艦隊これくしょん ~愛を込めて、花束を~   作:哀餓え男

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明日から仕事が忙しくなるので、投稿時間が少し遅くなるかもしれません( ;∀;)


第八十八話 憲兵さぁぁぁぁん!

 

 

 

 本日はハロウィンである。

 ごく稀に誤解してる人がいるから一応説明しておくけど、ハロウィンはキリスト教のお祭じゃないわ。

 毎年10月31日に行われる古代ケルト人が起源と考えられている祭のことで、もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事だったそうよ。

 現代では特に米国で民間行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いはほとんどなくなってて、カボチャの中身をくりぬいてジャック・オー・ランタンを作って飾ったり、子どもたちが魔女やお化けに仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりするお祭りになってるわね。

 

 「私からすれば、騒がしいだけの迷惑な日だけどね」

  

 ここ横須賀鎮守府では、駆逐艦たちが上位艦種の部屋を訪ね歩いてお菓子を貰い、食堂に集まってお菓子パーティを開くのが恒例となっている。

 お菓子を抱えてご満悦の駆逐艦たちを見ていると心が和む。なぁんて、通報しようか悩むような台詞をお父さんは毎年吐いてるわ。

 去年は長門の部屋が特に人気だったっけ。

 自分の部屋をお菓子で埋め尽くし、笑みを浮かべて駆逐艦たちに囲まれる様は教会のシスターを思わせるほどだったわ。

 部屋の中で、お菓子に埋もれたむっちゃんに少し同情はしたけどね。

 

 「お菓子のことを考えたら、お腹空いてきたなぁ……」

 

 それと言うのも、お父さんが朝潮と大潮の決闘に立ち会いに行ったまま帰って来ないから、晩御飯がお預け状態なのよ。

 演習場の方から派手な爆発音が聴こえて以来静かなもんだから、そろそろ帰って来ると思うんだけどなぁ。

 

 「ダメ!我慢できない!」

 

 晩御飯はお父さんと一緒に食べたいから、こうなったらお菓子を貰いに行こう。

 ああでも、こういう日って憲兵がうろついてるのよねぇ。

 それと言うのも、駆逐艦になるような子は戦災孤児がほとんどだから、知らない人について行ってはいけませんなんていう、ごく普通の躾さえ満足にしてもらえなかった子もいるの。

 そんな日に、お菓子を抱えた変質者でも現れてご覧なさい。躾のなってない駆逐艦なら、ハロウィンだからお菓子をくれるんだろうとホイホイついて行ってしまいかねないわ。

 トリック オア トリートどころかトリック アンド キドナップされちゃうかもしれない。

 

 「あら、見慣れない駆逐艦ね♪ぱんぱかぱ~ん♪」

 

 何だこれは。

 部屋を出て階段に差し掛かるなり、三階にある上位艦種用の寮から山と谷が同時に降りて来……るわけないわね。あまりにも見事な巨乳だから、頭が軽くバグっちゃったわ。

 って言うか、コイツ誰だっけ?

 

 「凄い格好ね。それで参加するの?」 

 

 その格好は一言で言うなら魔女。

 しかも、男を誘惑する事に特化した魔性の女。

 頭はよくある魔女風のとんがり帽子だけど、服装が色気の塊のように見えるわ。

 具体的に言うと、胸元と背中が大きく開いた……と言うか胸元は半分近く出ていない?と言いたくなるようなベビードール。丈は膝上20cmと言う超ミニ!

 ハッキリ言って、ほとんど下着と言っても過言じゃないわ。

 もしコレを男が目の当たりにしたら、思考とは関係なく「本当に素晴らしい!」と、叫んじゃうんじゃないかしら。

 もし大湊の提督でもいようものなら……。

 「黒一色の服装だが、それが逆に彼女の白い肌ときらめくような金髪を際立たせている。黒は女を美しく見せると言ったのはどこのパン屋の女将さんだったか……。思い出せないが、あなたの言ったことは正しかったですよ。あの胸元から突き出ているパンに齧りつきたい衝動を抑えつけるのがこれ程辛いと思ったことが今まであっただろうか。いや、ない!」

 なんて、無駄に長々と語っちゃうんじゃないかな。

 

 「今日はハロウィンですものぉ♪私も羽目を外したくって~♪あなたは大正女学生のコスプレ?」

 「コスプレじゃない」

 

 これが私の制服なの。

 私みたいに、普段は庁舎内で気配を消してるんならともかく、そうじゃない朝風たち第五駆逐隊はみんな同じ服装なんだから見たことくらいあるでしょ?

 それとも、ないのかしら。

 

 「そっちは外し過ぎじゃない?艦娘だけならいいけど、男がほとんどの憲兵さんもうろついてるのよ?」

 「憲兵さんなら大丈夫よ~♪取り締まる立場なんだから、変な事は考えないでしょう?」

 

 いや、どうだろう。 

 てるてる坊主の件で、憲兵さんが隊ぐるみで変態行為に及んでるってことがわかってから、私は憲兵さんを信用してない。

 その恰好のまま詰め所に連行されて椅子に縛り付けられ、泣いて許しを乞うまで、尋問と言う体裁を被せた魔女裁判くらいはされるかもよ?

 その格好は、連行する絶好の口実にできそうだし。

 

 「それに~、女は見られてなんぼじゃない?」  

 

 じゃない。

 そりゃあ私も女の端くれだから、お洒落した時くらい誉められたいし見惚れさせたいって気持ちはわからなくもないわ。

 でも、それはあくまで好きな人限定。

 赤の他人の、モブと言ってもいい男どもに見惚れられたって嬉しくもなんともない。

 

 「あっそ。じゃあ、とっとと男でも狩りに行きなさいな」

 「んもぅ、見た目によらず堅物なのね」

 

 と、言い残して牛乳女は一階へと降りて行ったけど、見た目によらずってどういう意味?

 もしかして私って、他人から見たら発情してるように見えるの?どうして?赤いから?

 

 「ん?あれはお父さんと八駆の四人じゃない?」

 

 窓から、工廠へ向かって歩く五人が見えた。

 タイミングが悪かったわね。

 和気藹々としたあの様子なら、あのままパーティーに顔を出してそのまま晩御飯まで食べちゃうかもしれないわ。

 

 「神風じゃない。もしかしてパーティーに行くの?」

 

 庁舎に向かって歩く五人を見ていたら、お菓子を抱えてご満悦そうな叢雲と天奈が階段を上がってきた。

 叢雲はともかく、天奈はお菓子をあげる側なんじゃない?

 

 「小腹が空いたからお菓子を貰いに行くだけよ。そう言う天奈は、もう帰るの?」

 「人が増えて来たからね。それに、叢雲も満足したっぽいし」

 「満足はしてないわ。ただ、持ちきれなくなったから一度置きに戻るだけ」

 

 さいですか。

 それにしても、さっきの牛乳女も凄い格好だったけど、天奈も負けず劣らず凄い格好してるわね。

 一言で表すならラムちゃん?

 頭に角がついたカチューシャをつけて、虎柄のビキニにブーツを身につけた姿は正にラムちゃんだわ。

 語尾に「だっちゃ!」ってつけてくれないかしら。

 そして叢雲はと言うと……。

 うん、可愛らしいとは思う。

 頭のアレを耳に見立てて、丈の短い黒いワンピースに猫の手を模したグローブ。

 たぶん、黒猫の仮装じゃないかな。

 ちゃんと尻尾もついてるわね。

 どうやって付けてるのかは気になるけど、どこにどう付けてるの?とは聞かないのが大人の対応ね。

 

 「叢雲の友達作りも兼ねてね~♪この子、朝潮と満潮くらいしか、友達って呼べるような子いないから」

 「ちょっ……!はぁ、もう…いいわ」

 

 ジト目で天奈を睨んで、叢雲は何かを諦めたようにため息をついた。

 言われてみれば確かに、友達が少なくても不思議じゃない感じね。

 まあ、話に出てきた二人も友達は少なそうだけど。

 

 「じゃあ私たちは行くわね。神風もパーティー楽しんで」

 

 楽しむつもりはない。

 いつも通り気配を消して忍び込んで、両手に抱えられる程度のお菓子を入手したら部屋に帰るわ。

 ところで、叢雲の頭のアレと尻尾が嬉しそうにフリフリしてたんだけど、頭のアレは艤装だからともかく、あの尻尾も艤装だったのかしら。

 それともまさか、あの子って素で尻尾が生えてるとか?

 

 「いや、どこの野菜人だ」

 

 と、ついついノリツッコミしちゃったのは置いといて、気を取り直して食堂に向かいましょう。

 ああでも、この調子だともう一組か二組は出会いそうね。

 

 「まともな仮装なら良いんだけど……って、さっそくか」

 

 一階に降りると、ドラキュラの格好をした左門兄と、ミイラの格好をした由良が食堂に向かって歩いてるのが見えた。

 いや、あのさ。左門兄。

 それって完全にチョイスを間違ってるわ。

 どうしてソレを選んだ!?って、盛大にツッコミたいくらい似合ってない。

 左門兄なら、フランケンシュタインの方が絶対に似合ってたわよ。

 

 「ん?珍しいな神風。お前もパーティーに行くのか?」

 

 うるさいフランケン。

 私がパーティーに顔出しちゃダメなの?

 って言うか、どうして若干前屈みなの?どうしてマントで、股間を重点的に隠してるの?その辺を説明してくれると私、嬉し……くないか。

 

 「こりゃまた、とんでもない格好ね」

 

 左門兄が前屈みかつ、マントで股間を隠しいているのは間違いなく由良のせい。

 左門兄とは違う意味で、どうしてソレを選んだ!?ってツッコミたいわ。

 ハッキリ言って、これまでで一番イヤらしい。

 いや、純粋にエロい。

 全身に包帯しか巻いてないその姿は、刺激が強いなんて騒ぎじゃないわ。

 露出度だけで言えば大したことはないのよ?だって、顔しか素肌は出ていないんだから。

 でも、ピッタリと肌に貼り付いた包帯が「露出度?何それ」と、言わんばかりに由良を煽情的に仕立て上げてる。

 言っとくけど、由良は牛乳女ほど胸部装甲が豊かな訳じゃない。

 だがしかし!

 ピッタリ貼り付いた包帯が由良のスレンダーボディをこれでもかと際立たせまくり、胸の形に留まらず乳首やお尻の割れ目、さらには鼠蹊部(そけいぶ)のラインを美しく魅せている。あ、鼠蹊部がどこかわからない人は誰かに聞いてね。

 さらに、包帯の隙間からわずかに見える素肌も高ポイントね。

 もうコレ、全裸よりエロいでしょ。

 

 「左門兄……」

 「言うな神風。わかってるから何も言わないでくれ」

 「あ、はい」

 

 と、言いながら赤面してうつむく左門兄は、由良を伴って食堂へ向かった。

 由良も攻めるわねぇ。

 あんな格好で攻められたら、風俗くらいでしか女に触れたことがない左門兄じゃあコロッといっちゃうわ。

 

 「私も、あれくらい攻めた方が良いのかなぁ……」

 

 誰にとまでは言わないけど、私が煽情的な服装になったら興奮してくれるのかしら。

 それとも、「また拾い食いでもしたんっすか?」なんて言われて喧嘩になるかな。

 

 「ああでも、この体型じゃあなぁ……」

 

 肉体年齢の割には整ってるという自負はある。

 でも、牛乳女や天奈を見たあとじゃあボリューム不足感が否めないわ。

 ん?ボリュームと言えば、会う人の胸のサイズが段々と小さくなっているような気がする。

 いや、絶対に小さくなってる。

 と、言うことは、次に来るのは駆逐艦かしら。

 それとも、由良より胸のサイズが小さい軽巡以上の艦種かな?

 でも、由良より胸が小さい上位艦種って言ったら、私が知る限り那珂か利根、阿武隈くらいしかいない。

 本人たちがいないから言わせてもらうけど、体型的には駆逐艦と大差がないわ。

 利根は普段着がかなり煽情的だけど、いかんせん見た目と中身のお子様っぷりでせっかくのイヤらしい恰好が無駄になってしまっている。

 アレが良いんだと言う輩も居ないわけではないんでしょうけど、大多数の男の好みからは外れてるんじゃないかな。

 那珂は……普段が普段か。

 ライブをやるのは構わないんだけど、せめてお父さんの許可くらいはとってやった方が良いと思う。

 何年か前に、あまりにもうるさいから「許可くらい取ってからやりなさい!」って注意したら『那珂ちゃんファン倶楽部』と名乗る奴らに追いかけ回されたっけ。

 そのせいで、私は那珂のファンになると言う選択肢を投げ捨てました。

 

 「ん?誰か来てる」

 

 寮の入り口から。

 外から来るってことは、今まで訓練なり出撃なりしてた誰かってことね。

 ってことは、仮装してる可能性は低……。

 

 「お嬢じゃないっすか。チーっス!」

 「こんな時間に何してんだ?ハロウィンだからって悪戯か?」

 

 うん、とりあえずサイズが小さくなるどころか無くなった。だって、外から来たのは艦娘じゃなくて馬鹿二人だもん。

 しかも、格好が最悪。

 飛車丸の方は、ばい菌を擬人化したような全身黒タイツに右手にフォーク。フォークと言っても、槍のような長さのフォークじゃなくて普通のサイズのフォークよ。

 そのフォークで何を召し上がるつもりよ!と、ツッコんだら負けな気がするからツッコまない。

 でもまあ、飛車丸の格好はまだマシね。

 気持ち悪いけどまだマシ。

 問題は角ちゃん。

 頭には犬耳、上半身は裸で下半身はでかいカボチャパンツ。足にはダイビング用の足ヒレ。

 それは何の仮装?

 変質者の仮装なんて聞いたことがないんだけど?

 しかも、飛車丸と合わせたのか知らないけど、右手に普通のスプーンをこれ見よがしに持ってる。

 だから、そのスプーンで何を召し上がる気よアンタわ!と、ツッコんだら負けよ神風。

 ここは冷静かつ冷徹に対応しなきゃ。

 

 「一応聞くわね。何?その格好」

 「いやぁ、適当に集めたハロウィングッズ着たらこうなっちゃいまして。でもイケてるっしょ?」

 「俺もそっちのが良かったんだけどなぁ。相棒の方が似合うから、俺は泣く泣く悪魔スタイルだわ」 

 

 なんで自慢気なの?

 どうして残念そうなの?

 お父さんを始めとして、奇兵隊の実働部隊に籍を置く奴はどいつもこいつもファッションセンスが皆無だけど、この二人は飛び抜けて無い。

 全裸の方がお洒落に感じるくらい無いわ。

 

 「お嬢もパーティーに行くんなら、一緒に行くっすか?」

 「行かない」

 「なんでだよ。愛しの角ちゃんが、今年一番のお洒落して誘ってくれてんだぞ?」

 

 え?今年一番のお洒落がソレなの?

 いや、あの……ええぇ……?

 その、私と角ちゃんって長い付き合いだし、死にそうになるほどの貧乏生活……で、良いよね?も、一緒に乗り越えたし、お父さんよりも私を心配し、同じくらい信頼してくれてる人よ?

 だから、けっして見た目で選んだ訳じゃない。

 じゃないけど……。

 私だって、人並みに普通のデートに憧れたりするのよ?

 例えば適当な場所で待ち合わせして、時間より早く来てるであろうあなたに「ごめ~ん。待った?」とか言ってみたいわけ。逆に私が早く着いて、謝りながら「待ったっすか?」って言うあなたに「ううん、今来たとこ」とか言ってみたいわけ!

 そのあと買い物したり食事したりしたあと、「今日は、遅くなっても大丈夫だから……」なんて、顔を赤らめながら言ってみたいわけ!

 なのに、角ちゃんの最高のお洒落がソレってどうなのよ。

 そんな格好じゃあ、待ち合わせ場所まで辿り着けないでしょ?

 着けたとしても、後ろに大量の憲兵さんなり警官なりを引き連れてそうだわ。

 

 「どうして私、こんな馬鹿を好きになっちゃったんだろ……」

 「ん?今、なんか言ったっすか?」

 「いや、普通に聴こえただろ。ラブコメの主人公並みの難聴か?」

 

 飛車丸は私の気持ちを察してくれたみたいね。

 それどころか、私がこれから取るであろう行動を予想したのか、ゆっくりと後退りしてるわ。

 しても逃がさないけど。

 

 「すぅぅぅ……」

 「ちょ、お嬢?どうして大きく息を吸い込んでんすか?それじゃあまるで、大声を出そうとしてるみたいじゃないっすか」

 

 ええそうよ。

 大声を出すの。

 出して、巡回してるであろう憲兵さんを呼び寄せるのよ。そして、拷問してでも修正してもらうわ。

 あなたの狂いに狂った、その美的感覚をね!

 

 「憲兵さぁぁぁぁん!憲兵さん助けてぇぇぇぇぇ!」

 「ちょっ!お嬢!?なんで憲兵なんかを……って、相棒!?どこ行くんっすか!?」

 「逃げるに決まってんだろ馬鹿!お前もとっとと逃げろぉぉぉぉ!?もう来やがった!」

 

 お?本当に来た。

 しかも一人じゃない。

 隊長っぽい人を先頭に、20人近い憲兵さんが押し寄せてるわ。

 

 「変質者二名を発見!総員!突撃ぃぃぃ!」

 「オオオオオオオオオオ!」

 「ちょ!変質者って酷くないっすか!?どっからどう見てもハロウィンの仮装じゃないっすか!」

 「どっからどう見ても変質者だ!ガタガタ言わずに憲兵詰め所まで来い!」

 「そりゃ横暴じゃねぇか憲兵さん!俺ら、まだ何もしてねぇぞ!?」

 

 見た目がすでに犯罪よ。

 大人しく連行されて、朝まで尋問なり拷問なりされてろバーカ!

 

 「隊長殿!こやつら手練れです!」

 「当たり前だ腐れ憲兵!こちとら奇兵隊の飛車角コンビだぞ!」

 「自分らを捕まえたかったら、あと100人は連れてこいっす!」

 

 あ、ヤバイこれ。

 十倍以上いる憲兵さんたちが押されてるわ。

 流石は腐りきっても奇兵隊の最強コンビね。

 この二人を少数で制圧できるのなんて、それこそお父さんか左門兄しかいないわ。

 

 「隊長!応援に来ました!」

 「間に合ったか!よし!この変態二人を拘束しろ!」

 「ふっざけんなコイツ等!放せ!放せこの野郎!」

 「ちょ!パンツは引っ張らないで欲しいっす!コレ気に入ってるんすから!」

 

 いつの間に要請したのか、隊長さんの応援要請で集まった憲兵隊……え~と、ひぃ、ふぅ、みぃ……。

 ざっと数えて80人の憲兵さんに、変質者二人は連行されて行った。

 憲兵さんって、あんなにいたのね。

 

 「はぁ……。帰ろ」

 

 最後のショックが大きすぎて、食欲が失せちゃったわ。

 それに、角ちゃん……と、ついでに飛車丸を憲兵さんに連行させたことに、少なからず罪悪感を感じてるし。

 でも……。

 

 「これは角ちゃんのためなんだから」

 

 と、自分に言い聞かせつつ、二人の「「お嬢の裏切り者ぉぉぉ!」」と言う苦情から逃げるように、私は階段を駆け上がった。

 

 

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