艦隊これくしょん ~愛を込めて、花束を~   作:哀餓え男

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仕事が忙しくて二部の執筆が進まない……は、置いといて。
サブタイトルで何となくお察しでしょうが、シリアスなんて欠片もありません( ・ω・)


第九十九話 インド人を右に

 

 

 最近、出番が少ない気がします。

 などという、訳のわからない不快感が胸中を渦巻く12月の初め。

 私こと朝潮は……。

 

 「はくちゅんっ!」

 

 何度目かも忘れるくらいしたくしゃみをしながら、庁舎の正面玄関で人を待っています。

 雪が降ってないだけまだマシ……と、天候に感謝すべきでしょうか。

 

 「遅いですね……」

 

 なぜ、私が正面玄関で一人我慢大会をしているかと言いますと、今日は鳳翔さんの副官になる予定の龍驤さんと言う人が着任される日なのです。

 だから、司令官から案内役を仰せつかったのですが……。

 

 「12:00(ひとふたまるまる)ですか……」

 

 この時間には着くと連絡があったから待っているのに、一向に来る気配がありません。

 司令官と、オマケの神風さんを交えての昼食をお預けにしてまで待ってるのですから、早く来てほしいのですが……。

 

 「おや?朝潮じゃないか。こんな所で何をしているんだ?」

 「あ、左門提督。こんにち……」

 

 笑っては駄目です。

 左門提督は、ただ立っているだけで場を和まし、笑いを提供できるくらいユニークな外見をしていますが笑っては駄目です。

 それは失礼に値します。

 

 「……誰かを待っているのか?」

 「ええ、今日着任される人がまだ来なくて……」

 

 よし、堪えました。

 左門提督が悲しげな顔をしたような気はしますが、私は堪えました。

 

 「それは朝潮型の子か?」

 「は?いえ、軽空母だと伺ってますが……」

 

 朝潮型の人は全員顔見知りですし、呉に居る霞たちがこっちに来るとも聞いてません。

 なんで左門提督は、そんな事を?

 

 「ああ、龍驤が着任するんだったな。ん?だがそれなら、鎮守府西門で見た見知らぬ朝潮型はいったい……」

 「西門で朝潮型を?」

 

 誰でしょう?

 第九駆逐隊は、今の時間は哨戒中ですし、大潮さんは由良さんのお手伝い。満潮さんは、私の代わりに秘書艦を代行してくれています。

 と、なると荒潮さんでしょうか。

 朝食後に、今日は集会だからぁ~とか言ってどこかに行ったままですから、左門提督は荒潮さんを見たのかもしれ……いや、ないですね。

 それなら左門提督は、『見知らぬ朝潮型』などと言わないはずです。

 

 「本当に、左門提督も知らない人だったんですか?」

 「遠目だったから自信はないが、自分は横須賀に居る艦娘の顔は知っているから、おそらく間違いない」

 

 ふむ、それは不思議ですね。

 左門提督が知らないと言うなら、横須賀の所属ではないという事です。

 軽空母の人が駆逐艦と間違われる事はないと思いますが、一応確認しに行ってみましょう。

 

 「その人は、西門にいらっしゃるんですか?」

 「いや、倉庫街の方へ行った」

 「わかりました。ありがとうございます」

 「行くのか?」

 「はい。運動がてら行ってみます」

 「そうか。なら、途中で猫の目に寄りなさい。自分のツケで、好きなものを頼んで良いから」

 「はい!」

 

 なんたる僥倖。

 左門提督の支払いで、好きなものを好きなだけ飲み食いできるようになりました。

 まあ、私は神風さんと違って少食ですから、好き勝手に飲み食いしたところで高が知れてますけどね。

 と、言うことで走り出した私が……。

 

 「あら?こんな物、ありましたっけ?」

 

 工廠の先の道を左に曲がると、道端に隠すように設置してある、手作り感が凄い小さな看板がありました。

 そこには……

 

 「倉庫街、インド人を右に?」

 

 と、書かれています。

 これは何かの暗号でしょうか。

 この先にインド人が居て、その人を右に曲がればいいのでしょうか。

 ん?インド人?

 それはもしかしなくてもダルシムのことでは?

 でも、倉庫街ってダルシムの先ですよね?右に曲がったら北に行くようになるんじゃないでしょうか。

 

 「と、とにかく行ってみましょう……」

 

 工廠から西側は、私にとって経験が薄いゾーン。

 あの看板はもしかしたら、私が知らない近道を示しているのかもしれません。

 

 「あ、カレーの匂いが……」

 

 50mほど先の十字路から、カレーショップ ダルシムのカレーの匂いが漂って来てます。

 今の私に、この匂いは凶器ですね。

 空腹が加速している気がします。

 

 「見るたびに思いますが……」

 

 十字路に差し掛かった私の左手に、『カレーショップ ダルシム』という店名のカレー屋さんが姿を現しました。

 茶色い肌に坊主頭の人が、カレーの載った皿を抱えて口から炎を吐いている絵が、入り口が炎の中心に来るようにデカデカと壁に描かれています。

 ええ、偏見に満ちた絵です。

 

 「あの看板に描かれていたインド人とは、間違いなくダルシムのことですよね?」

 

 

 これを右と言うことは、北に行けと言うことでしょうか。それとも、インド人に背を向けて右?

 でも、それだと庁舎に戻ってしまいますし……。

 とすると、インド人を向いて右。つまり、このまま直進?

 いや、直進でいいのなら、わざわざ変な看板を立ててる意味がありません。

 ならば、北ですね!

 

 「あれ?朝潮さんじゃないっすか。こんな所まで来るなんて珍しいっすね」

 

 私がダルシムを右に曲がって北に向かおうとしたら、インド人が吐く炎の中から、顔の右半分が腫れ上がったモヒカンさんが現れました。

 それ、大丈夫なんですか?

 顔は治療してあるっぽいのでどうでもいいですが、モヒカンが燃えたら大変……は、置いといて。

 

 「こんにちはモヒカンさん。丁度良いところでお会いできました」

 「もしかして自分に会いに?まさか、朝潮さんが自分の事を好きだったとは思わなかったっすよ」

 「それは絶対にないです」

 

 何を言ってるのでしょうかこの人は。

 世紀末スタイルの人は私の守備範囲外です。

 連装砲は持ってきてないですが、持ってたら即座に撃ってましたよ?

 

 「冗談っすよ。真顔はやめてください。怖いっすから……」

 「それより、倉庫街で艦娘を見ませんでしたか?左門提督のお話では、見慣れない朝潮型駆逐艦が行ったと伺ったのですが」

 「兄貴に?あ~どうっすかねぇ。自分、人と会う約束があって、昼前からここに居たんで……」

 

 お昼前からカレーを食べてたんですか?

 人と会う約束があったとか言ってましたが、それ以外にお仕事とか無いのでしょうか。もしかして、サボってたんですか?

 

 「倉庫街まで送りましょうか?猫の目に居る奴らなら、誰か見てるかもしれないっす」

 「あ、お願いします。インド人を右にと言う暗号が、よくわからなくて困ってたんです」

 「インド人を右にって……。 あの看板、まだあったんすか……」

 

 どうやら、モヒカンさんはあの看板のことをご存知のようですね。

 もしかして、あれを書いたのはモヒカンさんですか?

 

 「あれ、お嬢のイタズラなんすよ。インド人ってのはこの店の事で、店を向いて右、つまり西に行けば倉庫街っす」

 

 なるほど、神風さんのイタズラですか。納得しまし……あれ?じゃあ私は、違う方向へ行きかけてたんじゃ……。

 

 「ちなみに、庁舎の方からこっちに来ると左に店が見えるっしょ?だから、北に行っちゃう子がたまに居るんすけど、北に行くとT字路になってるんす。そこに今度は『倉庫街←→ブラジル』って看板が立ってて……」

 

 ブラジル?ブラジルってあのブラジルですか?なぜブラジルに!?

 でも、少し気になりますね。まさか、行った先にはブラジルに繋がるトンネルが……!

 

 「極々稀に、ブラジルの方へ行っちゃう頭の痛い子が居て、庁舎が見える位置まで戻ると最後に、『馬鹿は14へ行け』って看板が立ってるんす」

 

 ……私は痛い子じゃありません。

 看板に書いてあることを素直に信じてしまうくらい純粋なだけです。

 なので、けっして馬鹿ではないので話を逸らしましょう。

 

 「14ってなんですか?」

 「とあるゲームブックで、主人公が死ぬ選択をしたらその番号が書いてあるページへ行けって意味なんすけど……。オブラートに包まず言うと、『馬鹿は死ね』って意味なんじゃないっすかね」

 

 な、なんという巧妙なトラップ!

 流石は百戦錬磨かつ温故知新、ですが反面、卑怯千万で海千山千な駆逐艦である神風さんです。

 危うく、騙されるところでした!

 

 「まあ、倉庫街の方向はわかりきってるから、大抵の子は迷わず西に向かうっすけど……って、朝潮さん?悔しそうに若干右斜め下をにらんでどうしたんすか?」

 

 べ、別に引っ掛かってませんし?

 私は暗号の意味に気を取られただけですからセーフです。

 そうです、騙されてなんていません!

 だって行ってませんもの。行ってないんですから、誰が何と言おうとセーフです!

 

 「朝潮さんまさか……」

 「騙されてません!少し気になっただけです!」

 

 なんですか?その痛い子を見るような目は。

 痛いのは、こんなくだらないイタズラをした神風さんでしょう!

 と言うか、まだあったのかって言いましたよね?

 いったい、いつからあるんです?

 まさか、鎮守府が出来た頃からじゃないですよね?

 

 「と、とにかく猫の目まで同行するっす。それと、あんま気にしちゃダメっすよ?今までで、最後まで行っちゃった子は自分が知ってる限り1人だけっすから」

 「ち、ちなみに、引っ掛かった子と言うのは?」

 「先代の朝潮さんっす……」

 

 先代ぃぃぃ!

 何してるんですか先代ぃぃぃ!

 ん?と、言うことは、危うく二代続けて引っ掛かるところだったんですか!?

 

 「真面目な子ほど引っ掛かるんすかね……。でも、ブラジルの方に行くのは馬鹿としか……」

 

 馬鹿って言わないでください!

 だって、わざわざ看板が設置してあったんですよ?小さくて見失いがちな所に設置はしてありましたけど、看板があるんだから従うのは当然じゃないですか!

 真っ直ぐ行けばいいのに曲がれ的な案内があったら曲がるでしょ!?

 そして、その先に待つのはブラジル行きの看板ですよ?そんなの見たら興味わいちゃうでしょう?

 行けないのなんてわかってるんですよ。

 でも気になるじゃないですか!

 こっち行ったらブラジルだよ~的な看板があったら、行きたいと思うでしょ!

 

 「まあ、ドンマイっす……」

 

 この妙な敗北感はなんでしょう。

 神風さんに戦術的敗北をした気分です。

 こうなったら、今日の晩ご飯で復讐しましょう。あの人の嫌いな物ばかり出してや……ん?そういえば……。

 

 「しまった。あの人、好き嫌いないんでした」

 

 これでは復讐できません!

 食べ物の好き嫌いがないのは大変よろしいですが、一つくらいあってもいいじゃないですか!

 

 「お嬢の嫌いな食べ物っすか?」

 「は、はい。何かご存知ですか!?」

 「ん~、基本的に食べれる物はなんでも食べる人っすけど、どうしても食べれない物が一つだけあるっす」

 

 それはいったいなんですか?

 勿体ぶらずに教えてください。人差し指を顎に当てて考え込んでるポーズが、背筋が凍りそうなほど似合ってないですから早く!

 

 「Gっす」

 「はい?」

 

 G?何かの頭文字でしょうか?

 怪獣でしょうか。でも、それは食べ物じゃないですし……。

 まさかとは思いますが、ゴ……。

 

 「ゴキブリっす」

 

 言わないでくださいよ!

 せめて、もうちょっと心の準備が出来てから聞きたかったです!

 

 「セミとかイナゴとかは平気なんすけど、やっぱお嬢も女っすね。ゴキブリだけは食えなかったっす」

 

 普通は食べませんよ?

 セミとイナゴは……まあ聞いたことがあります。

 ですがGはない!

 そもそも、食べ物にカテゴライズしないでください。神風さんどころか、私だって食べれませんよ!

 あれ?でもその言い方だと、モヒカンさんは食べれるのですか?

 言われてみれば、Gが好きそうな顔立ちですね。

 もしかして口いっぱいにGを詰め込……。

 嫌ぁぁぁぁ!想像しちゃった想像しちゃった!

 眉無しで緑のモヒカンが、口にGを詰め込みながらニヤァってする所を想像してしまいましたぁぁぁぁ!

 

 「あ、朝潮さん!?どうしたんすか急に怯えて」

 

 怯えますよ!

 モヒカンさんの好物がGだと知って震え上がってますよ!叶うなら、バ◯サン(G対応)を充満させたガス室に閉じ込めたいです!

 

 「あの、ちょっと……」

 「ひぃ!」

 

 無理無理無理!

 黒い軍服のせいで、モヒカンさんがGに見えるようになってきました!

 今の私には、モヒカンさんが私の1.5倍ほどの大きさのGに見えます!

 誰か……誰か助けてください。

 このままじゃあ、私も食べさせられてしまいます。

 Gを口に詰め込まれてしまいます。

 司令官助けて……。

 Gなんて口に入れたくない。そんなの、絶対に嫌です!

 

 「ちょっと君!その子に何する気や!」

 「え……?」

 

 モヒカンさんの後ろから声をかけてきたのは、朝潮型と同じような吊りスカートに頭にバイザー。左手に赤いコートのような物を抱えた、見覚えのない()()()でした。

 

 「あ、この子じゃないっすか?朝潮さんが探してた子って」

 「話逸らすな変質者!その子にイタズラしよ思てたんやろ!」

 「はぁ!?いきなり何を……自分はただ!」

 「うっさい!ええからそこどきぃ!」

 

 見知らぬ駆逐艦が、モヒカンさんを押しのけて私達の間に割って入りました。

 私と同じくらいの身長。私と大差ない胸板。間違いなく、彼女は駆逐艦です。しかも、制服の特徴的に朝潮型の可能性大。

 でも、朝潮型って十番艦までですよね?

 じゃあ、この子は誰?

 まさか!

 朝潮の艤装が三年も忘れ去られていたのと同じように、この子の艤装も忘れ去られていたんじゃ!

 

 「あ、あの……」

 「こんな、見るからに怪しい奴に絡まれて怖かったやろ?でももう大丈夫や。うちが追っ払ったるさかいな」

 

 関西弁?

 いやそれより、何か誤解をしてませんか?

 確かにモヒカンさんの見た目は怪しいですが、けっして悪い人ではありません。

 

 「ち、ちが……」

 「ええんや、何も言わんでええ。どうせ、誰かに言ったらこの写真をバラまくでぇ!とか言われてんねやろ?汚い奴や!」

 

 いやいや、写真なんて撮られてませんから。

 モヒカンさんも何か言い返してくださいよ。この子、私に喋らせる気がまったくないです。

 

 「……」

 

 はて?どうして何かを諦めたような顔して、空を見上げてるんですか?

 何を言っても信じて貰えそうにないからですか?

 あ、こっち見た。

 そうです。そのまま諦めずに弁明を……。

 あれ?右手を額の横に……これは敬礼?

 

 「……」

 

 なんで満足そうな顔で敬礼したんですか!?

 その「本望っす」って、言いそうな笑顔をやめてください!

 何が本望なんですか!?

 

 「変態の癖に度胸はあるやないか。少女にイタズラ出来て本望ですってか?ふざけおって……ぶち殺したる!」

 

 いや、別にイタズラとかされてないです。

 自分がした想像で勝手に怯えてただけです。

 

 「できるっすか?自分、これでも結構強いっすよ?」

 

 意外にも、モヒカンさんは迎え撃つ気満々。

 それは良いのですが、駆逐艦相手に殴り合いをする気ですか?

 普通に問題行動ですよ?

 でも、そんなの関係ねぇと言わんばかりに、二人とも腰を落として戦闘態勢に入りました。

 モヒカンさんは、両手を顔の前に置いて、親指をかむような姿勢のピーカブースタイル。

 これは、満潮さんの愛読書で見たことが有ります。

 一方見知らぬ子は、持ってた赤いコートを放り投げ、左手を開いて前に出し、右手も開いてこちらは手の平を下に向けてますね。

 見たことがない構えです。中国拳法でしょうか。

 

 「へぇ……心意六合拳っすか。実際に見るのは初めてっす」

 「変態のクセに詳しいやないか。そっちは、そこからデンプシーか?」

 「さあ、どうっすかね」

 

 空気が凍りついてるような緊迫感。

 二人の脳内では、すでに何回も攻防が繰り返されてるのでしょう。

 私だってそれなりの死線はくぐって来ましたし、強い人を何人も見てきました。

 だからわかります。この戦いは長引かない。

 おそらく、勝負は一瞬。一合で決着がつきます。

 

 「行くっすよ」

 「ああ、いつでも来い」

 

 目つきが一層鋭くなりました。

 きっと二人の中で、最適な一撃が弾き出されたんでしょう。

 

 「シッ!」

 

 先に動いたのはモヒカンさん。

 その、180cm超えと思われる身長からは信じられないほどの低姿勢で、瞬時に距離を詰めました。

 この動きも、満潮さんの愛読書で見て知っています。

 モヒカンさんが放とうとしているのはおそらく、利き腕と反対側に大きく屈め、伸び上がるのと同時にフックを叩きつけるガゼルパンチ!

 それはまさに、風を切り裂く様な素晴らしいパンチです。それを幼い駆逐艦に放っているのは褒められた事ではありませんが、素人目にも素晴らしい一撃だとわかります。

 ですが、モヒカンさんのガゼルパンチが見知らぬ子の頭を吹き飛ばすと思った瞬間、見知らぬ子は上げていた左手でガゼルパンチを受け流し、その受け流しで生じた力さえ伝える様な動きで、右拳をモヒカンさんのお腹に突き付けました。

 ああ、勝負は……決しましたね。

 

 『お見事っす』

 『アンタもな』

 

 聞こえないはずの声が、聞こえた気がします。

 きっと今、二人は脳内でお互いを称え合っているのでしょう。そして……。

 

 「心意六合……、馬蹄!崩拳!」

 

 裂帛の気合とともに拳の先から力が解き放たれ、見知らぬ駆逐艦の足元のアスファルトが砕けてモヒカンさんを後方へ吹き飛ばしました。

 モヒカンさん、あなたの事は忘れません……。

 なんて言ってる場合じゃありません!

 飛び方がシャレになってないです!

 

 「モ、モヒカンさん!」

 

 慌てて駆け寄って抱き起したはいいですが、これからどうすればいいのでしょう。

 白目を剥いてるのがちょっと気持ち悪いですし……とりあえず息があるか確認するのが先です。

 

 「うん、よかった、息はあります」

 「なんや。君、その変態と知り合いなんか?」

 「ええ、何度も止めようとは思ったんですが……」

 

 見知らぬ子がコートを拾い上げながら聞いてきたので答えました。

 あれ程の体術を身につけているこの子は何者?

 それだけじゃありません。

 戦っていた時のこの子の雰囲気は、司令官や神風さんのような古強者に近いものでした。

 神風さんのように長年、駆逐艦を続けてる人なのでしょうか。

 

 「あ~そりゃあごめん。うち、てっきり君がイタズラされてると思ってしもて」

 「あなたは……一体何者ですか?」

 

 私とそう変わらない見た目の子が軍の施設を歩き回っているのですから、この子が艦娘なのは間違いありません。

 ですが、駆逐艦が着任するなんて話は聞いてません。

 しかも存在しないはずの、11人目の朝潮型駆逐艦。

 この子は一体……。

 

 「ほな、自己紹介しとこか。軽空母、龍驤や。独特なシルエットでしょ?でも、艦載機を次々繰り出す、ちゃーんとした空母なんや。期待してや!」

 「は?」

 

 今なんと?軽空母 龍驤?

 この子が、私が出迎えるはずだった龍驤さん?

 いやいや、そんなはずありません。

 こんな、どこからどう見ても小学生か中学生くらいにしか見えない人が軽空母だなんてあり得ません。

 どう見ても駆逐艦です。

 関西の人みたいですから、今のはきっとボケなんでしょう。だったら、ツッコミを入れないと失礼ですね。

 

 「そ、そんな胸の薄い軽空母が居るわけないやろー」

 

 ど、どうです?

 ツッコミは初めてですが上手くできたでしょうか。

 あ、かなりにこやかな笑みを浮かべてます、どうやら、ツッコミはせいこ……。

 あれ?何をしてるんです?

 いつの間に私の懐に潜り込んだんです!?

 

 「誰の胸がまな板やゴラァァァァ!!」

 

 何が起こったんでしょう。

 龍驤さんと名乗る駆逐艦が私の胸辺りに両肩の肩甲骨を当てた瞬間、私の体の中を凄まじい衝撃が駆け抜けて後方へ吹き飛ばされました。

 

 「君かてうちと大差ないやろ!コラ!聞いとんのか!」

 

 息ができない。

 龍驤さんが私に馬乗りになって首をガクンガクンさせてますが、もう意識が保てません……。

 そういえば、気絶させられるのはいつ以来でしょう。

 などと現実逃避しながら、私は意識を手放しました。

 









ぶっちゃけると、私って建設業であっちこっち行ったり来たりしてて残業漬けで休みも満足にないんですが、コロナで仕事がない~、金がない~。給付金くれ~って話題を見る度に、どこの世界線の日本だ?って思ってしまう今日この頃です。

仕事がない奴は建設業に来いよ。
会社の当たり外れはあるけど常に人手不足だから……と、こんなところに書きこんじゃう私はかなり疲れてるんだと思う( ・ω・)

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