血涙の源流を目指すルイは、尾根から臨む絶景に立場を忘れて見入っていた。
「ルイさん、見惚れるのは後でお願いします。後ろがつかえているので」
先を行く冷静な兵長の声に我に返り、ルイは慌てて歩き始めた。
「すみません、つい」
「お気持ちはわかります。私はもちろん、隊長や同僚、シルヴァ司令もそうでしたから」
マスクの奥で兵長は小さく笑ったようだった。
一行は、人一人が歩ける幅しかない痩せ尾根を、足元に注意しながら歩いていく。
「驚いただろう」
背後からグレゴリオが声をかけてきた。
状況が状況でルイは振り向くこともできず、大きく頷く。
「はい。画像データで知ってはいましたが、こんなすごい場所だったなんて」
「我が娘ながら、とんでもない場所に居を構えたものだ。ここが元いた研究所から最も近い地脈の発生地点とはいえな」
その言葉にルイは目線を少し下げた。
「やはりあれは、クルスなんですね」
「ああ。あの、あえて大樹と呼ぶが、組織の一部を採取し解析したところ、クルスの遺伝子情報が確認された。あれは、クルスが何らかの作用であの形になったと学者連中は言っている」
「そうですか」
あの大樹が血涙の泉の中枢であること、地脈を通じて少しずつだが発生箇所を増やしていること、それが吸血鬼の負担を減らし活動範囲を広げていることを、姉のカレンのメールで知った。
それを知った時、ルイは過去にクルスとカレンに、吸血鬼が継続的に安定して戦うための補給の拠点と供給網の構築を提案したことを思い出した。
クルスは穴だらけだった提案を補完し、己の全てを捧げてこの星にルイの提案を形作ったのだ。
クルスの負担を軽くしたいと思って出した提案が、このような形で実現したことにルイは皮肉を感じずにはいられなかった。
「本当はもっと近くで見せてやりたいが、あの盆地は関係者以外は立入禁止でな。すまんがこの周辺で勘弁してほしい」
「ええ、わかっています」
「俺ですら、許可が降りるのに一日はかかるからな」
どこか恨み節なグレゴリオの口調に、隊長は笑った。
「ハッハッハ、我らなぞセンサの修理のために申請しても、受理されるのに三日近くかかる時もありますぞ。お役所のマイペースな仕事ぶりは、どの時代も変わりませんなあ」
「センサ?」
「斜面を見るといい」
盆地へ至る斜面には、先端が赤く光るポールが点在している。
この斜面自体、かなりの急勾配の上に凶悪な岩場となっており、降りるのも登るのも難儀しそうだが、あのポールのセンサが二十四時間監視をしているとのことだった。
とは言え、こんな過酷な場所に好き好んで立ち入る存在は、頭のネジが飛んだ冒険家か登山家、後はバケモノくらいだとグレゴリオは笑った。
「あともう少しだ。前に建物が見えるだろう? あれがゴールだ」
前方に乳白色のドーム型の建物と、石造りの建物が幾つか、そして木と傘が組み合わさったような奇妙な形の物体がいくつも見えた。
聞けば、あれは
吸血鬼の力を持ってしても物資の運搬には限界があり、特に水は死活問題にもなるため優先的に作られたという。
ただ山の突風や冬季のブリザードには当然弱く、保守管理が大変だと隊長は語った。
「血涙の源流を調査する最先端の施設にしては、正直ショボい姿だろ」
「いえ。むしろこのような場所にしては立派だと思います」
「世辞でもそう言ってくれるのはありがたいよ」
ルイはここまでの道のりを思い、むしろここまでの施設を作れたのは相当の尽力があったことを察した。
そうして皆と話しながらゆっくりと歩き、ついに施設前に到着した。
施設前には警備中の兵たちが集い、ルイたちを出迎える。
その中に、姉の姿を発見したルイの表情が凍りついた。
記憶にあるよりも日に焼け少し痩せたその顔は、ルイの姿を見つけて一瞬固くなったが、すぐに小さく微笑んだ。
ルイはとっさに目を逸らす。
ルイと姉のカレンは、クルスが研究所から姿を消した頃から、その仲が急速に冷え込んでいた。
と、カレンの隣にいたアウロラが前に出たのを見て、グレゴリオが彼女に声をかけた。
「ヴァレンティーノ博士、貴方には夜勤後にしっかり休みをとるように申し付けたはずだが」
「ええ。これから休みますとも」
カレンと同じように日焼けしたその顔には、夜勤明けで疲労がにじみ出ていたが、眼鏡越しにルイに鋭く視線を向ける。
「その前にルイ、貴方には一言言いたいことが」
「ジンナー大尉」
「ハ!」
アウロラを遮るようにグレゴリオは隊長を呼びつける。
「大尉。ヴァレンティーノ博士はご覧の通り夜勤明けで酷くお疲れのご様子だ。俺はな大尉、彼女を始めとした研究者たちには、心身ともに常に健康な状態で研究を続けて欲しいと心から思っている」
「仰るとおりですな。閣下のお心の優しさは、楽園に降り注ぐ暖かく穏やかな日差しのようで」
「下手な世辞はいい。今すぐ博士を迅速かつ『丁重に』部屋までお送りして差し上げろ」
「イエス、ユア エクセレンシィ」
「貴方たち何を勝手に」
アウロラに目もくれず、隊長は並び立つ隊員の一人を見やった。
「ロート曹長!」
「は!」
ベリーショートの女兵士が一歩進み出る。
「この平たく尖ったプロフェッソーレを今すぐ部屋までお送りしろ。迅速かつ『丁重に』な」
「ロート曹長、了解であります。アイノ、バルベルデ、手伝え」
「えっ、何をするの放しなさい! 降ろして!」
アウロラの周りに三人の女兵士たちが集ったかと思うと、あっという間にアウロラを丸太のように担ぎ上げた。
「では行こう。前へ進め!」
「ちょっと貴方たち! 後で覚えてなさいよー!」
喚き暴れるアウロラをしっかりと固定し担いだ三人は、迅速かつ丁重に石造りの建物へと向かい、あっという間に姿を消した。
呆然と成り行きを見守るしかなかったルイだが、グレゴリオは平然と隊長に声をかけた。
「大尉、ご苦労だった。一度解散だ。引き続き下山もよろしく頼む」
「集合はこちらでよろしいですか」
「ああ、予定通りだ」
「イエス、ユア エクセレンシィ」
ルイに随伴していた兵士たちも解散し、施設前には警備の兵とグレゴリオ、カレン、ルイだけになった。
グレゴリオは、改めてルイの方を向いた。
「ルイ君、俺も一度失礼する。九十分後にここに集合だ。立入禁止区画以外なら自由にしていい。ただし、はしゃぎすぎるなよ」
「はい、ありがとうございます」
グレゴリオは笑って二人に軽く手を上げると、警備兵の敬礼を背に施設内へと去った。
残された姉と弟は、何となく顔見合わせた。
空気は当然気まずいものだ。
だが、カレンは再び小さく微笑んだ。
「お久しぶり」
「ああ」
「ご飯は食べた?」
「いや、まだだけど」
すると、カレンは手に持っていたトートバックを掲げた。
「こちらで用意したものがあるの。天気もよくて風もあまりないから、外で一緒に食べましょう」
「……わかった」
ルイは姉の後をついて歩きだした。
施設から少し登ったところに、眺めの良い落ち着ける場所があるという。
整っていたルイの息は、動いた途端たやすく切れたが、それを気遣った姉の歩みはゆっくりしたものだった。
しばらくなだらかな坂道を歩き、小さな東屋が見えてきた。
白い盆地を見下ろし山々を臨むその場所は、冬季以外はこの施設で働く人々の憩いの場の一つだとカレンは語った。
備え付けのテーブルに食事を広げると、カレンは整った笑顔を見せた。
「さ、冷める前にいただきましょう」
食事は事前に温めていたカレーであり、その温かくスパイシーな香気は、ルイの疲れた体と胃袋を直撃した。
口の中が唾液で満たされる。
スプーンを手にして食べ始めたルイは、一言も発することなく目の前の食事に集中した。
スプーンの動きが止まらない。
ここへ招かれ、行くと決めたその日から半年、山へ行く回数は激増し、多くの苦労とともに様々な気付きを得た。
体の不自由さと精密さ、地形や天気の多様さ、極地におけるチームワークの重要性、そして食事の大切さと美味さ。
食事に関しては様々な要因があるのはわかる。
それでも、食べ慣れ飲み慣れているはずのものなのに、何故こんなに美味いのか。
人間の感覚は本当に不確かで曖昧だと、ルイは食べながら思った。
「どうだった? ここまでの道のりは」
食後のコーヒーを飲みながらたずねるカレンに、ルイもコーヒーを口にしながら答える。
「大変だったよ。ていうか、今も十分に大変だけど」
「そう? 高山病の症状も軽いもので済んでいるそうじゃない。運がいいわ。私もアウロラも、シルヴァ司令ですらも、最初はたどり着けなかったもの」
そしてカレンは小さく息を吐く。
「ここは基本、生物の住める土地ではないから」
「……故に神の座か」
「ええ」
二人は沈黙する。
クルスが研究所を抜け出し、ここで血涙の源流となってから二年近くが経過していた。
この姉弟の仲もそうだが、世界もそれなりに大きく変化した。
人類救済の要が失踪し、世界中のあらゆる組織が八方手を尽くす中、この山岳地帯に調査に入った吸血鬼の部隊が、クルス失踪から一ヶ月後にここを発見した。
クルスの失踪後から、世界各地に生え始めた謎の樹木の源ではないかと推測され、クルスの置き手紙の内容と調査の結果、それがクルスのなれの果てだと結論づけられた。
クルスの生み出す樹木と実は、吸血鬼の乾きを癒やし安定化をもたらす。
それが目的だったQ.U.E.E.N.計画は、彼女を文字通り利用し尽くして終了した。
だがその結末は、関係者に大きな衝撃をもたらした。
その衝撃が冷める間もなく、一大スキャンダルが世界をかけめぐった。
Q.U.E.E.N.計画に大きく貢献していたミドウ博士が、大崩壊前から数々の非道な人体実験に携わっていたことを、グレゴリオ・シルヴァによって明らかにされたのである。
当然、計画の内容にも調査のメスが入った。
その非人道的な内容に、世論の批難と糾弾の声を消すことは誰にもできなかった。
計画の主導者だったグレゴリオは、その責任を取って職を退き、研究チームは解散となった。
当のミドウ博士はその直後に突如発狂し、現在も治療を受けているという。
スキャンダル発覚から半年が過ぎた頃、その山岳地帯に血涙の源流を調査する施設ができ、アウロラやカレンたち元の研究者が交代で勤務することとなった。
さらにそれから一年以上が過ぎた現在、施設の拡張と整備が進み、姉とグレゴリオに招かれてルイが施設を訪れている、という状況だった。
「シルヴァさんは、本当にここにいていいのか」
ルイの問いかけに、カレンは彼に目線を合わせる。
「彼のやった事は決して許されないことだが、彼ほど強いリーダーシップをもった指導者もいない。混乱が続いている中で、そういう人は必要なんじゃないのか?」
「そういう声は世間にもあるわね」
言って、カレンは目線を下げた。
「でも、こうでもしなければ、私達研究者や人類の狂乱は止められなかったと思う」
「狂乱」
「ええ。寄生体と大崩壊という未知に対し、誰もが浮き足立ち、大義を振りかざして犠牲者を見向きもしなかった。狂乱のお祭りよ。ここでブレーキをかけなければ、さらに犠牲者は増えていた。誰かが止めなければならなかったの」
そう言うカレンの表情は、深い憂いに満ちていた。
グレゴリオは、与えられた強権をもって計画を推進していたが、それは計画も含めた全責任を担うことを引き替えにしたものである。
彼は狂乱の祭りに問答無用でブレーキをかけ、世間の容赦ない非難と悪名を一人で背負い表舞台から退いた。
そんな彼の、良くも悪くも比類なきリーダーシップを惜しみ、復帰を望む声は少なくない。
だが、非難の声は現在も止むことはなく、グレゴリオ自身の意志もあって、彼はこの山岳地帯に駐屯する部隊の司令官として留まっている。
「私情をあまり話す方ではないけど、私も気になって触れたことがあるの。そしたらこう仰っていた」
『世論もそうだが、俺自身が何より許せない。我々の所業を『仕方がなかった』で思考停止してはいけない。これは人類への戒めなのだ。だが、時勢は変わる。本部へ戻ることもあるかもしれん』
『後悔はないが、……父として娘のことは別だ。だから今だけは、娘の側にいてやりたい。娘のために祈りたい』
「さすがの彼も、お嬢さんのことは堪えたのでしょうね。彼女の手紙の影響もあったのかも」
「そうか」
ルイは、自分宛て以外の手紙の内容はわからない。
だが、それぞれの心を揺さぶり、変化の兆しを与えるには十分な内容だったのではないかとルイは思った。
様々なことから、寄生体と吸血鬼の研究に大きくブレーキはかかったが、バケモノの脅威は消えたわけではない。
研究を止めることはできないし、吸血鬼の補充は今も続いている。
だが再出発したその歩みは、極めて冷静かつ人道に則ったものとなった。
二人の間に再び沈黙がおりた。
遠くで風が吹く音以外は聞こえない。
ルイは冷めかけたコーヒーを口にしながら、今までことを思い起こす。
クルスの失踪の真実と、研究の詳細な内容を知ったルイは嘆き悲しみ、己の無知と無力を責めた。
そしてあらゆる感情の矛先を、表面上は理性的に振る舞う姉にぶつけたのである。
記憶にある限りの最大の姉弟喧嘩をし、二人の仲は決裂したのだった。
姉と計画の推進派だった教授の研究室から離れ、一人になったルイだったが、程なくして彼の才能に目をつけていた学者に声をかけられた。
反ミドウ派だったその学者と勤め先の研究所にそのままスカウトされ、ルイは研究所のアルバイトをしながら勉強を続けることになり、今に至っている。
それしかできることはなかったし、何よりクルスの遺志でもあった。
『ルイ、優しい貴方は自分を責めるかもしれない。でも忘れないで。その暖かい炎のような優しさは、私にとって荒れ狂う嵐の海に輝く灯台の火だった。それはみんなの光にもなり得るの。その優しい心と今も学んでいる科学の力で、みんなを笑顔にする素敵な科学者に、魔法使いになってね』
ルイは大樹に目を向ける。
見える場所の違いか、それとも気のせいか、その大樹の姿が、まるでクルスが跪き祈りを捧げているように見えた。
「姉さん」
大樹に目を向けたまま、ルイは声をかけた。
「あの木は、クルスは今も戦っているのか」
この星と。
弟の問いかけに、姉も大樹へと目を向け頷いた。
「血涙の泉の芽であるヤドリギ同様、瘴気を浄化する力があるから、発生する瘴気との戦いはあるわね。でもそれとは別に、血涙の泉の力は、この星の力を喰らって得ているのではないかと推測されている」
カレンの優し気な目に怜悧な光が宿る。
「実際、この山岳地帯周辺の審判の棘は、力が衰退傾向にあると調査報告にあった。貴方の予想通り、彼女は姿形とステージを変えて、この星を喰らいながら、その在り方と戦っているのでしょう」
「やはりそうなのか」
人の形をなくし、そうさせた人々のしがらみから逃れ、クルスはようやく安らかになれたのだとルイは思った。
だが現実は、血涙の源流と化したことで、彼女はより困難な戦いへ赴いているのではないか。
最悪な予想は事実だったとを知り、ルイは思わず唇を噛んだ。
「だからこそ、私はここで研究を続けることにしたの」
カレンは静かに明確な意志をもってルイに告げた。
「私のしたことは決して許されてはいけないし、一生背から下ろすつもりもないわ。その上で、今度こそ彼女を支え、この世界で懸命に生きる命のために研究を続けたい。それが、彼女を含めた犠牲者への報いになると信じているから」
ルイは姉に顔を向けた。
姉の強さはあまりに眩しく、クルスが失踪する前までは憧れでもあった。
まるで、物語の英雄のように見えた。
だがクルスがいなくなり、それでも決して折れない姉の強さを見るにつけ、自分の弱さと無力さが炙り出されるようで惨めになった。
この世は、自分の弱さを見せつけられ続けてめげない人間ばかりではないし、ルイもその例に漏れなかった。
八つ当たりだとわかっていても、ルイは姉に当たらずにはいられなかったのである。
だが、不屈の人と評されたカレンは強かった。
頑なに背を向ける弟に、距離を取りながらも連絡を続け、クルスのことを教えてくれた。
グレゴリオの勧めもあって、研究の合間を縫ってここに来る手筈を整えてくれた。
それでも、ルイの心には冷たいわだかまりが横たわっていたが、ここまでされてルイも応えないわけにはいかなかった。
ルイはカレンに向き合い、口火を切った。
「シルヴァさんやミドウ博士、姉さんたちがクルスや吸血鬼にしてきたことは理解できる。理解できるからこそ、俺はそれを許すつもりは全くない」
「ええ」
「だから俺は、姉さんたちとは違う道を行く」
真摯な視線を向けるカレンに、ルイは決意に満ちた表情と声で言った。
「ここへ来てはっきりした。俺は姉さんたちとは別のルートで、この世界に生きる人々のためにクルスと一緒に戦う。それが今の俺のやりたいことだ」
「そう」
「ここへ呼んでくれたこと、感謝している。ありがとう、姉さん」
ルイの感謝の言葉に、カレンの表情が綻んだ。
「こちらこそ、話してくれてありがとう」
わだかまりは消えていない。
だが、ルイが自分で将来の道を決めてくれたことを、カレンは心から嬉しく思った。
道は違えてしまったが、目指す場所は同じであり、ならば未来に語り合える時も来るだろう。
生きていれば、可能性はゼロではないのだ。
「ルイ」
カレンは眩しそうに目を細めながら、最愛の家族に呼びかける。
「素敵な科学者に、魔法使いになってね。貴方がどう思おうとも、魔女はここで貴方をいつも応援しているから」
そう言って微笑むカレンに、ルイの表情は苦いものとなった。
いつぞやのクルスとの会話を、抜け目なく小耳に挟んでいたらしい。
やっぱり手強い魔女だよ、この人は。
ルイは姉から視線をそらし、席から立ち上がった。
景色を見ようと歩を進め、不意にルイの脳裏に笑顔のクルスの姿が浮かんだ。
陰りなく鮮やかに開く花のような笑顔に、ルイは口を引き結ぶ。
痛みと悲しみは未だ消えない。
だが、溢れそうになる涙と同じく、心臓も時間も思いも止めることはできない。
ならば、ここを出発地点にしよう。
決して忘れない己の原点にして、挫けた時に立ち帰る場所にしよう。
ルイは浮かんだ涙を拭った。
そして万感の思いと共に、眼前に広がる神秘と奇跡の地を、人類の新たな戦いの最前線を見つめた。
ここは異世界。
健気で不憫な、小さな天使の如き少女が、自らの意志と力で願いを叶えた、別の可能性の世界。
しかし、滅びの運命に抗い生きる意志がある限り、戦いが続くことはどこの世界も変わらない。
そう。
この星が滅びるその日まで──。
≪燔祭の吸血鬼 完≫
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字言い回し等、修正がありましたら都度修正します。
こちらでお知らせなどを語っておりますので、よろしければご覧下さい。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view_list&uid=68614
一ヶ月遅れとなりましたが、CVニ周年おめでとうございます。
本当はおめでとうコメントで終わると思っていましたが、前回の番外編の投稿を終えたあたりでネタが降ってきましたので形にしてみました。
主人公は二人、クルスとルイになります。
一年前には想像もつかなかった二人を主人公にした話に、私自身が驚いています。
時系列はもちろん女王討伐戦前、吸血鬼の世代的には第一世代の頃。
未来を切り拓くために、どうしても犠牲が必要だった時期です。
この話はクルスが暴走することなく、ゲーム本編での悲劇と絶望を決定付けた女王討伐戦も起きないため、本編とは大きくかけ離れた未来を辿ることになります。
その未来を想像してみると、中々興味深いことになりそうかなと思っています。
何でこんな話を書いたのかといえば、前回の番外編で個人的にかなりしんどいお話を書いて疲れたので、ご都合進行になろうともハッピーに近い内容の話を書きたかったかったことがあります。
それと、同じく前回の話で出てきたクルスの形をしたものとは対になる彼女を書きたかったのも理由の一つです。
全てを世界と他人のせいにして閉じこもった幼稚なクルス(の形をしたもの)と、自己と世界の扉を開いて願いを叶えたクルス、といった感じです。
いずれにしても彼女が犠牲になることは避けられないわけですが(これはもう本当にどうしようもない)、『健気で不憫で可哀想な女の子』で終わらせることだけは全力で阻止しようと頑張りました。
また、ゲーム本編内で主人公をフォローしようとして、しかし主人公の役割の重さからフォローしきれなかった、属性や防御面、プレイヤーとの相性から活躍しきれなかったNPCへの擁護もあったりします。
ぶっちゃけ、NPCに罪はありません。
制作サイドがNPCの役割について熟考し、誰一人として無駄なく丁寧にしっかり掘り下げてくれていたらなあ、と思っていました。
しかし、キャラクターの掘り下げはさじ加減が非常に難しいことも、今回の話を書いていく中で強く感じました。
特に、カレンとは喧嘩しているのにグレゴリオとは比較的普通に付き合えているように見えるのは何故か、とか。
グレゴリオやカレンとのやり取りを掘り下げきれなかったのが、今回の反省点です。
もっと精進せねばですね。
そんな感じで書き終えてみれば、私の作品ではいつもどおりのハッピーではないエンディングとなりました。
それでも、お楽しみ頂けたら嬉しく思います。
これで大崩壊までなくしたら、どうなるのか。
寄生体自体はいるので世界を股にかけた夜の住人ゲーとかになるんでしょうかね?
このお話自体もそうですが、それをCVと呼んでいいのかと聞かれると首を傾げるところではあります。
それとこの話のミドウ博士の顛末。
いかにもご都合主義らしい顛末ですが、実は彼のこのエピソードも書いてみたいとは思っています。
ただ予定は未定と、いつもどおり逃げ道も用意しておきます。
ごめんなさい。
なお、今回のお話ですが、CVのスピンオフ漫画『コードヴェイン メモリーエコーズ』を参考にさせていただきました。
個人的に掴みきれていなかったカレンの性格を大いに参考にさせていただき、また、ルイのアイデアのエピソードはこの漫画から拝借させてもらいました。
ゲームプレイ中も思っていましたけど、ルイ君は本当に主人公な性格しているな、ゲーム主人公むしろいらないのでは?w と思うくらい色々背負っていましたね。
良いキャラだなと再確認できたのは嬉しかったです。
語りたいことは山とありますが、それは活動報告(https://syosetu.org/?mode=kappo_view_list&uid=68614)やTwitter(https://twitter.com/chika_march)の方で語りたいなと思います。
お時間と興味がありましたら覗きに来ていただければ嬉しいです。
定型文となりつつありますが、一旦この話で完結とさせて頂き、また次のお話が出来ましたら再開させていただきます。
インプットをしながら、焦らずにマイペースにお話を作っていこうと思います。
世界中が振り回された病は、表向きは落ち着いたかのように見える昨今ですが、冬の流行りの病が控えております。
お読みいただいている皆様におかれましては、今後もお身体と心には気をつけてお過ごしくださいませ。
それではまた!