノンなんて指が三本しか無いし。
それを乗りこなすのも楽しみの内なんだがな。
「長くなったけど最後の機体だよ。エレーナ軍曹にはディザートジム。砂漠用と銘打ってあるけど寒冷地以外に移動適性のある素晴らしい機体ね。地上での使用のみを考慮して武装は実弾兵器のみになってるよ。リン上等兵はスタンダードなジムだね。コンピュータのアシストもしっかりしてるから彼のような経験の少ないパイロットでも十分に性能を発揮できるからね。これで終わりだよ。」
かなり長くなったがこれで全ての機体の説明が終わった訳だ。新しい機体に覚えることややるべきことが出来てこれから忙しくなるぞ。
「機体を受け取ったものから慣らし運転に行ってこい。それまでに輸送屋との打ち合わせを終わらせておく。じゃあな。行きましょう、大佐。」
そうして俺たちは司令塔の方へと歩いて行った。
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「第66補給大隊ミデア隊隊長のマチルダ・アジャンです。宜しくお願いします。」
会議室で俺たちを待っていたのは連邦地上軍の制服に身を包んだ美女だった。
歳は恐らく20後半だろうか。タイトスカートがよく似合ってる。
鈍く光っている肩の階級章を一瞥してから差し出された手を握る。
「ダウンフォール隊隊長のライプニッツ・ベルンシュタインです。こちらこそ宜しくお願いします、マチルダ中尉。」
「さて、早速で申し訳ないけど打ち合わせに入ってもいいかしら?…ありがと。こちらからそっちに出すミデアの数は10機。1機に対して1台のMSと整備士、それから使用する武器・弾薬を入れる。これで6機。残りは食料・医薬品・弾薬を運びます。到着予定日は明後日、ベルファスト基地に移動した後、大西洋艦隊と共にジブラルタル海峡を抜け地中海に進出。イスタンブールを通過した後は作戦開始日時まで黒海内で待機。」
頭の中で世界地図と勢力図を思い描いて危険地帯を考える。
ジブラルタルはアフリカ側、地中海はとマルタ島。エーゲ海全域にイスタンブール。
かなり厳しい戦いになるな。
「質問が無ければこれで失礼させていただきます。WB隊への補給物資の準備もしないといけないので。」
補給部隊ってのも忙しいんだな。
同じ部隊から2つの戦域に飛ばされるなんて。
十分な護衛も付かないから生還率も悪いしな。
「貴重な時間を頂きありがとうございます。」
「こちらこそ。私は前線に出ませんがあなた方の勝利を願っています。」
「えぇ、期待しておいて下さい。」
こうして俺たちはそれぞれの戦場へと向かう。
マチルダを出来心で出しましたが史実通りWB隊の補給に行ってオルテガに叩き潰されます
てか、マチルダさんこんな感じだったけな?