荒野に轟くねじり金棒の凪払い(仮)   作:刀馬鹿

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今回も、あまり話が進まない

まずい、マジで最長確定ですわ・・・・・・





出会いと縁

「蜂蜜を定期的に売りに来ている商人の男がいる? 本当に?」

「えぇ。兵が巡回している時に何度も見かけているわ。また周辺の村や街の情報も収集したが……そちらにも売りに行っているようね」

 

本当かしら?

 

それが、執務室の机で嫌々ながら事務仕事をしていた女……孫策の正直な気持ちだった。

蜂蜜が貴重な事を知っていたからだ。

現実世界でも1853年に養蜂の技術が確立されるまで、巣を破壊することでしか蜂蜜を得ることが出来なかった。

定期的に蜂蜜をとれるというのは言葉の通り遙か未来の産物であるため、孫策が信じないのもある意味で当然といえた。

 

「私も正直疑っているが、物証まであっては私も信じざるを得ない」

 

眼鏡の位置を直しながら、座る孫策の前に立ち言葉を続ける女……周瑜は、「兵が買ってきた物だ」と、そう呟きながら手にしていた竹筒を机においた。

中身を確認しろという事はすぐにわかったので、孫策は黙って竹筒の栓を抜いて……中身を手に出して、それを舐めて驚いた。

 

「本当に蜂蜜だわ」

「しかもその商人の面白いところは他にもある。大量の干物を売りに来ているらしい」

「干物を?」

「十、二十ではなく、なんと二百近くだ。こちらは蜂蜜と違って頻繁にだ」

「……頻繁って言うと?」

「驚くことに、十日に一度の割合で」

 

その言葉に、孫策は今度こそ驚いて目を見開いた。

魚を捕るのはこの時代簡単ではない。

造船、操船の技術も未熟のため、沖合まで簡単に出られないためだ。

また仮に出られたとしても、それだけの数の魚を捕るのは簡単ではない。

しかも売りに来ているということは、自分の分は別に確保していると考えるのが自然だった。

 

「他に情報はないの?」

「それが驚いたことに……ないんだ」

「ない?」

 

ないという言葉に孫策は訝しんだ。

周瑜は孫策がもっとも信頼を置く存在の一人で、軍師として申し分のない知略と知識がある。

その周瑜が商人の情報を全く仕入れていないとは思わなかったからだ。

 

「いや、名前はわかっている。刀月という名前らしい。後もう一人呂蒙という少女が商売を手伝っているということ。本当にこれだけなんだ」

「それだけって……本当に?」

「私も刀月という商人の報告を、部下から受けて半信半疑だった。だからとりあえず後をつけるように指示を出した。だが……そのことごとくその商人は尾行を撒いて逃げたのだ」

「ちなみに……誰を尾行につけたの?」

「……驚くべき事に、明命も商人を見失った」

「なんですって!?」

 

今度は声を荒げるほどに驚いた。

明命とは周泰の真名であり、周泰は細作……隠密のこと……として呉でもっとも優れている武将だった。

その周泰が尾行できなかったというのは……その商人がただの男ではない事を物語っていた。

 

「明命がいうには、いつの間にか姿を見失っているらしい。また荒野に出てから馬も荷車も使わずにいるから尾行も難しい」

「馬も荷車もない? なのにどうやってそんな大量の品物運んでいるの? しかもその呂蒙とかいう少女はどこにいったのよ?」

「驚くことに、背負子で運んでいるらしく」

「背負子で一人の人間運んでいるのに、明命が見失うって……どういう事!?」

 

孫策の当然の疑問にも、周瑜はただ首を横に振るだけだった。

 

「干物を大量に売りに来ている事から海の近くに住んでいることは想像できるが……正直それしか情報がない」

「それで? わざわざそんな話を私に「今」するって事は……」

 

何も情報がないに等しかったが、今この瞬間に話をするということの意味。

それを考えれば、答えは簡単だった。

周瑜も自らの主が答えにたどり着くとわかりきっていたのだろう。

半ば溜息を吐きながら……答えを口にした。

 

「あぁ。お察しの通り、その商人が今現在、市場で商売をしている」

「なら、様子を見に行ってみましょうか」

 

嬉しそうにそう言いながら、孫策は立ち上がった。

仕事を放棄して。

そうなるのがわかっていた周瑜だったが……しかしその商人は放置しておくにはあまりにも異常すぎた。

 

仕事を放り出すのは褒められたことではないけど、それでもこれだけの男を捨て置くわけにはいかないわね

 

周瑜としては、内心で仕事を切り上げさせることに苦々しい思いだったが……それでも放置するわけにはいかなかった。

大量の干物。

手に入れるのはかなり運が絡む、蜂蜜の定期的な販売。

さらに決定的なのが戦の武将としては未熟なれど、一般人では手も足も出ない強さを誇り、細作では他国でも群を抜いた実力を有する周泰が逃げられたという事実。

これを放置するわけにはいかなかった。

二人は部下にいくつか指示を出して城を出て市場へと向かった。

いつも同じ場所に売りに来ているらしいので、その場所へと向かうと……すでに人だかりが出来ていた。

 

「結構な人ね」

「それはそうだろう。部下の報告では干物もかなり安い値段で取引されているらしい。今のこの時代、食べ物を求めるのは至極当然といえる」

「……そうね」

 

周瑜の言葉に、孫策は自嘲気味に笑った。

自らが治めている州でも食料が十分ではないという事実。

それを思うと拳に力が入ってしまった。

そんな孫策を見ながら、周瑜はそのこわばった肩に、そっと手を添えた。

 

「雪蓮、そんなに荒ぶっていては周りの民が驚くぞ」

「そうね……ありがとう冥琳」

 

自らの親友に礼を述べながら、孫策……雪蓮はその人だかりの奥へと目を向けた。

 

「いらっしゃい! 干物はいかがか!? 五銖銭5枚で干物5枚! 買った買った!」

「こっちに干物10枚くれ!」

「あいよ、毎度あり!」

「い、いらっしゃい……ませ! 干物いかがですか!」

「呂蒙、もっとリラ――あまり緊張するな! 売れないわけないから!」

「はい、刀月様!」

「お、兄ちゃん強気だな!」

「いらないなら帰れ!」

「許してくれ! 俺にも干物5枚くれ!」

「お前は五銖銭8枚だ!」

「ひでぇ!?」

 

そんな楽しそうなやりとりをしながら、男は次々に干物を売りさばいていた。

また男の隣には片眼鏡をかけた女の子もおり、男に呂蒙と呼ばれていた。

そんな男の商売の様子を見つつ、二人……雪蓮と冥琳は商売を行っている二人の観察をしていた。

刀月という男と、呂蒙と言う少女。

そして干物を大量に売っているということ。

少ないまでも、これだけ情報が一致していれば疑いようもない。

今干物を売っている男が、周泰の尾行を撒いた男であると。

 

……強いわね

 

遠巻きに監視しながら、雪蓮は男の実力が並でないことがすぐにわかり、周泰より逃げおおせた事が納得できた。

商売しているだけのためまだ全容はしれないが、それでも体裁きが普通ではなかった。

また衣服から垣間見る体の隆起をみて……弱いはずがないとわかった。

 

だが見過ごせない点もあった……。

 

それだけの干物を作るという村を、冥琳が知らないと言うことだ。

二人とも当然、この呉という国を治めている人材だ。

全ての街や村を完全に把握している訳ではないが、それでも大量の干物を作れる村に記憶がなかった。

つまり……脱税をしている可能性があると言うことだ。

冥琳も男がただものではないという事以外にも、その点を考えているということは、雪蓮にもわかった。

まだ日が昇りきっていないにも関わらず、すぐに二人の品物は売り切れた。

それだけ二人の商売の値段は魅力的だったということだろう。

海からそれなりに距離のあるこの街では、海産物など早々簡単には手に入らない。

にも関わらず値段が安いのだから、飛ぶように売れるのは当たり前だった。

 

「お疲れ、呂蒙。疲れたか?」

「い、いえ! 全然平気です!」

「嘘を吐くな。緊張しっぱなしだから疲れてるだろう? あまり無理しなくていい」

 

快活に笑いながら、刀月は呂蒙に笑かけていた。

確かに雪蓮から見ても呂蒙が緊張していたのはすぐにわかった。

 

「は、はい。すみません」

「謝らんでよいよ。売り上げは上々だ。とりあえず昼飯にしよう。またごま団子食いにいこう」

「!? そ、そんな贅沢だめです! 私……全然働けてないです」

「いてくれるのが助かるんだって。自信を持て。それにせっかく街に来たんだから食べたいだろ? ごま団子も作れなくはないんだが、いかんせん材料が手に入らんからな。後はまぁ……頑張っている子にはご褒美があってもいいだろう?」

「う、うぅ~~~」

 

褒められて嬉しいのか、頼ってくれるのが嬉しいのか……呂蒙が赤くなった顔を長い袖で隠してしまった。

 

「深く考えるな。俺も食べたいから……みんなには内緒の共犯だ」

「は、はいぃ」

 

内緒だと人差し指を口に当てながら……いたずらを思いついた子供のような笑みで、刀月は呂蒙にそう言った。

食べたかったのも事実なようで、最後には呂蒙が折れた。

 

「さて……ちょっと話を聞きに行きましょうか?」

「そうだな」

 

話が一段落し、片付けに入った二人を見据えて、少し離れた場所から刀月の元へと……雪蓮と冥琳は向かっていった。

 

 

 

 

 

 

呂蒙を行商に連れて行くと決めてすでに一月ほどの時間が流れた。

運がいいというか、呂蒙を俺が見くびっていたというか……呂蒙は特段体調を崩すこともなく、行商の手伝いをしてくれていた。

一番最初は控えめで跳躍していたり、走るのも極力揺れないようにしていたが、ほとんど問題なかった。

そのため最近ではちょっとした電磁加速……中空に跳躍した後、弱めの磁場を発生させて加速する……すらも用いて移動していた。

そのおかげで一人で回っていたときと大差なく、村や都を行き来できていた。

村の行き来はほとんど変わらなかったが、利益が爆発的に上昇したのはさすがは呂蒙と、褒めざるを得ないだろう。

 

恐ろしい娘……

 

そして俺が必死になって村を回していると、とある話が舞い込んできた。

 

 

 

なんと黄巾党は壊滅したらしい。

 

 

 

どうやら帝の命により、諸侯が結集して大規模な討伐隊を編成したようだ。

そのおかげでこちらとしてもある程度村を安心して留守にすることが出来ていた。

 

これで少しは平和になってくれればいいが……まぁならんだろうな……

 

賊が壊滅した。

これは実に喜ばしい事実だが……そう素直に喜べないのが乱世といったところだろう。

今まで賊退治に向けていた労力を別のことに回すことが出来る。

その労力をどこに回すのか……というのはこの時代だいたい考えるのはみんな同じ方向だろう。

 

黄巾党

 

それは貧しさに耐えきれなくなった民衆が、自ら生きるために立ち上がった連中だ。

言い方がずいぶん綺麗に言っているが、そういう連中がいることも間違いなかった。

 

それはつまり「一揆」である。

 

一揆が起きたという事実。

そして「何故」一揆が起きたのか?

食糧難というのも理由の一つだが、その食糧難に陥った理由は食料不足の他に「重税」という問題がある。

そして一揆が起こった理由が重税になっていると考えれば……考える奴が出てくるはずだ。

 

今の帝をぶっ飛ばして自分が帝になる。

 

 

 

つまりは「革命」ないし「下克上」が

 

 

 

あ~~~~~もっと勉強しておけばよかったなぁ……

 

と思うが後の祭り。

そもそもにして、これだけ世界的にずれが生じている……性別の違い……世界で俺の世界の歴史がどこまで通じるかは謎だが、黄巾党が出来たのは一緒だ。

となるとそう変化はないと見ることも出来る。

 

まぁあの白服の連中がどう出てくるかにもよるが……

 

あの一件以来、影も形もありはしない不気味な連中。

幽霊だと思わず信じてしまいそうだが、少なくとも殴ることの出来た存在だった。

だが最後には消えた。

 

術か何かか?

 

そう考えるが……未だ姿も見せないのではどうしようもない。

ともかく警戒は怠らないようにしつつ、今の生活を守るために頑張らなければならなかった。

ともかく黄巾党が滅びたことで前よりは安心できるのは本当だった。

呂蒙的にも村的にも。

そのため江都行って、近隣の村々を回る……というのも二人で楽勝に出来ていた。

そして肝心の中身……行商がどうなったのかというと、ここ最近は完全に呂蒙の知略に頼りきりだった。

 

いや、前からすごいとは思っていたが……ここまでとは

 

一を聞いて十を知る、という言葉がある。

呂蒙はまさにそれだった。

実際に現地で話を聞いて、状況を視察し……都での相場をある程度見て回った。

それだけで、呂蒙のおかげで売り上げは数倍に跳ね上がった。

今まで俺がどれだけ利益を上げられなかったのかと言うことだろう。

無論俺の輸送能力のたまものという利点があるので一概には言えないだろうが……俺は「自分の身体能力の輸送力」が(プラス)で「自分の知略のなさ」が(マイナス)という感じで最終的には(プラス)になっていたが、かなり損益も出ていた。

呂蒙は……どの村にどれだけの食料が必要か? どのタイミングで食料を持って行くのかが最適か? また都に行く際もどのような品物を持って行けばいいのかも、ほぼ完全に把握して俺に的確に指示を出してくれた。

そのため呂蒙も加工部門の人員として意見を言うまでになっていた。

最初こそヒゲも少し年下の女の子に指示されるを嫌がっていたが……しかし今までの数倍の食料や金銭を得てきては、認めるしかなかったので、今では俺同様にきちんと呂蒙の指示に従って食料を加工してくれている。

 

「ちょっといいかしら?」

「はい?」

 

片付けをしている最中に突然声をかけられて、呂蒙はきょとんとしながらそんな声を上げて、声の方へと顔を向けた。

俺は先ほどから二人の気配が監視しているのをすでに察していたので、驚くことはなかった。

ただただ面倒事がやってきたと内心で溜息を吐きながら……声の方へ目を向ける。

 

そして……目をそらした。

 

 

 

だからどうしてこう……過激な格好するのが好きなのかね?

 

 

 

どちらも褐色の肌が非常によく見えるほどに、布面積が少なかった。

あともう一つの共通点はどちらも美人。

一人はそれなりにきらびやかな髪飾りで、髪を後ろで一つに束ねた女人。

肩どころか、胸もほとんど……というか真正面と下しか隠してないほど胸が見えている。

胸の真正面部分だけを隠す衣服は、肋骨下で体を回るようにして、胸を隠す衣服の部位を支えている。

んで、肋骨下の横っ腹も衣服がなく褐色の肌が見えており、足の付け根で結ばれて下腹部と尻を隠しているが、他はほとんど見えている。

何というか、もうこの世界の衣服センスが俺にはよくわからなかった。

素人娘や骸骨ツインテと違って、長いブーツなんかも履いてないので、足もほとんど素肌が見えている。

袖は別パーツで腕は隠れていたが……肩は丸見えでもう訳がわからない。

ただ、首飾りや髪飾りを見るに、それなりに裕福な人間であることは察せられた。

またそれなりに強い気を放っているので、武将であると察せられる。

あとは額に朱紋があって……その朱紋がもう嫌な予感しかしなかった。

 

強さ的には、関羽と同程度ってところかな?

 

もう一人は長い黒髪を腰よりも下に伸ばした眼鏡をかけた女人。

こいつもほとんど素肌を晒しており……先ほどの褐色ポニーと違い、腹が見える。

無論下腹部は見えないがへそは見えてるし、褐色ポニーが隠している腹の正面を隠してない代わりに、側面を隠しているというような感じの衣服だ。

二の腕まである長い薄手の手袋と、ロング靴下をはいているので……かろうじて褐色ポニーよりは肌面積は少なかったが、正直ドングリの背比べだった。

 

なんというか、二人の衣服が合体したらまだ、普通の衣服になりそうな気がする……

 

こちらも飾り物をしてはいないが、衣服の上等さからそれなりの身分であることが伺えた。

こちらは大して強く感じないが、そのつり上がった鋭い目から放たれた眼光は……ある意味褐色ポニーよりも鋭かった。

恐らく頭脳労働派なのだろう。

 

「何かご用ですか?」

 

目線を可能な限り顔に固定しながら、褐色ポニーと褐色知的眼鏡の二人に歩み寄りながら、俺は呂蒙より前に出て、そう問いかけた。

雰囲気から行っていきなり手討ちとかにはならないと思うが、褐色ポニーが剣を腰に帯びているので念のためだった。

 

「すごい数の干物を売ってたけど……二人はどこの村の出かしら?」

「村……ですか?」

 

呂蒙はある程度警戒しながらも、問われた内容に言葉を詰まらせた。

そしてそれは……俺も一緒だった。

 

……村の名前とか決めてなかったな

 

村人達を生かすことしか考えてなかったため、そんなこと考えたこともなかったというのが本音だった。

そのため、村の名前など決める必要性もなく、近隣に他の村もないため、名前をつける必要性がなかったのだ。

他の村や街に行ったときも、基本的に行商に来ていると言っているだけで、どこの村という情報は渡していなかった。

他の村や街でははぐらかしても問題はないが……この相手には嘘を吐くのはまずいと、何となくわかった。

 

「……どうしたの? 村の名前くらい言えるでしょう?」

 

こちらが村の名前をすぐ答えないことで、褐色ポニーが警戒心を強めたのがわかった。

この褐色ポニーがそれなりに偉い人間なのはすぐに理解した。

衣服もそうだが、こちらに意識を向けている気配が周囲に6人いるのだ。

恐らく護衛だろう。

それとなく気配を断つように努めているようだが……俺には無意味な事だった。

 

衣服の上等さに護衛……結構お偉いさんか?

 

何となくいろんな意味で嫌な予感がしつつ……俺はとりあえず丁寧な言葉と態度を心がけて、時間を稼ぐために質問に質問で返した。

 

「とりあえず、そちらはどちら様でしょうか?」

「あら、ごめんなさい。私は雪蓮っていうの。よろしくね」

 

人懐っこそうな笑みを浮かべながら、雪蓮と名乗った女が右手を差し伸べてきた。

しかし雪蓮と名乗った時……隣の褐色知的眼鏡が驚きで一瞬目をわずかに見開いたのを、俺は見逃さなかった。

 

……恐らく真名だな

 

表の自らの名ではなく、真名を呼ばせようと名乗ったということは、かなり有名な人物であると考えていいだろう。

俺が知っているかどうかは謎だが、それでも真名でわざわざ呼ばせようとしており、また人懐っこい笑みで、こちらの内情を探ろうとしているのが肌でも感じ取れたので、俺は警戒を緩めることはしない。

だが、さすがに名乗られた上に握手まで求められて何も返さないわけにもいかないので、俺はその手を取りつつ、自らも名乗った。

 

「初めまして、刀月と申します。こちらは呂蒙。助手……かな? 行商の手伝いをしてもらっています」

「は、初めまして、呂蒙と申します!」

 

呂蒙も相手がこちらのことを値踏みしているのがわかったのだろう。

挨拶をしつつも気を引き締めたのが声でわかった。

これでは相手も呂蒙が緊張したことを、気づいてしまうだろう。

もう少し腹芸が出来るようにならなければならないなと、呂蒙の今後の課題を心の中でメモしておいた。

 

「ほら、冥琳も」

「あぁ……。私は冥琳という。よろしくな、刀月」

「こちらこそ、よろしく」

 

こちらも警戒していると言うことをアピールするため、俺は真名を呼ばないことを決めた。

自ら名乗ってきたのが真名であったとしても、自己紹介の場で名乗ったのだから、呼んだところで怒られることはないだろうが……真名は呼ばないに越したことはなかった。

 

いろんな意味でな……

 

「それで、さっきの質問に答えてくれないかしら?」

「これは失礼。といっても……実は村の名前が決まってなくて」

「決まってない? どういうこと?」

「いや、最初は海近くの廃村で私一人暮らしていたのです。しかし今は黄巾党が暴れているでしょう? その争いから逃げてきた人を受け入れていたらいつの間にか、百名ほどの規模になりまして。故に村となったのはつい最近なので名前がないのです」

「……へぇ。最近出来た村なの?」

 

こうしたお偉いさんに睨まれることも想定していたので、俺は事前に呂蒙と打ち合わせをしていた。

またこの州の領主である孫策がどのような人物かも、すでに村々から聞いてある程度人物像を予測していた。

 

呂蒙が。

 

 

 

……俺が予測出来たわけではない、これは非常に重要なことである

 

 

 

そして分析した結果、ある程度問題ない領主であることは把握していたので、俺は素直に村の事を教えるように呂蒙に言われていた。

嘘を言っても怒りを買うだけで、いいことは何もないからだ。

無論、孫策が暗君だったり、暴君だった場合話は別だが、俺が村々を見て回った感じでも、そんな風には思えなかった。

無論領主が問題ないからといってその部下が問題ない……とは言い切れない。

孫策の部下が腐っていないとは限らないからだ。

この時代、ごまかそうと思えばいくらでもごまかせるだろう。

だからその辺は慎重に見極めなければならなかった。

 

「えぇ、最近出来た村です」

「その割にはずいぶんと干物を持ってきてるわよね? しかも蜂蜜も売ってなかったかしら?」

「えぇ。蜂蜜探しは私の特技でして」

「特技……ねぇ?」

 

うん、怪しまれてるね

 

蜂蜜は特技で片付けるには、あまりにも貴重品過ぎた。

しかも呂蒙の読みが正しければ、この呉という国は蜂蜜がより貴重な存在だ。

干物を大量に売りに来ている事も相まって、是非とも税収をしたいだろう。

 

「それで、これ以上何かありますでしょうか? 江都の通行税は問題なくお支払いしましたし、この市場の場所代もきちんと納めました。何も問題はないと思うのですが?」

 

こちらとしても、これで逃げられるとは思っていなかった。

何せ税を滞納しているのは事実であり、あちらもこちらが税を納めていないのはある程度予測している。

 

だが……それだけだ。

 

何せあっちは自らの素性を明かしていない。

こちらとしても税を出せと言われたら出さないわけにはいかないが、それでもこの場では出させるのは難しいはずだ。

何せこの場で俺と呂蒙は問題を起こしていないのだから。

もちろん、権力を笠に着て無茶を言ってくると言うことも予想されるが……二人からはそんな卑怯な事を行ってくるような感じはしない。

 

仮にやられても……逃げられるしな

 

最悪は呂蒙を横抱きに抱えて逃亡すればいい。

背負子だけは回収しないと面倒だが……それも最悪後日霞皮の力を使って完全に気配を断って盗みに入れば問題はない。

 

「そうね。確かに問題はないわね。この場は……」

「で……しょうね」

 

だがそれは相手もわかっていることだった。

褐色ポニーの鋭い眼光に射貫かれながら……俺は肩をすくめるしかなかった。

 

「すまないが、こちらとしても税を取らないわけにはいかない。後日そちらの村に視察をさせてほしい。村の場所を教えてもらいたい」

「わかりました」

 

今まで逃げていたが、税を納めなければ最悪討伐というか、軍が差し向けられる可能性もある。

さすがに大軍を率いられて来られては、俺一人では手が足らなくなる。

最後には勝てるだろうが、その場合の勝利は俺一人だけが無事な状況であり、村は恐らく機能しなくなるだろう。

こちらとしてもそれなりに発達した村を捨てるのは……加工品等を考えるとあまり得策じゃなかった。

 

「それで、村はどの辺にあるのだ?」

 

実務的な事は褐色知的眼鏡が行うらしい。

そしてここに至るまでのことはあちらとしても想定済み……というか取り立てる気満々だったのだろう。

手早く地図を取り出してこちらの村の位置を示してほしいと、言われた。

わざわざ視察に出すという事で、ある程度信頼してもいいだろう。

俺は村の位置を示した。

といってもそこまで詳細な地図ではないから、事前に村の位置を把握した後に、視察団が派遣されることになるだろう。

 

「わかった。では後日視察に向かうので……そうだな、それまでには村の名前を決めておいてくれ」

「わかりました」

「では、またね。刀月さんに、呂蒙ちゃん」

「は、はい! 失礼します!」

 

実に人懐こい笑みで、褐色ポニーは手をひらひらと振りながら……褐色知的眼鏡と一緒に去っていった。

俺と呂蒙はその姿を、頭を下げたまま見送った。

しばらくして気配が完全に遠くに行ったことを判断し、俺は頭を上げて……溜息を吐いた。

 

「ついにきちゃったなぁ……」

「そうですね……」

 

遅かれ早かれこうなるのはわかっていた。

大量の干物。

蜂蜜に果実。

これだけ目立つ商いをしていれば、税を取られると言うのも当たり前だ。

特に甘味はいい税収となるだろう。

特に俺が採取している蜂蜜などは、孫策の状況から察するに喉から手が出るほどにほしい物だろう。

 

「今のやりとりでとりあえずよかったか?」

「は、はい。衣服からも察するに、恐らくあの二人はとても身分の高い人です。そんな人に嘘を吐いても、いい事なんてありませんから。それに……」

「それに?」

「眼鏡をかけていなかった方は……もしかしたら孫策様かもしれません」

「何?」

 

その呂蒙の言葉に、さすがに俺は驚きが隠せなかった。

何せ孫策はこの州を治めている領主その人だ。

この州での最高権力者。

護衛が陰から見守っているとはいえ、わざわざ市場に自らの足でやってくるとは……。

 

「あ、あぁぁぁあの!? 間違っているかもしれないですけど!」

「驚いてすまん。呂蒙の考えを疑っている訳じゃない。続けてくれ」

「は、はい! えっと、額に朱い紋様があったと思います。あれが確か呉の主君の証であると、聞いたことがあります」

「なるほど。確かに信憑性が高いな」

 

ここは呉の本拠地だ。

本拠地で主でもない奴が朱紋を入れていたら下手をすると殺されかねない。

そんな馬鹿はさすがいないだろう。

 

「さてと……そうなるとどうするかね?」

「さすがにどうにも出来ないと思います。なので、きちんと税を払うしか……」

「そうだなぁ。まともな奴が来ることを祈るかぁ……」

 

先にも言ったが領主がまともでも、部下がまともでない可能性がある。

悪事を働かれる可能性も十分にあり得るわけで。

ぶっ飛ばせれば簡単だが……そんな奴をぶっ飛ばそう物なら、いったいどんな報告をされるかわかったものではない。

 

ガチの呪術……できなくはないが、面倒だしなぁ……

 

出来なくはないが、距離が離れればそれだけ効力も薄まるし、術そのものはあまり得意ではないので効率も悪い。

呪術のために江都に毎夜足を運ぶのも面倒である。

また殺さないと考えているこの世界で、あまり呪術は使いたくなかった。

 

とりあえず……何とかするしかないが……

 

助にも話をして対策を練った方がいいだろう。

ある程度普通の税の取り立てならば、こちらとしても受けざるを得ない。

まともな奴が来ることを祈るのみである。

 

「とりあえず……飯食って次の仕事するか」

「そうですね。早く品物がはけたので、次の村にも行って情報を集めたいですし」

「だな」

 

現実逃避と考えるべき事を棚上げにして、俺は三大欲求を満たすことを優先した。

要するに思考停止というか思考投棄である。

 

意味不明!

 

「さて、飯食ってスイ――、デザ――……あ~~~甘味! 甘味食ったらまた頑張るか!」

「はい! よろしくお願いします!」

 

呂蒙も頑張ったからお腹がすいているのは事実なんだろう。

俺が思考停止しているのに気づかず……いや気づいているかもしれないが、ともかく一緒に飯へと向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

「どう思う?」

「どうとは?」

「意地悪言わないで、冥琳。あの二人の事よ」

 

刀月と呂蒙と別れを告げ城へと戻っていく雪蓮と冥琳。

二人の話題は当然今あってきたばかりの存在……刀月と呂蒙のことだった。

 

「ふむ、最近村が出来たと言うのは、恐らく嘘ではないだろうな。雪蓮もそう思うだろう?」

「そうね。刀月って男はくせ者なのはすぐわかったけど……もう一人の呂蒙が未熟みたいね。本当に困っていたから、村の名前がないってのは本当の事なんでしょうね」

 

刀月。

雪蓮と冥琳が自己紹介で名乗ったにもかかわらず、絶対に名を呼ぼうとしなかった。

無論、会話的に問題はない。

だがその名を呼ばないようにしていたということ……これが意味を持つことは二人もわかっていた。

 

「気づかれたのかしら?」

「もしかしたらな。まさか真名を呼ばせるとは思ってなかったら一瞬だけ驚いてしまったしな」

「まぁそうかもね。ごめんね冥琳」

「かまわんよ。それより……領主として、武人としてあの二人をどう見た?」

 

冥琳の言葉に、雪蓮は二人の姿を思い出した。

呂蒙についてはそれなりに強いことはすぐに察せられた。

長い袖のたれ方が少し変だったので、何か仕込んでいることはすぐにわかった。

またそれなりに重い道具や商売の品物を軽々と運んでいたことを考えれば、見かけによらず力もあるとすぐに理解できた。

 

あの男は……底が知れないわね

 

刀月と名乗った男。

雪蓮も握手したときの手の平を触った感じ、間違いなく戦士の手であることはすぐにわかった。

しかも手のたこから察するにそれだけでないこともわかった。

だがそれしかわからなかった。

武人として呉でも有数の実力を有した……雪蓮が。

 

殺気もぶつけたのに……何も反応しなかったしね……

 

殺意をぶつける。

殺意という強い感情をぶつけられた場合、思わず返してしまう。

それが強い人間であれば無意識のうちに反応してしまうのだ。

だが……刀月は違ったのだ。

まるでただ風が吹いたと言わんばかりに……何の反応も返さず普通にしていた。

雪蓮は腰に剣を帯びていた。

つまり本当に斬りかかろうと思えば斬りかかれたのだ。

にも関わらず、平然としていた。

あまりにも反応がないため、一瞬殺意がわからないただの鈍い男と考えなくもなかったが……あれだけの肉体で、完全な素人とはとても思えなかった。

だからこそ……異常だと感じたのだ。

 

「呂蒙ちゃんは強いけど、まぁ普通って感じね。ただあの刀月って男は……本気で戦って見たいわね……」

「ほう、孫伯符が本気で戦いたいとは……それほどなのか?」

「冥琳だってあいつがただ者じゃないことはわかったでしょ?」

「まぁ少しは……」

 

あれは強いなんてものじゃない……そんな気がするわ

 

雪蓮も武人として誇りを持っている。

その自分が全力でも勝てるかどうかわからない相手。

それだけの逸材を放っておく訳にはいかなった。

 

「ね~ぇ、冥琳♪ お願いがあるんだけど?」

「……なんだ?」

 

自らの親友であり、主君でもある雪蓮の猫なで声。

それを聞いた瞬間に、何を言うのかある程度察したのだろう。

実に深々と溜息を吐いて……そして仕方がないと苦笑しながら、冥琳は雪蓮の言葉を待った。

 

 

 

 

 

 

 

干物が大量に作れる……これはこの飢餓で黄巾党なる連中が跋扈してしまうほどの乱世では非常に魅力的だ。

今のこの貧しい時代、食料はそれだけ貴重なのだ。

だからそう時間をかけずにくるとは思っていた。

のだが……

 

まさか一週間も経たずにくるとは……

 

褐色ポニーに褐色知的眼鏡に出会って五日後。

そろそろ次の行商に行かねばならないと考えていた時だった。

俺が遙か先にそれなりの規模の気配が、規律正しく行軍してきているのに気づいたのだ。

規律正しいという時点で賊ではない。

そしてここで問題が一つ。

 

なんかこの前の褐色ポニーの気配があるんだけど……

 

行軍してきている軍の中に……恐らく孫策であると呂蒙が判断している褐色ポニーの気配があった。

孫策。

呉の親玉で……何人かいた兄弟の長兄だったと思った。

 

そう長兄だった。

 

俺の世界では。

 

 

 

もう考えない……

 

 

 

呂蒙の判断について、俺はほとんど疑っていなかった。

そしてそれは今の状況も物語っていた。

孫策を先頭にしながらやってくる軍隊。

行軍速度が速いので、ほぼ間違いなく馬に乗っての行軍だろう。

全員が馬に乗っており、しかも隊列に乱れがない。

よく訓練された証拠だ。

また一人、それなりに強い気配が感じ取れたので、恐らく護衛だろう。

その気配にも覚えがあった。

 

何度かつけてきた奴だな

 

行商の帰り道。

何度か後をつけられたのだが……俺はそれをことごとく振り切った。

というよりも、霞皮と風翔の力でいくらでも逃げられたのだ。

 

霞皮で気配をほとんどなくして、仕上げに風翔で空気の流れを歪めれば余裕で透明化が可能だからなぁ

 

それなりに強く、また隠密行動についてはかなりの実力者だった。

しかし俺の能力を使えば……仮に使わなくても余裕で……簡単に尾行から逃れることができる。

一度気配を断って相手から逃げおおせた後、近寄って……能力使用しているため、相手からは完全に見えない……見たこともあったが、これまたずいぶんちんまりした女の子だった。

そしてその体には不釣り合いなずいぶん長い刀を背負っていた。

 

 

 

その姿が……実にあの子に似ていてとまどった物だった。

 

 

 

これだけでも少ないぐらいだろうが……まぁ大きく動くことが出来ないって事の証明にもなったということだな……

 

呂蒙の話では孫策は今そこまで自由に動けない状況のはずだ。

それでも領主としてこれだけの人数を引き連れなければ行動できないと言うことだろう。

しかしそんなことは今の俺には関係ないのでとりあえず保留する。

 

さて……このまま村に来られてもいい物か?

 

一度村の連中を集めておこうかとも思ったが……何故行軍していたのがわかったのかと変に勘ぐられても面倒だったので、俺は特段何もしないことにした。

以前にあったときの感じを信じるに、恐らく外道ではない。

また周りの村の話を聞いても、それなりに名君といえる働きをしている。

これについては俺だけではなく、呂蒙の知略でも恐らく問題ないことは教えてもらっている。

そのため、俺は村の一番端っこ……大陸側の入り口で今日の仕事をすることにした。

 

本日の仕事……それは防衛隊の訓練だった。

 

「走れ! 体力がなければ逃げることもかなわん! ひた走れ! 吐いても走れ! 死にたくなければ死ぬ気で走れ!」

「親分! 言ってることがむちゃくちゃだぜ!」

「しゃべる元気があるなら手足を動かせ、格! お前は後2周追加だ!」

「え~~!?」

 

まず体力をつけること。

それを防衛隊には厳命していた。

武器はそれなりに整えた……鉄製の槍で俺の鍛造……ので、後は扱う人間の体力を伸ばそうと思ったのだ。

単独ではなく数人単位で動くように厳命しているので、数m離れた箇所から槍で突けば素人でも熊を殺すことは不可能ではない。

だが熊も馬鹿ではない。

わざわざ平原や荒野で槍を持った人間と、相対することなど選択しない。

必然的に森の中で気配を断って襲ってくるというのが、熊の行動パターンだ。

そして槍は森での扱いには不向きな得物である。

かといってナイフや剣で素人が立ち向かうのは、あまりにも愚かな選択である。

故に……森で出会った際は逃げるための脚力を身につける必要がある。

しかし熊は逃げる奴を追ってくる習性があるので、背を向けて逃げるのは阿呆の選択肢。

とりあえず焦らずに仲間の応援を望めるように、緊張で動けなくなるような事にならないこと、そして助けを呼ばれたときに即座に駆けつけるだけの脚力がいるのだ。

助けを呼ぶための笛も、手先の器用な職人に作らせてあった。

体力は走り込み……畑や田の外周を走る……緊張で動けなくならないようにするための訓練は俺との組み手だった。

俺がそれなりに本気で殺すつもりで組み手をしているので、熊程度で動けなくなる……という人間は防衛隊にはすでにいなかった。

村の大陸側の出口で走っている連中を罵倒してやる気を出させながら……俺は俺で訓練として、長さ数m、太めに鍛造した筋トレ用の反りのあるねじり金棒を持って筋トレをしていた。

 

長さは狩竜と同じ長さの金棒だ。

掴みやすさと、斬りつけた……金棒で斬りつけるというのもあれだが……ときに、よりダメージを与えられるように、ねじれるように鋭角的な段差をつけて鍛えた。

作り込み……というか体配置は狩竜と同じで、反りも狩竜と同程度に湾曲する鉄の棒である。

「棒」であるゆえに当然刃物ではないが、そこは鉄を鍛造した得物。

一切の妥協なく俺はこの金棒を鍛え上げた。

気力と魔力を併用したこの金棒であれば、どんな巨石も粉々に砕くことが可能だった。

いうなればこれは、刀ではなく金棒として鍛造した狩竜だった。

 

狩竜振るう感覚鈍らせてもあれだしな……

 

打刀はそれこそ人生の大半振るっているのでそうそう感覚は鈍らないが、狩竜のような野太刀はまだ使用した年月が浅い。

筋トレもかねて鍛造したのだ。

 

まぁそれなりに慣れてはいるが……

 

少々汗ばみながらも俺はねじり金棒を振るって訓練を行っている。

こうして俺が一筋縄で倒せないことを喧伝しておかなければ、またぞろ馬鹿な奴が出てくるかもしれないのでその予防でもある。

 

常人だと構えるのも難しい鉄の棒を、目にも止まらぬ速さで振りまくってれば、そら反乱なんぞおこせんわな……

 

そして防衛隊の走り込み訓練には……呂蒙も参加していた。

というか……

 

呂蒙が俺の次に強いって……こいつマジですげえな

 

村の中で俺の次に強いのは呂蒙だった。

格もそれなりに強いのだが……呂蒙には勝てていない。

呂蒙も強いと言っても片側ポニーには勝てないが……それでもかなり強い部類に入る。

 

頭がよくて強いとか……これは確かに助も娘の将来を思うわけだ……

 

頭は切れる、一般男性よりかなり強い。

これだけ優秀で有能さを知っていれば、確かに片田舎で終わらせるのには惜しい人材だろう。

俺としても呂蒙はどこか仕官した方がいいと思えるようになってきた。

 

助がいるからまだなんとかなるかなぁ……

 

俺と呂蒙が村の経済を支える構図。

このままでいいと俺も思っていない。

それは村の経済構図に、俺がこの場にいるということも含めてである

 

俺は何故こんなに真面目に為政者を行っているのだろう……

 

この村で過ごしてすでに年単位の時間が経過している。

俺としてはこのままこの村でいたいと思っているわけではない。

だからこそ防衛隊の連中もこうして訓練を行って、自立させようとしているのだ。

無論大豆などの生産は俺が必要なのもあるのでこのまま続けてほしいが、それでも俺がいなければならない理由にはならない。

 

命を救ったので十分だと思うしな

 

後は自立だけだ。

そうなるとこうやって褐色ポニー……孫策が来たのはある意味「そのときがやってきた」という事なのだろう。

 

さて、どうするかな

 

そんな事を考えつつ、俺はねじり金棒を振るっていた。

 

 

 

 






いつ終わるのかは作者にもわからない

なぜかって?

私は基本的に考えながら書いているタイプで、プロットなんてほぼ皆無だからさ!

がんばりま~す
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