荒野に轟くねじり金棒の凪払い(仮)   作:刀馬鹿

6 / 46
四次聖杯書いてるときはそこまで考えなかった。
しかし改めて書いてみると、刃夜はやっぱ便利すぎだわ

と、この話を書いて改めて認識しましたw





開墾と耕作

三人組の男たちが……ぼろぼろの姿で必死になって歩いていた。

一人は小柄で、一人は大柄、そして一人は長身の男だった。

歩き方に精彩さが欠けている。

頬がこけており顔色も悪いことから察するに、ろくに食事をとれていないのだろう。

そして三人は全員頭に黄色い布を巻いていた。

 

「兄貴……お腹すいただな」

「おいらも……もうきついっす」

「そうは言っても食い物がないんだからどうにもならねえだろ。黙って歩け」

 

兄貴と言われた長身の男は……話すのも疲れると言わんばかりに後ろから歩いてくる二人に、顔を向けることもなく歩いていった。

三人は東へ……海へと向かっていたのだ。

黄巾党として略奪を行っていたが、それが先日失敗して命からがらに逃げてきたのだ。

逃げたところからそう遠くない距離に、海があることを思い出したのだ。

そしてその海のそばに村があったことも思い出した。

すでに廃村だったが、それでも雨風をしのげるだけでもありがたかった。

また海ならば魚が捕れると考えて……三人は海へと向かって歩いていた。

だが海に出たところで道具もない三人が魚を捕ることなど出来なかったのだが、空腹でまともな思考など出来るわけもなく、ただただ魚を……食べ物を求めて歩いていた。

そしてもう少しで海が見えるという距離まで来て……三人は海よりも先にある物を見つけた。

 

「あれは……畑?」

 

砂浜へと続く森を抜けて……三人が目にしたのは砂浜ではなく、畑だった。

見渡せるほどの広さの畑だ。

しかもそのほとんどに、何かしらの植物の芽が出ており、木の柵まで設置されていた。

いくつかの植物には、小ぶりであるが小さな実が実っていた。

見たこともない食材だったが、十分に食えるほどの大きさだ。

畑を越えてさらに海の方へ向かうと小屋を見つけた。

廃村だった村のうち捨てられた小屋ではなく、真新しい感じがしたので誰かが建てたのだと判断できた。

小屋と言ってもそれなりの大きさだ。

しかも一つではなくいくつかの小屋があり、その一つに……牛が二頭つながれているのを三人は見つけた。

 

「!? 牛!」

「に、肉だ!」

「すげぇ!」

 

三人の気分は一気に急上昇した。

何せすでに数日物を口にしていない。

その状況で生きた牛を目にすれば考えることは一つ……殺して肉を食らうことだけだった。

さらに驚くべき事に、放牧地とおぼしき柵のある広場では鶏と山羊も放されており、のんきに餌である虫や草を食べていた。

 

「兄貴! 廃村だったはずの村が復活してる!」

 

廃村だったことは知っていた。

何せこの村を襲ったとき、この三人も賊としていたのだから。

だがそれは仕方のないことだと自分たちは思っていた。

税が重く、自らの村が滅びた。

他人から奪うしか、生きていくすべがなかったのだから。

 

「誰かいるか!?」

 

魚をとる手間が省けた。

この廃村を使って誰かが住んでいるようだが、そいつからまた奪えばいいのだ。

三人は特段打ち合わせをすることもなく、ここに住みついた誰かを殺すことを決めた。

 

「誰もいないようですぜ!」

「兄貴! やるんだな!」

 

疲労困憊、満身創痍だった三人は、活力を取り戻した。

衣服はぼろぼろで、剣も刃こぼれだらけ。

中には半ばから折れている剣もあった。

だがそれでも、住めそうな小屋が一つしかない事から大人数がいないことは容易に想像できた。

故に……

 

「わかってるぜ二人とも、住人ぶっ殺して今夜は宴だ!」

「「おぉ!」」

 

三人は剣を掴んで大声を上げた。

小屋に忍び込んで帰ってきたところを襲うといった……そんな思考が浮かびそうな物だがそれもなかった。

だがそれもいろいろな意味で仕方のないことだった。

三人はすでに数日物を口にしていないので思考が回らない状態だ。

そして自分たちは三人という複数人数で、ぼろいとはいえ武器もある。

確かに襲う側である三人が常識的に考えれば優位なことは間違いなかった。

 

しかし……

 

 

 

「誰を殺すって?」

 

 

 

自分たちが殺そうとしてる相手が、超常の存在だということは当然、三人には知るよしもなかった。

 

 

 

「「「え?」」」

 

 

 

 

 

 

~数ヶ月前~

 

骸骨ツインテに喧嘩を売ってから一週間ほど走って……俺はようやく海へとたどり着いた。

 

「海だ~~~~~!」

 

と思わず叫んでしまったくらいだった。

が、それもエネルギーの無駄なのですぐにやめた。

 

さて……海があると言うことはどっかにあるはずなんだが……

 

俺は早速海沿いに沿って歩き始めた。

海が見えるのだから村があっても不思議ではない。

俺が察知できる範囲で人の気配は感じられない。

近くにないのかと少々不安に駆られてしまう。

最悪海沿いの森を見つけるつもりで歩いていたら……廃村を見つけた。

 

おあつらえ向きだ……

 

俺は廃村に足を踏み入れて、状況を確認した。

十数軒の建物があったので漁村だったのだろう。

恐らく襲われたので村を捨てて逃げたのだと予想された。

遺体が一つもなかったからだ。

 

よかった……

 

遺体があったとしても俺は自らのために遺体を丁重に葬って、村を有効活用しただろう。

だがそれでも遺体がない方が気持ちよく使えるという物だった。

廃村のため、朽ちてはいるが廃屋で本日の宿を気にしなくてすむ。

また人がいない方がいろいろと都合がよかった。

 

能力使って開墾する方が手っ取り早いからな

 

周囲が森のため材木に困ることはないが、通常は木を乾燥させる時間が必要だ。

しかし俺には紫炎の力があるので、すぐに乾燥させることが出来る。

また荒れていたが畑もあったので、すぐに耕作に取りかかることも出来る。

 

見た感じいくつかの小屋は、ある程度再利用できそうだな

 

足りない分は木々を伐採すればいいだろう。

俺が住む家だけでは足りない。

なぜなら……今の俺には連れがいるからだ。

 

「ようやく歩くことも終えそうだな、松坂、神戸」

「「モー」」

 

俺の声に反応する存在があった。

数日前に、俺は道すがら倒れていた牛を見つけたのだ。

この食料不足の時代に弱っているとはいえ生きている牛がいるのはちょっとびっくりだったが……こちらとしてはありがたいことだった。

冬木で備えた食料と、俺の気功術で治療を行った。

別段博愛主義者ではないが、ぶっちゃけ利用価値があったので生かすことにしたのだ。

 

肉……

 

治療したらなつかれたのでそのまま連れて来たのだ。

夜とか寝ていても、逃げ出すこともなく、俺についてくるのは驚きだった。

最初は食用牛として見ていたので呼び名がひどいことになっているが……情が移ってしまったので殺すに殺せなくなってしまった。

 

まぁ乳牛として飼えばいいから別にいいのだが

 

さすがに酪農の技術と経験は大してなかったが……それでも牛乳は貴重な食材となる。

牛乳からバターを作り出すのもいいだろう。

そのため雄雌の牛が手に入ったのは行幸だった。

 

俺が暮らす小屋の他に……こいつらの小屋も造ってやらないとなぁ……

 

この二匹のための小屋も作らなければならず、さらに俺は能力を存分に使用することの出来るように地下室の建築も頭に入れていたので……やることは山積みだった。

 

まぁそれでもようやく拠点が手にはいると思えば苦でも何でもないな!

 

俺は気合いを入れて早速作業に取りかかった。

まず廃屋を再利用しての小屋作り。

これは俺よりも牛たちの小屋を優先。

ある程度形が出来たら、次に賊からかっぱらった剣を使用して木々を大量にぶった切る。

 

「一閃」

 

次々に木々をぶった切り、適当に積み重ねておく。

当然枝落としに根っこ抜きも忘れない。

ある程度量が出来たら紫炎の力を用いて、木材を完全乾燥。

この程度はすでに道すがら修行もかねて使用していたので、ある程度の繊細な能力の使用も可能になっていた。

 

いやぁ……炎がいつでも使えるって便利だわ……

 

ほかの古龍の能力も軒並み使えるようになっている。

便利で仕方がなかった。

木の準備が出来ると俺は丸一日かけて巨大な穴をいくつも掘る。

掘った土を出すときも紅炎の力で筋力を上げれば楽だ。

魔力についても老山の力のおかげでかなり自由に使える。

三十坪ほどの広さで、高さは4mほどの穴を掘り終えると、俺は加工しておいた木材を使用して骨組みを作っていく。

 

上り下りはめんどいから飛べばいいか

 

階段を設置するのは面倒だったので、垂直の穴ですませる。

そして骨組みを組み終えて板を張っていく。

釘がないので組木……釘等を使用せず、切り込みを入れて木材同士を接続、固定する技術……での建築で面倒だったが、それしか方法がないので仕方なかった。

 

つくづく鬼畜な修行だったが……感謝するしかないか……

 

親の教育に感謝する……あまりの厳しさに心から感謝するのは若干抵抗があったが……が、こうして役立っているのだからありがたいことに代わりはなかった。

 

というか、修行の旅(強制)に出させるからこんないろんな修行をさせられたということか?

 

鍛造、料理、稲作、畑作、建築技術等々。

こうして異世界に飛ばすことを考えての修行なのかもしれない。

そう思うと、乾いた笑いしか出てこなかった。

地下室を作り、上の居住部分も建築を終えると、俺は次に柵を作った。

また海が近くにあるのでとても大事な物が作れる。

それは

 

 

である。

塩は生命活動に欠かせない栄養素の一つ。

塩を作るのは海水を加工して得るのが一般的と言えるだろう。

現代であれば科学技術を利用して塩を作れると思うが……当然そんな技術があるわけもない。

俺自身は揚げ浜式製塩をするつもりだった。

そのための小屋と設備を作る。

 

 

 

超簡単解説(揚げ浜式製塩)

海水を砂浜にまいて乾燥させ、塩分が濃く付着した砂を作り、その砂を集めてさらに海水を使用してこす。すると濃い塩水ができあがるので、それを煮詰めて水分を蒸発させて塩を作る方法である

 

 

 

乾燥させる時は紫炎の炎と風翔の風の力を使えば、すぐに乾燥させることが出来る。

設備については……能力を使える俺にはかなり楽な物だった。

煮詰めるための釜と煮詰めた塩を入れるための桶が主だからだ。

 

本来薪なんかが相当量いるのだが……まぁ俺は必要ないしな

 

紫炎様々である。

といってもまだ長時間の能力の使用はしたことがない……揚げ浜式は6時間以上煮詰める必要性がある……ので、薪を作ることも忘れない。

また海があるので俺は結構な大きさの船も造った。

 

漁師の経験もそんなにないが……キリンの力があるからなぁ……

 

モンスターワールドの雷の精霊であるキリン。

俺にはある程度雷の力を操る能力があるのだ。

つまり……

 

沖に出て雷撃放てば結構いける気がする……

 

別段素潜りするのもいいが、そちらの方が効率的だろう。

そうなると網も作りたいが……それも当然経験もなく、材料もない。

 

……さすがに網は冬木で仕入れてないな

 

異世界に飛ばされる覚悟はしていた。

しかしどれだけ備えても装備の限界はくる。

故に、徐々に設備は整えていけばいいだろう。

 

 

 

しばらく俺は拠点作りを頑張っていた。

家(地下室有)、家畜小屋、塩制作小屋、資材小屋兼薪保管小屋、漁船(帆は能力もあるので不要だった)、畑(伐採した箇所も根を取り除いて開墾した)、放牧地(これも開墾で、逃げ出さない兼猛獣から守るための木柵も設置してある)。

実に一人でやるとなると数年単位の仕事を、俺はわずか二ヶ月ほどで終わらせていた。

また近くに川があったこともあり水車を作成。

とりあえず動力と水くみ機として活用することになるだろう。

水車の動力を使用して、俺は日本人として風呂も忘れずに作っていた。

水汲み水車を作成して水路……木製……に水が流れるようにして、その先に桶を作って水をためればそれだけで水を確保できる。

作物への水やり、風呂、飲料水等々……水の用途は当然多岐にわたる。

トイレも作ったが肥だめだった。

大便は土壌改良に欠かせないものだ。

松坂と神戸の糞もためておき、堆肥作りを行う。

堆肥とは糞などを混ぜた土を発酵させることで、より栄養価の高い土壌作りが可能である。

発酵……それはつまり……

 

腐らせる

 

ということである。

 

霞皮の護り……便利だなぁ……

 

腐食させることも魔力があれば可能なのでそれらの作業も進む進む。

まだ下手くそのため微調整が難しいが、うまく扱えるようになれば……

 

発酵食品も思いのままになるかもしれない!

 

米麹に味噌が作れればそれだけでも日本料理を作れることはほぼ確定となる。

食品関係を能力で腐らせるのは少々怖いので要修行だろう。

 

海は広い……風はまぁ、風翔龍の力なんだけど……

 

また漁に出る時は、風翔龍の力を自分と船を押すことで、無風の日でも何のその。

超高速で俺は沖まで進むことが出来る。

さらに速度がほしい場合は紫炎の力を用いつつ、風翔の力をさらに用いて円錐の形に風を発生させて炎をふかせばさらに速度が出せる。

戦闘機でいうアフターバーナーと同じ原理で加速が可能。

 

果てしなく……意味ないがな……

 

モーターボートが相手でも速度で勝つことが出来るだろう。

沖合に出つつ、魚の気配を探って魚群の真上に向かい、左手を海につっこんで雷一発。

 

たてがみの首飾りで雷も結構使えるから便利……

 

おそらくだが、この時代に沖に出るほどの船はないと思われる。

そのためか、馬鹿みたいに魚が捕れるので食料に困る訳がなかった。

塩についても最初こそまだ紫炎の力をそんなに長時間使えなかったが……魔力は十分な濃さあったため、後は俺の精神力次第だった。

これについては毎日塩を作ることでいい修行になっていた。

また海水を浜に撒くときも風雲の羽衣を使用すれば、浮いて移動できるので砂浜を踏み荒らす事もなく自在に動けた。

 

 

 

便利すぎる……

 

 

 

冬木の街では魔力があまり濃くなかったので、能力をあまり使うことができなかったが、モンスターワールドの古龍の力があまりにも便利すぎた。

戦闘に使用できるかはこの世界ではまだ試していない……というか試すほどの力量のあるやつがいなかった……が、別段必要ないだろう。

 

本当に能力の扱いを学ぶ事が目的なのか?

 

俺が勝手に推理している修行については……何というかこの能力向上がもっとも正しい気がしてきた。

毒と腐食、雷、風、炎、荒天。

そしてそれらを統べる魔力の老山。

漫画とかの主人公や強力なキャラクターが使用している能力をかなり習得している形だ。

この時代……雷はともかく炎と風の能力が使えるというのはあまりにも万能だ。

そのためか……能力を封じなかったのは能力そのものを扱えるようになれと言うことだと思えてならなかった。

 

 

 

 

 

 

食料は魚を捌いて塩で食す。

 

醤油がほしい……

 

今後の課題の一つである。

後、味噌。

穀物はまだ手に入れてないのでどうにかしたい。

じゃがいもは冬木で仕入れていたので種芋にして現在絶賛栽培中。

 

気候やらがだいぶ違うから……育つのは賭けだが……

 

ほかの野菜類も種を植えて育つことを祈りながら、絶賛栽培中。

また穀物である麦も、冬木で仕入れていたので土壌改良を行いつつ試行錯誤で頑張って作っていた。

 

「モー」

 

松坂と神戸は干し草を食わせてどうにかしている。

水については川と水車だけでなく、井戸も掘ってあった。

また塩竃の上に屋根をもうけて、水蒸気がその木の屋根に当たって屋根から落ちていく水滴を集めることでも水を確保できるので、水に困ることはないだろう。

いろいろな用途があるので桶も大量に作った。

竹もあったので水筒も作って大量に水分を保管する。

 

竹は実に便利な素材よな……

 

春にはタケノコやタケノコの刺身も食えるだろう。

牛たちは放牧地が出来ているのでだいたい放置でどうにかなった。

 

「ガァァァァ!」

 

たまに熊や猪が襲ってきたが、ジビエとして俺がおいしくいただいた。

 

「ヒャッハー! 今夜は肉だぜ!」

 

ジビエのため臭みがあったがおいしくいただけた。

が、出来ればやはり料理人として調味料がほしいところだった。

塩以外で。

夜になると暗くなるがそこは紫炎の力を使用して、火の玉を作れば夜でも作業が出来た。

あまり夜更かしをすると体調を崩す可能性が高いので、あまりやりたくはないが。

 

というか昼夜関係なく地下室は暗い

 

地下室は風翔の力を用いて気温を下げて冷蔵庫としていたりする。

また魚の干物や、たまにやってきた野生動物を捌いてはこれも日干ししてジャーキーを作成。

 

本当に調味料と主食をどうにかせねば……

 

と、この世界で鍛造した鍋と包丁で調理をしながらそんな事を思っていた。

包丁と鍋の材料はそこらの砂鉄を集め、さらに近くに山があったので食料探しついでに掘って鉄鉱石なんかを採取していた。

刀を作るための施設道具類……鞴や火床等は自作が出来る……を作成してさっさと必要な物はそろえていた。

 

木製のシャベルだと効率悪いしね~、後は鍬は必須だな

 

無論気力と魔力でどうとでもなるのだが、便利な物は便利だし、何より俺は鉄にもっとも気力と魔力を纏わせやすい。

作れるのなら作るに越したことはない。

設備を整えるたびに保管場所等が足りなくなるので、そのたびに小屋を増築。

施設を整えて増築。

また、沖に行って雷で漁をしていると鳥がよってくるようになった。

俺の周りでは魚が簡単にとれるとわかったのだろう。

 

ふ、雉も鳴かずば打たれまいに……

 

ので、俺はありがたく捕獲して捌いて食料にしていた。

魚を捕りに海に入った瞬間を狙い、着水と同時に雷を放てば痺れ鳥の一丁上がりである。

養鶏の経験ももちろんないが、それもどうにかしたい物である。

野生の鶏はいるかわからないが、それでも鶏はほしかった。

 

卵がほしい……

 

まぁ無い物ねだりをしても仕方ないので、俺はいつか鶏を飼うことを夢見つつ……それもそれで悲しい夢だが……作業を続けていた。

そうしてこの世界で数ヶ月の時を過ごしていた。

ある意味今まででの世界でも平穏に過ごした方だろう。

たまに遠出して野生動物を捕獲したりしていた。

捕獲したのは夢でもあった鶏数羽に山羊、そして牛二頭。

捕獲してきた動物たちも最初こそ警戒していたが、俺が飼っていると安心したらしく、それなりに懐いてくれた。

 

比内達も殺すに殺せないなぁ……

 

比内は鶏。

山羊がザーネンという名で呼んでいる。

どちらも品種の名前を用いているので最初こそ食用だったが……それは松坂と神戸と同じ扱いになった。

どちらも育てて素材……鶏は羽毛に卵、山羊は毛に乳……等の素材を得ると考えればいいだろう。

たまに遠くの街まで出かけた。

俺が物々交換用の食材やらを詰め込んだ籠のみを背負い、全力で走って数時間かかるのでかなりの距離があるが、それでも情報を仕入れたり、衣服などが必要だったのでそれらを仕入れるためだった。

何度か尾行されたがそのたびに撒いて逃げていたので、かなりの時間一人で平和に修行に専念できていた。

最初こそ怪しい白装束の連中を警戒していたが、それでもあの荒野の一件以来動きが見えなかった。

 

……というよりも姿形もありゃしねぇ

 

故に俺はある程度開墾と開発が完了したら、能力の修行に力を入れた。

老山は魔力炉。

腐食は発酵。

雷は禁止漁法。

風は推進力に冷蔵、冷凍庫。

火は加工やら調理……現在は未熟だが最終目標はガスコンロよりも遙かに自由度が高く精度の高い加熱……やら。

力と守は身体強化。

荒天は浮遊能力。

その中である意味で一番便利だが、ある意味もっとも使用に神経を使うのが雷だった。

だが繊細な分、扱うことが出来ればより便利なのは間違いなかった。

特にこの広大なだけの大陸でもっとも希少価値のある技が……雷だった。

 

……電磁投射砲が出来たら……スゲー事になりそうだな

 

電磁投射砲。

超簡単に言えば電磁誘導……雷の力で物体を加速して打ち出す技術だ。

俺はこれに近い事を、刀に使用している。

電磁を用いた最速の抜刀術。

 

磁波鍍装

 

これは鞘と刀身に反発する磁力を纏わせることで、電磁の力による加速を使用した俺の最速の剣だ。

これを俺自身の体で用いればどうなるかということだ。

そして電磁の力を用いて成功した場合……どうなるのか?

超長距離の移動手段が確保出来るということになる。

移動手段が馬しかないこの時代において、電磁加速は文字通り雷……天より飛来する、神の御技そのものといっていい。

気力と魔力を用いた俺の脚力など比較にならない移動速度となる。

 

まぁ……気力と魔力を用いての脚力も十分速いが……

 

電磁加速による移動手段。

この広い中国大陸でこれほど有用な能力はないだろう。

そのため俺は生活基盤がある程度整って余裕が出来た段階で、全ての能力……特に雷……の修行を本格化させた。

他の能力はある程度使用していたこと、さらに扱いやすいこともあって苦労はあまりしなかった我……電磁投射に関しては、難航した。

最初はあまりの加速によるGに耐えられず、気力と魔力で体の防護を行っても無様に吐いていたが……ある程度慣れてくるとそれなりに使えるようになった。

そのため、飛距離を伸ばしたり……飛距離が伸びた時に、その後すぐに動けるようにするため電磁投射に体をならすことに重点を置いて修行を行っていた。

この技術のおかげで、俺は食材を方々から入手していた。

 

そうして平和だが、自らに厳しい修行を課しつつ過ごしていたら……なんか阿呆な三人組がやってきたのだった。

 

 

 

 

 

 

~現在~

 

な、何だこいつは?

 

それがアニキと呼ばれた男の正直な感想だった。

いつの間にか背後にやってきた男。

ヒゲよりも遙かに年が若いだろう。

男三人が剣を持って意気込んでいるというのに、その男は全く恐れることもなく、警戒することもなく近寄ってきた。

格好は一般的な服装だ。

また武器になるような物は、手にした鍬だけだった。

 

これなら……殺れる!

 

年若さ、手にした得物だけで判断すれば、そういう思考に行くのは当然と言えただろう。

少々驚かされた三人だったが、すぐに剣を構えて男に向けて命令した。

 

「おい小僧。命が惜しけりゃ今すぐ食い物をよこせ」

「……はぁ?」

 

剣を向けられて尚、男は眉をひそめるだけで特段恐怖することもなく、命令を聞くこともなく突っ立ているだけだった。

それにいらだちを覚えたヒゲは、チビに顎を動かして襲いかからせた。

チビが軽快な動きで翻弄し、デブがその大柄な体を使って突進。

その後ろをヒゲが走って状況に応じて手段を講じて敵を殺す。

それなりに連携のとれた動きといってよかった。

武器もぼろぼろとはいえ剣だ。

相手が普通の男であれば、なすすべもなく殺される運命だっただろう。

が……

 

 

 

!!!

 

 

 

チビの右からの斬撃、デブの体当たりのような振り下ろし、そしてヒゲの突き。

それら全てを一歩も動かずに男は体で受け止めて……何故か体から硬質な音が響いていた。

硬質な音が男から響いたことに全員が驚く。

だが……それ以上に男が全く痛がりもせず、血を流すこともなく、何事もなかったかのようにまだ立っていたことが、もっとも驚くべきことだった。

 

「な……なんで?」

 

チビが驚きの声を上げたがしかし……その前に男が動く。

手にした鍬を手放す。

重力に逆らわず落下していく鍬。

その鍬が落ちるよりも速く、男はまず目の前にいるデブの衣服を左手で掴み、右手をそのデブの腹にたたき込むと……左手で掴んだ服を起点にデブの体が宙に浮いた。

 

「!?!?!?」

 

あまりの衝撃に声も上げることも出来ず、デブは意識を失った。

デブを浮かせるほどの打撃を与えたことに驚いたチビは、目を見開いていたが……デブを手放した男の左裏拳が、チビの脳天にたたき込まれて一瞬で意識を刈り取る。

 

「!?」

 

さらにチビが倒れる前に男は一歩だけ歩み寄って右手でヒゲの首に手刀を放ち、意識を刈り取った。

そうして三人が崩れ落ちる中……もっとも最初に自由落下した鍬が落ちるよりも前に、男は空中の鍬を手に取り鍬の柄で肩を叩いた。

 

「全く面倒……いや、ちょうどいいか?」

 

そんな言葉を呟いた男だったが……当然三人組はその声を聞くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

うん……この匂いは……?

 

意識を失っていたが、しかし自らの鼻孔がおいしそうな匂いを嗅いだことで意識が覚醒し……ヒゲはゆっくりと目を開いた。

目を開けばすでに夕暮れだった。

夕暮れが見えたことで、地べたに寝ていることに気づいたヒゲは、あたりを見渡してチビとデブが同じように倒れている事に気がつき、どうして倒れているのか思い出して、勢いよく起き上がった。

 

さっきの小僧は!?

 

とっさに腰に手を回すが、そこにはあるべきはずのぼろぼろの剣はなく、ただむなしく手が空を切るばかりだった。

すぐに二人を起こして武器になる物を探そうとしたが……その前にすぐそばの小屋の戸が開いて、先ほどの男が姿を現した。

 

「起きたか」

 

あっけらかんとただ事実だけを口にしながら、男は手にしている鍋を地べたに置きながら地べたに腰掛ける。

鍋を持つ反対側の手にはいくつかの簡素な木の椀があった。

男は持っていた椀に鍋の中のお玉で椀に中身をよそっていく。

中には大量の魚の切り身とアラ、さらに少々の野菜が浮いていた。

 

「!? 食い物!」

 

鍋の中身が食べ物であることに真っ先にデブが気づいた。

食べたそうに体を前に乗り出すが、その動作をヒゲが制止した。

チビもほしがりそうにしつつも、警戒しているらしく、男をにらんでいた。

 

「てめぇ……どうして俺らを殺さなかった?」

 

ヒゲも警戒しているので、三人を代表して質問した。

剣が奪われているのは当然と言えただろう。

だがそれだけだった。

殺されることもなく、縄で拘束されることもなく寝転がすだけ。

しかもどう見ても一人で食えそうにない量の鍋を作り、椀も丁寧に四つもあった。

椀が四つある時点で、男の分だけでなく、襲ってきた三人組の分も料理を用意したと思うのも無理はなかった。

だが、三人組は先ほど男を殺そうとしたのだ。

そんな相手に料理を振る舞うのは理解が出来なかった。

男は四人分の椀に料理を注ぐと、三人へと目を向けてこう言った。

 

「お前ら、蟻にかまれたことはあるか?」

「「「は、蟻?」」」

 

男の問いに、三人は若干呆気にとられた。

蟻のことはもちろん三人とも知っていた。

指よりも遙かに小さな存在だ。

存在は知っていたし、かまれたことももちろんあった。

だがどうして今蟻にかまれたことがあるかという話になるのか?

そう疑問に思っていると、男は言葉を続けた。

 

「たとえばお前らが昼寝をしていて気持ちよく寝ていたら、蟻にかまれて目を覚ましたとしよう。目を覚ましてかまれた箇所に目を向ければまだ蟻がかんでいる。さて……その蟻をお前らはどう思う? またはどうする?」

「……言っている意味がわからねえんだが」

 

ヒゲの言葉に応えることはなく、男はただ黙って三人を見ている。

質問に答えなければ話が進まないとわかったので、ヒゲは意味がわからないと思いつつ、回答した。

 

「昼寝を邪魔していらっとはするだろう。気分次第ではつぶすだろうな」

「そうだろうな。かまれた蟻に向かって、てめぇ! よくも俺の昼寝を邪魔しやがったな! ぶっ殺してやる!……と怒鳴り散らしながらかまれた蟻を何度も本気で踏みつぶしたり、握りつぶしたりして地面に叩きつけてつばを吐くようなことはせんだろう」

 

確かにイラッとするかもしれない。

握りつぶしてしまうかもしれない。

だが、よくも悪くも蟻というあまりにも小さな生命に対して、本気で憎悪を向けることはないだろ。

それが生死を分けることであれば話は別だろうが、普通の蟻にかまれた程度では人は死なないのだから。

 

「つまりそういうことだ」

「???? どういうことっすか?」

 

男の言葉に思わずいつもの口調でチビが質問する。

男は肩をすくめながら、椀を一つ手にとって三人に向けて持ち上げる。

まるで食えと言わんばかりに。

 

「お前らの力は、俺からしたら蟻程度でしかないんだよ。お前らが剣を持って束になってかかってきても、俺はお前らを軽々とつぶせる。それは先ほど体験しただろう?」

 

剣を当てても傷一つつけることが出来なかった。

一瞬の内に三人を気絶させ……さらに腕力があることは、やせてきているとはいえ大柄のデブを浮き上がるほどに殴り上げたことで証明している。

この男には勝てないと三人が納得してしまうほどに。

だが、その言い方が気にくわなかった。

 

「てめぇ! 俺らが蟻だっていいてえのか!」

「さきにも言ったが、力で考えればな。それに蟻だからって馬鹿にするなよ? 蟻は自分よりも何倍も重い物を運べるんだぞ?」

 

自らの言葉に小さくうなずきながら、男はそう言ってくる。

その声があまりにも感慨深く言う物なので、その男は本当に蟻がすごいと思っていることがわかってしまった。

思わず毒気が抜かれて、ヒゲは黙ってしまった。

 

「蟻がかみついてきたからと言って別段殺す理由にはならんだろう。お前らが俺を殺す目的でやって来たっていうなら話は別だが……ただ食い物のために俺を殺そうとしたんだろ?」

「あ……あぁ」

 

 

 

「なら別段気にしない。いいから食え。何日も物を食べることが出来ず、お腹が減っているのなら奪ってでも生きようとするのは仕方ないことだ。それは生存本能が正常な証拠だ。だが、腹が満ちればもう俺を殺そうなんて思わないだろ?」

 

 

 

その言葉が……本当優しかった。

 

本当に暖かいと……そう思った。

 

蟻程度の力しかないと言われて怒っても不思議ではないというのに。

 

だがその言葉に嘘がないとわかって……。

 

本当に殺しに来た相手に食事を分け与えようとしているのだと……わかった。

 

わからせてくれたのだ。

 

そこからは三人は何をいうでもなく、男に走り寄って椀を受け取って、むさぼるように料理を食べた。

 

うまかった。

 

本当においしかった。

 

今まで食べたことない料理だった。

 

魚と菜っ葉を塩で煮込んだ汁程度の料理だ。

 

だが……久しぶりに食べる料理が、すごくおいしいことしかわからなかった。

 

 

 

何よりも……こんなに優しく料理を振る舞われたのは、三人にとっては本当に久しぶりだったのだ。

 

 

 

重税によって家族は……両親はとっくに死んでいた。

 

それでも頑張って生きていた。

 

だがそれ以上に税が重く、このままでは死んでしまうとわかって、奪う側に回ったのだ。

 

それからはただ暴れるだけの日々だった。

 

生きるか死ぬかの争いの中で、ただただ暴力で奪うだけの日々。

 

楽しくはなかった。

 

人から物を奪うのが楽しいと思ったことはなかった。

 

だがそれでも奪わなければ自分が死ぬから。

 

そうして心をだます内にどんどんと麻痺していって……何もためらわなくなってしまった。

 

なのに……

 

 

 

「うまいか? おかわりもあるぞ。久しぶりの料理なんだからゆっくり食え」

 

 

 

そういって新たに料理をよそってくれるこの男が……本当にありがたくて、嬉しかった。

 

 

 

しばらくむさぼるように料理を食べた。

そして鍋の中身が空になると……三人は深々と頭を下げた。

 

「「「ありがとう!」」」

 

「かまわないよ。俺を殺そうとしたのは、空を飛ぶと言っているようなもんだからな」

 

「? 空を飛ぶ?」

 

「出来ないことを宣っただけって事だよ。空を飛べると嘘吐いただけのやつなんぞ相手にしないだろう」

 

 

 

空を飛べると嘘を言っているやつがいても嘘を吐いていると考えて終わりだ。

だが三人は確かに男を……刀月を殺そうとしたのだ。

 

「俺を殺そうとしたことについては別段気にしなくていい。だが……お前らが「人」を殺そうとした事は忘れるな。たとえ自分が死にそうになっていたとしても……人を殺そうとした事実は変わらない」

 

刀月の言葉に、三人は先ほどと違って戒めと叱責の念が込められていることがわかって、三人は押し黙った。

胃が満たされたことで、自分たちが刀月を殺そうとしたことを思い出したからだ。

 

「俺を殺そうとしたことを忘れず……とりあえずもう盗賊はやめろ。わかったな?」

「あ、あぁ」

「わかったっす」

「了解だな」

 

三人とも素直に頷いた。

自分たちよりも遙かに強いことだけしかわからないが、それでも異常に強いことだけは理解できた。

だというのに料理を振る舞うという……ちぐはぐな行動が多くて、三人ともある意味でどう動いて良いのかわからないのだろ。

そして男の言葉の続きを聞いて、再び驚いた。

 

「とりあえずもう寝ろ。布団はないが……まぁこの時期なら風邪は引かないだろう。そして明日から働け」

「「「え?」」」

 

てっきり追い出されると思っていた三人は驚きに顔を見合わせた。

そんな三人に対して、刀月はニヤリと……実に悪そうに顔をゆがませて笑った。

 

「まさか飯をただで食わせてやったとおもってんじゃねぇだろうな? 剣は俺を殺そうとした罰で没収だ。飯代として明日からこき使ってやる。飯は働いた分だけきちんと出してやるから安心しろ。さぼったら飯抜きだ。わかったな?」

「い、いいのか?」

「別段かまわん。いろいろ決まり事はあるがそれさえ守ればここに住んでかまわん……というよりも作業を手伝え。一人だと回しきれなくなってきた」

「ひ、一人でこの土地を耕してんすか?」

 

チビが驚きの声を上げる。

刀月はうなずいて……すぐに顔をしかめた。

 

「というかまずくさいから海で体洗ってこい。それがすんだら風呂入れてあるから入れ」

「ふ、風呂って……風呂のことか!?」

「おう、暖かいお湯につかることの出来る風呂だ。今のままだと浴槽が汚れるからまず海で洗ってこい」

「いや、だからって……風呂って!? えぇ!?」

 

アニキと呼ばれているヒゲがずいぶんと驚いていたがそれも当然だった。

風呂は完全なる上流階級の趣味といっていい。

上流階級ですらたまにしか入れないのを、殺しに来た相手に振る舞うなど……あり得るはずがなかった。

しかしそこは能力を持つ刀月。

風呂など紫炎の力を用いれば簡単に……本来は、風呂釜に水を人力で入れて、薪でお湯を沸かすため、かなりの重労働。当然薪は消費するし、水も貴重だ……沸かすことが出来た。

風呂釜は、鉄を鍛えて足を伸ばせる程度の広さの釜を作り、その上に1cmほどの板を敷き詰めれば完成だ。

 

「風呂から上がったら、もう夜だから寝ろ。明け方にはたたき起こすが……自分で起きてこい。働くことは山ほどあるからな? 覚悟しておけ」

 

そういいながら快活に笑い、刀月は小屋からいくつかの布を渡して来た。

三人は言葉に従い海で体を洗い流し、風呂に入って牛舎の中で寝た。

刀月が住んでいる小屋は入る事を許されなかったのだ。

何故かと不思議に思う三人だったが……言葉に逆らうつもりはなく、むしろ牛舎とはいえ屋根があり、干し草もあるため暖かく寝ることが出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

こうして刀月は三人の労働力を手に入れてこき使う事にした。

だが意外なことにデブは畜産をもともとやっていて、チビも農業にそれなりに詳しく、ヒゲは稲作をやっていたという。

頼もしい味方を得た刀月はまず三人が住まう小屋を建設した。

わずか一日で三人のための小屋を建てたことで、驚愕しつつも三人はひれ伏してお礼を言ってきた。

そうしてしばらく四人での生活が始まった。

誰よりも速く刀月が起きて、鍋をお玉で大きく鳴らす。

それが朝の合図だった。

三人とも布団をたたみ……布団は物々交換で一番近い村から手に入れた……朝の仕事をそれぞれが済ます。

ヒゲは全体の見回り、チビが畑の様子を見に行き、デブは家畜の世話をして餌の追加などを行う。

明け方から働き始めた三人は二時間ほど作業を行って刀月の作った飯を食べる。

 

「親分! 今日もうまいです!」

「最高っす!」

「うまいんだな!」

「そらよかった。おかわりもあるからな、ちゃんとかんで食べるんだぞ」

「「「うす!」」」

 

たいがい魚料理が主だった。

 

三人は沖合に連れていかれなかった……能力使うの見られたら面倒……が、それでも数人は楽に乗れる大きな船に一人で乗って行って大量に魚を捕ってくることに、三人はびっくりしていたが、それでも食えるので文句を言うわけもなかった。

またたまに鳥も捕ってくるので肉もそれなりに食えていたりする。

穀物類も物々交換で種を手に入れて現在四人で頑張って栽培していた。

また三人が扱う器具も刀月が鍛造した鍬やシャベルを使っている。

 

「……木製じゃない掘棒とか初めてだわ」

 

もう驚くことに疲れたというように……渡されたシャベルを手にして、ヒゲは乾いた笑い声を上げていた。

 

 

 

解説

掘棒(ほりぼう) 昔の農機具で、シャベルの前身と考えられている

 

 

 

といっても完全鉄製では重くて使い物にならないので、持ち手は当然木製だった。

足りない物があれば刀月に相談する。

すると作れる物は大概の物は作成してくれた。

 

「せっかく牛がいるんだから放牧以外にも作業させたいんだな」

 

というデブの提案についても刀月は反対することなく、自主性に任せた。

また牛に引かせる農耕機がほしいとデブが言ったら、刀月はデブの意見を聞き四苦八苦しながら農耕機を完成させた。

 

犂(すき)と呼ばれる農具だ。

 

刀月はデブから要点を聞いてさらに己の経験と知識を使用して、改良した重量犂を完成させた。

たまに刀月が出かける際は、三人が留守を預かることになるが、それでも恩義があるのでさぼることもなく、また絶対に入るなと言われている刀月の小屋を開く無謀なことをするでもなく……三人は黙々と働いていた。

仮に入ろうとしても、刀月……刃夜の気の施錠があるため絶対に入れなかったが。

とある昼下がりに、刀月が留守のため刀月が用意してくれた飯を食べて……三人はしみじみと食えるありがたみをかみしめていた。

 

「仕事があって……食べられる生活なんて、夢だと思ってたなぁ」

「そうっすね兄貴。俺もまた農耕が出来るなんて思ってなかったっす」

「おいらも……また牛の世話が出来て嬉しいんだな」

 

本日の飯は山菜と魚を塩水で煮込んだ汁物と、ジビエのジャーキー。

三人は嬉しそうに食べていた。

またたまに刀月が奮発して三人が食べたこともない料理を食べさせてくれて……三人は本当に刀月に頭が上がらなかった。

 

「この前食べたあの肉うまかったよなぁ」

「渡り鳥のばたー焼きっすよね」

「ばたーなんて食ったことなかったから本当にうまかったんだな」

 

 

 

 

 

 

そうして刀月が頻繁ではないがそれなりの回数あちこちに飛び回っていた。

そのため噂というのはどうしても出てしまう。

 

海の方には……食うに困らない村があるという噂が……

 

刀月が興した漁村こそ平和だったが……それでも今の世は乱世なのだ。

黄巾党が徐々に拡大していった。

そのため襲われる村々も増えていき……わずかな希望を求めて噂話でしかない東へと向かう人が出てきてしまうのも無理からぬ事だった。

 

東に行ったところに住まう一人の男は……一人で村を興して平和に暮らしていると……

 

刀月が知らぬ間に、噂は広まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 




残業続きですが、何とか書けてます
遅くとも22時には帰りたいよねぇ
日付変わるまで仕事したくないでござる
何とかかえってこれて誤字脱字みれた・・・・・・・
おもしろかったら幸いです

次回ようやく、ヒロインの一人が出てきます~

お楽しみに~
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。