Fate/Twilight 終末相剋決戦 ラグナロク   作:しんけ

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 妄想の産物です。因みにブリュンヒルデは型月のブリュンヒルデです。
型月のブリュンヒルデがこんな事言いそうに無いですがご了承下さい。


神VS人類最終闘争

神代は終わり、西暦を経て人類は地上でもっとも栄えた種となった。我らは星の行く末を定め、星に碑文を刻むもの人類をより長く、より確かに、より強く繁栄させる為の理――人類の航海図ーーこれを、魔術世界では人理と呼ぶー

ーー()()()()()()()()()()()()()()ーーその原因は…核戦争でも小惑星の衝突でもーー地球外生物体の侵略(UNKNOWN  ATTACK )でもないーー

人類は今他ならぬ人類の創造主“神”の意思によってーー

          ーー終末(滅亡)を迎えようとしているーー

 

 

 

◇◇◇◇

 

ーーここは、ヴァルハラ。北欧神話が誇る天上に絢爛と煌めく神々が集う宮殿。

 

「……」

 

紫水晶の瞳に鎧姿の女がヴァルハラの長く続く廊下を歩いていた。ーー名をブリュンヒルデ。戦乙女(ワルキューレ)の長姉である。

 

「お待ち下さい!ブリュンヒルデお姉様‼︎」

 

後ろからフードを被った黒髪の少女が追いかけてきた。ーー名をオルトリンデ、彼女もまた戦乙女の一人だ。

 

「急ぎますよ。オルトリンデ」

 

ブリュンヒルデは急かすように歩を速める。

 

「いよいよですね。お姉様…!」

 

オルトリンデは少し興奮気味にブリュンヒルデに話しかけた。

 

「ええ。……行きましょう」

 

普段冷静である彼女が何故こうも焦り急いでいるか?ーーそれは、今宵世界の命運を決める“神の審判”が行われるからである。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

ヴァルハラ評議 議事堂

 

荘厳たるその場所は、中心に巨大な玉座と机があり、それを囲む様に長方形の机と椅子が階段状に並んでいる。そこに所狭しと座っているのは人間では無い、ならば動物か? ーー否、そこに鎮座するは神話の神々。ギリシャ、日本、インドそれだけでは無い、()()()()()()()()()である。

 

白髪、白髭の老人が体を震わせて中央部の玉座に座った。この男神、名をゼウス。世界で最も有名な神話、ギリシャ神話の主神にしてこの、ヴァルハラ評議会の議長である。

 

「では皆の衆」

 

神々の視線がゼウスに向かった。

 

「前回からはや1000年が経った。例の『会議』を始めるぞい」

 

1000年に一度、全世界の神々が一堂に会し開催される会議ーーその名も『人類存亡会議』‼︎

 

「これが、人類存亡会議…」

 

オルトリンデは、神々を目にし上擦った声で言った。

 

「さて、問おう」

 

ゼウスが神々に問う。

 

「人類に次の1000年の存続を『許す』かーー」

 

ーー救済なら丸印の札を

 

「それとも…『終末を与えるか』ーー」

 

ーー終焉ならばつ印の札を

 

神々(みな)の意思を示せ」

 

どちらかの札を示すよう促す。

 

ザワザワと神々が互いに相談し始めた。救済か滅亡何方にするか審議を始め出す。

 

「は〜〜い」

 

そんな中間伸びした声が空間を包む。

 

「終末でいいんじゃね?」

 

青い肌に二対の腕、そして額に第三の目があるーーインド神話において、破壊と創造の神であるシヴァが、躊躇いもなく言い放つ。

 

人類(あいつら)反省する気まったくねぇみたいだし、もう、導くのとか面倒くせーし、一回全部ぶっ壊して今度は別の動物に進化させようぜ♪」

 

「確かに…シヴァ様の仰る通りです」

 

シヴァの発言に透き通った女の声が賛成の意を示す。

 

「この1000年、世界は醜くなるばかり…」

 

輝く金髪、純白の肌、美という言葉を体現した姿。ーーギリシャ神話の美の女神、アフロディーテ。

 

「海はゴミと油まみれ、森林は消滅し、生物は次々に絶滅。言うなればもはや人類こそが地球上の生物にとって最大の癌ーーいえ世界を滅ぼす災害と、言ったほうがいいかしら?」

 

アフロディーテの言葉を皮切りに周りの神達も思い思いに人間への不満を口に出し、周りの雰囲気がマイナスの方へ変わり神々は一つの結論を決める。

 

「アフロディーテの言う通りだ」 「連中は害悪です」 「もう人類に救いようなど無い」「全くだ」

 

「終末だ」 「終末だな」 「終末かーー」 「そうだ」 「ああ」

      

 

   「「「「「「「終末」」」」」」」

 

(ブリュンヒルデお姉様がかねてより予想してた通り…‼︎ ーーやはり神々の意思は『終末』…!?)

 

「……」

 

オルトリンデは顔を強張らせているのに対し、ブリュンヒルデはただ目を瞑り続ける。

 

ーー創造主()の意思に、『異論』など許されない…。もし人類存亡会議において全会一致で“終末”という結論になった場合人類はーー…

 

ーー否応なく滅亡する。

 

次々に札が上がっていく…。丸印(救済)は、一切無く、ばつ印 (終末)という非常な現実のみが突き付けられる。

 

「…フム、結論は出たようじゃな」

 

会場の満場一致を確認して議長であるゼウスが木槌を上げた。そしてーー

 

今、まさに人類の終焉が降り下ろされるーー

 

「では…人類に“終末”を決定すーー」

 

「ーーお待ち下さい‼︎」

 

ーー議事堂に響いたのは議決の音では無く静止の声。ブリュンヒルデがすんでのところで意義を唱えたのだ。突然の事に議事堂内全ての視線がブリュンヒルデに集中した。

 

「……んん?」

 

「なんだぁ?」

 

「ワルキューレ?」

 

神々が驚く中、ブリュンヒルデは議会の中心に向けゆっくり階段を降り始めた。

 

「お、お姉様‼︎」

 

オルトリンデが姉の行動に驚愕し声をあげた。当然だ、神々に横槍を入れたのだ。驚かない方が無理がある話だろう。

 

「恐れながら神々(みなさま)に、申し上げたき儀が御座います」

 

ブリュンヒルデはさらに一歩、歩を進めるーー

 

「控えよ‼︎ ブリュンヒルデ‼︎」

 

ーー突然甲高い怒号が響く。その声の正体は烏、白色の烏がブリュンヒルデを怒鳴りつけた。

 

「貴様、半神の分際で神々(われら)の議論に口挟んでじゃねぇーよ‼︎」

 

すかさず次は黒色の烏が発言する。ーーこの二匹の烏の名は、フギンとムニン。使い魔である。

 

「……」

 

この二匹の主人であり、北欧の大神であるオーディンが無言で睨みつけている。ブリュンヒルデは立ち止まるが臆さず言葉を続ける。

 

「…確かに、人類の専横と暴虐は目に余ります。しかしただ滅ぼすのではあまりにも芸がない。如何でしょう?次の1000年間を存続する価値があるかどうか神々の慈悲と神威を魅せつけつつ彼ら人類を試してみては」

 

「…試す? 地上をまた水没させるか?」

 

「それとも氷河期早めて氷漬けにするか?」

 

ブリュンヒルデの発言にフギンとムニンが反論する。

 

「いえ、もっと効率的な方法があります」

 

「…ほう?」

 

「いったい何だ?」 「どういう話がしたいんだ?」 「もったいぶらず早く申せ‼︎」

 

ブリュンヒルデの周りくどい言い方に神々は業を煮やし何が言いたいか催促する。そして神々の注目を浴びながら、ブリュンヒルデは冷静に告げる。

 

神VS人類最終闘争(ラグナロク)

 

周りが虚を突かれポカンとする中ブリュンヒルデが一冊の目録を取り出し更に続ける。

 

「ヴァルハラ憲法、第62条、15項に定められた“超特別条項”ーー神と人類による一対一(タイマン)でございます」

 

ーー神VS人類最終闘争(ラグナロク)ーー

 

ーー13対13で行われ、先に7勝した方が勝利。もちろん人類が7敗した瞬間、終末(滅亡)が決定。万が一人類が勝利した場合、1000年の生存が許可される。…だが、この法は人類誕生以来一度も適用されたことはない、なぜならば

ーー人間が神に勝つなど、絶対不可能‼︎

 

ーーいわば、超法規的条項(神々の戯れ)として制定されたのだ。

 

…パタンと目録を閉じる音だけが聞こえる。辺りが静まり返るがこの法の発案に対しフギンとムニンは馬鹿馬鹿しいと鼻で笑いだす。

 

「はッ」

 

「何を申すかと思えば戦乙女(ワルキューレ)であるお前たちが分からぬ事ではあるまい…」

 

「人間なんか神の敵じゃねぇーよ‼︎」

 

「「やるだけ無駄だ」」

 

「そうだその通りだ」 「闘いだと? 遊びにもならんぞ」 「わざわざ人間ごときの相手をしてやるなどバカバカしい」

 

フギンとムニンに続き他の神達も便乗し始める。話にならないと。

羽虫に喧嘩を売られ買う者がいるか? …いないだろう。ましてや、人と神などとーーするまでもない勝つと。神々は当たり前の事実に相手にすらしない。

 

ーー()()()()()()()()()()

 

「では神々(みなさま)の意思は『人類の滅亡』…そして『人間との直接対決は避けたい』という事でしょうか?』

 

「「…あ”?」」

 

 

「『戦わずして人間を滅ぼしたい』 「『同じリングに立ちたくない』」

 

「それはもしかして ーー恐れて(ビビって)いるのですか?」

 

空気が凍る。異常までのの静寂が空間を支配する。そんな空気も気にも止めずブリュンヒルデは追い討ちをかける様に続けて言い放つ。

 

「…もし、そうであれば差し出がましい事をいたしました。どうぞ、私の言った事などお気になさらず、ラグナロク法などというものは忘れましょう」

 

ーー神に対しあからさまな挑発。あらゆる神話において神を挑発、冒涜した者がどんな末路を辿ったかなど神代に生きたブリュンヒルデが一番わかっている筈だ。ーーでは、何故自身の身を危険に晒してまで挑発をしたか? それは、ブリュンヒルデは、()()()()をしていたからである。

 

「「…………………………………………………………」」

 

異常なまでの沈黙が続く。これは嵐の前の静けさ、今神々の怒りは爆発するーー

 

「………プッ」 「ふふふ」 「ははは」 「クハハハ」 「ゼハハ」 …

 

ーーかに思われた。…以外にも会場を包みこんだのは、怒号でも罵声でも無かった。クスクスと笑い声だけが聴こえる。…これは戯言、ただの囀り。そして何より()()()()()()()()()。もし自身の神話圏内でこれを言われてたら即座に存在ごと消滅させていただろう、だがここは全世界の神話の神々がいるのだ、ここで怒り行動してしまえば半神風情の挑発に乗ったと思われ己と己が神話の格が低いと思われかねない。この会議は何も人類の滅亡を決めるだけでは無い神話の格を競うも同然である。故に耐え、微笑むのだ。

 

だがーー

 

「ふざけるな」 「クソが」 「半神半人(ワルキューレ)の分際で舐めた事を」

 

笑って(微笑んで)いられるのはほんの一瞬だった。周りから爪を立てた音、殴りつける鈍い音などの様々な破壊音が聴こえ始める。その音の発生源。それは先程まで優雅に笑っていた神達である。

 

ーー“恐れて(ビビって)いるのですか?”

 

この言葉が神々の中で反響し続ける。恐れる?神である自分達が人間を?怒りが込み上げる、あり得ない屈辱‼︎

 

ーー議事堂全てが怒りに包まれる。ブリュンヒルデの思惑通りならこのまま神々は怒りのままに挑発に乗り“ラグナロク”の開催を決定するだろう。

 

…だがブリュンヒルデの言葉はあまりにも神の怒りを買いすぎたーー

 

 

 

「うぐッ‼︎」

 

「ッ‼︎」

 

ーー突如、ズンッと音共にオルトリンデとブリュンヒルデが膝から崩れ落ち地面にめり込みだした。これは神々の権能でも神通力でもない、神々が()()()()()()()()()()()。確かに神々は他神話の神がいるが故に行動出来ない、それならば睨みつけ威圧する。これならば自身の格を損なわずこの不敬な戦乙女達を圧殺できると。

ブリュンヒルデもオルトリンデも神代出身だ。神からの威圧も経験しているし、耐えれてきた。しかしそれは神が一柱か二柱の場合だ、今は自身の神話の神だけでは無く世界中の神話の神々がいるのだ。想像も絶するだろう、全神話の神から一斉に圧をかけられるのだ正気の沙汰ではない。

 

(ッ‼︎ 硬化のルーンーー‼︎ でもこのままでは耐えられない‼︎)

 

ブリュンヒルデは咄嗟に硬化のルーンを自分達にかけることでなんとか耐える事が出来たが圧がどんどん上がっていく、あまりの重圧にメキメキと身体から軋む音が聴こえ身につけていた鎧が砕けだす。

空間ごと歪む。まるで天空そのものが落ちてきたかのような威力。このままいけば確実に死ぬ事は明らかだ、だがブリュンヒルデは歯を食い縛り耐え続ける。オルトリンデを護りながらブリュンヒルデは軋み身体に鞭を打ち必死に立ち上がる。身体はとうに限界を超え今にも手足がひしゃげ崩れそうになるが彼女は眼前の神々を睨みつける。

 

(ここで死ぬ訳にはいかないーー‼︎ ここで死んだら彼ら(神々)は、会議をそのまま終わらせる!それだけはさせない‼︎ こんな簡単に終わらさせない!人の歴史を、()()()との記憶(思い出)を消させはしない‼︎)

 

そう、彼女をここまで動かせるのはある男との大切な思い出を守るためだ。自分が心から幸せだったと断言できるその記憶を神々の軽い気持ちで滅ぼしていい筈が無い。例えこの抵抗が無意味で神々からしたらただもがき苦しむ虫の様に滑稽な姿に映るだろう。だがそれでもこれだけは譲れないと。

 

「ーーーーッ」

 

だが意志とは裏腹に身体にはもう残す力など無かったのだ。視界が次第に暗転していく。まだと、踏ん張るが少しずつ重圧に負け地にまた沈んでいきまたブリュンヒルデの身体は床に叩きつけられた。そしてブリュンヒルデは悲痛な顔で一筋の涙を流す。ごめんなさい、私ではーーと。途切れる意識の中この世でただ一人、愛する人の名前が口から弱々しく零れ落ちた。

 

()()()()ーー」

 

 

抵抗虚しくブリュンヒルデの意識が途切れ掛けていたルーンの効果が切れ遂に神々の重圧がブリュンヒルデ達の身体を圧死させる瞬間ーー

 

 

 

 

 

 

 

“ふははは!はははははははははははははははは!ははははははははははは‼︎‼︎”

 

 

ーー議事堂内に突如笑い声が響き渡った。

 

「ラグナロク?…ハッ!久しく忘れておったわ。いやそれより、神共にビビってるなどと!フッ!ふははは‼︎大いに笑った。後で粘土板に記しておこう。王、腹筋大激痛と」

 

場の空気など微塵にも気にしてない声が議事堂の外、長く続く廊下からガシャンと重厚な金属音とも聞こえる。徐々に此方に向かって来る足音に神々の意識がブリュンヒルデ達から議事堂の入口に集中する。一体何事だと。

 

「お待ち下さい‼︎」

 

「これより先は議事堂で御座います!」

 

「お引き取り下さい!ギルガーー」

 

「ーー邪魔だ」

 

冷然たる声とともに神々の目に飛び込んできたものそれはーー血、そしてここヴァルハラに配属された守護天使達。その天使達が無数の刀剣が突き刺さり血飛沫と羽根を撒き散らしながら議事堂内に吹っ飛んで来たのだ。

 

ーー天使達が議事堂の中央、ゼウスの足元に転がり落ちる。辺りがあまりの光景に唖然とする中、天使達の舞い散る羽根のカーテンからその男は我が者顔でやってきた。

 

ーー神々は目を見開く。この神、否()()()()を知っている。神と袂を分かち人の時代を築いたこの男をーー

 

ーーこの人類滅亡会議確かに全世界の神々が参加している。だが決して()()()()()()()()()では無い、ならば不参加を決めている神もいるのだ。それは主に三つに分けられる。一、世界の行く末を人類に委ねた神、二、元々どちらでも興味が無い神、三、信仰、伝承により神格化された現人神、半神の者達。

 

話を戻そう。この男は神では無い、その身は三分の二が神、三分の一は人の半神半人だ。だが人々の信仰により死後神へと召し上げられた者、そして唯一この神々の会議に()()()()()()()()でもある。

 

ーー名をギルガメッシュ。オリエント最強の王にして最古の英雄である。

 

「この我を無しに人の存続を議決するとは度し難い。なぁ、神共よ」

 

「ギルガメッシュ!?」

 

「何故あいつが?」

 

「奴は来れない筈だぞ!」

 

ギルガメッシュの登場に神々は口々に騒ぎ始める。それも当然、ギルガメッシュはヴァルハラ及びこの人類滅亡会議に出禁を言い渡されている。何故自分が議長ではないのかと言い議事堂を破壊、玉座では無く他の神と一緒の席で議事堂を破壊…理由については多岐に渡るが殆どギルガメッシュの理不尽なものばかりである。もちろん神々も殺そうと攻撃したがなまじギルガメッシュが強く主神級でなければ逆に殺されてしまう、例え主神でも五体満足では済まなずその為神々はギルガメッシュを追放する事を選び権能、魔術を用いてギルガメッシュの隙を突き遠ざけヴァルハラに強力な結界を展開し事なきを得たのだった。

 

「結界が作動していないのか?!」

 

「結界?たわけ、あの程度でこの我を止められると?空間ごと潰したわ」

 

ギルガメッシュは至極当たり前のように答え、神々の注目を浴びながら一歩一歩歩み始める。横たわり虫の息であるブリュンヒルデの前まで行きギルガメッシュは愉しそうに目を細めブリュンヒルデを見据える。

 

「久方ぶりに大笑いした。最初は唯の道化かと思ったが…。…ああよく耐え、よく吠えた、故に問おう、何故そこまで人に与する?」

 

ギルガメッシュは問う、其処までして人を守る理由を。ブリュンヒルデは力強い目でギルガメッシュを見返し何の迷いなく揺るぎない口調でしかと、答えた。

 

「…私は戦乙女であったモノ、英雄を愛してしまったモノ、その愛した人の世界をどうして見捨てられましょう。神の人形であった私に、神性を剥奪され炎の館で終わりを待つだけの私に、あの人は色彩を、愛を教えてくれた、それが最後に呪われた運命に辿ろうと。私はあの人との出会いを後悔しない、彼との思い出を消させわしない。その為なら私は体も魂もどうなっても構いません」

 

「…ほう、言うではないか。己が身体も命もどうでもよいと?は、中々に気に入った。だが足りぬ、足りぬな戦乙女よ」

 

ギルガメッシュはブリュンヒルデの返答にニイ、と口角を吊り上げる。しかしギルガメッシュはブリュンヒルデに対し足りないと首を軽く振る。

 

「勝てば向こう1000年の生存が許される?人は負ければ滅亡、だが神共は何も無いとはな。全く忌々しいに程がある、いつまで君臨していると思い込んでいるつもりだ、貴様らの時代は当に終わっている」

 

ギルガメッシュの言う足りぬものそれはラグナロクのルール。人類が勝てば1000年の生存が許される。だが神、天界側には一切のデメリットがない。仮に人類が勝っても今回だけ見逃されただけであって1000年後又滅亡という判決が下されるのは明白であった。

 

「神代は終わりを告げ人の時代になった。確かに今の人間は弱すぎる。死に絶えるならそれでよい。だが貴様ら神に滅ぼされるのは別だ。気に食わぬ、何よりこの我が許すものか」

 

神すら恐れぬ豪胆なる態度。ギルガメッシュは現代の人間は別に滅亡してもいいと思っている、弱く排他的な今の世など価値など無いと。だがそれは人が人類が自ら辿り滅ぶのならばの話だ。それを神の意思で決めるなど人類の歴史の裁定者として人の世を守護し見定める者であるギルガメッシュが許すはずが無い。

 

「1000年の猶予など必要無いこの戦いを持って決すればいいだけのこと。すなわち此度のラグナロクで何方がこの星に相応しいかをな」

 

「くだらん‼︎」 「何をふざけた事を‼︎」 「言わせておけば‼︎」

 

そうギルガメッシュはこのラグナロクで決めようと言うのだ。神か人何方がこの星に相応しいかを。そして仮に人類が神に勝った場合、今後一切の人及び世界への干渉を禁ずると言うもの。ーーつまりこの星の権利を人類に譲るも同義であり、完全なる神の否定、決別を意味する。

神々にまた怒りの波紋が拡がり始める。自分達が人を見限り滅ぼすのはいいが人が神の否定、決別をするのは許しはしない。身勝手だがそれが神なのだ。勝手に話を進めるギルガメッシュに神々は食ってかかる。

 

「第一まだラグナロクが決まった訳ではなーー」

 

「ホッホッホッなるほどのぅ、ラグナロクか…面白い提案ではないか」

 

神々がギルガメッシュに異論を唱える中ゼウスが声を被せてきた。視線が議事堂の中央に集中する。

 

「のう、よくぞ言ってくれたの全く…」

 

一人言の様に呟くゼウスの体が変わり始める。全身から筋肉が盛り上がり先程までのヨボヨボの老人の姿とは別人と見間違うほどに変化していた。魔力が渦となりゼウスの周りに集まり始めバチバチと音を立て蒼白い光を放ちながらゼウスの右腕に集まり始める。そしてーー

 

「面白い‼︎」

 

ーー瞬間、目を開けられぬ程の閃光と凄まじい轟音が辺りに響き渡った。ゼウスが足元に転がっていた天使達の骸に雷霆を叩きつけたのだ。雷霆が落ちた場所にはただ巨大な穴が出来ており天使達の羽根はおろか塵すら残っていない。周りの神達が突然の出来事に冷や汗を掻きゼウスを凝視する。視線を一身に受けたゼウスは狂喜に震えながら他の神に問いかける。

 

「それに皆も…のう? 久しぶりに見たいじゃろぉ?神々の(暴力)をぉぉ‼︎どうじゃ?皆の者神々(われら)と人類で勝負してやろうではないか‼︎」

 

ゼウスの言葉に場の雰囲気が変わる。

ーーそうだ万に一つも我々が負ける筈が無い、これは唯の暴力。人間達に己が一体何にに挑み、慄き無様に平伏せさせる為の余興に過ぎぬと、神々の中にある加虐心、残酷で冷徹の側面が疼き出す。

ゼウスが木槌を振り上げる、今度こそその決定に異議を唱える者はいない…恐ろしまでの静寂の中、戦争の開幕を告げる雷鳴が議事堂内いや世界中に轟いた。

 

 

 

ーーかくして此れより行われるは、どの神話、伝説をも越える闘い。滅亡か存続か、今空前絶後、前代未聞の神対人による最終闘争の火蓋が切って落とされる。

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