この車に乗るのは何回目でしょうか。
横須賀に着任する時に1回。
八駆のみんなと買い物に行った行き帰りで2回。
これで都合、4回目ですね。
ですが、見るたびに、内装が凄く……いえ、酷くなってるような気がするのは気のせいでしょうか。
ちなみに今は、天井に取り付けられてあったモニターが小型のシャンデリアに変わり、左の後部ドアを除いて内装をぐるりと囲うように乗せられたソファー。しかも、シートベルト&マッサージ機能付き。
運転席と助手席の間には小型の冷蔵庫。床には高そうな絨毯が敷かれています。
悪趣味な成金が好みそうな内装ですね。
と言うか、これって車検に通るのでしょうか。
「どっすか?今回はVIP送迎仕様っす!」
引率兼護衛は、例によってモヒカンさんと金髪さん。好きな人は好きなんでしょうが、私はちょっと苦手です。
「趣味が悪いですね。赤一色で、目がチカチカします」
ここまで真っ赤にしなくても良かったんじゃないでしょうか。
神風さんなんか、内装の色と同化してどこにいるかわかりません。まあ、わかりたくもないですけど。
「え~~、いいじゃないっすか。情熱の赤っすよ?赤い彗星っす!」
その彗星はどこを目指しているのでしょうか。
どこかを目指すだけなら良いですが、変なコンプレックスを抱えていませんか?正直、私にはお金の無駄使いにしか思えません。
「ところで、お嬢が妙に大人しいっすけど、何かあったんすか?」
「さあ?さっきまでは普通でしたが……」
そう言えば静かですね。
車に乗るまではブツブツと文句を言っていたのに、今は一言も喋らない上に背景と同化してるのも手伝って、本気で探さないとどこにいるのかわかりません。
「ま~たオヤジに怒られて凹んでんじゃねぇのか?」
「凹む?神風さんがですか?」
「お嬢は神経が恐竜並みに図太いからな。時間が経ってから凹むんだよ」
にわかには信じられません。
神経が恐竜並みに図太いのくだりは金髪さんに同意しますが、司令官に怒られても反省も後悔もしそうにない神風さんが、怒られたくらいで凹むなんてありえるんですか?
「もしかして、怒鳴られたんっすか?」
「うん……」
あ~……確かに怒鳴られてましたね。
私的には司令官の怒鳴り声が聞けてラッキーでしたが……ってぇ!すぐ隣に居たんですか!?
声がするまで全く気付きませんでしたよ!
「何よあのクソ親父……。そりゃあ、ほどほどにとは言われたけど、力尽くで黙らせろって言ったじゃない……」
意外ですね。
口にしている台詞は不満そのものですが、様子を見る限り反省しているようです。
と言うか、体育座りして顔を伏せてたんですか。
それで顔が隠れて、余計に見つけづらくなってたんですね。
「悪かったと反省しているのなら、どうして素直に謝らなかったんですか?」
「うっさい!アンタには関係ないでしょ!」
あらまあ、ベソまでかいてたんですね。
は、置いといて……。
「関係ならあります。司令官を困らせる人は、誰であろうと私の敵ですから」
「私にボロ負けした奴が息巻くな!アンタは知らないでしょうけど、私と先生は……!先生は……」
何ですか?
神風さんが司令官から娘のように想われていて、同棲して同衾して下のお世話までしてるのは知っています。
それ以外に何かあると言われたらお手上げですが、それ以外にないのなら、なんと続けようとしたのか想像できます。
「親子。だから、親子喧嘩に口を挟むな。ですか?」
「ち、違っ……。私と先生はそんなんじゃない!」
「そうですか?少なくとも私の目には、反抗期の我が儘娘と、その尻拭いに苦労する父親に見えましたが?」
「違うって言ってるでしょ!私は先生のことをお父さんだなんて……!」
「想ってるけどそう呼べない。ですよね?」
口をつぐんで睨むだけしかしない様子を見るに、私の想像は大方合っているようです。
でも、どうして神風さんは、司令官をお父さんと呼ばないのでしょう。
司令官も神風さんを娘だとおっしゃっていましたし、神風さんも呼べないだけでそう想っている。
まさか、父親として以上に男性として愛している?
それなら納得できます。
お父さんとは呼びたいけど、一人の男性として愛しているから呼びたくないんじゃ……。
「朝潮さん。それくらいにしてやってくれっす。詳しくは言えないっすけど、お嬢とオヤジの関係はそんなに単純じゃないんっすよ」
「ちょ……。角ちゃんまで口出ししないでよ!」
「そういう訳にはいかねぇっすよ。自分は、お嬢が泣いてるとこなんて見たくないんっすから」
「なっ……!」
角ちゃんって誰ですか?モヒカンさんのことですか?
モヒカンさんのどこをどうすれば、角ちゃんなんてあだ名になるのかはわかりませんし興味もありませんが、神風さんが司令官を男性として愛してるという考えが杞憂というのはわかりました。
「でもお嬢。オヤジが怒鳴るってことは、それだけやり過ぎたって事っす。帰ったら、ちゃんと謝るんっすよ?」
「わかった……」
おやおや?
モヒカンさんの言うことは素直に聞くんですね。
それに、モヒカンさんに窘められた神風さんは拗ねてると言うより照れてるって感じですし、もしかして二人は……。
「付き合ってるんですか?」
「はぁ!?わ、私と角ちゃんが!?ないから!絶対にないから!」
「でもあだ名で呼んでますし、神風さんもまんざらじゃなさそうじゃないですか」
今も「あ、違っ、違わないけど違う!」などと、訳のわからないことを言ってますし、モヒカンさんは泣きながら「全否定っすか……」と、ため息交じりに呟いています。
「まあまあ、ホントに勘弁してやってくれよ朝潮さん。コイツらの場合はお互いが素直じゃねぇだけだが、オヤジとお嬢の関係が複雑なのは本当だからよ」
ええ、構いませんよ。
神風さんは曲がりなりにも反省していますし、司令官に父親以上の感情を抱いていない可能性も高くなりましたので、これ以上は何も言いません。
「はぁ……。横須賀に戻ってからろくな事がないわ。アホどもには喧嘩売られるし、小間使いはやらされるし、変な誤解はされるし……」
「神風さんは、上位艦種の方々が嫌いなんですか?」
「アンタも嫌いよ」
「私も神風さんが嫌いだからお互い様です。で、どうなんですか?」
「アンタ、良い根性してるわね……」
ええ、私は自信こそないですが、根性はある方だと自負しています。
まあ、根性だけあっても、結果が追い付かなければ意味がないのですが……。
「ホント、面倒臭い子」
「面倒臭いとは失礼な。神風さんの方がよほど面倒臭いですよ」
「あ~、はいはい。どうせ私は面倒臭いですよ」
「あら、自覚はあったんですね」
「ええ、自覚がないアンタと違ってね」
ん?それは私も面倒臭いってことですか?
それは心外です。
私は満潮さんと違って素直ですし、神風さんと違って暴れたりしません。
故に、私は面倒臭くありません。
あ、面倒臭いと言えば……。
「あの戦舞台とか言う技は面倒臭いです」
「唐突に話題を変えるわね。文脈とか考えないの?」
「面倒臭い繋がりなので問題ありません」
今思い出しても
あの技は、性根がひん曲がった神風さんそのもののような技ですよ。
私なんかでは、相手に何もさせずにハメ殺そうなんて考えすらしないでしょう。
「アンタもしかして、アレは卑怯だ。とか思ってるの?だったらその考えは捨てなさい。正々堂々なんて綺麗事言ってたら、駆逐艦の身で長生きなんてできないわよ」
それはわかっています。
それと誤解されたようですが、私は卑怯だなんて思っていません。
勝つためなら。いえ、目的を達成するためなら何でもやるべきです。
その気概が、頭にはきましたがあの技から感じられました。
アレはきっと苦肉の策。
正々堂々としていては決して倒せない相手を、それでも倒そうと神風さんが考え出した苦肉の策です。
「まあ合ってるけど、アンタに見せたのは旧バージョンだからね?」
「じゃあ、最新版があるんですか?」
「あるけど教えてあげない。第一、アンタじゃ覚えたところで
そもそも戦舞台自体使えないのですが……。
ん?ちょっと待ってください。
使う手段がないってどういう意味ですか?
朝潮型と神風型の艤装の構造の違いによって使えないのでしょうか。
それとも別の、もっと違う要因のせいで使えないのですか?
「そろそろ着くぞお嬢。ロータリーで待ってれば良いか?」
「いいんじゃない?私と朝潮で迎えに行ってくるから、適当に待ってて」
疑問が解消されないまま、二人を車に残して車を降りると、後から内装と同化していた神風さんがニュッと出て来ました。
本当に、何の前触れもなしで出て来たように見えたからビックリしちゃいました。
「なんだか視線が痛いわね。きっと、あの二人の人相が悪いせいだわ」
それもあるでしょうが、神風さんが派手過ぎるんじゃないですか?
ただでさえ時代錯誤な女学生スタイルに、全身ほぼ真っ赤なんですもの。人目を引かない方が無理な話です。
「さてと、辰見は何処ほっつき歩いてんのかしら」
「その辰見さんの外見は、流石に覚えてるんですよね?」
「変わってなければね」
そっか、艦娘を辞めた時点で艤装による成長の抑制も解除されてるはずですから、外見が変わってる可能性もあるんですね。
「あ、あそこのベンチに座ってるお婆ちゃんに聞いてみましょ?って言うかあのお婆ちゃん、歳の割に短いスカート履いてるわね」
それは失礼すぎでしょう。
お歳を召されていても短いスカートを履きたくなることはあると思いますよ?
「ねえねえお婆ちゃん。この辺で眼帯した柄の悪そうな女、見なかった?」
知り合いか!
と、ツッコミたくなるほど馴れ馴れしく話かけましたね。目上の人にはもう少し敬意を持って……ん?今気付きましたが、あのお婆さんって頭に何か乗せてません?
いや、浮いてる?なんだか見覚えのある機械的な塊が、二つほど頭の上に浮いているのですが……。
「誰がお婆ちゃんよ!私、まだ十代なんだけど!?」
この声にこの口調。それに感情と連動しているような頭の塊の動き。
間違いありません。あの人は十中八九……。
「え?あ、本当だ。髪が真っ白だからお婆ちゃんかと思っちゃった」
「いきなり失礼過ぎない?アンタこそ何よその格好!百年くらい時代を間違えてるわよ?」
やっぱり叢雲さんでした。
来るなら来るで、連絡の一つくらいくれたらよかったのに。
「しょうがないじゃない。後ろから見ると、発情期がぶり返したお婆ちゃんにしか見えなかったんだもの」
どうして煽るんですか?
なんでそこで、わざわざ火に油を流し込むような事を言うんですか?おバカなんですか?
「誰が発情期のババアよ!アンタだって何よその色!全身真っ赤じゃない!赤ペンキを頭から被る趣味でもあるの!?」
叢雲さんも煽り返さないでください。
ただでさえ目立つ格好をしている二人が揉め始めたせいで、通行人の方々が何事かと注目していますよ?
「誰が時代錯誤の赤色愛好者だ!私を三大コンプレックス抱えてる変人みたいに言わないで!」
いや、そこまで言ってません。
とは言え、そろそろ止めないと取っ組み合いのケンカになりそうですね。
ん?ですが、誰が止めるのでしょう。
もしかして私が止めるのですか?あの二人を?
無理無理無理無理。
下手に割って入ろうものなら、両方から攻撃されかねません。
ここはモヒカンさんか金髪さんに頼むしか……。
あれ?なんですかお二人とも、そのガッツポーズは。
そんな、いかにも「朝潮さんガンバ!」みたいな顔しないでください。
無理ですからね?
あそこに飛び込むくらいなら、深海棲艦で埋め尽くされたプールに裸でダイブした方がまだ生き残れる気がしますよ。
「ほらほら二人とも、その辺にしときなさい?他の通行人に迷惑でしょ?」
まさに天の助け!
どなたでしょうか、あの怒れる猛獣二人を止めに入った勇者様は。
「邪魔すんな!今からこの白髪発情女をぶちのめすんだから!」
いや、別に叢雲さんは発情してるからそんな格好してる訳じゃなくてですね。艦娘には、もっとすごい格好してる人もいますよ?
「誰が白髪発情女だ!この、時代錯誤の赤い変態が!」
よかったですね神風さん。
なんだか通常の三倍の速度で移動できそうな異名を付けて貰って。
あ、間違っても、難癖つけて隕石とか落とさないでくださいね?
「神風は相変わらずね。叢雲もやめときなさい。アンタじゃ、逆立ちしたって敵わないから」
逆立ちしたら余計敵わないのでは?
あ!もしかして叢雲さんはカポエイラの使い手!?その格好でカポエイラはまずいです!下着が丸見えになります!
「叢雲って言ったっけ。取りあえず、あそこでバカな事考えてそうなバカをどうにかしない?」
「同感だわ。酸素魚雷を食らわせてやる」
なんで私に矛先が?
二人の喧嘩が止まったのは良いことですが、私に矛先を向けないでください。
叢雲さんなんか実際に、どこから取り出したのかわからない艤装の槍を向けてるじゃないですか。
「だからやめなさいって。ほら!そこのモヒカンと金髪!さっさとこの子ら乗せてズラかるわよ!」
「ちょ!言い方!」
「俺らの風体プラスハイエースでそのセリフは洒落にならねえ!」
何が洒落にならないのでしょう。
あ、お巡りさんがこっちに来ていますね。
何か悪いことでも……あ、路上駐車ですね。それが違反だとわかっているから、洒落にならないとおっしゃったんでしょう。
「げっ!やべえ!朝潮さん早く乗って!」
「そっちの三人も早く!こんな事で職質なんかされたくないっすよ!」
私は車から飛び出て来たモヒカンさんに担がれてハイエースに放り込まれ、それに続いて勇者様が両脇に神風さんと叢雲さんを抱えたまま乗り込みました。
はたから見たら、私たちが誘拐されてるように見えたかも知れません。
「危なかったわね。警察が来てたわ。きっと二人の喧嘩を、誰かが通報したんでしょうね」
「違ぇよ!間違いなくその後の事で来てたんだよ!」
「うわ、マジでやべぇっす。パトカーが出動したみたいっすよ。え~と何々?怪しい三人組が少女三人を車に連れ込み逃走中?自分ら誘拐犯にされちゃったっす!」
モヒカンさんはどうやってその事を?耳にイヤホンを当てていますが、もしかして無線を傍受してるんですか?
「まったく、神風と叢雲のせいで観光の予定がパーね」
「「間違いなくアンタのせいだ!」」
モヒカンさんと金髪さんのダブルツッコミが炸裂。それよりも金髪さん、前を見て運転してください。
「で、あんたは誰なのよ」
はて?神風さんを知ってるみたいですから、この人が辰見さんなのでは?
彼女は柔和で子供に好かれそうな笑顔に、上から下までビシッとスーツで決めて髪は薄く紫がかかったセミロング。左目の黒の眼帯さえ気にしなければ、キャリアウーマンと言っても通用しそうな人です。
「戦友を忘れるなんて酷くない?辰見よ。私を迎えに来たんじゃないの?」
「うえっ!?アンタがあの天龍!?嘘、信じられない!」
そんなに変わってるんですか?数か月で?艦娘だった頃はどんな人だったんでしょう。
「そんなに変わった?」
「変わったわよ。まるで別人だわ。艦娘だった頃の一人称は『オレ』だったし、中二病だったじゃない」
「誰が中二病よ!た、たしかに、そういうところがあったかも知れないけど、中二病と言われるほどじゃなかったはずよ!」
「いやいや、「奴にやられた左目がうずく……間違いない!奴が近くにいるぞ!」とかよく言ってたじゃない。人が大勢いる場所で」
「やめて!私の黒歴史を音読しないで!」
「他にもあるわよ?「今宵の俺は一味違うぜ!」って昼間に言ったり」
「や~め~て~!昔の自分を殴りたい!口が利けなくなるまで殴りたい!」
「辰見さんって、そんなに痛い子だったのね……」
え?満潮さんが見てるアニメで似たような台詞を聞いたことがありますが、カッコイイじゃないですか。
それなのに、どうして叢雲さんはそんなに辰見さんから距離を取ろうとしてるんですか?
「痛い子って言わないで!たしかに昔は痛い子だったかもしれないけど、今はまともだから!」
「極めつけはアレね。「おい、俺の後ろに立つんじゃねぇ。間違って斬っちまったらどうするんだ」って、駆逐艦が全身にしがみついてる状態で言った時」
「アハハハハハハハハ!!後ろどころか全身!!うわカッコ悪!!辰見さん、それはないわぁ」
「もうやめて……。憎い……。中二病を患っていた自分が憎い……」
チュウニビョウとは何でしょうか
病気の一種ですか?病気に負けずに戦い続けてたなんて、凄い人じゃないですか。
「ねえ神風?この子、何か勘違いしてない?羨望の眼差しで見つめられてるんだけど」
「放っておいていいわ。その子、基本ポンコツだから」
またポンコツって言われた。
酷いですよ神風さん。すごい事をした人に憧れるのは当然じゃないですか?
「なあ、さすがにあのパトカーの数は洒落にならなくないか?」
パトカー?そういえば出動したってモヒカンさんが……。って、何ですかアレ!バックドアの外が真っ赤です!内装が真っ赤だから気づきませんでした。
「十台は軽く超えてるっすね。どうするっすか?これ……」
「大人しく一回止まっとくか?鎮守府の関係者だって言やぁ、警察も手ぇ引くだろ」
それが無難ですね。
あまり騒ぎを大きくすると、確実に司令官に迷惑がかかりますから。
「え~、それじゃつまんない」
「情けないわねぇ。たったこれだけのパトカーに追われたくらいでビビッちゃって」
「そうよそうよ。撒いちゃえ飛車丸。ドラテクは奇兵隊で一番でしょ?」
運転が上手いとは思ってましたが一番だったんですね。ですが、いくら運転が上手でも、このパトカーをこの車で振り切るのは無理なのでは?
「いや、それはそうだけどよぉ。あとでオヤジに何言われっかわかったもんじゃ……」
「そうよねぇ。提督は怖いもんねぇ。じゃあ諦めましょう神風。コイツ、見た目だけの腑抜けだわ」
「仕方ないわね。先生を怒らせたら怖いのは知ってるから勘弁してあげるわ。このビビり」
お二人とも、これでもかと言うほどわざとらしく煽りますね。ルームミラー越しに見える金髪さんの額に、青筋が浮いてピクピクしてますよ?
「あ、相棒?間違っても……」
「……って……じゃねぇか」
「相棒!?」
「やってやろうじゃねぇかコノヤロー!そんなに言うなら見せてやんよ俺のドラテク!ビビって小便漏らすんじゃねぇぞコラァァァァァァ!!!!!」
金髪さんがキレた!?何てことしてくれたんですか二人とも!
おかげでいつもの丁寧な運転ではなく、まるでオフロードでも走ってるような乱暴な運転になっちゃったじゃないですか!
「オラオラどうしたマッポどもがああ!!俺を止められるもんなら止めてみろやああああああ!!」
「四人ともシートベルト締めてくれっす!特に朝潮さんはしっかりと!」
「え?あ、はい!」
「あ~あ。後で先生に怒られるわね」
「可哀想にね~」
いやいや、完全に二人が煽ったせいですよ?
と言うか、なんでお二人はこの揺れでそんなに平然としてられるんですか?私は酔ってきてるのですが……。
「ところで、あなたが二代目の朝潮よね?」
「は、はい!駆逐艦朝潮です!よろしくお願いします!」
「ふぅん……」
なんでしょう。
辰見さんの目が急に険しくなった気がします。
それに、神風さんを怒鳴った時の司令官の目に、ちょっとだけ似てる気もします。
私は何か、彼女の気に障ることをしたのでしょうか。
「ちょっと辰見さん、朝潮を値踏みするのやめてあげてよ。辰見さんのその目、怖いんだから」
あ、値踏みされてたんですか?
私はてっきり、何か失礼をして怒らせたんだと思っていました。
だって、司令官が神風さんに向けたのとは段違いに弱い眼光でしたが、それでも似ていましたから。
「ごめんなさい。面白そうな子だったからつい……ね」
叢雲さんに諭されて、元の笑顔に戻った辰見さんが私に右手を差し出して来ました。
ですが、思っていたよりも気圧されていたらしく、辰見さんの右手を取ろうとする私の手が震えて握り返すことができません。
この人からは、神風さんと同じ感じがします。
柔和な笑顔はおそらく仮面。
きっと、神風さんと同じように多くの戦場を渡り歩き、私とは比べ物にならないほどの死線を越えてきた古強者です。
そして、気圧されている私の様子に気づいた辰見さんは、少しキョトンとしたあと少しニヒルな笑顔で……。
「よろしくね朝潮。私は提督補佐の
と、背筋が寒くなるような笑顔で自己紹介してくださいました。
投稿時間は何時くらいが良いですか?
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朝 6:00~7:00
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昼 11:00~12:00
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夜 19:00~20:00
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何時でも良い